●前回のおさらい●
崇秀に、女言葉を使う自分を『気持ち悪がられるのが嫌な倉津君』
そんな倉津君に対して、崇秀はアッサリと倉津君を眞子扱いして茫然とさせる。
そして、その後も当然……
……なんか訳の解らないまま。
崇秀の愛車である『NSR』のケツに跨って、アッと言う間に病院に到着した。
だから今現在の時刻は、駅前で、ちょっと話し込んで分を踏まえても、まだAM8:00ぐらい。
当然、普通なら、まだ外来診療が始まる時間ではないんだが。
それを踏まえた上でも、こんなに早く病院に来たのには訳があって。
崇秀の奴が病院に手回しして、この時間から『検査』を受けれる様にしてくれてるらしいんだよ。
まぁ、どんな手段を使ったのかは知らないが、兎に角、この時間から検査が受けれるようになっているらしい。
ホンで、そんな理由から、早々と病院に到着した後、崇秀の奴は、駐車場で単車から先に降りて、俺を乗せたまま単車を固定。
そんで、さも当たり前の様な顔をして、俺に手を差し伸べてくるんだよな。
まさに此処でも『女の子扱い』だ。
けどまぁ、なんか恥ずかしいから、奴の手を取らず『ぴょん』って飛び降りたら。
コイツ……しかめっ面をしながら、何を言い出すかと思えば。
『オイオイ、折角、降り易くする為に、人が手ぇ出してやってるのてぇのに、オマエって奴は。普通、それを無視して飛び降りるか?……ったく、相変わらず、オマエだけはお転婆な女だな』
……って、まるで昔から眞子が存在している様な口ぶりで、俺にそんな事を言ってきやがるんだよな。
ハッキリ言えば、この言葉には相当ビビった。
なんか、もぉな。
此処まで徹底して、ムラの無い俺に対する女性対応には感動すら憶えたよ。
……そんでまぁ、崇秀がそんな調子のまま、2人で病院内に入って行く訳なんだが。
奴は矢張り、今の俺の姿に対して、なにも意識していないかの如く、サクサクと受付を済ませ。
まずは『産婦人科』に俺を連れて行く。
でも、今はまだ、此処での『検査』の準備が整ってないらしく。
待合室の前にある長椅子に、2人で座っている状態だ。
勿論、崇秀は、相も変らず、平然と座ってるだけで、普段となんら変わらない様子で居る。
マジで……『倉津眞子』扱いなんだな。
「……あっ、あの、崇秀」
「んあ?なんだよ?」
「あのさぁ。……本当に、この女言葉を気持ち悪いって思ってないの?」
「ふぅ。なにかと思えば、またその話かよ。……そんな程度の事で、やけにブリ返すんだな」
「いやまぁ、そりゃあ……ねぇ」
「けど、わかんねぇ奴だな、オマエも。女が、女言葉を喋って、なにがおかしいんだ?そんなもんに、俺がイチイチ違和感を感じる訳がねぇだろうが」
「まぁ……そうだねぇ。そうなんだけどさぁ」
「それにな、眞子」
「うん?」
「そうなろうと必死になって努力してる奴を、何故、気持ち悪いと思う必要性があるんだ?」
「あっ……」
「……もし、そう思う奴が居るなら、きっとソイツは、今の自分に不満しか抱えていない、欲求不満の塊みたいな馬鹿なんじゃねぇのか?」
「そう……だけど」
だったら……俺も、そんな欲求不満の奴等と、全く一緒じゃねぇかよ。
今の今まで『自分の生い立ち』に不満しか抱えてなかったしよ。
「ただ勘違いすんなよ。……オマエと、ソイツ等じゃ雲泥の差だからな」
「なんで?」
「わかんねぇかなぁ?スゲェ単純な話だぞ」
「どういう事?」
「あのなぁ、眞子。幾ら自分に不満が有るって言っても、誰しもが、必ず、それを打開する『チャンス』って奴が到来あする。それを『物にする』か『物にしない』かで、人の人生ってのは大きく左右されんだが……今オマエは、その最大のチャンスを得て、それを生かそうと必死に努力している訳なんだろ?」
「うっ、うん」
「だったら、そんな奴を気持ち悪がったり、笑ったり、馬鹿にしたりする訳ねぇだろ。……馬鹿じゃねぇのか、オマエ?あっ、オマエは馬鹿だったな」
「崇秀……」
口では悪口を言ってても、いつもコイツの本心は真っ白なんだな。
どこを見ても、なんの曇りもない。
ただ真っ直ぐに、今ある現状だけを、冷静かつ、正確に捉え。
それを、相手の気持ちに上手く被せてきやがる。
……カッコ良過ぎるって、オマエ。
「あぁ、それと、序に言ったらな。俺はな、自分の思い通りに生きられない様な無様な奴が嫌いなんだよ。それに、子供を自由に生きさせられねぇ様なミットモナイ大人も嫌いだな」
「うっ……うん、それは知ってる」
今度は、なんの話だ?
