最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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723 上位ランカーですら……

公開日時: 2023年1月30日(月) 00:21
文字数:4,255

●前回のおさらい●


 奈緒さんの曲に込めた気持ちを崇秀が演出し。

それを聞いた眞子は、奈緒さんの気持ちに応えきれない自分に葛藤していた。


そんな折……

 8曲を弾き切ったんだけど……


此処まで強い想いを込めていてくれたなんて……


そんな奈緒さんの、絶大なまでの私に対する愛情に対して応えられる自信が無い私が、今抱える気持ちは……情けないだけ。


そんな心境も重なって……


また、涙ポロポロ出て来た……



「……まぁ、ってな感じが、向井さんの気持ちなんじゃねぇか」

「……グスッ!!グスッ!!……」

「うわっ!!いつの間にか、また泣いてやがる。……オイコラ。なに泣いてんだオマエわ?」

「……泣いてないよ。……泣いてない。ただちょっとさぁ。『Sold the world』(売られた世界)と『帰郷』が感動的だなぁっと思ってね」

「オイオイ、確認の為に言って置くがな。これはあくまで俺の主観の話だからな。向井さんの本当の気持ちまではわからねぇぞ」


そうだけどさぁ……なんか、凄く説得力があるんだもん。


崇秀の演奏の仕方って、奈緒さん気持ちっぽいんだもん。



「『パチパチパチパチ……』いや、流石、仲居間さん。最高の演出でした」


あっ……一瞬誰かと思ったら、ホランドさんだ。



「どこに行ったのかと思えば。『抜け駆け』なんて、ズルイね、鞍馬」

「ホントだよ。こんな面白い事をしてるなら、せめて『僕だけでも』誘ってくれれば良いのに。仲間なんだからさ」

「「「「「ブゥブゥ!!そうだそうだ。酷いぜこんなの!!勝手に始めてよぉ!!」」」」」

「「「「「俺達も一緒に演奏させろぉ!!同じランカーなんだから贔屓すんなぁ!!」」」」」

「「「「「……けど、取り敢えず、息の合った演奏で、凄い最高だったぞ!!」」」」」

「「「「「オイ!!みんな、拍手だ!!拍手!!抜け駆けした2人に拍手贈ろうぜ」」」」」

『パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ……』

『パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ……』

『パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ……』

「「「「「わああぁあっぁぁぁ~~~~~~~!!」」」」」


わっわっわっ……


なにこれ?なにこれ?


ミナさんに……

エディさん……


……って言うか。

奈緒さんの曲に集中してた演奏から、全然気付かなかったけど。

いつの間にか会場内が『GUILDランカー』の方や『関係者』の方で埋め尽くされてる。


あれれ?


なんじゃね、これは?



「はいよ~~~。我が愛すべきGUILDランカーの皆さん、ようこそ『B・B・C』へ。眞子と、俺の前座は楽しんで貰えたか?」


うわっ!!対応早ッ!!

まるで何事も無かった様に、今の演奏を前座にしてライブを始める気だ。


凄い……図太い神経だ。


でも、そう考えるとさぁ。

私も同罪だから、私と、崇秀の2人って、ただのやりたい放題だね。


ははっ……



「足りねぇじゃねぇの?前座にしちゃあ、まだ、なにかが足りねぇよな。……だから、俺ちゃんにも、なんか一曲ぐらいやらせろよ、仲居間ちゃ~~ん!!一発プリ~ズ!!」

「ほぉ、おもしれぇ事を言うな。なら、前座最後の曲を奏でさせてやるからよ。ディック、ステージに上がって来い」

「ほい来た」

「エリアス。エリアス=コーエン、ステージに上がってベース弾け」

「ヤッパリ、来たわね。ご指名感謝♪鞍馬もおひさ」


あっ!!エリアスさんだぁ!!

【ジョージア州アトランタ】と【ミシガン州デトロイト】で、2度も私のピンチを救ってくれた救世主様のエリアスさんだぁ!!


私、この人、超大好き!!



