●前回のおさらい●
真上さんを手伝いに来たが、それも出来なかった倉津君。
そして更に、真上さんがクラスの出し物を手伝ってくれる事を知って、彼女のメイド姿に期待し、強請る倉津君だったが。
真上さんは、倉津君のクラスメイトの今までの努力に対して『差し出がましい事をしたくない』ので、それを断った事が解る。
そんな真上さんの心ある気遣いに対して、自分の自分勝手な思い込みに落胆する羽目になる。
「あぁっと、真上さん。……無理言って、すんません」
「あぁっと、えぇっと、謝らないで下さい。私が、自分自身で勝手に決めた事なので、倉津さんが謝られる様な事は、なにも無いんですよ」
「でも、俺ッスね……」
はぁ~~~……謝った処で、この人は、そう言う風には受け取らないか。
思っていた通りの反応が返って来た俺は、少し気を落とした。
けど、落胆する俺に、彼女は、こんな事を言ってきた。
「あっ、あのですね。突然で申し訳ないんですが。くっ、倉津さんは、お祭りは、お好きですか?」
「えっ?あっ、あぁまぁ、実家が実家なだけに、祭りは好きッスね」
「そうですか。では、宜しかったらなのですが。私と、少し出店を散策して頂けませんか?」
「えっ?けど、真上さん。俺のクラスに行くんじゃ……」
「えぇっとですね。私が、思っていたよりも早く、商品の在庫が無くなってしまいましたので、大谷さんとの約束の時間まで、その……少々時間が出来てしまったんですよ。……ですから、本当に宜しかったらなのですが、少しお付き合い願えませんか?」
……はぁ、なんかもぉ、自分がやるせないな。
こんな言葉まで真上さんに言わすなんて、どこまで彼女に気を使わせれば気が済むんだろうな。
……ってか、此処まで言って貰ったのに、断る訳にもいかなよな。
でも、ホント情けねぇよな。
「あっ、あの、真上さん!!」
「あっ、あっ、ハイ!!なっ、なんですか?」
イカン、また無駄に気合入り過ぎた……
「いや、あのッスね」
「あっ、はい」
「出店を回るのは良いんッスけど。1つだけ約束してくれますか?」
「あっ、はい。なんでも、おっしゃって下さい」
「じゃあッスね。此処の金は、全部『俺の奢り』って事にして下さい。お願いッスから、これだけは聞き入れて欲しいッス」
「えぇっと、あの……」
困っちゃったか……
けどな。
馬鹿の俺でも、流石に、此処だけは折れれないんだよな。
俺や、クラスの事を含めて、なにからなにまで、こんなに気を使って貰った上に。
お世話になった恩返しも出来ていないんじゃ『人としてどうよ?』って、話なんだよ。
それに……これからまだ、クラスを手伝ってくれるって言ってるのにだな。
その恩義に報いず、なにもしない訳にはいかないなんて、もう人としてどうよ?
最低でもこれぐらいしなきゃ、真上さんにして貰った恩義が溜まる一方でしかない訳だ。
勿論、こんなチンケな事で、恩返しが出来るとは思っちゃいないがな。
取り敢えずだ、取り敢えず。
「お願いッス!!一生のお願いッス!!」
「あっ……あぁっと、えぇっと、困りました」
「そこをなんとか!!」
「えっ?どうして……ですか?どうして、そこまで、そう『奢りたい』と思われてるのですか?」
「だって、真上さんには、いつもお世話になりっぱなしだし。俺、それに対して、なにも、お礼が返せて無いんッスよ。こんなの、流石にダメっすよ」
「あっ、あの、私、倉津さんに貸しなんて作ってませんよ。親切にして頂いたから、頑張らせて頂いてるだけなんですから」
「じゃあ、俺も頑張りたいッス。こんなチンケな事しか出来無いッスけど。真上さんを愉しませてあげたいッスよ」
「そう……なのですか?あぁっと、じゃあ、お言葉に甘えさせて頂いて、宜しいでしょうか?」
えっ?
これって……真上さんが話に乗ってくれたのか?
あれ程、人に借りを作るのが嫌いな真上さんが乗ってくれたのか?
なら、気が変らない内に、早く確認しよ!!
「マジっすか?マジっすか?マジで奢らせてくれるんッスか?」
「あっ、はい。ですが、知りませんよ」
「なっ、なにがッスかね?」
「私、こう見えても、凄くお祭りが好きなんですよ。……破綻しても知りませんよ」
「そんなもんぐらい、ドンッと来いッスよ!!」
「くすっ……そうですか」
いや……女の子1人分ぐらいなら大丈夫だよな?
まっ、まぁ、イザとなればだな。
出店の人間ってのがウチの組員が大半だし、そこはまぁ、なんとか成るだろう。
多分……
解んねぇけど……
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
ほんの些細な恩返しではありますが。
今、倉津君が出来るお礼が、これが限界と行った所でしょうか(笑)
だが問題なのは『お祭り好きと言った真上さんの言葉』
大丈夫なんでしょうかね?(笑)
さてさて、そんな中。
次回は、そんな二人が出店を回る話なのですが。
よかったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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