●前回のおさらい●
謎の子供、龍斗君に振り回されたまま、素直ちゃんはバンドの練習に。
そして倉津君は、龍斗君の謎の行動の理由を確かめる為に、2人で喫茶店に向かう。
時間は7時半。
ガキに従うのは非常に癪だったが、近場の喫茶店に入って行く。
中に入ると、人気の少ない奥の席が空いていたので、そこに2人して座り。
注文を取りに来たねぇちゃんが、話の邪魔になっちゃイケねぇから、先にホットコーヒーを2つ頼んでから話を始める事にした。
「さて、場所も落ち着いた。早速だが、素直の件が、どういう事なのか教えて貰おうか?それと序に、オマエが何者かって話もな」
「良いよ。不必要な前置きなんか面倒なだけだからね」
相変わらず、堂々とした態度のまま話を始める。
「まず俺の正体って聞いてたけど。俺の正体は氷村雅斗ってコーディネーターの息子」
「ちょっと待て、氷村雅斗だと?」
「そうだよ」
「氷村雅斗って言やぁ、業界一のコーディネーターじゃねぇか」
「そう言う事……まぁウチの親父は、おにぃちゃんが言う様な大層なオッサンじゃないんだけど、取り敢えずは、これで、まずは最低限、納得はして貰えたと思う」
「あぁわかった。最低限度だが、オマエが、なんでガキの癖に金を稼いでるのかも良くわかった。親父のコネか?」
「そう言う事……まぁこれでも仕事は、キッチリやってるんだけどね」
「あぁそうなのか」
「まぁ、自分で言う事じゃないけどね。……さて、じゃあ1つ解決したから、次の話をするよ」
「あぁ」
質問を聞かずに、話を進める。
「第二の疑問……何故、素直おねぇちゃんに優しくするか?……だよね?」
「あぁ」
「あのライブ映像を見て『才能に惚れた』って言ったら、どう思う?」
「わからねぇ訳じゃねぇが、理由としてはイマイチだな」
「だよね。なら、キッチリとして理由を言わなきゃいけないね」
「なんで、最初から言わねぇんだ?」
「うん?それでわかったら楽だなぁとか思ったから」
「オマエ、馬鹿にしてるのか?」
「してない、してない。でも、ドン臭いとは思う」
「んだとコラ?テメェ、人が下手に出てるからって、あんま良い気になってんじゃねぇぞ」
まぁ、崇秀と長い付き合いがある俺だから、こう言った手合いは慣れているんで、今、少し怒ったフリをしたが、なにも我慢出来無い訳じゃない。
……が、ガキに此処まで言われる筋合いは無い。
「怒るかぁ。やっぱそうだね」
「馬鹿やろう。マジでブッ殺すぞ」
「あぁ違うな。これは、どちらかと言うと怒ってない方向か」
「なに言ってやがんだ。俺は、マジで怒ってんだぞ」
「『マジで怒ってる』って言う人は怒ってない証拠だよ。そんなの冷静だからこそ言えるセリフだよ」
腹が立つ。
マジで怒ってやろうか?
あっ……ホントだ。
冷静だ。
「まぁそんな事より、話を続けるよ」
「ちょっと待てオマエ。勝手が過ぎるだろ」
「待たない。ガキの言う事にイチイチ怒っててもしょうがない事ぐらい、おにぃちゃんは十分な程に理解してる筈だと思うけど」
「ったく、どこまでも生意気な野郎だな……んで?」
「うん……素直おねぇちゃんを買ってる理由だったね」
「あぁそうだ」
「簡単……今の業界はね。俺でもやっていける位、人材不足なんだよ。特にバンド系は酷い有様。粗製乱造がメインになってる。だから素直おねぇちゃんに限らず、あのバンドからは頗る美味しい匂いがすると思った。……なら、早目に手を付けておけば、後々あのバンドとの仕事がし易くなる。ただそれだけの事」
「じゃあ何か?オマエの好意は下心だらけって事か?」
「まぁそう言う事……納得出来た?」
納得出来たような、出来てないような……
「けどよぉ。あのシンセは、些かやり過ぎじゃねぇか?」
「あんなの安いもんだよ。高々14万程度で、後の仕事を買う。……逆に言えば、こんな美味しい話は無いと思うけど」
「オマエって、トコトン性根が腐ってるな」
「はぁ、まぁそう思われても仕方ないけどね」
「なんだよ?なんか理由でもあんのか?」
「いや……実はさぁ、全然関係ない話なんだけど……俺、好きな女の子が居てさぁ。ソイツを、どうしても幸せにしてやりたいんだよね。でも、なにをするにもお金が要るっしょ。だから貪欲に稼ぐ為に働く。ただそれだけの事」
ガキの癖に女の為って……その女、ドンだけ良い女なんだよ?
