第九話『天才と言う名の悲劇』が始まりますよぉ(*'ω'*)ノ
また会付き合いして下さると、ありがたいです<(_ _)>
009【天才と言うの名の悲劇】
先程の告白が成立したのかも解らない状況のまま、俺は結局、奈緒さんを家に帰らせる事は無かった。
故に、あの後も、当初の目的通り、崇秀のイベントのあるライブハウスに連れて行く事にした。
此処に関しては、今回も、いつもと変わらず、特に理由はない。
敢えて理由付けるなら、まずにして奈緒さん自身が家に帰りたがっていなかった事。
付け加えて、奈緒さんの持つ、親とかなんとかの蟠りを一切合切無視させてあげたかった。
理由なんて、ただ、それだけに過ぎない。
……いや、違うな。
本当の理由は、別にある。
【俺は心の底から、今、彼女と、ただ一緒に居たいからだ】
今は、ただただそうしたかった。
……でもな。
そんな甘い事を言ってるが、実際は、結構そうでもないんだ。
あんなにまで俺が必死になって、激しい告白をしたのにも拘らず。
あの後の奈緒さんときたら、そんな俺の気持ちを知ってか知らず貸して、素知らぬ顔したまま、俺と手を繋いでくれ様ともしねぇんだよなぁ。
それどころか、今の彼女は、普段と何ら変わりない。
今も俺の横を歩きながら、時折、気紛れを起こして、思いついた様に閉店した店に走って行き。
買い物が出来無いにも拘らず、ウィンド・ショッピングを愉しんでいる。
ヤッパ……さっきの告白って不発だったのか?
そう思いながらも、奈緒さんに文句の1つも言わず。
彼女の後ろを、くっついて行ってってる訳なんだがな……
彼女は突然、思いついた様に振り向いて『ク~ラ』っとか言ってニヒヒってな感じで笑うんだよな。
これに関しては、嬉しいと言うか、照れると言うか、何と言うか。
生まれて、この方、彼女なんて高級な存在を持った事にない俺にとっては、この行為自体に、勿論、悪い気なんてものは持ってははいないんだが……
それとは別に、奈緒さんのこの行為には得も言えぬ不安を感じる。
ホント、この人は、わからない人だ。
***
まぁそんな感じで、アッチコッチに寄り道しながら移動していたので、少々時間をロスしてしまったんだが。
漸く、目的地であるライブハウス『Live-on』の前に到着する。
そして、ジッとその場を目視していたら。
そこには何故か山中が、ライブハウスの前で、なにやら作業をしている。
なにやってんだアイツは?
そんな風に思っていたら……
奴がコチラに気づいたのかして、手を振りながら、無駄にデケェ声で声を掛けてきた。
「おっ。お2人さん、漸く、ご到着やな。待っとったでぇ」
「う~~っす」
「……ども」
俺はいつも通り、適当なあいさつで返したんだが。
何故か奈緒さんの挨拶は、たったこの一言だけだった。
しかも、それだけを言うと彼女は、山中から顔をそむける様に自身の顔を横にプイッっと向けてしまう。
なんだこれ?
まぁ、例のコンパの時もそうだったんだが、奈緒さんは、何故か一貫して山中には冷たい態度で接する。
しかしまぁ、なんでなんだろうな?
確かに山中は女癖は悪いが、そんなに言う程、悪い奴でもないんだけどなぁ。
なにがそこまで、彼女に嫌悪させる要因なのだろうか?
