最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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351 そう言えば山中ってドラマーだったな

公開日時: 2022年1月23日(日) 00:21
更新日時: 2022年12月24日(土) 14:49
文字数:2,092

●前回のおさらい●


 奈緒さんとの2人だけの夕食を邪魔されたくない倉津君。

なので、山中君が付いて来るのを、なんとしても阻止しようとして……少し上手く行き始めた頃。


山中君は、倉津君の最近の行動を逆手に取って話を切り返して来た。

「なっ、なんの話かな山中君?俺には、全く身に憶えのない話なんだがな」

「そないに謙遜せんでもえぇやんけ。噂通りやったら、大先生に相談したら『100%解決』するらしいやないか」

「いやいやいやいや」

「ほんだら、ここは1つ。俺も大先生に、ご教授願おか。……その恋愛観とやらをな」


グッ!!こうもアッサリ逆転されるとはな。


いやいやいやいや、そうじゃない、そうじゃない。

元より俺は、なんも悪い事なんてしてねぇ。

寧ろ、それ処か、女子達の相談に乗って、微妙に役立ってる筈。


だから、そこから冷静に考えりゃ、これは、なにも逆転されてねぇし。


故に此処は、強攻策を敢行する為にも、強気に行くべきだな。

弱気になったら、山中が増長するだけだろうしな。



「断る。俺は、女子からの相談専門なんだよ。しかも予約制。だから、オマエの相談には一切乗らねぇ」

「ほぉ~ほぉ~そう来るか。ほんだら、俺は、別の大先生に相談するしかないわな」

「そう言うこった。俺は、なにが有っても、絶対に、オマエのカウンセリングなんかしねぇからな」

「えぇねんな?最終確認で聞くけど、ホンマにえぇねんな?」

「勝手にしろ、勝手にしろ。崇秀なり、ゼンなりの色情魔にでも相談してくれ。性欲処理の話なら、アイツ等で十分だろ」

「おぅ、わかった。ほんだら俺は、早速、向井大先生に相談しよ~~~~」

「へっ?なっ、なんで奈緒さん」

「そんなもん決まっとるやないか。奈緒ちゃんやったら恋愛経験豊富やし、どっかの誰かさんみたいに意地の悪い事は言わへん。そんな彼女に、早速、今日相談やぁ~~~」

「があぁ!!」


嵌められた!!

コイツ、そこまでして『奈緒飯』(←使ってる)が喰いたいのか?


食欲、及び性欲魔人って、オマエって、どこまでも最悪の組み合わせだな。

せめて、ドッチかの欲望を制御しろよな。



『上星川~~~上星川~~~。次の停車駅は西谷でございます~~~』


ぎゃあああぁあぁぁ~~!!

気付かぬ間に、横浜から相鉄線に乗り継いで、奈緒さんの最寄の駅に着いちまった。


結局、この馬鹿を振り切れずに、此処まで付いて来させちまったよ。


なら、こうなったらしょうがねぇ。


少々強引だが、最後の手段だ!!


『クワッ!!( ゚Д゚)』


……もぉ諦めよ。

此処で下手に抵抗した所で、もぉどうにもならねぇし、それが今出来る最良の策ってもんだろう。


それに、よくよく考えたらだな。

山中が奈緒さんの家に来るって事実は、そんなに悪くないんだよな。


だってよ、こんなに時間が遅くなっても、山中が一緒に居りゃあ、奈緒さんも、早々には怒れまいて。


要するに『すみません、奈緒さん。地元で山中に逢っちまいました大作戦』だ。

セコイ方法かもしれないけど、一応はこう言うのも有りだろ有り。


それに何より、コイツ……ドラマーだしな。


つぅ事で……



「あぁもぉ、わかったよ。一つだけ質問を聞いてくれりゃあ。オマエの言う『奈緒飯』を食わしてやるよ」

「最初から、素直に、そう言えちゅうねん。……ッで、質問ってなんやねん?」

「あのよぉ、突然で悪いんだが。ド素人のドラムって、どうやって育てんだ?」

「・・・・・・」


イキナリの質問で、内容が難し過ぎたか?


山中の野郎、なにも言わず沈黙してやがるよ。



「おい、オマエ、ちゃんと聞いてるか?」

「おぉ、オマエに言われた通り、ちゃんと聞いとったで」

「じゃあ、なんで、なにも解答しねぇんだよ?」

「いや、オマエのお望み通りやな、質問は、ちゃんと聞いたったやんけ。それで終了なんちゃうか」

「ちょ……オマッ」

「約束は果たしたで。ほな、お先ぃ行くでぇ~~~。奈緒ちゃ~ん、腹減った。奈緒飯食わしてくれぇ~~~」


山中は改札をダッシュで抜けて、奈緒さんの家に向かって、ひた走って行く。


俺は一人取り残されて……一言。



「なんだこれ?」


ホント、なんだこれ?


まっ、まぁ良いや。

取り敢えず、飯を喰った後に、もう1回、あの馬鹿に問い質してやる。


そうすりゃ、腹も膨れて、嫌を無しに話すだろ。


多分……


***


 えぇ……では、現状を簡潔に説明しまっさ。


あの後だな。

勢い良くダッシュで、奈緒さんの家に向った山中なんだが……


あの馬鹿は、例の部屋が、バーとしてオープンしてる事を露知らず『奈緒ちゃん、俺にも飯食わしてくれ』って大声を出しながら、店に突入。


イキナリおかしな事を言う闖入者に、当然、店の中は一時期騒然となる。


そんで、その隙に、裏口から奈緒さんの部屋に入って行った俺は、奈緒さんに状況を説明。

そうしたら彼女はケタケタと笑うだけで、山中を助けに行く気配は一切ない。


ただ俺に……『ぷっ!!……カズって、ホント馬鹿なんだね。ぷっ、くっくっくっ……まぁ良いや。3人分のご飯作ってくるね』と、それだけを言い残して、笑いながら台所に消えていった。


矢張り、助ける気は無いらしい。


その頃、店の中では、山中を知っていた人間が居たらしく、奴はモミクチャにされていた。


……そして30分後。

料理が出来上がった頃に奈緒さんは、バーのマスターであるヤッキに電話をして、山中を、一旦、店から放出させた。


そこをすかさず、裏口から自室に招き入れて、今現在に至る。


今までの経過は、そんな感じだ。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


結局、山中君が、奈緒さんの家まで付いて来る事に成ってしまいましたが。

山中君はドラマーなので。

倉津君の懸念している『グチ君のドラムの演奏技術の向上』には一役買って貰えるかもしれませんね。


まぁ奈緒さんも、基本的にはドラマーなので、そこまでの必要性は無いのかも知れませんが。

現状で、色んなドラマーの意見を聞けるのは、ある意味、良い環境なのかもしれませんね(笑)


さてさて、そんな感じで次回は。

その辺りに焦点を絞って、お話を書いて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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