しかしまぁ、この年の餓鬼に、そこまで思われてるなんて、その女100%幸せもんだよな。
「なんだよ?オマエ、格好良い事してる割には、夢が小せぇんだな」
「うん、まぁね。でも俺、その女以外、全然興味ないんだよね。そいつが居れば、なにもイラナイ。だからソイツの為なら、どんな事でもする。ホントただそれだけ」
「なぁ。オマエの彼女って、そんなに良い女なのか?」
「良い女?……ぷっ……アイツが良い女?」
なんか知らないが、笑い出した。
なに思い出したんだ?
「おにぃちゃん、それは全然違う。アイツは決して良い女なんかじゃない。ただの幼馴染」
「なんだよ?オマエの口振りだと『凄ぇ良い女』に聞こえたぞ」
「まだ、そんなの判断出来無いよ。……だって俺、まだ小学三年生だよ。勿論、相手も小学三年生だから、胸もなきゃ、括れもない。そんなの良い女って言うには程遠いよ」
「はぁ?オマエ、今、なんつった?」
「胸も括れもない女」
「違う、その前だ」
「うん?小学三年生?」
ばっ、ばっ、ばっ、馬鹿な。
こんなガキ存在する筈が無い。
小学生で金を稼いで、将来の人生設計を立ててる奴なんて、絶対に居ない。
・・・・・・
いやいやいや待て待て……1人居たな、そう言う類のアホな人間が……
って事は、コイツも、あのアホの同類か……
なら、そう言う対応をしないとな。
「小学校三年生か……まぁ凄ぇな」
「一瞬驚いたけど、やっぱり、そこまでは驚かないか。流石、仲居間さんの幼馴染」
「まぁな……にしても、なんでおまえアイツの事を知ってんだ?音楽関係か?」
「あぁ、まぁそれで合ってるんだけど、正確には違う。どちらかと言えば『仕事関係』って言った方が、より正確だと思うよ」
「どういう事だ?」
「そっかぁ、その感じだと知らないんだ」
「なにをだ?」
「……仲居間さんの実家の理容店『バーバー仲居間』って、芸能人御用達の店だよ」
「はぁ?マジでか?」
知らなかった。
アイツの実家って、そんなに有名な店だったんだな。
……って言うか、あの野郎。
そう言う事は、キッチリと教えろよな。
誰が来てるのかは知らねぇが、有名人の『サイン』とか貰いてぇじゃねぇか。
「うん。オバサンの代から贔屓にしてる芸能人は多いね」
「凄ぇな、アイツん家」
「いや、それも、ちょっと違うんだよね。『オバサンの代から贔屓にしてる』って言っても、それは極一部の話。あの店を流行らせたのは、仲居間さん本人だよ」
「んだと?なんで、アイツなんかで流行んだよ?」
「率直に言うと『腕』だね。仲居間さんの腕は、芸能界で知らないのはモグリって言われるぐらい凄い。いや寧ろ、あれはエゲツない」
「マジか?」
「マジ……けど、彼の腕を知らない『駆け出しの新人芸人』とか『新人芸能人』は、安易に『おしゃれ』とか思って、青山とか、代官山に行っちゃう傾向がある。悪い訳じゃないけど、これはもぉ『お登りさんの典型パターン』って言っても良いね」
アイツは、どれだけ才能を持って生まれてきたんだ?
そりゃあよぉ。
アイツが努力してないとは、口が裂けても言わねぇよ。
けどよぉ、高々生まれて13年だぞ。
此処まで来たら、同じ時間を生きてる人間としては、納得出来ねぇよ。
なんなんだよ、アイツは?
それによぉ。
この餓鬼、もぅ一点気になる事を言いやがったな。
「なぁ、あのバカが有名なのは解ったが。なんで『青山』や『代官山』の美容室じゃダメなんだよ。腕の良い連中はこぞって、その場所に集まってるんじゃねぇのか?」
「確かにね。青山や、代官山には、腕の良いスタッフを沢山抱えてる店は多い。けど此処は、問題じゃないんだよね」
「じゃあよぉ、なにが悪いつぅ~んだよ?」
「忙しい店に行っても、基本的に相手にされてない事に気付いてない事。それと新人にカットされるだけって事が解ってない」
「んでだよ?特権階級みたいなもんで、芸能人だったら優遇されるもんじゃねぇのか?」
「な訳ないじゃん。そりゃあ『本当の有名人』なら、そう言った事も可能だろうけど。『駆け出しの芸能人』なんて一般客と、ほぼ何も変わらない。なら、キッチリ予約を取らないと、新人にカットされるに決まってるじゃん」
はぁ?芸能人って、誰でも優遇されるんじゃないのか?
