●前回のおさらい●
何故、協演を望んだ方々に逆指名を断られるのかと思っていたら。
今回のルール上、眞子のランキングが高すぎて指名出来ないだけだと判明(笑)
なので、みんなの気持ちとしては『眞子と一緒に演奏したかった』っと言う事が伝えられた。
そんな有難い言葉を貰った眞子は……
……そんな訳でですね。
この後も、続々とライブでお世話になった人が、わざわざ私の所へ来てくれたのね。
ほんで皆さんが、口々に『また一緒にやろうな』って言ってくれた。
うぅ~~~、もぉアメリカ最高!!
……でもね。
これにより、また困った事に『眞子のままで居たい』なんて気持ちがドンドンと膨れ上がって来てるのも事実。
どうしても私は、人に求められたい卑しい人間なのかもしれない。
ホント……この気持ちだけは、どうやっても止めようがない。
奈緒さんに、こんなに想って貰ってる事が解ってるって言うのに……
なんでこう自分勝手なんだろうか……私って。
「よぉ、人気者。なにしょげてんだ?」
「あっ……」
「なにが『あっ……』だよ。どうかしたのか?」
「あぁ、うん。まぁ、いつもの『例のあれ』だね」
此処はもぉ言わずとも解ってくれるよね。
ふぅ~~~、情けないんだけど、それです。
「そっか。……ハァ~~~、しかしまぁ、あれだな。あれだけ人に求められれば、そうなるのも無理はねぇわな」
「でしょ。でもなんかさぁ。こう言うのって今更なんだろうけど、こうやって眞子として下手に人と接触するべきじゃなかったのかなぁ?って思っちゃうね……って、ちょっと後悔してる」
「まぁそうだわな。けど、そう言われるとちょっと辛いな」
あっ……また無意識にやっちゃった。
「ごっ、ごめん。そう言う意味じゃないんだよ。私ね。真琴ちゃんとは別に、普通に、こうやって生まれたかったなぁって思ってるってだけの話だから。崇秀を責めてる訳じゃないんだよ」
「解ってる、解ってる。けど、此処まで突き抜けてくりゃあ。そう言う思考にもなるわな」
「そうだね。でもね。そう思う反面、真琴ちゃんじゃなきゃ、奈緒さんとは出逢えなかっただろうし。素直ちゃんや、美樹さん達とも縁が無かったんじゃないかなぁって思っちゃう訳よ。……なんか、そう思うと、それも気持ち的に微妙なんだよね」
「ふむ。それって言うなれば、今の現状を『二面性が有ればこその奇跡』って認識してる訳か?」
正解……
「そうなんだよね。私がもし最初から女で生まれてたら。きっと、色々な面でこうやって必至になる事は出来なかった思う。だから、今の私ってのはね。元が真琴ちゃんだったからこそ、色々チャレンジ出来てるんだと思うんだよ。それにね。男が、女の子に対する幻想なんて物が、なまじ、ある程度理解出来てるから、出来るだけ良い子で居ようとしてられる。……まぁなにより、この分け隔て無く人に接して貰えるって言うのは……今の私には大き過ぎる」
なに言ってんだろ?
こんな事を言ったら、更に崇秀を苦しめるだけなのにね。
馬鹿げた事をしてるもんだ。
「なぁ、眞子。もぉ全部正直に言ってみろ。……オマエは、そんなに眞子で居たいのか?」
意外な質問だ。
崇秀から、こんな質問をして来るとは思わなかったよ。
でも……迷い無く、ハッキリと、私の中では答えが出てしまっている。
「……うん、ゴメン。私、もぉ真琴ちゃんになんか戻りたくない。あんな自堕落な生活をするのはもぉ嫌なの。あんなの私じゃない……私は、眞子に成りたい」
「そっかぁ。じゃあ序に、野暮な事を聞くが、向井さんの件はどうするつもりなんだ?」
「別れるよ。……奈緒さんが想ってくれてるのは、本当に有り難いと思ってるんだけど。此処最近ね。奈緒さんの事を同性としか見ていない自分が居るのよ。……それって、哀しいけど、現実なんだよね。こんな私じゃあ、きっと奈緒さんを不幸にするだけ。幸せにはしてあげられない。……それに、このままの関係を続ける事も、もぉ難しいと思うし。このままじゃ、日に日に奈緒さんを疎ましく思っちゃうかも知れない。……ごめんね、崇秀。私、もぉ限界なの」
こんなの、ただの言い訳だよね。
こんな勝手な言い分じゃ、間違いなく、崇秀に怒られるよね。
……でもね。
これが私の、なにも包み隠さない本音。
都合良く、半分男で、半分女なんて精神は存在しない。
確かにね。
これも言い訳にしか聞こえないと思うんだけど。
今みたいに女に成るんじゃなくて……男のまま他人に成っていたら、寧ろ、もっと奈緒さんの事が好きで居られたと思う。
