最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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232 不良さん、救難信号を上げ様と企む

公開日時: 2021年9月26日(日) 00:21
更新日時: 2022年12月9日(金) 14:08
文字数:3,219

●前回のおさらい●


 男女比1:10の中、みんなの玩具にされる倉津君。

そんな中、みんなで撮った記念撮影の話で盛り上がるが……少し状況を整理した倉津君は、ある提案をしようと考えていた。

「あっ、あの」

「どうしたの、ダーリン?」


チッ!!奈緒さんが反応する事を望んでいたのに、一番最初に喰い付いたのはアホの樫田かよ……


まぁ良い。

コイツでも、少しぐらいは、なんかの役に立つだろう。



「あのよぉ、千尋。写真の話で盛り上がるのも良いけどな。折角、飯とか、飲み物とか一杯買って来てるのによぉ。このままじゃ腐っちまうぞ。良かったら、みんなで食べる様に薦めてくれよ。もし、足りなかったら買い足すからよぉ」

「あぁ、そう言えばアンタ。さっき、なんか一杯買って来てたね」

「そうなんだよな。飯なんざ、冷えたら美味くないし。そのまま残すのも、なんか勿体無いだろ。だから良かったら、みんなで喰おうぜ」

「あっ、じゃ、じゃあ、お金……」

「あぁ、金なんて良いからよ。兎に角、みんなで食べてくれよ。みんなに喰って貰う為に買って来たんだからよ」

「おぉ~~~、兄貴君、太っ腹だねぇ~」

「いや、そう言うんじゃなくてさ。折角、こうやって集まったんだから、金とか、そんなチンケな問題じゃないんだよな。……なんか今、スゲェ楽しいからさ、飯でも喰えば、もっと親交が深まるんじゃねぇかなっと思って」

「ヤッパ違うねぇ。兄貴君は、そこら辺の雑魚とは大違いだよ……じゃあ、折角だから、あたし頂いちゃお。ちょっと小腹も空いてたしね」


美樹さんの言葉を皮切りに、皆さんは順序良く、クーラーボックスから食べ物と飲み物を手渡し始め。


大半に、それらが行き届く。

でも此処で、上手く、何人分かは行き届かない分が有ったので、俺は素早く、その場を立って、ビーチサンダルを履く。


買出しを言い訳に、一旦、此処から脱出する算段だ。


だが、それを見た奈緒さんと、ステラは、何かを感づいたらしく、無言で、俺の方をジッと見ている。

やばいな、この機会に買い物に行った序に、援軍(野郎共)を呼ぼうとしたのがバレたか?



「あっと、ちょっと足りないみたいなんで。俺、ひとっ走り、海の家まで買い足しに行って来ますね」

「あっ、あぁ、じゃあ、僕も一緒に……」

「良いから、良いから。オマエは、そこに座って、みんなと楽しんどけって」

「でも、それじゃあ、真琴君が……」

「俺の事は良いからよ。……じゃ、じゃあ、俺、ちょっくら行って来んな」

「あぁ……」


そう言って俺は、空になったクーラーボックスを2つ担ぎ、猛ダッシュで一時退却をした。


***


 海の家までダッシュして、まずは『10分後に取りに来るから』と言って、追加の食べ物を注文。


金と、クーラーボックスを店員に手渡し。

その後、ガレージに停めた車に行き、連絡先を記した手帳を取る。


後は、公衆電話のある道路まで、急いで一気に駆け上がる。


そうやって捜索していると、思いの他、簡単に公衆電話を発見。

素早く受話器を手に取ると、耳と、肩で強引に受話器を固定し、連絡する奴をチョイスし始める。


しかし……この現状で、誰を呼ぶ?

このケースだと、生半可な奴じゃあ足手纏いになるだけで、意味を全く持たない。


相当な手錬が必要だ。

最低限で言うなら、あのレベルの女の子達を楽しませる様な会話が出来る奴が必要だ。


つぅ事でだ、悩んだ挙句、まず第一候補者に選ばれたのは、馬鹿義兄弟の片割れ……山中だ。

コイツは、少し前まで散々馬鹿秀とコンパ三昧の生活をしていたから、かなりの戦力になる筈。


それにだ、この場に、奴の好きな素直が居るとなりゃ、絶対に来ない訳にもいかない。


我ながら惚れ惚れする様な、シンプルかつ完璧な選択だ。


クルーグマンだ!!

和製クルーグマンの復活だ!!



『プルルルルルル……プルルルルルル……プルルルルルル……』


3コールか……普段のアイツなら、こんなにコールを鳴らす事はないんだがな。


オイオイ、まさかとは思うが、この期に及んで『出掛けて居ない』とか言うのは無しだぞ。

今のピンチを救えるのは、オマエだと確信してるからこその指名なんだぞ。


出てくれ。

頼むから、出てくれ山中。


『プルルルルルル……プルルルルルル……ガチャ!!』



「はい、山中工務店」


出た!!

