最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
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839 振り替えられる過去に行ってきた眞子の不穏な行動

公開日時: 2023年5月25日(木) 00:21
文字数:3,688

●前回のおさらい●


 今の眞子の正体が『XX眞子』だと医師らしき人物に言われ。

自分が倉津真琴であったと思っていた眞子は、更なる混乱に陥れられる。


そして……

「どういう……」

「『どういう』以前に……貴女は、倉津真琴さんに、自らこう約束されてましたね。『うん、大丈夫……約束する……真琴ちゃんが、この世が嫌にならない限り、必ず、この体は真琴ちゃんに返すよ。だって、この体は真琴ちゃんのものじゃない』ってね」

「確かにXX眞子は、一言違わず、そう言いましたよ。けど、消えたんなら、そんな話自体が、なにも関係ないじゃないですか?」

「何度も言いますが、XX眞子は消えては居ません。ただ、今の様な約束がある以上、倉津真琴さんに『体を返せ』と言われたら、貴女は体の主導権を渡さなければいけない立場。……では、そんな状況下で、貴女はどうすれば良いか?っと言う話なんですよ」

「どうもしてないじゃないですか?現に私は、自らが望んで、こうなったんですから」

「いいえ。それは単なるアナタの思い込みに過ぎません。そう思わされたに過ぎないんですよ」

「ちょっと待って!!思い込まされたんなら、私が倉津真琴だったって証拠じゃないですか!!」


長く、無駄なだけの口論だったけど。

この人……とうとうボロが出しちゃったね。


私がXX眞子だと言うのなら『思い込まさせられる』事自体が矛盾。

逆に言えば、思い込まさせれられたと言うのなら、それ自体が私が倉津真琴だったと言う証拠に成りますからね。


なので、こんなおかしな話が成立する方が、どうかしてるんだよ。


今更、XX眞子が存在するなんて有り得ないから!!



「そうですよ。だって貴女事XX眞子は、徐々に倉津真琴を自分の中に取り込んで行き。あたかも倉津真琴が、そう思っている様に仕向けたんですから」

「なっ!!そっ……そんなの、行き当たりバッタリの出任せですよ!!作り話の出鱈目です!!」

「いいえ。これは出鱈目なんかではありませんよ。『体が欲しくて』『彼に拒絶されない方法』を考えるなら、この方法しかありませんからね。これこそが貴女の行った『倉津真琴との精神の融合』っと言う方法なのですから」

「『精神の融合』……そんなの無いですよ」


あぁ……



「そうです。『精神の融合』です。その上で、彼が気付かない内に、自然に体の主導権を奪ってしまえば。貴女はもぉ、自分が何者であるかすらも憶えていない内に、体の乗っ取りには成功出来る。それで居て貴女が、最も体を得てからしたかった『1つの目標』が、此処で達成出来るってモノですからね」

「私の……1つの目標……」

「そう。貴女は、倉津真琴の中にあって、常に仲居間崇秀さんと結ばれる事を望んでいた」

「あっ……そっ、それは……」


確かに、これも一理ある話だ。

元男であった筈の私が、あそこまで崇秀好きに成るのは、自分でも少し変だと思っていたから……有り得なくはない話。


って言う事は、私は本当に……



「良いですか?アナタはXX染色体と言う体の一部で有りながら、倉津真琴が生まれた時点から意思を持ち、倉津真琴の中に存在し続けた。何故なら、彼の体は『半陰陽』と言う特別な体に生まれた為、男としての意思『倉津真琴』と、女としての『XX眞子』と言う奇妙な関係が1つの体の中に存在していたからです。……だがアナタは生まれて直ぐに、その存在自体を否定され。体の奥底に封印されてしまい、その自分の意思を表に出す事は出来なかった。……此処までは良いですか?」

「あっ……」


でも……そんな奇妙な事が本当に有り得るの?


話の辻褄自身は合ってるかもしれないけど。

本当に、そんな事が、この世で起こり得る事象なの?


私は崇秀みたいに頭が良くないから、こんな風に具体例を挙げられても、まだどこか疑ってしまう。



「……だが、そんな人生しか送れない筈の貴女にも、思いも拠らない転機が訪れる。此処で貴女にとって、事態が好転する訳ですね」

「まさか、それが……」

「そう……倉津真琴の体が急変し、女に成ってしまうと言う、貴女にとっては好都合なハプニングが起こる訳です」

「けど……」

「まぁ、この時点から、貴女の意思は表面化する事になる訳ですが。その時の貴女には、既に、倉津真琴が長期間を一緒に過ごしてきた仲居間崇秀さんに対する『仄かな想い』を持ち合わせていた。……そして、それこそが貴女の最終目的。仲居間崇秀さんを、自分のモノにする為に『倉津真琴との融合を計った』と言う訳ですよ」

「……そんな事は決してないです。私は、自由な眞子が良いと思ったから、倉津真琴を捨てて、眞子を選んだに過ぎません」


やっぱり、XX眞子の意思なんて関係無い。

そんなの何所を探したって、最初からなにも無いって。


馬鹿な事を言うもんじゃないよ!!


