最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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074 不良さん 崇秀の思考に困惑する

公開日時: 2021年4月20日(火) 19:01
更新日時: 2022年11月13日(日) 21:46
文字数:3,790

●前回のおさらい●


 色々な質問を崇秀にぶつけて、その回答を聞き終えた倉津君。


そんな倉津君に、今度は崇秀が『約束通り、1つ絶対に答えると言った』質問をぶつけてくる。


さて崇秀は、どんな質問をぶつけてくるのでしょうね?(笑)

「向井さんってよぉ。……H上手いのか?」

「ブッ!!」


質問が今日の事って言ったから、てっきりベースの云々かんぬんの聞いてくるのかと思えば。

なんで、そこで奈緒さんの名前が出て来るんだよ?

しかもそれだけに留まらず、聞いてきた質問が『Hが上手いか?』だと……


オマエって、マジ最悪だな。



「噴いてないで、さっさと答えろよ」

「んで、そんなプライベートな事を、オマエに答えにゃならんのだ」

「オマエが、俺になんでも答えるって言ったからだが」

「オマエねぇ……それ、今日の事と関係ないだろ」

「そうか?オマエには関係なくても、俺に関係有ったら、関係有るんじゃないのか?」

「そんなもんは詭弁だ」

「詭弁だろうがなんだろうが答えろよ……約束破んのかよ」

「破る。破棄だ破棄」


そんな糞みたいな約束は破るに決まってんだろうが。

なんで、そんなプライベートな事を、イチイチお前に報告せにゃならんのだ。


それに第一、奈緒さんとはHなんぞやってねぇし。


上手いかどうかなんて、わかる訳ないだろがぁ。



「って事はやったんだ」

「やってねぇし」

「クラ……ヘタレ」

「ちょ!!そこで奈緒さんの真似すんな!!」


うぜぇ~~~。

それとその絶妙なタイミングで、妙に上手い奈緒さんの物真似は辞めろ。


本当に、そう言う事を言いそうなんだよ、あの人は……



「クラ……ホントになにもしてないの?ヘタレ」

「確認でワザワザ2回も真似すんな!!オマエ、ウザイにも程が有るぞ」

「そっか、そっか、じゃあ倉津は、未だに童貞のままか。……折角よっ、オマエの初体験の話で盛り上がろうと思ったのによぉ。この真性のヘタレが」

「オマエねぇ。山中にも言ったんだがな。恋愛は肉体関係だけで成り立つもんじゃ無いんだぞ。たまにはオマエも『純愛』ってもんをしてみたらどうだなんだよ?」

「うわっ、純愛とか言い出しやがったよ。コイツ、なに言ってんだ?マジでキモッ」

「オマエ……ほんとに、あの世に行け!!んで、絶対に帰って来んな」

「それって天国か?」

「地獄だ」


なにサラッと厚かましい事を言ってやがるんだ。

オマエみたいなロクデナシが天国に行けるんなら、余裕でウチの糞親父でも組員を全員引き連れて天国に行けるわ。


良いかボンクラ?

天国に行って良いのは、奈緒さんと、俺と、後は、純愛出来る人間だけと決まってるんだ。

オマエや、山中の様な『糞で下衆な野郎共』は、一番キツイ地獄にでも落ちて、鬼共とSMプレイでもしてろ。


じゃねぇと天国がテメェ等の精液で穢れるし。

ソイツ等の下衆な精子で子供が出来でもしたら、天国が人員オーバーでパンクしちまうわ。


だからオマエは、さっさと荷物を纏めて地獄に帰れ。


この地獄からの使者め!!



「鬼の居るところか……だったら、ラムちゃん居るか?」


今度は『鬼娘』の話か?


オマエの性欲は、一体どうなってんだよ……無限か?



「居ねぇよ。ウチの組に居るパンチパーマのヤクザのオッサンに、角が生えた感じの奴しか居ねぇ。しかも、腰蓑一丁でだ」

「色気ねぇな……じゃあ断る」

「行け」

「いやだ」


わからねぇ野郎だな……大人しく地獄に行けつぅ~の。



「遠慮せずに行って来い」

「あぁそうだ、そうだ。そう言やぁスッカリ忘れてたけど、オマエ、少しはベース弾ける様になったのか?」

「はぁ?」


オマエねぇ。

人が『地獄行きの話』で乗ってきた所なのに、なんで急にベースの話に転換する訳?


しかも、俺の話は、完全スルーの方向か?


