最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1501 奈緒さんとの遭遇

公開日時: 2025年3月15日(土) 00:21
文字数:2,115

●前回のおさらい●


 沙那ちゃんを倉津君の彼女だと勘違いした浮田君(笑)

それは誤解だと必死に訴えた結果、とうとう本命である奈緒さんに会う事に成ったのだが……


 ……まぁそんな訳でだ。

浮田を従えて、実家の方にノタクタノタクタと向かって行ったらだな。


『!?』

ある衝撃の光景が目に飛び込んできた!!


それが何か?って言うとだな。


何故か奈緒さんが、ウチの門の前でキョロキョロしながら、なにかを探している様子なんだよ。


チョイチョイそこの芸能人、せめて変装ぐらいしなさいっての!!


あまりにも無防備過ぎる……


だから俺は。



「奈緒さ~~~ん」

「うん?……あぁクラ、丁度良い所に来てくれた。ちょっと手伝ってよ」

「うっ、うん?」


おっ、浮田の奴が、なんか動揺してやがるな。



「おっ?なんッスか、なんッスか?どうかしたんッスか?」

「あぁ、あのね。私が料理をしてる間に、沙那ちゃんが居なく成っちゃったのよ。何処かで見なかった?」

「えっ?……嘘だろ?この人って、向井…奈緒……じゃないのか?」


そうだな。

その通りだな。

そこに居る人は、間違いなく向井奈緒だな。


そして彼女こそが、オマエさんが散々ドブスだって罵っていた俺の彼女にあたる人物だな。


ブスで悪かったな、老眼野郎。



「あぁ、沙那ちゃんなら、さっきギターのリペアを終えてコッチに来たんで、みんなのジュースを買いに行って貰いましたよ」

「そうなの?……ハァ~~~、良かった。もぉあの子は」

「まぁまぁ、沙那ちゃんは、あれでいてシッカリしてますからね。そんなに心配しなくても大丈夫ッスよ」

「そうなんだけどね。でも、出掛ける前には、せめて一声掛けて欲しかったなぁ」

「そうッスね。その辺については、よく言い聞かせて置きますよ」

「よろしく」

「ちょ……」


うんうん。

この調子だと、奈緒さんは、きっと良い母親になりますな。


早く、その姿が見たいものですな。



「……って、クラ。そちらの子は?」

「あぁ、コイツッスか?コイツは、今日、向こうの家の伐採を手伝ってくれた、浮田ッス」

「そうなんだ。浮田君、お世話様」

「えっ?いや、あの……」


完全に目が泳いだ状態になってやがるな。


プププッ……



「あぁ、浮田。コチラ、向井奈緒さん。俺の彼女な」

「初めまして、クラの彼女の向井奈緒です。よろしくね」

「えっ?あの、マジで彼女?いっ、いつから……」

「あぁ、付き合って1年半位かなぁ。それぐらいッスよね」

「そうだね。付き合い始めたのは去年の4月だから、1年8ヶ月位だね」


そうですな、そうですな、その通りですな。



「うっ、嘘ですよね?……コイツ、ヤーさんッスよ」

「ヤーさんだね。それがなにか問題でも?」

「えっ?だって、ヤクザですよ。ヤクザに、有名アーティストとか、絶対に有り得ない組み合わせなんッスけど」

「なんで?私、クラの事、世界一好きだけど。ヤクザとか関係ないし」


奈緒ワールドを舐めるなよ。


このお方はな。

そんなチンケな物差しでは計れない様な、寛大な心を持った菩薩の様な人なんだ。


オマエの小さな良識で、この方を計ろうとするんじゃねぇよ。


俺ですら、未だに謎だらけで計り切れてねぇんだから。


つぅか……無理。



「うっ、嘘だ、嘘だ。そんな事、絶対に有り得ないって……有り得ちゃイケナイって」

「オイオイ、どこまでも疑り深い奴だな、オマエは。……じゃあ、奈緒さん『チュ~』して良いッスか?」

「はっ、はぁ?何言ってんのオマエ??」

「良いよ。私はクラの物だから、幾らでもどうぞ」

「いやいやいやいやいやいや」

「じゃあ、いただきま~~す」

「クスッ、召し上がれ」


『チュ』



「がぁ~~~!!……そっ、そんな馬鹿な」


それが有り得るから、世の中、面白いんだよ。


もっと現実を直視しやがれ。


そんで、その衝撃で目ん玉潰れろ。



「うむ。最高に美味でした。結構なお手前で」

「なに言ってんだかね。いつもやってるクセに」

「そうッスね」

「ヤッ、ヤーさん……俺もぉ、かっ…帰るわ。なんか知らんが、酷い幻覚が見えるぐらい眩暈してきた」


そのオマエの腐った眼に写っているモノは、幻覚なんかじゃないぞ。


紛れもない現実だぞ。



「あれ?帰っちゃうの?夜ご飯作ってるから、一緒に食べて行けば良いのに」

「えぇえぇぇぇ~~~っ」

「おぉそうだ、そうだ。浮田喰って行けよ。ウチの『彼女』料理が得意だからよぉ。超美味いぞ」

「がぁ……」


オモシレェ!!

あの文句垂れの浮田が、グゥの根も出ないぐらい凹んで、眼が、完全に明後日の方向を見ながら、萎れちまったよ。


まぁ、あれだな。

此処から推測するに『ドブス』でも、彼女が居た方が人生幸せって事だな。


それが例え『脳タリン』で『ヤク中』でもな。

(↑奈緒さんを批判した事を、かなり根に持ってる俺)



「そうだよ、そうだよ。良かったら、多めに作って有るから、食べて行ってよ。1人や2人増えた所で、全然大丈夫だし」

「なぁ、浮田……そんなに遠慮すんなよ」

「いいや、悪いな……マジで帰るわ。今から受験勉強とかあるしよ」

「そうかぁ?じゃあ、無理には引き止めねぇけど。また仕事の時は頼むな。時給はずむからよ」

「あっ、あぁ、そうだな。気が向いたらな。……向かねぇと思うけど」


そう言った後。

浮田は背中に哀愁を漂わせながら、この場を去って行った。


どうやらHPが0以下に成ってからも、追加ダメージを喰らい過ぎたみたいだな。


すまん。


流石に調子に乗り過ぎちまったな。



今度、気が向いたら、お詫びするわ。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


まぁ、そうなりますよね(笑)

倉津君と奈緒さんって、普通に考えたら有り得ない様なカップルですもんね。


まぁでも、世間が知らない所では、極道者と芸能人が結婚してるなんて事は結構あったりします。

名目上は『一般人男性』とか『自営業を営む男性』とか言う風に言葉を濁してね。


さてさて、そんな風に浮田君を撃退してしまった倉津君。

それを見た奈緒さんは、どう感じるのか?


次回は、その辺を書いていこうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


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