●前回のおさらい●
ヒナちゃんが崇秀として存在する世界での事情を詳しく聞き始めた倉津君だったが。
その会話の中でも、今の倉津君に違和感を感じたヒナちゃんが『アンタ誰?』っと尋ねてきた。
「我々ハ、地球侵略ニ来タ宇宙人ダ」
「それ……面白くないから。全然面白くないから。寧ろ、微塵も面白くないから」
流石に、これじゃあ言い訳にもならないか。
まぁけど、元々理由なんてもの自体がないんだから、言い訳するにしてもこうなって然りだし。
なにより空気が少し軽くなったから、良いんじゃねぇかなぁとは思うけどな。
「なんだよ。そう言うなよ。此処は目一杯笑い所じゃんかよ」
「うん、そうだね。ごめん、ごめん。面白い、面白い。面白い序に、真実も言いなさいよ。アンタ、真琴じゃないんでしょ?」
しかしまぁ、ストレートに聞く奴だなぁ。
こうもハッキリ聞かれたんじゃ、逆に、誤魔化す気にも成れねぇしな。
「ハァ……どうにも隠せたもんじゃねぇみたいだな」
「そりゃあ長い付き合いだしね。小学校の入学式で、眞子を殴ってからの縁は伊達じゃないわよ」
オイオイ……コッチでも同じ事をやらかして殴られてのかよ。
つぅか。
男のクセに『女に金を借り』様としてんじゃねぇぞ俺。
女衒か、ヒモの類かテメェは!!
情けねぇなぁ。
・・・・・・
えっ?……いや、ちょっと待て。
今、この女『眞子を殴った』とか言わなかったか?
眞子を殴っただと!!
「ちょ、ちょっと待てくれ!!それ、どういう事だよ!!」
「何?って、なにがよ?眞子が『アンタさぁ、席が近くに成ったのも何かの縁だから、友達に成ってあげても良いけど、その代わり、お金ぐらい貸してよね』って、入学式早々に調子に乗った事を言ってきたから、私が問答無用でブン殴っただけでしょ」
「そっ、そうなんか?」
「そぉそぉ、特にあの時の眞子は、自分がヤクザの娘だってのを、凄く自覚してたからね。同級生に舐められない様にって思って、そんな事を言ったんじゃないの。……でも、その後のアンタが傑作だったんだけどね」
「なっ、なんだよ、それ?まっ、まだ、なんかその続きが有るのか?俺なんかやったっけ?」
「何言ってるのよ。その後、アンタが、私の前に立ちはだかって『姉ちゃんを虐めるな。オマエ、泣かすぞ』っとか言ったじゃない」
ほぉ……その頃から俺は、中々の姉弟想いだったんですな。
良い事じゃねぇか。
「へぇ……っで、オマエは、それを見て、どうしたんだよ?感動したのか?」
「まさかね。ウザイから、真琴も纏めてブン殴ったに決まってるじゃない」
オマエって奴だけは……
性別に関わらず、どこまでもバイオレンスな奴だな。
普通、そこは許してやれよな。
「オマエって、最悪なのな」
「そぉ?でも、そのお陰で、眞子とは仲良くやってるんだし。眞子も、私の前では素直に成ったんだから、それはそれで良かったんじゃないの」
「まぁなぁ……そうかも知れんが、なんか腑に落ちねぇ話だな」
ふむ……って事はだな。
このヒナの意見から想定出来る事があるとすれば。
崇秀が居た時に俺が果たしてた役割が、此処では、ある程度、眞子が役割を果たしてたって訳だな。
そんなんだから。
早い段階から『ヒナと真子の女同士の友情』ってのも芽生えてる訳でもある訳だな。
通りで仲が良い訳だ。
「じゃあよぉ、それ以降は、どうなってるんだ?」
「それは、なにに関して聞きたい訳?どこをどう聞きたいのかを明確に言ってくれなきゃ、話のしようもないんだけど」
「あぁ、そうだなぁ。例えばなんだが。俺が、それ以降、今まで、なにをやっていたかとか」
「真琴がやってきた事ねぇ。……さっきも言ったけど、喧嘩しかしてないんじゃない」
「オイオイ、マジで最低だな俺……因みに女っ気は?」
「0だねぇ。学校でも硬派で通ってるから、そう言うの嫌ってたみたいだし」
女っ気0ですか。
そりゃあまた哀れにも、無様な人生を送ってやがったんだな。
男に生まれたのに、好きな女の1つも出来無いなんて『人生砂漠』じゃねぇかよ。
しかも『硬派とか言われてる』って言ってるけど。
どうせ、それにしたって、本人がヘタレなだけで、女子に話しかけられないだけだろうしな。
この辺は、自分の事だからよく解る。
……にしても。
ヒナの奴、俺と、此処の俺を、丸っきり別人みたいに扱ってやがるな。
この女、何所まで割り切って話してやがるんだ?
「じゃあ、その言い分だったら。俺は、奈緒さんとは付き合ってないんだな」
「奈緒?……それって、向井さんの事」
「そぉそぉ」
「それに関しては、全く無いね。まぁ、向井さん自身は、眞子とは仲が良いみたいだけど。真琴に、特別な感情を抱いてる素振りは見受けられないわね」
「……って事はなにか?その言い様だったら、面識も殆ど無いって事か?」
「そうだね。面識は殆ど無いね。なんて言っても、眞子と、向井さんの出会いは、私と、眞子と、山中君と、素直で遊んでる時に、偶然、街で千尋先輩に出逢って、知り合った様な人だからね。真琴は、その場に居なかったし」
あぁ……あの合コンも、そう言う風に処理されてる訳な。
しかしまぁ、俺の存在って、どこまで行っても、なんか『眞子のオマケ臭い』存在感しか醸し出せてねぇんだな。
あまりにもショボイぞ俺。
ちょっとは頑張れよな。
「じゃあ、眞子がベースを始める切欠も、その出会いか?」
「うん、そぉ。なんか、その場で、向井さんと眞子が2人で意気投合しちゃったみたいでね。それで眞子も『私も奈緒さんみたいに成るんだ』とか無謀な事を言い出して。ベースを弾き始めると同時に、勉強や、身嗜みにも気を付け始めたって感じ」
ほぉ~~~っ、そこも結構、早い段階なんだな。
「そうか。じゃあ、その後は、山中や、素直。それに嶋田さんとバンドを組んで。オマエによって、眞子はバンドをクビに成ったって感じか?」
「えっ?ちょっと、それ、なんの話?眞子は、今も、そのメンバーでバンドで活動してるけど」
「はぁ?なっ、なんだと?そんな馬鹿な!!オマエの手によって、眞子はバンドをクビに成ってる筈だぞ」
「いや、そんな事実は、どこにも無いし。寧ろ、なにを根拠に、私が、そんな権利を持ってると思う訳?」
あれ?おかしいなぁ。
此処に来て、ちょっとづつだが誤差が生じてきやがったな。
あの一件が無かったとすれば、話が、かなり変わって来る筈だぞ。
どういうこった?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
崇秀がヒナちゃんと言う存在で居る世界では、元の世界との誤差が少々出て来たみたいですね。
どうやらこちらの世界での眞子は、元のバンドをクビに成ってないみたいですし。
しかし、そうなると。
なんで、そんな事に成ってしまっているのでしょうか?
次回は、そこを書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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