もぉコイツだけは、マジで死ねば良いのに。



「あぁ?ベースならソコソコ弾ける様には成ったな」

「ほぉ」

「オイ、コラ、今度は、なに企んでやがる?」

「オマエが吐いた言葉の心理・真・理」

「本気でウザイな、オマエ。人の心理を勝手読んでんじゃねぇよ!!」

「読むんじゃねぇよ。こう言うの感じるんだよ。……そう言うのが、良い曲を書くコツなんだからよ」

「はぁ?急に、なに言ってんだオマエ?」


この期に及んで、またややこしい事を言い出した。


あのなぁ馬鹿秀、俺は別にバンドを……


あぁやるんだった。

なら、なんかバンドに役立ちそうだし、一応、この話は聞いといてやるか。


内容は、全然見えねぇけどな。



「だからよぉ。例えば、オマエの今の心理を曲にするなら、こんな感じだ」


そう言った後。

イキナリ近くに置いてあった誰のとも判らないギターを手にとって、崇秀は即興で曲を弾き始めた。


そして歌詞は、恒例の英語だ。



----♪--♪---♪--♪---♪--♪---♪♪-♪♪--------♪--♪--♪----♪----……


うわ~~~っ……、なんとも言えない感じの曲だな。


まぁ、演奏が上手いのは当然の事なんだがな。

この曲、なんだか自分の気持ちが丸裸にされてる様な気分になりやがる。


そう思える程、完全に俺の心理が曲に投影されている。


曲の主人公は、まだ駆け出しのミュージシャンの様で、あまり上手く楽器が弾けず。

ひたすら練習を繰り返し、1つまた1つと音を探っていく。


まぁそうは言っても。

俺自身は音を拾うと言う行為を、あまりしていなかったのだが、ただ弾けた時の喜びだけは伝わってくる。


その上で、この主人公って言うのが、なにやら恋愛をしている様な雰囲気もあり。

恐らくコイツは、彼女に曲をプレゼントしようと考えているのだろう。


曲調から、そう言った事も伝わる。


そんな、なんとも切ねぇが良い曲だな。


だが、その分、崇秀に対しては嫌悪感を感じる。


やっぱり、オマエは、さっさと死ね。



「どうだよ?結構、今のオマエっぽい曲だろ」

「オマエって、ほんと、心底嫌な性格してるよな」

「かもな。……けどよぉ。これが、心理効果って奴だ。今のオマエは、俺がツレだから、からかわれてるって感覚が先行して、俺に対する嫌悪感しか生まないだろうが。他の奴が聞けば、過去がそう言った経験が有れば有るほど『曲から共感』を得られる。更に、弾き手が有名な奴なら、尚更だ。……解るか?」

「あぁ、まぁ言ってる意味は解るが。んなもん簡単に出来ねぇだろ。それに俺はオマエみたいにコジャレタ歌詞なんざ思いつかねぇよ」


曲作りで苦労しているミュージシャンは沢山居る。


コイツの言う事が正しいなら、音楽で飯を喰ってるプロのミュージシャンが、そんなに困って居る訳が無い。


俺にとって、コイツの言ってる事は理想論でしかない。



「あのなぁ、オマエ、作曲や作詞を難しく考えすぎなんだよ。物事はストレートに伝えた方が伝わり易いんだよ」

「けどよぉ、逆にストレートに言っちまったら曲全体が野暮ったくなんねぇか?」

「だからよっ、そこで英語を使うんだよ」

「英語だと?」

「あぁ。日本語だと表現が多過ぎるから、やや曲が重たくなったりして野暮ったくなる場合が多くなっちまうんだがな。そこを英語にしちまえば、決められた文法に当て嵌めるだけ。……何も格好良いとか、そんなショウモナイ理由で、俺は英語を使ってる訳じゃない。シンプルに曲として成立させる為に使ってんだよ」


あぁ、確かに言われてみれば、そう言う理屈は当て嵌まるのかも知れないな。

まぁそうは言っても『スラング』なんてものがあるから一概には言い切れないんだが。

それでも英語は、常にシンプルに形成されている。


その逆に日本語は、上手く使って表現する事が出来れば、英語以上に良い曲が書けるだろうが。

表現を上手く噛み合わせるだけでも、かなりの時間が掛かるし、至難の業だ。


ならコイツの言っている事は、間違ってないって事か?



「だったら曲は、どうやって作るんだよ?」

「ソイツは音合わせだ」

「音合わせだと?」

「あぁ、そうだ。だって考えても見ろよ」

「なにをだよ?」

「今までにHITした曲は数千・数万と譜面に書かれてるんだぞ。そこで使われてる音には、ある一定のパターンって言うのが存在する。勿論、それに付随する音階も存在する。なら、それ等の音を頭の中で整理すりゃ、曲なんぞ自ずと書けちまうだろうに。……まぁ、そんな単純な話だな」


出来るかぁ!!


オマエの脳味噌は、一体どんな作りをしてやがるんだよ?

さぞかし細かい皺が沢山有り過ぎて、なにやら訳の解らんモノが詰まってるんだろうな。


けど、一般人には、そう言う事は出来ねぇの。

特に俺みたいなツルッツルッの河豚味噌には不可能なの。


オマエ、自分が出来るからって、誰でも同じ事が出来ると思うなよ。



「死ね。……ラムちゃん付けてやるから、故郷の地獄に帰れ」

「ふむ、ラムちゃん付きなら悪くないな」

「但しフィギュアな」

「断る」

「俺が自作してやるから、行って来い」

「あぁなら、1つ代案だ」

「んだよ」


絶対に、また変な事を思いついたな。



「地獄に行ってやっても良いが、その代わりオマエと向井さんで、先に地獄の下見して来い」

「奈緒さんと下見に行けだと?……あぁ、なら、下見ぐらい行って来てやるよ」

「但し、地獄に行くのは向井さん本人じゃなく。海洋堂製で、ボーメ氏がフルスクラッチしたフィギュアな」

「うっく……ボーメ氏か……なんとも言えない様な、物欲が沸く所ではあるが。惜しいが断る」

「なら、この話は、ご破算だな」


まさかのバージョン・アップ版鸚鵡返し。

そして、その商品は、オタクなら必ずそそる商品チョイス。


因みにだが、ボーメ氏と言うのは、海洋堂の看板造型師。

そんな有名な造形師が作った奈緒さんのフィギュア、考えただけでもオタクの俺がそそらない訳が無い。


つか、なんでコイツ、こんな事まで知ってんだよ?


謎過ぎんぞオマエ。


最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>


次々に繰り出されてくる謎な崇秀の思考。

そして気が付けば、いつも通り丸め込まれてる倉津君(笑)


そんな中、ボーメ氏と言う有名造形師の名前が出てきて。

『何故そんな人物の名前まで知っているのか?』不思議に思った倉津君は、それについて質問をした。


次回、一体どんな回答が返って来るのか?こうご期待(笑)


良かったら、また遊びに来て下さいねぇ(*'ω'*)ノ


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