急に、なんの関係もない話になった様な気がするんだが?
まぁつっても、また、どこかで帳尻を合わせて、話を上手く繋げて来るとは思うんだがな。
けど、この話と、さっきの話に、一体、どんな繋がりがあるんだ?
「……だからよぉ。俺は、そう言う奴等の為に、自分の才能を垂れ流してでも、それを『修正』してやりてぇんだよ。そうすりゃあ、大人だろうが、子供だろうが考えを改めて、もぉちょっとぐらい『夢』のあるマッシな世の中になると思わねぇか?」
「それって……」
「そう言う事。俺の才能は、他人の緩んだ精神を更生させる為にあるんだよ……どうだよ?スゲェ青臭い理論だろうけど、そう言う世界が来たら面白そうじゃね?」
自分の『理想』や『夢』または『自分に課した命題』の話か……
話を最後まで聞いて思ったんだが。
コイツの場合、本当に、そんな馬鹿げた事を、いつも考えてるだけに、馬鹿にした様な笑いなんて、とてもとても出来たもんじゃない。
それにだ。
それに対する『実績』も、ガキの頃からコツコツと積み上げて来てやがる。
だから……全然、青臭くなんかねぇよ。
寧ろ、昨今、そこまで他人の事を考えて生きてる奴なんて居ねぇ。
オマエは、攻撃力の高い博愛主義者かよ?
……スゲェよな。
「真顔で、そんな事、よく言えるね」
「真顔も、糞も、本心からそう思ってるんだから、しょうがねぇじゃんかよ。だから、オマエ等モブはな。余計な事は考えず。主人公クラスの俺に感謝だけして生きてりゃ良いんだよ」
「ははっ……なんて言い草なんだろ、この人」
「けど、そう言いながらでも女は、俺に惚れるの。……まぁ世界中の女が、俺に惚れてさえくれれば、世界人口の半分以上は、なんとか幸せにしてやれそうな雰囲気なんだけどな」
「ふふっ……なにそれ?それだったら、ただの傍若無人な恋愛独裁者だよね」
「独裁者ねぇ。……まっ、半分以上は正解なんじゃねぇの」
どんな状況にあっても、こうやって男女に拘りなく。
楽しく、自然に振舞える事すらも、コイツにとっては当たり前かの事か……
そう言うのが、少しづつでも解ってくれば。
崇秀が本心からそう思ってくれてるのだと言う気持ちが伝わって来て、俺自身も、こうやって『女言葉』を使う事さえ、なんとも思わなくなってきたな。
ってか、もぉそれ以前の問題として。
現時点で、さっきまであった崇秀への蟠りなんて消えてしまって。
滅茶苦茶眞子として、極自然に崇秀と喋らされてるんだもんなぁ。
ホント、コイツだけは、俺には勿体ないぐらいの親友だよな。
しかしまぁ、なんでこんな器用な真似が、普通に出来るんだろうな?
毎度毎度の事ながら、コイツの器のデカさには、いつも驚かされっぱなしだよ。
ギャフンだよギャフン!!
……そうやって、極普通の会話を崇秀と交わしていると。
そこに、1人の『そこそこ』綺麗な看護師さんが、なにかを発見した様に嬉しそうな笑みを零しながらコチラに近付いて来た。
見た感じ、年の頃は、大体、一回りぐらい上といった感じの看護師さんなんだけど。
コチラに近づいて来ると言う事は、これから始まるであろう検査の準備でも整ったのかな?
それにしても……この看護師さん、妙に色気のある人だな。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
最終的な話になるのですが。
結局の処【お互いが相手を本気で信用出来るか】って言うのが、今回のTS編でのメインテーマとなります♪
なので今回のお話では、倉津君が、こうやって疑心暗鬼にはなっていたので。
相手が、そこに不安を感じていると思えるからこそ、まずは崇秀は徹底して倉津君を眞子扱いして倉津君に安心感を与えた訳です。
そして、その崇秀の行動を見て【コイツは、矢張り絶対的に信用の置ける男だ】と倉津君が思えたからこそ、この関係は成立していった感じですね。
これこそが、男女の性別なんてものに関係せずに成立する【友情関係】
友達って、一緒に居て楽しいから友達なのではなく。
苦楽を共に出来るからこそ【本当の友達なのではないかなぁ】っと思い、今回の話を書かせて頂きました。
皆さんには、そんな風に信用の出来る友達はお持ちでしょうか?(笑)
まぁ昨今では、こんな関係は暑苦しいだけの関係だとか言われるかもしれませんが。
クールを気取って、オブラート並みに薄っぺらい関係を築くよりは、暑苦しくても、私はコチラの関係の方が良いと思いますです。
さてさて、そんな中。
なにやら年上の美人な看護師さんが登場したみたいなのですが。
彼女は、一体、この2人にどの様な影響を与える人物なのでしょうか?
次回は、その辺を書いて行きたいと思いますので。
少しでもその動向が気に成りましたら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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