「んでだよ?」
「死ぬほどダサイから」
「ダサいだと?」
「そぉ。駆け出しの芸能人なんて、ハッキリ言えば『素材』しか持たない、自意識が高いだけのイケてない連中が大半。予約を取らないと、お目当ての美容師にカットして貰えない事すらも知らない。そんなダサい奴が来たら、適当に対応するのは店としては当然だよね。わざわざ店のエース級を当てるなんて真似は、絶対にしないね」
「なっ、なるほどなぁ……じゃあよぉ。因みにだが、崇秀の店に行ったら、なんか変るのか?」
「全然対応が違う」
「どういう事だよ?」
訳がわかんねぇ。
「あの人は、誰が来ても知ってるんだよ」
「はぁ?」
「あぁ解り難いか……仲居間さんは、数社の芸能プロダクションと懇意にしてるから、有名芸能人に限らず、新人の情報が逐一仕入れている。だから、どんなド新人が来ても対応が出来るんだよ。あの人は、本当に妥協って言葉を知らない」
「ちょ、ちょっと待て……って事は何か?アイツの頭の中には、それだけの膨大な情報がインプットされてるって事か?」
「みたいだね」
信じられねぇ。
限度を越えた馬鹿だ。
どこまで手が抜けないんだアイツは……
「さて……一応、話は終わりだけど。納得して貰えた?」
「まぁ……まぁな」
「そっか、良かった。じゃあ、シンセ持って行ってくれるよね?」
「あぁそうだな……いや、ちょっと待て」
「ん?」
そう言えば、もう一個だけ疑問が有ったな。
「あのよぉ。オマエの言った事で、もぅ一個不思議に思った事が有るんだがよぉ」
「ん?」
「なんで、素直の指に指輪を嵌めたぐれぇの事で、シンセが上手くなるんだ?」
「あぁ、あれ」
「んだよ?そんな単純な話なのか?」
「勿論……でも、その指輪の効果を出す為には、おにぃちゃんがシンセを持って行ってくれる事が、必須条件だけどね」
「んだ?どういう事だよ?」
また訳の解らん事を……
「素直おねぇちゃんの性格を考えれば、至って簡単な事だよ」
「だからよぉ」
「素直おねぇちゃんって、どちらかと言えば、思い込み易い性格でしょ」
「まぁ、確かに、それは否めぇねぇな」
「じゃあ、そういう物だと、思い込ませれば良いんだよ」
「いや、確かに、そう言う風に思い込めば良いがよぉ。アイツは単純だが、そこまで馬鹿じゃないと思うが?」
「違う違う。そこじゃない。思い込ませるのは指輪だけじゃダメなんだよ。シンセを渡す事によって、初めて効果が出るって、さっき言ったじゃん」
「はぁ?」
なんのこっちゃ?
「早い話。手前味噌で悪いんだけど、俺って、シンセ弾くの上手いでしょ」
「まぁな」
「その俺が厳選したシンセを渡されたら、おねぇちゃんどう思う?」
「『使いこなさなきゃならない』と思うだろうな」
「ん。その通り……けど、おにぃちゃんが思う程シンセは、そんなに甘くない。練習を積み重ねなければ、そう簡単には弾けない。多分、挫折する」
「じゃあ、全然ダメじゃねぇか」
「そこで、お待ちかねの指輪が登場する訳」
さっきにも増して、全く意味がわからん……
「んで、どうなるんだよ?」
「簡単だよ。あれは素直おねぇちゃんの意識をシンセに束縛する為もの。挫折しても、辞めない為の保険。それだけのアイテムだよ」
「なんだそりゃあ?じゃあなにか?あれを着けたからって、急に上手くなるって訳じゃないって言う事か?」
「当たり前だよ。そんなオカルティックに上手くなるんだったら、あの指輪は、きっと、ピアニストとかにバカ売れするよ……けど」
「けど?」
「上手くなるって言うのは、あながち嘘でもないよ」
「なんでだよ?どこにでも売ってる様な代物なんだろ?」
「指輪自体はね……でも、その束縛力は本物だよ。特に思い込みが激しい素直おねぇちゃんなら、絶大な効果が出ると思う。彼女の性格を考えれば、これも簡単に答えが出る」
「オマエ、まさか……」
「そぉ、言うまでもなく、その通り。上手くなる道具が揃ってるのに上手く弾けないのは、素直おねぇちゃんだったら、他人のせいにせず、自分のせいだと思うよね……なら当然、未熟さを改善する為に必死に練習する。そうなったら必然的に上手くなってもおかしくはない……これが指輪の効果。完璧でしょ。……それにね」