「あの、あの、エリアスさん!!この間は、どうもありがとうございました!!ホントに助かりました!!」

「なになに。気にしない、気にしない」

「ホランド、ギター。エディ、シンセ。ミナ……悪いがバックコーラス」

「了解しました、仲居間さん」

「そうこなくっちゃね。面白味が無いってもんですよ」

「私をバックコーラスに使うって?なんて良い度胸なの……けど、楽しそうだから、当然OKね」


あれ?


ホランドさんのギターも、エディさんのキーボードも納得出来るけど……なんで、ミナさんがバックコーラス?


ミナさんをバックコーラスにして、誰が唄うの?

そんな贅沢な人が居るとしたら『GUILDのヴォーカルランク1位か2位』の人かなぁ?


……怖ッ!!



「よし、これでメンバーは揃った」

「「「「「ちょっと待て仲居間さん!!上位ランカーの指名は、今回無しじゃないのかよぉ?」」」」」

「それは、本番の話。今は前座だから、当然関係なし。フェスの前夜祭にやる気紛れセッションだと思え」

「「「「「なんて詭弁だ!!主催者だからって卑怯だぞ!!俺にもやらせろ!!」」」」」

「あぁ良いぜ。なら勝手にステージに上がればぁ。まぁ、このメンバーと一緒に弾く根性の有る奴がいるならドンドンステージに上がって来い。俺は基本的に大歓迎だぞ」

「「「「「がっ!!それを言うかぁ!!」」」」」

「言う。……このヘタレ共め」


あぁ……そっか。

これだけの実力者集団がステージ上に上がってしまったら、他のランカーの人は、中々、ステージには上がれなくなるよね。


このステージ上に居る人達って、揃いも揃って上位ランカーばっかりだもんね。


此処に飛び入り出来る様な太い肝の持ち主は居ないかぁ。


……にしても、相変わらず崇秀は傍若無人だね。



「HEYHEY!!仲居間さ~~~ん。遊びましょ」

「あぁ、ズルイ、ズルイ!!ドラちゃんが行くなら私もぉ♪仲居間さん、私もバックコーラスで良いから仲間に入れてよぉ」

「「「「「!?」」」」」


ウグッ!!

更に、上位ランカーが集まっちゃったよ!!


この人達って21日目のライブ【イリノイ州セントルイス】でお世話になった。

●ステファン=ドラガンビッチさん(Gランク7位)

○アニス=マクドガルさん(VOランク11位)

の、お2方。


またしてもBEST20位圏内の人じゃん!!


なにこれ?


……っで、本当に誰が唄うの、これ?

この面子の中で唄うって事は、ランカー1位・2位の人って、そんなに凄い人なんだね。



「おぉ、ステファンに、アニスか。上がれ上がれ」

「お邪魔ぁ~~~」

「私もぉ~~~」


これ……もぉ、絶対に誰も上がれないね。



「ふむ、そろそろ締め切りだな。これ以上は、流石にステージには上がれないからな。満員御礼にて終了」


だよねぇ~~~。



「……だがな。これは、さっきも言ったが『ただの前座』だ。ステージに上がらなくても、観客席にはアンプが沢山用意してあるから、上がるのを遠慮してる奴も好きに演奏しな」


うぇ!!いつの間に、そんな仕掛けを……


……ってか!!

崇秀が一番乗りじゃなかったのって、此処のスタッフと打ち合わせしてたからなんじゃないの?


……って事はなに?

このライブハウスは、仕掛け満載のトリック・ライブハウス?


……って言うかぁ!!


●ベクター=グリムさん(Bランク8位)

●ポール=スミスさん(Gランク8位)

●エルビス=スカイさん(Gランク9位)

●フランク=カマラさん(Kランク15位)

……達、なに黙ったまま、アンプにチョッケルで刺してるんですか?


嫌すぎるよ……このメンバー。



「よぉし、これで本当に締め切りだ。眞子『三味線』を貸せ」

「えっ?あぁうん。……あの、でも、崇秀。エリアスさんや、グリムさんが居るんだったら、ベースは、もぉ要らないよね?私は何したら良いの?ひょっとして、ステージから降りろって事?」

「なに言ってんだ、この草履蟲。……オマエが、このメンバーでメインボーカルを務めるんだよ」

「はい?」


マジで、はい?


