●前回のおさらい●
昏睡してた眞子を一カ月もの間看病していた崇秀。
だが、それ自体は「真琴崇秀の変わらぬ友情の証」であり、崇秀にとっては極当たり前の事でしかなかった。
そんな崇秀を見て、眞子は……
「じゃあ、私から言いたい事を包み隠さず言うけど」
「おぅ、なんだよ?」
「……私さぁ、崇秀の事が好きだから『崇秀、私と付き合ってよ』」
どストレート!!
言うと決めたら、遠回しな言い回しなんてしない。
すべて真っ向から勝負するのが、私の恋愛観だしね。
「はっ、はい?……ちょ、オイオイ、急になに言ってんのオマエ?ってか、それ以前に、さっきの俺の話を聞いてなかったのか?」
「うん?ちゃんと聞いてたよ。だから今度は、ちゃんと私から、崇秀に正式な告白したんじゃない。だから『付き合ってよ』」
「オイオイ、あのなぁ眞子。なんで、ライブの最終日に大穴開けた奴に、そんなサービスまでしなきゃならないんだよ?今のオマエには、そんな価値は微塵もねぇ」
「そうだけどさぁ。そこは、まずは妥協して『付き合ってよ』……楽しいと思うよ」
「だから、ちょっと待てな。それ、なんの理屈も合ってないぞ、オマエ」
「恋愛は理屈を超えた所にあるもんだから『付き合ってよ』……理屈を越えた序に、親友も超越しちゃおうよ」
良いじゃん。
もぉ、この際だから私と付き合ってよ。
特に私みたいな危険人物は、自分の目の届く範囲に置いた方が、多分、崇秀も監視し易くて安心だよ。
……って言うかですね。
自分の気持ちもハッキリせずに、ゴチャゴチャ考えるの、もぉヤダ。
んで、結論から言えば、どうしても欲しいものは欲しいの!!
「眞子。なにがどうしたの急に?そんな聞き分けの無い我儘言っちゃダメでしょ」
「ヤです。……だから『奈緒ネェも、私と付き合って』」
「へっ?ちょ……アンタ、なに言ってるの?私達は、もぉそう言う関係じゃなくて。ただの姉妹なんだけど」
「そんなの、それこそ関係ないですよ。私は、奈緒ネェと、崇秀の事が大好きで堪らないんです。だから『2人共、私と付き合って』」
「眞子?……頭大丈夫?お医者さん呼ぼうか?言ってる事がおかしいよ。解ってる?」
「そんなの、ズッと前から大丈夫じゃないですよ。今更、なにを言ってんですか?……だから諦めて、そんな私と『付き合って下さい』」
付き合って!!
崇秀も欲しいけど、奈緒ネェも欲しいの!!
2人は、絶対の絶対に両方欲しいの!!
もぉ誰にも取られたくないの!!
「待て、待て」
「待たない!!付き合って!!絶対、絶対、付き合って!!」
「だから、なんでそうなるんだよ?」
「だって、おかしいじゃない!!こうなったのは、元々崇秀のせいなのにさぁ。こんな有様になって、一回、奈緒ネェと別れる事になったんだよ。それを自分は『戻す研究をしてる』からって、それでチャラ?……冗談じゃないよ。こんなにさぁ、好きにさせといて『好きだよ』って言ったら『価値が無い』とか言うのはおかしくない?責任を取って、私を自由に生きさせるって言うなら。ちゃんと心から付き合ってよ。義務じゃなくて」
「オイオイ、確かによぉ。そりゃあ、俺のせいかも知れないけどよぉ。オマエ、本気で俺なんかと付き合いたい訳?俺だぞ俺?」
「うんうん♪100%崇秀が良いの♪崇秀以外の男なんて全員ダメ~~~。論外。イラナイ。恋愛では、絶対干渉しないで欲しい。ポイですよポイ」
「うぐっ……突然、なにを悟って、こんな事を言ってんだ、コイツ?」
なんも悟ってないっての!!
もし、なにかを悟ってたら、そんな物欲しい事ばっかり言わないよ!!
だから、なにも悟ってない!!
寧ろ、ただの『物欲の塊みたいな女』なだけです。
「ちょっと眞子。なにがあったか知らないけど。本当に、ちょっと落ち着いて。冷静になりなさい」
「あぁ、全然、冷静なんですよ。因みに奈緒ネェも、崇秀と同じ位に大好きなんですよね。だから、以前同様、私のものになって下さい」
「えっ?だから、そこが冷静じゃないって言ってるの。ちょっとは落ち着いてって」
「ヤダ。私ね、奈緒ネェ。もぉ今の話し方や、容姿や、性別については、これはどうにもならないけど。奈緒ネェの事が、本当に大好きなの。だから奈緒ネェとも、またHとかもしたいって思ってる。もぉ、良い子ぶって我慢するのなんて嫌なんですよ」
「オイオイ、それじゃあ、完全に、オマエの二股掛けてる状態じゃねぇかよ」
「違うもん。眞子が、一番好きなのは崇秀でしょ。私の中の真琴ちゃんが、一番好きなのは奈緒ネェ。だから、なにも二股じゃないよ。偶々『体が1つだけだった』って言うだけの事じゃない」
だって、2つの心があるんだから、二股じゃないもん。
体は1つでも、個々に好きな人が居るんだから、こう言う対応になっても、おかしくないと思うんだけどなぁ。
これは、きっと、しょうがない事なんじゃないのかなぁ?
少し考えたら、こう言うのって解りそうなもんなんだけどなぁ。
「なんちゅう、自分勝手な屁理屈を捏ねるんだよ」
「屁理屈なんかじゃないよ。私ね。よく解ったんだけど。無理に、眞子1人に成る必要なんかなかったんだよ。私は、倉津真琴であり、向井眞子であっても良かったんだよ。そんな『2つの心が1つになった存在』が、私だったんだよ。だから、もぉ倉津真琴も、向井眞子も、永遠に、この世から消えてなくならなくて良いの。……解った?」
私ね。
倉津真琴の影から一生懸命逃げる事に重点を置い生きていたけど、それ自体が根本的に間違いだったんだよ。
『倉津家の看板』なんて言う、誰も欲しがらない様な『要らない物』だけを外しちゃえば。
向井眞子であっても、倉津真琴であっても、それはもぉ別にドッチだも良かったんだよね。
……たださぁ。
どうしても見た目が女の子だから、これからも便宜上『女の子の性格』で『女の子の喋り方』はするけど。
心だけは、どちらも持っていて良いと思う。
そう思える様になった切欠は……『夢』か、何か解らない様な自分の海馬との脳内会議での事。
正確には、真琴ちゃんが、私に『体を返せ』って迫って来た時に時、そう思えた。
本当は、それさえも自分自身なのに、あの真琴ちゃんからは、奈緒ネェに対する『一生懸命な気持ち』が直接的に伝わってきた。
それと同時に、私と言う存在が『大好きな崇秀』には、これに負けない位の気持ちを持とうと思った。
……っで、結論的な話を言えば。
それなら、この真琴ちゃんの無念も、全て受け入れれば良いと思ったんだよね。
それらも全部ひっくるめて『私と言う存在』なんだと認識したのね。
だからこそ、こう言う無茶な提案をしたんだよね。
私だって……絶対に、崇秀は諦められないからね。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
夢か、幻覚かは解らない脳内会議。
その中で眞子が見付けた回答は、向井眞子と倉津真琴っと言う2つの心を持ったまま生きても問題ないと言うものだった。
それ故に、崇秀と奈緒さんを自分の恋人にしようと言う発想が産まれた訳なのですが。
果たして、これは受け入れられる様な事なのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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