最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
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第四十八話 魔王のライブ

282 不良さん、ライブに登場する崇秀に、最初から呆気にとられる

公開日時: 2021年11月15日(月) 00:21
更新日時: 2022年12月17日(土) 15:47
文字数:2,135

第四十八話【魔王のライブ】が始めるよぉ~~~(*'ω'*)ノ

 048【魔王のライブ】


 俺個人だけが多くの不安を抱えたまま、ライブでの崇秀の出番が来た。


奴は、観客の熱気から、それを感じ取ると。

直ぐに俺との話を中断して、後ろ手に手を振りながら、俺の前から去って行き。


なんの緊張感もないまま、悠々とステージに向って行く。



すると……



「「「「「わぁあぁぁぁぁぁぁ~~~~!!」」」」」

「「「「「仲居間さ~~ん!!」」」」」


そぉ……ただ崇秀がステージに入場して行っただけにも拘らず、今、聞こえた様な盛大な歓声が巻き起こり。

更に、奴の姿を確認した観客のボルテージが加速していく。


会場全体が、一気にヒートアップした感じだ。


しかもまだ、名前すらもコールされていない状態なのに、観客からは更なる狂った様な『仲居間』コールが巻き起こっている。


奴は、それに応える様に手を上げた。

その姿は堂に入ったもので、まるでベテランの大物ミュージシャンの様だ。


これ等からもわかる様に。

ライブの最初にPLAYした『Baby×Killer』

二組目の『手刀(しゅとう)』

三組目の『Tax・Drive』

四組目の『THE PINK CDRAL』

……とは、観客の反応や、人気が段違いなのが一見にして解る。

それらがハッキリと解る程、声を上げる観客の反応に明暗が分かれている。


兎に角、観客が、奴に寄せる期待感が尋常じゃない。


勿論……先に言ったバンドの奴等が下手糞な演奏をした訳ではない。

彼等は残り物とは言え『GUILD』と言う厳選された人間だけに所属が許された機関に所属している身。

『超絶』とまではいかないにしても、楽器を操るのには秀でた人間だ。


なので彼等の出来栄えは、決して、そこら辺のライブで行なわれている様な粗悪なものではなかった。


決して悪くはなかったんだ。


ただ……これが世に言う『格の違い』って奴なんだろうか?

片や、必死に演奏しても出来なかった観客の盛り上がりを、奴は入場するだけで、いとも容易くやり遂げた。


それに、現状を見てわかる事なんだが、もぉこの時点で、奴と観客の一体感やシンクロ率がハンパじゃない。

『最早、この場で、ステージ以外の景色を見ている人間なんか、誰も居ないんじゃないか?』

……っと、暗に思わせる程の盛り上がりと、集中の仕方だ。


そんな奴の姿を見て、俺の脳裏にはある言葉が過ぎった。


『カリスマ性』って言葉だ。


本来『カリスマ性』とは、選ばれた人間だけが、生まれ持った幸運な素質の事を言うのだが。

奴は、何所で、どう手に入れたのかは知らないが……どうやら、この奴のカリスマ性と言うのは、生まれ持ったものではなく、それすらも『後付け技能で身に着け』所持しているらしい。


まさに悪魔的な……いや……人を魅了して止まない魔王のカリスマ性だ。


そんな中、奴はギターを天に向けて掲げ、なにやら言葉を発する様子だ。


なにを言う気だ?


一体、奴は、どんなパフォーマンスを見せてくれるんだ?


―――いつの間にか俺自身も、観客同様、奴に期待を膨らませる。



「うぃ~~しゅ、おっかれぇ~~~。俺で~す」


ぶっ!!


オイオイオイオイ、この盛り上がった観客の対しての挨拶が、それかよ!!

つぅか、なんなんだよ、その軽い挨拶は!!


なんで、この現状を目の前にして、そんな軽い挨拶で済ませられるんだ?


アイツの心臓は、一体、どう言う構造で成り立ってやがんだよ?

普通、こんな盛り上がった状況下では、あんな気の抜けた挨拶が出来たもんじゃねぇぞ。


これだけ盛り上がってるなら、もっとこぅその盛り上がりに身を任せて、ド派手な挨拶をかます所じゃねぇのか?


流石、生粋のキチガイだ。

普通の人間なら通ってる筈の『緊張する』って神経が、この魔王にはマジで通ってないらしいな。


思考が、どうにかなってるとしか思えん!!



けどな……こう思ってるのって、何も、俺1人に限った事じゃねぇんだぞ。

現に此処に居る観客が全員、この崇秀の間抜けな挨拶に反応しきれず、会場全体がフリーズ。


完全に静まり返ってやがる。


そうすんだよ、これ?


しかしまぁ、なんだな。

折角、盛り上がった観客の熱気をワザワザ消しちまうなんて、正気の沙汰じゃねぇな。


マジで、コイツの行動だけは訳わかんねぇよ!!



「んあ?なんだよ、なんだよ?折角、挨拶してやったのに、やけに静かになっちまったもんだな」


いや、それ、オマエの責任だからな!!



「……まっ、良いッか。んじゃま、軽く一曲目の『Inagawa』でも弾いてみっかね」


♪--------♪♪--------♪--------♪♪---------♪--♪-♪-♪----♪---♪--♪-♪--……


奴は、この状況を作ったのが自分だと全く理解出来なかったのか、後ろ髪を弄りながらながら観客席を見回す。


その後は……まるで何も無かったかの様な感じで、静まり返った観客を無視。

その上、自分勝手な解釈をしたまま、曲まで奏で始めやがったよ。


オイオイ……まさか、この状況を見ても、アイツは、なにも動じないって言うのか?

奴は、本当に何も感じなかったって言うのか?


もしそうなら、恐ろしい程、マイペースな奴だなオイ!!



……にしてもだな。

なんなんだ、その『Inagawa』って、ヘンテコな曲名?


一体、なんの曲だよ?


タイトルだけじゃあ、全然、想像もつかねぇ様な題名だなオイ!!


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


さぁ始まりましたよ……ライブに、自分勝手な魔王の登場です(笑)


しかも、早速やらかしまくってますね。


まぁまぁ、こんなものは、まだまだ序の口。

此処から崇秀ならではの、とんでもない事を仕出かし捲りますので、少しだけご期待ください。


私の小説なので『過度の期待はダメですよ(笑)』



まぁ、そんな感じなのですが。

少しでも気に成ったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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