なに?


今よく聞こえなかったなぁ?


なんか言った?



「だから、オマエが前座の締めで『鞍馬』を唄うんだよ」

「えぇっと……なにを言ってるのか、ちょっと意味が解らないなぁ」

「ゴチャゴチャ言うな。……う・た・え」

「あっ!!ちょ!!ちょっと!!」


えぇ~~~~~!!

私の大切な『79 Sting -ray ちゃん』を、崇秀に荒っぽく強奪されたよぉ!!


返してよぉ!!

こんな面子の中で歌を唄うのなんか、絶対無理だよぉ!!


嫌だぁ~~~!!



「返して欲しかったら。早く、三味線取って来い。じゃねぇと、此処で『79 Sting -ray』を、床にブチ当ててクラッシュするぞ」

「ちょ!!ヤメテ!!やめて!!取って来るからヤメテよ」

「なら、サッサと行け。10秒以内な」


うわ~~~ん!!


虐めっ子ぉ~~~~!!


……ってか!!

そんな事よりも、本気で、このメンバーの中で私に唄わさせる気?


それ……正気の沙汰じゃないよ。


アンタは鬼ですか?


あぁ……傍若無人な狂魔王でしたね。


・・・・・・


……あっそ!!

もぉえぇわい!!そこまで言うなら唄ったるわい!!

その代わり、この場で、なにが起こっても知らないからね!!


『ブーイングの嵐』を喰らったら、思い切り泣いたる!!


私は、早速ヤケを起こして『しゃみ太』を手に取り。

ステージに上がった後、崇秀の胸に『ドン』って押し渡した。



「……知らないからね」

「心配すんな。……オマエの意思は関係ない。嫌でも上手く唄わせてやる」

「えっ?」

「なんせ、こんなにも演奏が出来る良い人形がいっぱい集まってるんだからなぁ。既に、なんも問題はねぇよ」

「えっ?ちょ……あの、まさか……」


ちょっと……


例の『あれ』はヤダよ。



「んじゃあ行くぜ!!……『鞍馬』!!」

「「「「「わあぁああぁぁぁ~~~ッ!!行けぇ~~~っ仲居間さ~ん!!」」」」」

「「「「「期待してるぞぉ~~~~~ッ!!かっ飛ばせぇぇ~~~~っ!!」」」」」


いやあぁぁ~~~~~!!


♪♪----♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪-----♪♪♪♪♪♪♪♪----……


……と、思った時には、時既に遅し。

崇秀の静謐な三味線の音色が、会場内に響き渡った。


……その瞬間、楽器を持った人や、マイクを持った人は、崇秀の音色に段々と意識を奪われ。


ドンドンと虚ろな目になっていく。


ヤダヤダヤダヤダヤダ……あれだけは、絶対ヤダよぉ!!



「さぁ~~~て、行くぜぇ~~~!!『Level 20Energy-drain』+『狂奔・Dancing-Marionette』……タップリ味わいな」


♪♪----♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪--♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪-----♪♪♪♪♪♪♪♪----……


Level『20』って、なにぃ~~~~~!!


前の奈緒さんがやった横浜アリーナのライブですらLevel『10』だったんだよ!!


『軽く死ぬ』って、そんな事を強要したら!!


ダメだって!!殺人だって!!


あっ……ダメだ。


体が勝手に動き出して……私、いつの間にか、マイクを手に持って『鞍馬』唄ってる。


……死んだね、これわ。


皆さん……さよなら。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


崇秀が奈緒さんの気持ちを代弁し。

眞子は感動と同時に、どうすれば良いか解らなくなっていた所に、このイベント。


ひょっとしたら崇秀が、そんな眞子に何かを感じ、こう言うイベントに持ち込んだのかもしれませんね。


さてさて、そんな中。

崇秀の『Level 20Energy-drain』+『狂奔・Dancing-Marionette』が炸裂してしまい。

ステージ上は大混乱に成ってしまった訳なのですが。


どう言う風に反応が返って来るかを、次回は書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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