●前回のおさらい●
奈緒さんとチヒロンが、いつまでも訳の解らない言い合いをしてるので。
そんな2人に呆れながらも、素直ちゃんを送る為、一緒に駅に向かう事にした倉津君。
さてさて、此処では、どんな会話が繰り出されるのか?
外は寒い。
特に俺は生足のままだから、全身厚着をしている素直と比べたら下半身の寒さが尋常じゃない。
それに、スカート内に侵入して来る風が、家の中の、まだ少しは暖かい風とは違い、容赦の無い様な寒風が股間を冷やす。
お陰で、外に出た瞬間『オシッコ、ちびりそうになったわ!!』
……いやいやいやいや、すんません。
心は男のままでも、形は女の子でしたな。
「うわ~~~っ、思ってたより、コッチも寒いんだね」
「えっ?そうなの?でも僕、この間ライブで行った眞子ちゃんの地元の方が、もっと寒かったよ」
ゲッ!!
奈緒さんが居ないと思って、ちょっと気を抜いたら、イキナリやらかしちゃったよ。
「あぁまぁ、そうなんだけどね。ちょっと関東の寒さを侮ってたから、こんな格好で上京しちゃったのよね。関東の夜の寒さにビックリしちゃった」
「あぁ、ホントだぁ。良く見ると、眞子ちゃん生足だぁ。僕、てっきり、色の付いて無いストッキングを履いてるんだと思ってた」
「はははっ……持って来てないね。クスッ、私、ドン臭いよね」
話を合わせる為に、適当に言ってるんだが……これじゃあ、笑らけるドジっ子だな。
まぁ、ちょっとぐらいなら、眞子のキャラクター・イメージが、こんな風に砕けた感じに成っても良いだろう。
「……あの、眞子ちゃん」
「うん?」
「眞子ちゃんでも、そんなミスをしたりするんだね」
「そりゃあ、するよ。素直ちゃん、私の事を、なんだと思ってるの?」
「えっ?あの、それは、そのぉ……」
「私、どこにでも居る様な普通の子だよ。若しくは、ただの田舎者とかね」
「そんな……違うよ。眞子ちゃんは凄い子だよ」
「そうでもないよ。現に、今さっきまでは、奈緒さんの前だったから、何枚もネコ被ってたしね」
にゃにゃにゃにゃあ~~……って感じで何枚もな。
「そうなの?じゃあ、普段の眞子ちゃんって、どんな子なの?」
「私?……あぁ、話したら、多分、素直ちゃんが持ってくれてるイメージ崩れるよ」
「えっ?そんなに酷いの?」
「多分ね。……だって、この間なんて、お父さんと飲んでる時、思いっ切り大きなゲップをしちゃったら、お父さんドン引いてたもん。……でも、あれ、可笑しかったなぁ」
いや、決して実体験な訳ではないんだがな。
この間……つっても、結構、前の話なんだけどな。
山中と、とある居酒屋に飲みに行った事があったんだけどな。
そしたらそこにメッチャ綺麗なおねぇさんが居て、ちょっとその人に注目してたらだな。
そのおねぇさん。
何故か急に、店内に響き渡る位の『でかいゲップ』をやらかして、店内が一瞬『し~~~ん』って、完全に静まり返った事があったんだよ。
ホンで、当然、恥ずかしく成ったお姉さんは、逃げる様に店から出て行ったんだけどな。
そのおねぇさんの姿が、余りにも滑稽でな。
今、なんとなく、それを思い出したんで、俺の実体験として、素直に話してみたんだよ。
「えっ?大きなゲップをしちゃったのに、可笑しかったの?」
「だって、だって、お父さんったら、目を白黒させてるんだよ。……そりゃあ、恥ずかしかったんだけど。思わず、先に笑いが込み上げて来ちゃったのよ」
「えっ?えっ?でも、でも、その後は?」
「そりゃあもぉ、豪い勢いで、お父さんに怒られたよ。『女の子が、人前でゲップなんかするんじゃない』ってね。それに『親しき仲にも礼儀有りだぞ』とか言われちゃった」
「そうだよねぇ。普通の男親なら怒るよね」
まぁ偶に、怒らない親も居ますけどね。
子供がなにやっても怒らない、馬鹿な親が……
そう言う親って、相当、子供に無関心なんですかね?
それとも、そう言う羞恥心も、モラルも完全に欠如しちゃってるんですかね?
(↑嫌味な俺)
「うん、でもね。私、その時に思ったんだ。こうやって、お父さんに怒って貰えるって事は、私って『お父さんに愛されてるんだなぁ』ってね。だからね、人前では、極力ネコを被る様にしてるの。……どぉ?普通って言うより、どちらかと言えば痛い子でしょ」
理想とは違うかも知れないが、こんな眞子でも嫌わんとってな。
アカンか?