さっきの前座で、崇秀が一緒に弾いてくれた奈緒さんの曲の意味が解った以上、男でさえあれば……もっとも~っと愛し続けられたと思う。
……でも、現実的に今の私は『女』でしかない。
日に日に増して行く『女としての自覚』
それと同時に発生する、奈緒さんを『彼女じゃなく』『同性』としか見れない自分。
だから正直言えば、奈緒さんの想いは、今の私には『重い』としか感じなかった。
あれ程までに想って貰ってるって言うのに、もぉそんな風にしか感じられなかった。
付け加えて、例え『脳の中の記憶をセーブ』したとは言え、男に戻って『それ』を脳に書き込んだら……『私』って言うかね『倉津真琴』ですら無い様な気がする。
それ自体が『眞子と真琴の存在』を『完全に否定』する様な気がしてならない。
そんなのは、絶対に嫌だ。
私は、眞子の存在を消したくなんかない。
それになによりね。
此処が、一番正直な気持ちなんだけど。
また、あの惰性で生きてる様な『だらしない生活』に戻るのが、どうしても嫌なの。
奈緒さんには悪いんだけど、私は『倉津真琴』を『消滅』させたいとすら思ってる。
「……そっか。そこまで思い詰めてたか。……ハァ、悪ぃな。流石に、そこまでは気付かなかった」
「ごめんね、崇秀。……隠してたからね。此処だけは必至で隠してたからね。幾ら崇秀でも、本当の意味での、私の本音までは解らないと思うよ」
別に、上辺だけの私を見て居た、なんて言ってる訳じゃんじゃないんだよ。
多少は解ってても……他人である以上、心の奥底の部分まで全部は解らないって意味ね。
崇秀は、いつも凄く私を理解してくれてるし、助けてもくれていた。
だから、崇秀に非なんて物は微塵もないんだよ。
そこだけは誤解しないでね。
「そっか。……まぁ取り敢えず、場所を変えようか。流石に、この話は、此処でする様な内容じゃないからな」
「……そうだね。あぁでも、ライブの方は良いの?」
「まぁ、此処まで盛り上がってるなら、俺や、オマエが居ないぐらいだったら心配ねぇだろ」
「けど、私が居ないのは良いとしても……崇秀が居ないとマズイんじゃないの?」
「アホか?今までオマエが、この全米ツアーをやって来て、俺が必要だった場面があったか?」
「そうだけど……」
「そんな心配しなくても、今回の俺は完全に脇役だ。だから無駄な心配はいらねぇよ」
「でもさぁ……」
「はぁ……つぅか。んな事あぁ、どうでも良いんだよ」
「えっ?」
「俺は、オマエの精神面の方が心配だ」
「崇秀……」
奈緒さんを裏切ろうとしてるって言ってるのに……なんで崇秀は、こんな卑怯な私なんかに優しくしてくれるの?
私なんか、崇秀に優しくして貰う価値なんて微塵も無い様な存在なのに。
私なんて自分勝手な、ただの卑怯者だよ……
「まぁ、兎に角だ。その件については、場所を変えてから、オマエの話をじっくり聞く。今後オマエがどうするにしても、判断は、それからだ」
「……そうだよね。自分勝手な事バッカリじゃ話にもならないもんね」
「まぁ、そういうこったな」
こうして私は、崇秀が30分程、誰かと電話をした後。
彼に連れられるがまま、高級ホテルの一室に連れて行かれた。
此処からは嘘偽り無く……私の全てを語らせて貰おう。
ごめんね、崇秀……
いつも迷惑ばっかり掛けて……
続く。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
これにて第一章・第三十七話【Mako's selection】はお仕舞なのですが、皆さんはどう感じて頂けたでしょうか?
とうとう眞子が、自身の本音を崇秀にぶちまけてしまいましたしね。
まぁでも実際、此処まで『他人に必要とされる存在』に成ってしまったら。
みんなと仲良くしたくて仕方なかった過去を持つ眞子(倉津君)としたら、心が揺れるのも仕方がない事だとは思います。
だから、出来ればなんですが、今回の眞子の行動を、あまり否定してあげないで欲しいですね。
……っとは言え。
現段階では奈緒さんの件があるだけに、非常に自分勝手な事ばかり言ってるのも事実。
此処をキッチリ解決しないまま、眞子で居続ける事なんて出来る訳がありませんからね。
そんな訳で次回から始まる第一章・第38話【Decision】では、その辺の話を書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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