●前回のおさらい●
自身の中にあるであろう倉津真琴としての願いと、今の眞子である願いを同時に叶えるには『崇秀と奈緒さんを同時に愛するしかない』と考えた眞子は、2人に告白し……眞子に甘い奈緒さんは、一応は賛同してくれるが。
崇秀が……
「3人で幸せなぁ。……本当にオマエは、それで良いのか?本当に、そんなんだけで満足なのか?俺は、そんなんじゃ、ちっとも満足出来無いね」
「解ってるよ。でも、別にね。奈緒ネェと、崇秀を束縛したくて、こんな事を言ってるんじゃないんだよ。そこだけは履き違えないでね。ただ、私はね。こうやって一緒に居る時ぐらい『みんなで楽しくやりたいなぁ』って思ってるだけ。だから別に『Hしたくない』って言うなら、一生しなくても良いよ。私は、少しでも多く、2人との共有出来る時間が有れば、それだけで満足だから」
「ほぉ~~~、お得意の綺麗事を抜かしやがるな。じゃあよぉ。それが例え、1年に1回しか逢えない様な関係でも良いって言うんだな?」
「うん、勿論。そこは私なりに、ちゃんと理解してるつもり。崇秀も、奈緒ネェも、年がら年中忙しい人だからね。もぉ2人に迷惑の掛かる様な無理は言いたくない。だからホント、年に1回でも楽しくやれればOK、OK」
……って言う、かなり妥協した提案をしてみたのですが、如何なものですかね?
そろそろ、妥協しませんか?
「ハァ~~~~。じゃあ、もぉ1つだけ言って良いか?」
「あぁ、うん、勿論。なんでも言って、言って。まずは、全体的に蟠りを無くそ」
崇秀のこの態度って……私の願いが通じたのかなぁ?
ひょっとして、私の気持ちが解ってくれたんじゃないのかなぁ?
これって、少しは期待しても良いのかなぁ?
もしそうなら、凄く嬉しいんだけどなぁ♪
「なら、此処で1つだけハッキリ断言するぞ。……俺はな。オマエとだけなら付き合っても構わねぇが。向井さん込みの話は、なにがあっても、絶対にお断りだ。何があっても此処は折れねぇ。悪いがな。俺は、そう言うのが、本当に嫌いなんでな。正直オマエの話には虫唾が走る」
「あっ……」
ヤッパリ、相手が崇秀だけに一筋縄では行かないなぁ。
「……それと向井さんに、序に質問なんだが。もし『倉津真琴が帰って来る』としたら、向井さんはどぉする?」
えっ?
ちょっと……私は、倉津真琴込みで、ちゃんと此処に居るんだけど?
さっきから、ちゃんとそう言う認識だって言ったじゃない……
なのに、おかしな事を言うなぁ。
「へっ?ちょ……それ、どういう事ですか?」
「いやな。これはズッと以前から考えてた事なんだがな。眞子の細胞を使って、アイツに新しい体を作ってやって、倉津真琴を復活させてやりたいと思ってるんだよ。……あぁ、勿論、倉津の思考は、例のデーターを取った時点になるが。見た目はそのまんま。まぁ唯一指紋だけは違うかも知れないが。それ以外は、完全な倉津真琴。『こう言うのは有りか?』って、話を聞いてるんだよな?」
なっ!!
崇秀……マジで、そんな事を考えたんだ。
それって、あの脳内会議で、私の海馬が言っていた事と、ほぼ一致してるじゃん!!