そう虚勢を張りつつも、私の心は揺らいでいた。



「では、此処で再度質問をします。今までの経過を抜きにしたとしても。何故、貴女は、普通の友人であった仲居間崇秀さんに、そこまで固執するのですか?親切にして貰ったからと言って、自分の全てを彼に捧げるのには至らないと思いますが」

「そんな事ないですよ!!崇秀に優しくされたら、女の子なら、きっと、誰だってそう思う筈です!!」

「矢張り、そう思われていたのですね。なら、尚更じゃないですか」

「どうして?」

「貴女は、アリーナでの一件を憶えていますか?貴女は、それまで、仲居間崇秀さんの事を友人としか見て居なかったと言うのにも関わらず、態度が激変。そこまでは固執をしていなかった筈の貴女が、彼が眞子を受け入れる事によって、貴女は直ぐに彼を受け入れ様とした。此処で僕は疑問に思ったのですが。……貴女の『向井奈緒さんに対する想い』は、そんなに軽いものでしたか?……僕は違ったと思いますがね」

「そっ……それは……」


だって、そう言う気持ちに、自然になってしまったんだから……そこに理屈なんて関係ない。


……でも、そうは言っても、その理屈が成立しちゃったら、私がXX眞子で、真琴ちゃんの精神を奪っていったって言う法則にはなってしまう。

一般的に考えても、その男性に惚れると言う感覚は、女性でしか持ち合わせ得ない感覚だからね。


それだけでも、その可能性は格段に跳ね上がってしまう。


……って事は、これは私の意思であって、私の意思じゃ無かったって事?


今更そんなの……ないよ。



「その後も貴女は、向井奈緒さんが困る事や、彼女が不幸になる事に関しては、一切気にせずに我儘に振る舞い。それ処か、彼女と『密かに縁を切ろう』とまで画策した。それに反して仲居間崇秀さんに対する気持ちは、日に日に募るばかり。それに付け加えて貴女は、眞子と言う存在を世間にアピールし始め。ドンドンと自分が、最初から『眞子』であったかの様に振舞った。……そして最後には、とうとう『倉津真琴と言う存在を消そう』とまで画策し始めた。……これは、なかなか強かな手口だと思いませんか?」


本当だ……


今まで無意識に行ってきた行動を、此処まで指摘されたのでは納得せざるを得ない。

今度ばかりは、全ての辻褄があっていて、なにも言い返せない。


だったら私は、本当に存在せざる人格……XX眞子なの?

真琴ちゃんから狡猾に全てを奪った、とんでもなく卑怯な『略奪者』なの?



「私は、誰?……誰なの?私は、この世に存在しちゃいけなかった様な酷い存在なの?……」

「いいえ。なにか思い違いをされてる様なので、一応、此処で言って置きますが。今の貴女は、正真正銘の『向井眞子』と言う人格であって。もぉ既に以前の様な『XX眞子』ではありませんよ。その体の主導権は『向井眞子』さん、貴女だけのものなんですよ」

「えっ?……でも、この体は……あの……私のモノなんですか?」


本当ですか……


もぉ倉津真琴のモノではなくて……正真正銘、私1人だけのモノなんですか?


そう言う認識で良いんですか?



「そうですよ。僕が、貴女に言った言葉は『今までの貴女の正体を教えてあげていた』に過ぎません。ただ単に、それを自覚して頂きたかっただけに過ぎないんですから」

「あっ、あの……」

「心配しなくても。貴女の思うがまま、好きに生きれば良いと思いますよ。向井眞子としての人生を全うする事に、なにも遠慮は要りません」

「あの……じゃあ、なんで、あんな話を、わざわざ……」

「それに関しましては、先程も言いましたが『自覚』の問題です。此処まで貴女が明らかに主導権を握ってしまえば。今更、元がXX眞子であろうと、なかろうと、既に、その体の主人格。それにXYの染色体が無くなった今のこのXXの体では、女性意思である貴女が、主人格を尊重するのも至極当然の事。……これ自体は、極自然な事だと思いますよ」

「あっ……」


じゃ、じゃあ、私は、このまま生きても良いって事ですよね!!

誰に遠慮をする必要もないって事ですよね!!


『神様に認められた』って認識で、全然良いんですよね!!



「ですが、貴女が自由に生きるには、たった1つだけ問題が残っています。そこさえ解決して頂ければ。その体は、本当の意味で、貴女だけのものになるでしょうね」


此処に来て問題?

……っと言われても、今の時点で、もぉなにも問題なんて無いじゃないですか?


この体は、誰がどう言っても、もぉ私のもの。


向井眞子だけのモノなんですから。



でも……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


今の眞子の正体が『XX眞子』であったと言う証明をされてしまい。

完膚なきまでに納得させられてしまった眞子なのですが……果たしてこれは、真実なのでしょうか?


確かに、ある程度の辻褄は合っているのかもしれません。

特に『崇秀に惚れ込んでいたからこそ、奈緒さんに我儘を言い続けた事自体』は、変え様の無い事実ですしね。


ですが、何故、この医師の様な人物は、この様な眞子しか知り得ない事実を知っているのでしょうか?

あの時は、眞子しか存在しなかったが故に、眞子しか知らない情報。


なにか、おかしいですよね?


そして、そんな彼が次に言い放つであろう問題と言うのは、果たして、なんなのか?

次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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