最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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427 ほんの些細な恩返し

公開日時: 2022年4月9日(土) 00:21
更新日時: 2022年12月30日(金) 13:51
文字数:1,617

●前回のおさらい●


 真上さんを手伝いに来たが、それも出来なかった倉津君。

そして更に、真上さんがクラスの出し物を手伝ってくれる事を知って、彼女のメイド姿に期待し、強請る倉津君だったが。

真上さんは、倉津君のクラスメイトの今までの努力に対して『差し出がましい事をしたくない』ので、それを断った事が解る。


そんな真上さんの心ある気遣いに対して、自分の自分勝手な思い込みに落胆する羽目になる。

「あぁっと、真上さん。……無理言って、すんません」

「あぁっと、えぇっと、謝らないで下さい。私が、自分自身で勝手に決めた事なので、倉津さんが謝られる様な事は、なにも無いんですよ」

「でも、俺ッスね……」


はぁ~~~……謝った処で、この人は、そう言う風には受け取らないか。


思っていた通りの反応が返って来た俺は、少し気を落とした。


けど、落胆する俺に、彼女は、こんな事を言ってきた。



「あっ、あのですね。突然で申し訳ないんですが。くっ、倉津さんは、お祭りは、お好きですか?」

「えっ?あっ、あぁまぁ、実家が実家なだけに、祭りは好きッスね」

「そうですか。では、宜しかったらなのですが。私と、少し出店を散策して頂けませんか?」

「えっ?けど、真上さん。俺のクラスに行くんじゃ……」

「えぇっとですね。私が、思っていたよりも早く、商品の在庫が無くなってしまいましたので、大谷さんとの約束の時間まで、その……少々時間が出来てしまったんですよ。……ですから、本当に宜しかったらなのですが、少しお付き合い願えませんか?」


……はぁ、なんかもぉ、自分がやるせないな。

こんな言葉まで真上さんに言わすなんて、どこまで彼女に気を使わせれば気が済むんだろうな。


……ってか、此処まで言って貰ったのに、断る訳にもいかなよな。


でも、ホント情けねぇよな。



「あっ、あの、真上さん!!」

「あっ、あっ、ハイ!!なっ、なんですか?」


イカン、また無駄に気合入り過ぎた……



「いや、あのッスね」

「あっ、はい」

「出店を回るのは良いんッスけど。1つだけ約束してくれますか?」

「あっ、はい。なんでも、おっしゃって下さい」

「じゃあッスね。此処の金は、全部『俺の奢り』って事にして下さい。お願いッスから、これだけは聞き入れて欲しいッス」

「えぇっと、あの……」


困っちゃったか……


けどな。

馬鹿の俺でも、流石に、此処だけは折れれないんだよな。


俺や、クラスの事を含めて、なにからなにまで、こんなに気を使って貰った上に。

お世話になった恩返しも出来ていないんじゃ『人としてどうよ?』って、話なんだよ。


それに……これからまだ、クラスを手伝ってくれるって言ってるのにだな。

その恩義に報いず、なにもしない訳にはいかないなんて、もう人としてどうよ?

最低でもこれぐらいしなきゃ、真上さんにして貰った恩義が溜まる一方でしかない訳だ。


勿論、こんなチンケな事で、恩返しが出来るとは思っちゃいないがな。


取り敢えずだ、取り敢えず。



「お願いッス!!一生のお願いッス!!」

「あっ……あぁっと、えぇっと、困りました」

「そこをなんとか!!」

「えっ?どうして……ですか?どうして、そこまで、そう『奢りたい』と思われてるのですか?」

「だって、真上さんには、いつもお世話になりっぱなしだし。俺、それに対して、なにも、お礼が返せて無いんッスよ。こんなの、流石にダメっすよ」

「あっ、あの、私、倉津さんに貸しなんて作ってませんよ。親切にして頂いたから、頑張らせて頂いてるだけなんですから」

「じゃあ、俺も頑張りたいッス。こんなチンケな事しか出来無いッスけど。真上さんを愉しませてあげたいッスよ」

「そう……なのですか?あぁっと、じゃあ、お言葉に甘えさせて頂いて、宜しいでしょうか?」


えっ?


これって……真上さんが話に乗ってくれたのか?


あれ程、人に借りを作るのが嫌いな真上さんが乗ってくれたのか?


なら、気が変らない内に、早く確認しよ!!



「マジっすか?マジっすか?マジで奢らせてくれるんッスか?」

「あっ、はい。ですが、知りませんよ」

「なっ、なにがッスかね?」

「私、こう見えても、凄くお祭りが好きなんですよ。……破綻しても知りませんよ」

「そんなもんぐらい、ドンッと来いッスよ!!」

「くすっ……そうですか」


いや……女の子1人分ぐらいなら大丈夫だよな?


まっ、まぁ、イザとなればだな。

出店の人間ってのがウチの組員が大半だし、そこはまぁ、なんとか成るだろう。



多分……


解んねぇけど……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


ほんの些細な恩返しではありますが。

今、倉津君が出来るお礼が、これが限界と行った所でしょうか(笑)


だが問題なのは『お祭り好きと言った真上さんの言葉』


大丈夫なんでしょうかね?(笑)


さてさて、そんな中。

次回は、そんな二人が出店を回る話なのですが。

よかったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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