しかも、このアホそうな声からして、イキナリ本人!!


オッシャ~~!!これで最低限度の人員は、確保出来た筈だぞ!!


……けど、なんかシラネェけど、機嫌悪そうだな。



「おぉ山中か!!俺だ俺」

「なんやマコか、しょうもな……悪いけど、切るで」

「いやいやいやいや、待て待て待て、切るな切るな」

「もぉなんやねんなぁ?なんぞ用か?用があんねんやったら、はよ言えや。……それとも、用が無いんやったら、切るで。俺、今、滅茶苦茶、機嫌悪いねん」

「だから、待てっての……つぅか。なんで、そんなに機嫌が悪いんだよ?」

「あぁ?オドレには関係あらへんわ」


オイオイ、マジで機嫌悪いな。


この調子だと『来ない』なんて言い出すパターンじゃないだろうな。



「そう言うなよ」

「なんやねんな、気持ち悪いやっちゃなぁ。なんぞオモロイ話でもしてくれるんか?」

「あぁそうだ、そうだ。飛びっきりの良いニュースだ」

「アホクサ。マコが持って来る話に、そんな美味い話がある訳ないやろ。秀やあるまいし」

「いやいや、それが、今回に限りそうでもないんだよ。馬鹿秀クラスの美味い話だ」

「うん?なんやねん、それ?豪い自信有り気やのぉ」

「まぁな、まぁな」

「……っで、ほんだら、そのおもろい話ってなんやねん」


やった!!


やっと喰いつきやがった!!



「いや、実はな。今よぉ奈緒さんと海に……」

「なんや思うたら、惚気か。死ね……もぉ切るぞ」

「だから、待てっての」

「だから、なんやねん?ハッキリ言えや」

「だからだな。奈緒さんと海……」

「もぉえぇわ。死ね……切るぞ」


うぉ!!これが噂の関西名物『天丼』って奴か!!


なるほど、なるほど、こう言うタイミングで上手く使うんだな。


憶えとこ。



「だ~~~か~~~ら~~~、最後まで話を聞けっての!!絶対、損はさせねぇ良い話だからよ」

「マコ……言うのはえぇけどな。おもんなかったら、マジでしばくぞ。オマエ、その覚悟で話せよ」

「良いぜ。その代わり良い話だったら、オマエ、俺の言う事を、なんでも1つ聞く事な」

「あぁえぇで。ほんだら、オマエの言う、そのオモロイ話とやらを聞かせて貰おうやないか」


難しいな。


どう言ったら、一番興味を引くんだ?


まぁあれだな……



「おまえさぁ」

「なんや?」

「素直の水着姿とかには興味有るか?」

「なんやねん、それ?そんなもん有るにキマッとるやないか。アリスの生のプリップリの乳の谷間を、水着越しでも一度は拝みたいもんやわ。……そんな事も、イチイチ聞かな解らんのか?アホちゃうかオマエ?」


いい加減、腹立つなぁ……

大体にして、なんで俺が、こんな態度を取り続けられにゃあならんのだ?


だったら、もぉ辞めだ辞め。

コイツを此処に呼ぶのは辞めよぉ~~~っと。


折角よぉ、オマエの言う『素直のプリップリの乳の谷間を生で拝みたい』って言う、性欲に塗れた最低な願望を叶えてやろうって言うのによぉ。


流石に、その態度は頂けないだろ。


縁が無かったな……後悔しろ。



「あぁじゃあ、もぉ良いわ。この件は、他の奴に頼む事にすっからよ……オマエは、素直の乳でも妄想しながら、家で必死こいてマスでも掻いてろ。折角よぉ、それを生で拝ましてやろうと思ったのによぉ」

「ちょ!!……オマエ、今、なんて言うた?」

「もぉ良いって。機嫌悪いんだろ、オマエ……じゃあな」

「マコマコ……悪かったって。友達……いや、オマエと、俺とは、2人で過酷な追試を乗り越えた親友やんけなぁ。そんな冷たい事を言うなや」


コイツだけは……素直の胸の谷間を、そんなにまでして生で見たいのかよ!!


最悪だな。


けどなぁ、山中……先に言っとくがなぁ。

凄いぞ!!ビビるぞ!!

今現在居る女の子のメンバーでも、素直の谷間は、最強クラスのド迫力だぞ!!


オッパイ星人じゃなくても、一見の価値ありだぞ!!

(↑結局、なんだかんだ言っても山中の助力が必要な俺)



っとまぁ、そんな訳で……山中には、今までの経緯を簡潔に話す。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


矢張り1:10は厳しいと考えたのか、倉津君は、山中君に救難信号を上げましたね(笑)


まぁまぁでも、この選択肢は正しいでしょう。

山中君自身が盛り上げる為のトークスキルを持ってるし、一緒に居る女子との知り合いも多いですからね。


ただ、この交渉が上手く行くのかだけが問題。

倉津君は、キッチリと山中君を召喚する事が出来るのでしょうか?


そこはまた次回の講釈。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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