●前回のおさらい●
奈緒さんとの2人だけの夕食を邪魔されたくない倉津君。
なので、山中君が付いて来るのを、なんとしても阻止しようとして……少し上手く行き始めた頃。
山中君は、倉津君の最近の行動を逆手に取って話を切り返して来た。
「なっ、なんの話かな山中君?俺には、全く身に憶えのない話なんだがな」
「そないに謙遜せんでもえぇやんけ。噂通りやったら、大先生に相談したら『100%解決』するらしいやないか」
「いやいやいやいや」
「ほんだら、ここは1つ。俺も大先生に、ご教授願おか。……その恋愛観とやらをな」
グッ!!こうもアッサリ逆転されるとはな。
いやいやいやいや、そうじゃない、そうじゃない。
元より俺は、なんも悪い事なんてしてねぇ。
寧ろ、それ処か、女子達の相談に乗って、微妙に役立ってる筈。
だから、そこから冷静に考えりゃ、これは、なにも逆転されてねぇし。
故に此処は、強攻策を敢行する為にも、強気に行くべきだな。
弱気になったら、山中が増長するだけだろうしな。
「断る。俺は、女子からの相談専門なんだよ。しかも予約制。だから、オマエの相談には一切乗らねぇ」
「ほぉ~ほぉ~そう来るか。ほんだら、俺は、別の大先生に相談するしかないわな」
「そう言うこった。俺は、なにが有っても、絶対に、オマエのカウンセリングなんかしねぇからな」
「えぇねんな?最終確認で聞くけど、ホンマにえぇねんな?」
「勝手にしろ、勝手にしろ。崇秀なり、ゼンなりの色情魔にでも相談してくれ。性欲処理の話なら、アイツ等で十分だろ」
「おぅ、わかった。ほんだら俺は、早速、向井大先生に相談しよ~~~~」
「へっ?なっ、なんで奈緒さん」
「そんなもん決まっとるやないか。奈緒ちゃんやったら恋愛経験豊富やし、どっかの誰かさんみたいに意地の悪い事は言わへん。そんな彼女に、早速、今日相談やぁ~~~」
「があぁ!!」
嵌められた!!
コイツ、そこまでして『奈緒飯』(←使ってる)が喰いたいのか?
食欲、及び性欲魔人って、オマエって、どこまでも最悪の組み合わせだな。
せめて、ドッチかの欲望を制御しろよな。
『上星川~~~上星川~~~。次の停車駅は西谷でございます~~~』
ぎゃあああぁあぁぁ~~!!
気付かぬ間に、横浜から相鉄線に乗り継いで、奈緒さんの最寄の駅に着いちまった。
結局、この馬鹿を振り切れずに、此処まで付いて来させちまったよ。
なら、こうなったらしょうがねぇ。
少々強引だが、最後の手段だ!!
『クワッ!!( ゚Д゚)』
……もぉ諦めよ。
此処で下手に抵抗した所で、もぉどうにもならねぇし、それが今出来る最良の策ってもんだろう。
それに、よくよく考えたらだな。
山中が奈緒さんの家に来るって事実は、そんなに悪くないんだよな。
だってよ、こんなに時間が遅くなっても、山中が一緒に居りゃあ、奈緒さんも、早々には怒れまいて。
要するに『すみません、奈緒さん。地元で山中に逢っちまいました大作戦』だ。
セコイ方法かもしれないけど、一応はこう言うのも有りだろ有り。
それに何より、コイツ……ドラマーだしな。
つぅ事で……
「あぁもぉ、わかったよ。一つだけ質問を聞いてくれりゃあ。オマエの言う『奈緒飯』を食わしてやるよ」
「最初から、素直に、そう言えちゅうねん。……ッで、質問ってなんやねん?」
「あのよぉ、突然で悪いんだが。ド素人のドラムって、どうやって育てんだ?」
「・・・・・・」
イキナリの質問で、内容が難し過ぎたか?
山中の野郎、なにも言わず沈黙してやがるよ。
「おい、オマエ、ちゃんと聞いてるか?」
「おぉ、オマエに言われた通り、ちゃんと聞いとったで」
「じゃあ、なんで、なにも解答しねぇんだよ?」
「いや、オマエのお望み通りやな、質問は、ちゃんと聞いたったやんけ。それで終了なんちゃうか」
「ちょ……オマッ」
「約束は果たしたで。ほな、お先ぃ行くでぇ~~~。奈緒ちゃ~ん、腹減った。奈緒飯食わしてくれぇ~~~」
山中は改札をダッシュで抜けて、奈緒さんの家に向かって、ひた走って行く。
俺は一人取り残されて……一言。
「なんだこれ?」
ホント、なんだこれ?
まっ、まぁ良いや。
取り敢えず、飯を喰った後に、もう1回、あの馬鹿に問い質してやる。
そうすりゃ、腹も膨れて、嫌を無しに話すだろ。
多分……
***
えぇ……では、現状を簡潔に説明しまっさ。
あの後だな。
勢い良くダッシュで、奈緒さんの家に向った山中なんだが……
あの馬鹿は、例の部屋が、バーとしてオープンしてる事を露知らず『奈緒ちゃん、俺にも飯食わしてくれ』って大声を出しながら、店に突入。
イキナリおかしな事を言う闖入者に、当然、店の中は一時期騒然となる。
そんで、その隙に、裏口から奈緒さんの部屋に入って行った俺は、奈緒さんに状況を説明。
そうしたら彼女はケタケタと笑うだけで、山中を助けに行く気配は一切ない。
ただ俺に……『ぷっ!!……カズって、ホント馬鹿なんだね。ぷっ、くっくっくっ……まぁ良いや。3人分のご飯作ってくるね』と、それだけを言い残して、笑いながら台所に消えていった。
矢張り、助ける気は無いらしい。
その頃、店の中では、山中を知っていた人間が居たらしく、奴はモミクチャにされていた。
……そして30分後。
料理が出来上がった頃に奈緒さんは、バーのマスターであるヤッキに電話をして、山中を、一旦、店から放出させた。
そこをすかさず、裏口から自室に招き入れて、今現在に至る。
今までの経過は、そんな感じだ。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
結局、山中君が、奈緒さんの家まで付いて来る事に成ってしまいましたが。
山中君はドラマーなので。
倉津君の懸念している『グチ君のドラムの演奏技術の向上』には一役買って貰えるかもしれませんね。
まぁ奈緒さんも、基本的にはドラマーなので、そこまでの必要性は無いのかも知れませんが。
現状で、色んなドラマーの意見を聞けるのは、ある意味、良い環境なのかもしれませんね(笑)
さてさて、そんな感じで次回は。
その辺りに焦点を絞って、お話を書いて行きたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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