「あの、眞子ちゃん。どうして、そんな話をしてくれたの?」
「うん?あぁ、なんて言うのかなぁ。『素直ちゃん家も、お父さんと上手くやって行ければ良いなぁ』って思って……それだけ」
「眞子ちゃん……」
……ってまぁ本音で言うとだな。
眞子の存在ってのは、今後も消える可能性が0じゃないから。
ちょっとぐらい『今の立場を上手く利用して、素直のフォローをして置いても良いかな』って思ったんだよな。
それに、素直の件が仮にダメだったとしても、眞子自身が、ちょっとぐらいドン臭い所が有った方が良いしな。
ずぅ~~~っと、真上さんの様には振舞えないからな。
「どぉ?私、格好良くない」
「えっ?眞子ちゃんってナルシスト入ってるの?」
「結構」
「えっ?えっ?じゃあ、眞子ちゃんは、自分で自分事を可愛いって解ってるんだ」
あぁ~~~、そこまで行くと、流石に、ちょっと嫌味なイメージが先行しちまうなぁ。
なら、此処が話の転換期だな。
「あぁ、そう言うんじゃなくてね。自分の事が好きって話でね」
「どう違うの?」
「なんて言うのかなぁ。可愛いって思うのは、私じゃなくて、他人から思って貰うものなんだと思うのね。だから、他人に可愛いと思って貰おうとは思うけど。別に、自分で自分が可愛いと思ってる訳じゃないんだよ。要するに、可愛くなる為の『努力が好き』って言いたいだけの話」
「じゃあ、努力してる自分が好きなの?」
「あっ、うん、それは好き。それで、他人に評価して貰えたら『またガンバろ』って思えるもん。基本的に、そう言う所はポジティブなんだろうね。……って言うか、寧ろ、お気楽なのかな?」
……って、素直さん。
駅の改札に向う階段近くに着いてから、もぉ10分以上経ってるんッスけどね。
……それにさっきな。
素直は、俺との会話に夢中になってて、全然気付いて無かったみたいなんだが……
なんか、Fishの美樹さんらしき人物が、奈緒さん家に向って行ったんだよな。
勿論、横を通り過ぎただけだから、確実に、本人だとは確認してないんだけどな。
もし、これが事実なら……あの面子に美樹さんって、ドンだけ濃いぃんだよ。
まぁ、そんな不安もございまして、そろそろ、素直との会話の時間も潮時だな。
「へぇ~~~っ、ヤッパリ凄いなぁ。女子にとったら、極普通の事なんだろうけど。此処まで、自分の口でハッキリ言い切れる子って珍しいよ」
「田舎者だから厚かましいだけかもね。……って言うか、素直ちゃん、時間時間」
「えっ?あっ、あぁ、本当だ。また、僕、長々と話しちゃった。寒いのにゴメンね」
「良いよ、良いよ」
正直、凍え死ぬかと思いましたがね。
だから帰ったら……間違いなく、真っ先にトイレに駆け込む予定ですよ。
「……あっ、あの、眞子ちゃん」
「うん?」
「あの、あのね。眞子ちゃんが嫌じゃなかったら、今度、僕の家に遊びに来てくれないかな?僕、もっと眞子ちゃんと、ゆっくりとお話したいし」
「うん、良いよ。喜んで♪」
「あっ、ありがとう」
ほぉ~、素直の部屋ですか……
部屋の中身は、一体、どうなってんだろうな?
変に家捜しとかしたら、怒るかな?
(↑基本は、ゲスのままな俺)
「うん。じゃあ、奈緒さんが心配しちゃイケナイから、そろそろ戻るね」
「あっ、あの……最後に、もう1つだけ……」
帰ろうと思ったら、また引き止められた。
今度はなんだ?
流石に、本気で下半身が寒くなってきたから、一秒でも早く帰らせてくれ。
しまいにゃあ、このまま眞子が凍死するぞ。
……まぁ、つっても『本人が最後だ』って言ってんだから、此処は最後まで聞いてやるのが筋ってもんだよな。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
自分が大変な状態にあっても、素直ちゃんを大事な仲間と認識してる倉津君。
そして今回、そんな素直ちゃんの家庭の事情を再確認する事が出来たので。
今現在の眞子と言う立場を上手く使い、彼女に助言をしてあげてますね。
こう言う部分は、ホント変わらないですね(笑)
さてさて、そんな中。
そんな眞子に対して、素直ちゃんから最後のお願いがある様なのですが。
それは、一体、どんな内容の物なのか?
それは次回の講釈なのですが。
此処が少しでも気にして頂けたら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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