最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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470 青山さんが語る、真上さんの奇妙な行動

公開日時: 2022年5月22日(日) 00:21
更新日時: 2023年1月4日(水) 05:56
文字数:2,047

●前回のおさらい●


 文化祭中、色々忙しくしていた倉津君は、ある1つの事をスッカリ忘れていた。

それは「真上さんがクラスの出し物を手伝いに来る」っと言った筈なのに姿を現さなかった事だ。


そんな折、第二音楽室に向かって歩いていた倉津君の前に、真上さんと一緒に遊んでいる筈の青山さん一行が現れるが、矢張りそこにも彼女の姿はなかった。


不審に思った倉津君が、その辺を青山さん達に尋ねてみると「昼前には真上さんと別れたので詳しくは解らない」っと言われた上に『彼女の悪い癖が出たのかも』っと言い出す。


その真相は「彼女は虚言癖の持ち主」との事。


これにより倉津君は青山さんに対して不信感を募らせるが、取り敢えず話を合わせる。

「そぅ。じゃあ、信じてくれるって言うなら話すけど。……倉津さん」

「うん?なんだよ?」

「さっき、此処の校庭で、岡田君に逢ったよね」

「岡田?……あぁ、アノなんか、如何にも爽やかそうな奴な。アイツが、どうしたんだよ?」

「うん、そう、その子。その子なんだけどね、実は……」

「あぁっと、因みにだが、刃傷事件の被害者だって話だったら、もぅとっくに知ってるぞ」

「あぁ、そうなんだ。じゃあ、もっと話が早いよ。実は、あの事件ってね。外部には漏れていない、別のソース(情報)があるのよ」

「別の情報?なんだよ、それ?」

「実はね。あの事件を起させた張本人って『真上本人』なのよ」


はぁ?


なんか真顔で言われてるんだけど、イキナリ、キナ臭い話になったな。


そりゃあな。

真上さんを奪い合って起こった事件だから、彼女自身が事件の張本人と言えば、張本人だがな。

この場合の彼女は、馬鹿な男2人の被害者であって、どうやっても加害者には成り得ないと思うんだがな。


なんで、そんな当たり前の話を、敢えて、此処で突きつけて来るんだろうか?



「まぁ、そりゃあよぉ。捉え方によっちゃあ、そう言う風にも捉えられるだろうが。明らかにアレって、恋愛絡みで男同士が刺し合った結果だったんじゃないのか?俺は、そう聞いてるぞ」

「それが、そうじゃないから、ワザワザこんな話をしてるの。あの事件。事の発端は、真上が何気に言った、たった1言の言葉が引き金に成ってるのよ。それが、全ての発端にも成ってるしね」

「はぁ?どういう事だ?それじゃあ全く話が見えないな」

「ごめん。話を端折り過ぎて、これじゃあ話が全然見えないよね」

「いや、そのままで構わねぇから、話を続けてくれ」


継続を促そう。


話に嘘が混じってる場合は、必ず、何所かで破綻してくる筈だからな。

もし、ツッコミを入れるタイミングがあるとすれば、恐らくは、そのタイミングだろう。


それまでは、大人しく彼女の言い分を聞いて置こう。



「あっ、うん。じゃあ、まず、その時に言った真上の1言から教えるね」

「あぁ、頼むな」

「うん。あの子ね、刺した元彼の事を、岡田君に、こう囁いたの。『付き纏われて迷惑してる』って」

「いや、それだと、ただ単に、事実を述べただけの事じゃないのか?」

「うぅん。それは違う。その元彼は、既にその時点で他に彼女が居たから、真上には、もう興味は示して無かったのよ。だから本来は、彼が真上に対して、迷惑を掛ける様な行為をする理由がないのよ」


いや……おかしいな。


一見すれば、辻褄が合ってるのかも知れないが。

これじゃあまるで、世間に流れている情報とアベコベじゃねぇか。


所謂、現状では、岡田って奴が刺されたって話なのに、元彼の奴が刺された様な話になってる。


なにがどうなって、こんな話になるんだ?



「ちょっと待て。それじゃあ、辻褄が合わねぇじゃねぇかよ」

「うぅん。これで合ってるの」

「なんでそうなる?」

「岡田君が、まるで真上の元彼が、自分を刺した様に仕向けたからだよ」

「はぁ?ちょっと待ってくれ。それに何の意味あがるってんだよ?そんなもん、ただイテェだけじゃねぇかよ」

「あぁっと、これじゃあ、また解り難いかな」

「なにがだよ?」


何の為に、岡田が元彼とやらにワザワザ刺されたフリをする必要があるんだ?

此処まで来ると、まったく理解出来ない行為をしてる様にしか見えないな。


それになにより、そこに至るまでの説明がない分、余計に混乱する一方だ。


もう少し建設的に説明出来ねぇもんかな?



「……えぇっと、まず、この件についての概要を話す前に、キッチリ理解して欲しいのは、刺された岡田君の家の事なのよ」

「家?つぅ事は、アイツの実家が、警察関係とか、そう言う類の話か?」

「うぅん、そうじゃなくてね。彼ん家ってね、実は、川崎じゃ、ちょっとした金持ちで有名な家庭なのよ」

「金持ちなぁ。……けどなんか、それだけじゃ、イマイチ、スッキリしない理由だな」

「そっか。じゃあ、それに付け加えて、学校じゃ生徒会役員を務めてる上に成績優秀で、先生や、生徒達にも人望も厚い、っと言ったら、何か感じない?」

「えっ?」

「それで序に言っちゃえば、岡田君を刺したとされる真上の元彼が、ちょっと馬鹿で不良がかってる子だって言ったら、更に話が見えてくるんじゃない?」

「オイ……まさか、それって」

「そぅ、そのまさか。仮に、この両者から『刺した』『刺してない』の話がでたとしたら、どっちを信じるって話」

「そりゃあ、その状況じゃあ、真面目な雰囲気の岡田を信じるのが一般的だろうな」

「そう言う事。真上は、そこまで計算して、この話を岡田君に持ち掛けたのよ」


なるほどなぁ、そういう話に成る訳かぁ。


けどまぁ、これもまた、一見すれば話を上手く構成してる様に見えるが、穴がない訳ではないし。

なんで、そんな展開になるのかが、全く謎のままだ。


真上さん自身が元彼に付き纏われていない以上、そんな馬鹿げた真似を、人に頼んでまでする必要が、どこにあるって言うんだよ?


話に身を任せたとしても、訳がわかんねぇぞ?


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


なんだか文化祭の最後になって、ややこしい話に成って来ているのですが。

倉津君自身が、今までの真上さんの態度から、どうにも彼女が虚言壁を持ってるとは思えず。

青山さんの意見を聞きながらも、それを否定するチャンスを窺っているみたいですね。


だが、真実は曲がらない。


果たして、本当の嘘吐きはどちらなのでしょうね?


……ってな感じで。

次回も「同級生殺傷事件」と『真上さんの虚言壁』についての青山さんなりの真相が語りながらも、その真実に迫って行こうと思いますので、良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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