「こっ、こんばんわ……」
そんで哀れ山中は、そんな奈緒さんの態度に一発でテンションがガタ落ち。
おかしな行動をする訳ではないんだが、明らかなまでに声のトーンが低くなってる。
これには、流石の俺も同情する。
でも、フォローが出来ねぇのも現実。
何故なら、今のところ、俺も、奈緒さんの性格を把握しきれていないからな。
兎に角、この人は、何を考えてるのかわからねぇんだよ。
けど、取り敢えず、場の雰囲気を変えよう。
コレじゃあ、あまりにも山中が居た堪れないからな。
「あぁ、そう言やぁ、山中よぉ。あの馬鹿の姿が見ねぇけど、あの馬鹿どこに居んだ?」
「秀か?秀やったら『貧乏暇なし』とか言うて、ライブハウスの中で必死こいて明日の準備をしとるで」
「そうなんか?」
「そやな。ホンマ、よぉさんのスタッフが居る言うのに、自分が立てたイベントやからって、よぉ働く男やで」
ふ~~~ん。
話を逸らす為に振っただけの話なんだが、あの馬鹿は、なぁ~~~んか相変わらずみたいだな。
でもなぁ、それに反して、奴の行動には、ちょっと疑問があるな。
「なぁ、山中」
「なんや?」
「俺、ライブとかには行った事ねぇから、良くは解らねぇんだけどよぉ。ライブの準備って、こんな夜遅くからしなくちゃイケネェ程、手間が掛かるもんなのか?」
「いや、普通やったら、此処まで徹底的にはせぇへんで」
「って言うと?」
「大体の場合は、ライブ当日にライブハウスのスタッフがバタバタしながら用意するもんや。……まぁ午後ぐらいから、音合わせとかをするから、午前中に用意する所もあるけどな」
「そっか。じゃあよぉ。なんで前日……しかも、こんな深夜から、アイツのライブはバタバタしてんだ?」
「それはやなぁ……」
「クラ……仲居間さんのライブは特殊なんだよ」
なにやら崇秀から知らされている事があるのかして、山中が自信満々に説明しようとした瞬間。
奈緒さんが俺の袖を引っ張って、山中から気を逸らす様な素振りをしながら横から割り込み、自分が説明する。
思いがけず、そんな事をされた山中は、口を釣り上げられた魚みたいにパクパクさせながら、その場に固まった。
これはマジでヒデェ。
なんで此処までする必要があるのかは知らないが、奈緒さんの山中に対する仕打ちは徹底してる。
まぁ俺も、始めから説明をしてくれている山中を無視して、奈緒さんの方を向いた訳だから同罪と言えば同罪か。
奈緒さんの事を言えた義理じゃねぇな。
……にしても山中の顔、ヒデェ顔だな。
「特殊?」
「うん……論より証拠。ライブハウスの中を見ればわかるよ」
「そう言うこっちゃ」
口をパクパクしてた陸魚は、早くも復活か?
全く懲りてる様子も無く、奈緒さんと俺の会話に入ってきやがったな。
そんな山中を見た奈緒さんは、奴を一瞥して、再び俺の袖を引っ張った。
今度はなんだ?
「ねぇ、クラ……もぉ行こ」
「ガッ……」
「……ッス、ッスね」
兎に角、彼女は、山中の話をスルーしようとする。
ホント、なんなんだろうな、奈緒さんの、この山中に対する扱いは?
既に、これは『酷い扱い』のレベルじゃなくて、先程も言った様に『仕打ち』って言った方が正確なのかも知れんな。
しかしまぁ、敢えて、ここまで徹底するって事は……山中の奴、この間のコンパで、奈緒さんになんかやらかしたのか?
謎は深まる一方だ。
「ほ~~ら、早く行こうよ……クラ」
三度目の袖を引っ張られる。
俺は訳もわからないまま、呆ける山中を、そこに放置。
奈緒さんに引っ張られるがまま、ライブ会場に向かって行く。
けど、スマンな、山中。
男同士の友情より、女を取ってしまう俺を許してくれ。
最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>
2人交際が始まったかも解らないままの状態で、ライブハウスに到着し。
そして、ライブハウス前に居ただけの山中君にとっては、全く意味の解らない様な状態で波乱の幕開けでしたね(笑)
しかし、何故、奈緒さんは、山中君に対して、あんな冷たい仕打ちをし続けるんでしょうね?
そこには何か理由があるのか?
その真相は、次回、驚きの事実と共に明らかに成ります!!
なので、次回にも、こうご期待です(*'ω'*)
(↑絶対にロクデモナイ事しか考えてない人の意見(笑))
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