でも、ダメだって、そう言う倫理的にも反するOUTな行為は……
「あぁ……気持ちは有り難いんですけど。ハッキリ言えば、それだけは絶対に無しな方向ですね。それ……明らかにクラじゃないですよ」
「そうかなぁ?俺は、コイツの体を戻して、データを書き込んでOKだって言うなら、これも同じだと思うんだがな。それに、その本人が倉津だと認識してるのに、それが倉津じゃないって言うのは、ちょっと変じゃないか?ソフトもハードも寸分違わず合ってる筈なんだがな」
「それは……表面上での話は、そうかも知れませんけど。仲居間さんは、人して、なにか間違ってませんか?それって平たく言えば『クラのクローン人間を作る』って事でしょ?」
「まぁ、そうだな。解り易く言えば、そう言う解釈で良いと思うぞ。まぁそれに向井さんの言いたい倫理的な面での意味も、なんとなく解るんだけどな」
「だったら……」
崇秀、ひょっとして……
「まぁ、解ったからと言って、納得は出来無いんだよな」
「どうしてですか?眞子が居れば十分良いじゃないですか」
「それは違うぞ」
「なにが違うって言うんですか?これは、本人が嫌がるから余り言いたくないんですけど、眞子は、クラなんですよ」
あぁ……心配しなくても、もぉ大丈夫ですよ。
真琴ちゃんは、私の中でシッカリ息衝いています。
だからもぉ、その辺に関しては気にしないで貰っても大丈夫ですよ。
「じゃあ聞くがな。倉津真琴を求めて居る人間に、眞子が、なんの対応が出来るんだ?向井さんは、アイツが、どれだけの人に慕われてるのか知らない訳じゃないだろ?以前から言ってるけどなぁ。眞子は、何所まで行っても眞子でしかないんだ。コイツに倉津の替わりは勤まらない」
「だからって、クローンは……」
「良いかい、向井さん?人が求めて居る以上、誰かが、その業を背負ってでも、人の求める者を作り出さなきゃならない。それが例え、倫理的にOUTなものだろうと、そんなのは問題じゃないんだ。重要なのは、人に慕われてる人間を、この世から消しちゃいけないって事なんだよ」
また崇秀の狂気が始まった。
崇秀は、1度、誰かの為だと判断したら最後。
それはどんな事をしても、誰が止めようと歩みを止めない。
これは、どうやら本格的に『神の領域』に土足で踏み込むつもりだ。
それに崇秀が言った件で、私は、少しだけ解った事がある。
幾ら私が、真琴ちゃんの心を持っていると言っても、矢張り、彼自身の替わりには、どうやっても成れない。
どれだけ頑張ってみても『男女の性差』で、私達って別物なんだね。
「それは、明らかに、自分の意見を正当化する為の詭弁なだけなんじゃないですか?」
「あまりにも馬鹿馬鹿しい意見だな」
「どうして?どうしてそんな事が言えるんですか?これのどこが詭弁じゃないって言うんですか?」
「そうじゃない。俺は最初から『自分が正当性がある』なんて更々思っちゃ居ない」
「えっ?」
「寧ろ俺みたいな倫理観のない人間は、人間の屑だ。けど俺は、自分が屑だと言われ様とも、倉津真琴を復活させてやりたい。いつまでも奴を『失踪させて置く』のは偲びないんでな。それになにより、俺としては、どうしてもアイツには、眞子とは違った、アイツ也の人生を送らせてやりたいんだよなぁ。……だから、受け入れてやってくれないか?」
「だから無理ですよ。……そんなの、理屈では、そうかも知れませんけど。赤の他人に等しいじゃないですか。そんなの無理ですよ」
流石に、なんとも言い難い話なんだけど。
今までの経過で、私の中じゃ『倫理的にはダメ』だって解ってても、結構『有りかな』って気持ちも湧いて来てる部分がある。
確かに、この崇秀がやろうとしている事は『人のやる所業としては、完全にOUT』『完全に神の領域に土足で踏み込んでる行為』
とてもとても、人として許される行為じゃない。
でもね、今現在『倉津真琴の存在』って言うのは、世間的には『空位』な訳でしょ。
だったら、誰もが真琴ちゃんの復活を求めてるなら『真琴ちゃんのクローンを作っちゃっても良いんじゃないかなぁ?』っと、全てが解りながらも、そう思っちゃってる自分が居る。
まぁ勿論、私自身としましては、自分自身がもぉ1人居るのと同じ訳だから、ぶっちゃけ言っちゃえば『気持ち悪い』と言えば『かなり気持ちの悪い』話なんだけどね。
でも結局、奈緒ネェ自身の幸せを考えたら……
ヤッパリ、男である真琴ちゃんの方が、私より良いのかなぁって……思えたりもする。
ただ、此処でハッキリ言って置くけどね。
私自身が、奈緒ネェに対する自信が無い訳じゃないんだよ。
今の私は、例え女の身であっても、十分に奈緒ネェを愛しきる自信はある。
ただ……奈緒ネェの本心は『どうなのか?』って話なんだよね。
まぁだから、これ以上、奈緒ネェが嫌がる様なら、この話は、ご破算にするのが順当だろうけどね。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
さてさて、恋愛話だった筈なのに。
突然降って湧いて来た様に『クローンの話』が出てきた状態に成ってしまった訳なのですが。
皆さんは、この崇秀の意見……どう思われましたか?
まぁ普通に考えたら『倫理観のない人間の違法な行動』『神様への反逆行為』っと言うのが一般的な意見だと思います。
……ですがね。
常識の範疇を超える馬鹿が世の中に居たからこそ、人類が発展して来ているのも、また事実。
敢えて、その大人でも中々『背負えない様な業』を、まだ中学生の崇秀は背負おうとしているのですから……私は、再度、皆さんにお聞きしたいです。
【この崇秀の行動を、皆さんは、どう思われますか?】
……っとまぁ、そんな感じで次回は、この続きを書いていきたいと思いますので。
この結末がどうなって行くのか?を気にして下さる方が居られましたら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
読み終わったら、ポイントを付けましょう!