●前回のおさらい●
常に相手の事を優先的に考え様とする倉津君。
だが当然それでは、上手く回らない事も多々あるだけに……
「まぁ、マジだな。そりゃあよぉ。サイト作りは真剣にはやるけどな。それに子供を巻き込んだんじゃ、お天道様に顔向けが出来ねぇ。また『甘い』って言われるかも知れないが、これが俺のやり方だ。誰にも文句は言わせねぇよ」
「話になんねぇな、旦那。そんなぬるい事を言ってて、仲居間に勝てるのかい?勝つ気はあるのかい?」
「さぁな。勝てるかどうかは解らんが、勝つ気はある。ただな。逆に聞きたいんだがな。人の人生を自分勝手に踏み躙ってまで、勝って嬉しいのか?」
「青臭いな、旦那。人の人生を踏み躙りたくないなら、踏み躙らない様にすればいい。それがサイトサイドの仕事だ。そこを履き違えて貰っちゃ困る。それに、その程度の事が出来なきゃ、二流以下の三流なんじゃないのかい?」
成功なぁ。
「そうだな。確かに、それはサイトサイドの問題だな。でもよぉ、それを望んでいない者に強制するもんでもなかろうに。……まぁ、少々誤解がある様だから、一応キッチリと言って置くがな。俺は決して、沙那ちゃんの参入を拒んでる訳じゃねぇだぞ。あの子が望むなら、それは全力を上げてバックアップするつもりだからな」
そろそろ、落し処が近づいて来てるから、お互いにクールダウンが必要だな。
此処からは、こう言う言い方も必要に成って来てるだろうしな。
「左様ですか。旦那の甘さにはホトホト呆れた。……けど、それを含めて、サイトサイドの仕事だって言いたい訳だな」
「はい?いやいや、そうじゃなくてな……」
「了解さな。あの子が、やる気にさえなれば、旦那も文句はないんだろ」
「いや、だからよぉ。そうじゃなくてよぉ……」
聞けや!!
違うつってんだろうが!!
オマエが勧誘したら、子供相手でも、強引な悪魔みたいな勧誘をしそうだから、まずは俺の話をちゃんと聞け!!
いや!!思い出せ!!
「まぁ、早い話。『親父さんの件』も含めて、俺に委任してくれるってこったろ」
あっ……
しっ、しまった!!そこを懸念し忘れてた。
サイトを上げて親父さんを推していく計画がある以上、沙那ちゃんが、これより後に参入したんじゃ『親の七光り』とか言われかねないもんな。
これは、大人ならまだしも、子供が耐えるには、少々厳しい問題だ。
なるほど。
そこを懸念してたからこそ、此処までモジャはこの話に喰い付いて来てた訳か。
納得。
「あぁ、そっ、そうだな。まっ、まぁ、そんな感じだ」
動揺しちゃったよ。
「今、ひょっとして、誤魔化した?」
「おぅ、完全に誤魔化した」
「正直だね」
こうやって言われてる時点で、全然誤魔化せてねぇし!!
しかも、なんで眞子がツッコミ?
「まぁまぁ、そう言いなさんなって。旦那は、1つの事象に拘るのは得意だが。2つの事象を同時に解決するのは苦手な方みたいだからな。……気持ちが、あの子に集中してただけさな」
アンタ、良い奴だな。
……けど、遠回しに、俺の事を馬鹿って言ってないか?
「あぁ、そうか、真琴ちゃん馬鹿だもんね」
言うな~~~~!!
心の奥底から、トラウマに成るぐらい自覚してるから、言うな~~~!!
そんな真正直に言われんでも、知っとるわい!!
「いやいや、眞子助。旦那は、決して馬鹿じゃないぞ。物の考え方や、捉え方が優しいだけの事さな」
「上手い事言うね。でも、それって、総称的に言えば、甘いって事でしょ」
「そうさな。確かに甘いが、その甘さこそが、旦那の最大の持ち味。それに考え様によっちゃあ、それが、最高地点の妥協ラインになる可能性が高い。そんで、その甘いと思われるラインから、全員が納得出来る妥協ラインを探せば、今のような結果にも成り得る。だから、意見としては甘くても、旦那の意見は、実は、かなり有用なんだぜ」
そうなんか?
俺さぁ。
自慢じゃねぇけど。
別に、そういうのを自覚して、言葉を口に出してる訳じゃないんだけどな。
どちらかと言えば、本能の赴くままに話をしてるだけなんだがな。
まぁ……それが役に立つって言うなら、それは、それで、なんかの役には立つんだろうな。
「そっかぁ。そう言う捉え方もあるかぁ」
「明らかに、これに関してはあるな。まぁ、眞子助は、旦那とは姉弟だから、少々解り難いかも知れないけどな。普通は、そう言う最高値の妥協ラインを探すのって、結構、骨の折れる仕事なんだぜ」
「そうかなぁ?甘い事を言っていれば、ある程度、当て嵌まるものじゃないの?」
「それは違うさな」
「なんで?」
「なんでって。旦那の意見って言うのは、ただ甘いだけじゃなくてだな。お互いが『損だけをしない』妥協点を、常に探してるからだよ」
いや……ホント、そんな事考えてねぇけど。
「『損をしないだけ』?それじゃあ、サイト経営がダメになるだけじゃないの?」
「そうだな。確かに、ソレも然り。眞子助の言う通り、サイトの経営をする以上、それだけじゃ、普通はダメだな」
「だったら、結局ダメなんじゃないの?それに利益を上げて初めて、サイトを運営してるって言うんじゃないの?」
ダメダメ言うな。
「それは、ちょっと違うさな。そんな風に、今の眞子助同様、普通の運営思考に成っちまったら、どうしても『一方的な利潤しか』考えなくなっちまうのも否めないじゃないかい?」
「うん。そうだね。けど、会社の運営って、そんなもんじゃないの?」
「そうさな。けどな。本来は、それじゃあダメなんだよ」
ダメなんか?
俺が、そう思ってると、眞子も、なにやら真剣に悩み始めた。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
倉津君の考え自体は、やや甘い考えではあるのですが。
この甘い考えを自然に出来ると言うのは、実は凄い事だったりもします。
何故なら、本編でも語らせて頂きましたが。
普通の企業なら、こんな事は一切考えずに「利益だけを追求しようとするスタイル」をとりますので、相手側のストレスがたまる一方。
そしてそれがこそ、相手の事を考えない、今現在の資本主義に飲み込まれた日本企業のスタイルにも成っている訳です。
ですが倉津君は、こういった事を極当たり前の様に言ってくるからこそ。
モジャさんは『世の中の考えを変えるには良い機会だ』だと思い、倉津君と組む事を選んだ訳ですからね。
早い話、世の中のスタンダードを変えるには、倉津君の様な考えが必要だって事です。
まぁ勿論、物凄くバランス調整の難しい事象ではあるのですが。
仮に、これが上手く行けば、今まで不遇に扱われてきた人間が、こぞって倉津君達のサイトに登録してくれるでしょうし。
そうなると当然、他の企業も考え方を改めないとダメになってくるのは明白ですからね。
変化や改革とは、こうやって行われて来た訳ですし(笑)
さてさて、そんな中。
倉津君や眞子は、このモジャさんの考えに行き着く事が出来るのか?
次回は、その辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来てくださいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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