最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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641 ウィルスの感染されるが如く

公開日時: 2022年11月9日(水) 00:21
更新日時: 2023年1月18日(水) 18:43
文字数:2,033

●前回のおさらい●


 ロクに演奏できないまま始まった新曲『Sold the world』

そのフォローを崇秀に頼み込んで助けて貰う事に成ってはいたが、その弊害は大きく。


崇秀の放つ『音楽共鳴・レゾナンス』により、眞子は自分の意思を持たないまま崇秀と共感覚させられ、そして演奏させられた。


当然、他人に支配されたまま演奏すると言う事は……地獄。

「「「「「わあぁぁぁぁあぁぁ~~~~~!!」」」」」

「ありがとう♪最高ぉ~~~~!!」


……上手く行ったんだ。


既に私には、この大きく鳴り響く様な歓声すら、あまり聞こえていない。


たった一曲の曲に、体力・精神共に、根こそぎ奪い取られ。

先程の新曲を弾いただけで、さっきから酷い偏頭痛が治まらなくなっている。


心身共に限界まで疲弊しきっていた。


それ故に、なにも考える事が出来ず。

本能にだけ従い。

ただフラフラと、給水の為に置いておいたミネラルウォーターの場所に移動する。


そこに行き着くまでは、まるで無限にどこかを歩いてる様な感覚。

どこまでも終わらない道を、ただただ真っ直ぐに進んでいる様にも感覚に陥っていた。


……兎に角、気持ちが悪い。


恐らくこれが、崇秀の言っていた『どうなっても知らねぇぞ』の意味だったのだろう。


そんな私に、唯一残された感覚は『この強烈な不快感』

この得も言えぬ不快な感覚が、知らぬ間に崇秀によってベースに取り付けられた『ミニ・スィッチ』を解除する程に。



……あぁでも、本当は、これで良かったのかも知れない。


私は、今のこのバンド内では、所詮は『お荷物』でしかない。

なら、身を削ってでも奈緒さんに貢献する為には、これしか方法が無かったのかも知れないし、上手く行った以上、なにも文句を言えた立場じゃない。


それになにより……崇秀は、最初からこうなる事を解っていて、ちゃんと『忠告』すらもしていてくれた。


だから、彼を責めるのもお門違いだ。


……こんな目に遭ってでも。

奈緒さんのライブが、万事が全て上手く行ってるなら、全然OKだよ。


それに、まだまだ奈緒さんのお手伝いがしたいから、私は、この程度の事では、まだまだ倒れる訳には行かない。


私は、自分自身じゃ、なにも出来無い不甲斐無さから、頭から『ミネラルウォーター』を『バシャバシャ』とかぶり。


此処は一発……気合を入れ直す!!


……うん!!これなら行ける!!

奈緒さんの為なら、まだまだ行ける!!


頑張れる!!


***


 私が『ミネラルウォーター』をかぶり。

水を払う様に左右に頭を振ってから、元のポジションに戻った。


此処からは私にとっては、再び、この『悪夢とも言えるライブ』が再開されるだけだろうけど……負けてられない!!

悪夢であろうと、なんだろうと、最後まで、必ずやり遂げてみせる!!



……でもぉ。

そうやって、ガンガンに気合を入れたのは良いんだけど……


⑦『Business zombies』……POP系。

⑧『Hybrid Memory』……テクノ系。

⑨『Bubble breaker』(誰のせい?)……ブラックメタル。

……はね、また崇秀が、通常のバックアップ・モードに戻ってくれ。

『観客の皆さんとの一体感』と『上手く弾けている感覚』を、気持ち良く味わわせてくれてるのよね。


なんだか、ちょっと拍子抜け。


でも、これで少しだけ気が楽になったのか、精神的な負担は、かなり軽減したんだけどね。


それに反して、肉体面の具合が良くなる気配は無く、寧ろ、悪化の一途を辿っていた。


これらは事象は、崇秀のバックアップによる無理な技術の向上が、並の疲労度では無い証拠なのだろう。


マラソンで言えば。

自分の限界ギリギリのトップスピードで、42,195kmを、完走目指してるのと、何も変わらないのかも知れない。


一曲一曲の演奏をするだけで、その疲労度は自分でも解る程蓄積され、じわりじわりと体を蝕んで行く。


まるでそれは『ゾンビウィルス』に感染し、徐々にゾンビになって行く様な気分だ。


恐らく、このまま演奏を続ければ。

私は、なんの感情も無く、ただベースを弾くだけの存在になってしまいそうだ。


そんな恐ろしい感覚にさえ襲われている。


ライブが楽しいと感じる反面。

意識が、かなり朦朧として、混濁してきたし……


事実、足元もフラフラしている……


この様子じゃ……本当に、限界は近い様だ。


***


 ……そんな私を見かねたのか、崇秀が、奈緒さんに、なにかを提案をしている。


どうやら、次のバラードである2曲。


⑩『Not meet the time』(逢えない時間)

⑪『Blinded by me』(私に眼を塞がれ)

これを、奈緒さんと、崇秀の2人だけで、アコースティック・バージョンとして乗り切り。

一旦、私だけに『休憩する』事を、申し出てくれた。


正直言えば『この場で、まだまだ奈緒さんの為に演奏したい』って気持ちは多々有ったんだけど。

自分の体調を考えれば、此処での無理は禁物。


『役立たず』の烙印を押されても『休憩させて貰う』方を選択させて貰うのが正しいとすら思えた。


流石に意地だけじゃどうにもならないし。

ライブ中に倒れでもしたら。

奈緒さんにだけじゃなく、此処に居る他のスタッフの方々全員にも多大な迷惑を掛けてしまう。


『そうやってでも、この最悪な事態だけは避けなきゃいけない』のでね。


まぁ、こんな事を言っても、ただの言い訳に聞こえるかも知れないけど。


ははっ……HELPで入ったクセに、なんとも情けない結果だなぁ。


口惜しいよ……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


崇秀の技『音楽共鳴・レゾナンス』は、その技の性質からして。

演奏をし続けられる余力は残している物の、眞子には多大なダメージを与えている模様ですね。


まぁ、こう成る事が解っていたからこそ崇秀は、この技を使うのに躊躇していた部分もあったのでしょうが。

使うと決めた以上、ライブのバランスを考えながらも、一切妥協をしないのが彼の性格。


その結果が、今の現状の眞子の体調だと言う事だと思います。


さてさて、そんな中。

ほぼグロッキー状態の眞子なのですが、この休憩で体力は回復するのか?


そして、最後まで演奏し続ける事が出来るのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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