「まだあんのかよ」
この嫌な話には続きがあるらしい。
「勿論あるよ。もし最初から上手く弾けたら、これは俺のお陰だと思うよね。そうしたら、素直おねぇちゃんの性格だと、きっと俺に感謝する。……っとなれば、後に、業界で仕事を始めたら、俺に肩入れしてくれる筈。そう言った効果も、あの指輪には含まれてる」
「そっ、そう言う事か……だからオマエは、最初に『契約』とか『先行投資』って言葉を使った訳だな」
「正解……付け加えるなら『契約』は、堅苦しい書面で記すより。心に楔を打った方が効果が高い。仕事をする際に、無理に俺を指名するんじゃなくて、自然に自分から頼む様にするのがテクニックってもんだよ。何事にも、相手の心の隙間に入り込まないとね」
「マッ、マジで最悪だな、オマエ」
「まぁ……それに関しては、反論の余地は無いね」
しかしまぁ、こうもアッサリ認めるとはな……
何か反論すると思ってたんだが……
「けどよぉオマエ。そんな重要な話を、俺にしても大丈夫なのかよ?俺がチクるとは考えないのか?」
「全然考えないね。おにいちゃんは、そう言った類の事をするタイプの人間じゃない」
「笑わせんなよ。……上手く言ったつもりだろうが、俺は馬鹿秀のツレだぞ。そう簡単に、オマエの言葉は信じるつもりはねぇぞ」
ホント、口が上手いな。
この話に乗らねぇつもりはねぇが。
こうもコイツの思い通りになるのは、どうにも癪だ。
なにか言い返さないと気が済まねぇ。
「なるほど……じゃあ、現実的な話をしようか?」
「んだよ、それ?」
「うん?素直おねぇちゃんのシンセが上手くなるのが解ってるのに、それを邪魔する奴はいないと思うんだけど……もし敢えて、そうするって言うんなら、その人は、きっと、素直おねぇちゃんの事が、相当嫌いなんだろうね。おにぃちゃん、素直おねぇちゃんが嫌いなの?」
「ぐっ」
「それにね。おにぃちゃんは、シンセを持って帰った時点で同罪だとも思うんだけど」
「じゃあよぉ、俺が持って帰らなかったら、どうするんだよ?」
「ないね」
「なんで断言出来る?」
「おにぃちゃんは、俺が考えた以上の手段を持っていない……バンドを上手く行かせたいなら、この話に乗らない理由は無い。ただそれだけ……っで、どうする?」
「なんて野郎だ……オマエ、信じられねぇ程、嫌なガキだな」
「だよね」
あぁやっぱりな。
餓鬼とは言え、コイツは、かなりの切れ者だ。
葉緑体じゃ相手にならねぇか……
「わかったよ。わかった。持って行きゃあ良いんだろ。持って行きゃあ」
「それは有り難いね」
「けどよぉ。話には乗ってやるがタダじゃダメだ」
「ん?これ以上、なにを求めるって言うの?」
「オマエの話だと、この話に乗ったら、俺も同罪になる訳だろ。俺に対してのメリットが、なにもねぇじゃねぇか」
不本意だが、こんな程度しか言い返せない。
悲しい……
ただ言って置くが、俺は見返りなんて欲しい訳じゃない。
家に金が有るんだから、敢えて、他人にそれを求める必要ない。
これは、俺の精一杯の嫌がらせだ。
「そうかぁ……確かに、言われて見れば、そうだよね」
「ほほぉ。じゃあ、どうすんだよ、オマエは?」
「俺に、何か出来る事はある?」
おっ!!豪く単純に乗ってきたな。
なら……
(↑直ぐに調子に乗る俺)
「そうだな……なら、オマエ、素直にシンセ教えろ」
「期間は?」
「上手くなるまでだな」
「無理だね」
「なんでだよ?」
「交換条件としては時間が長過ぎる……それに『上手い』の基準がなさ過ぎる」
「んだよ。ケチだな」
それだけ素直の事を買ってるなら、少しぐらい時間のロスぐらい投げ捨てろつぅ~の。
「あのねぇ、おにぃちゃん。なにもケチだけで、こんな事を言ってる訳じゃないんだよ。大体、期間も決めずに『上手くなる』なんてアヤフヤな条件だけだったら、モノを教えるなんて土台無理な話だよ。ダラダラしてたんじゃ、いつまで経っても上手くならないしね」
「だったら、どぅすんだよ?」
「期間を設けてくれるなら考えても良いよ。……勿論、ベストは尽くすつもりだけど、上手くいかなくても、それで御仕舞いって言うのが、絶対条件だね」
「なんだよ、やけに時間に拘るな?」
「当然。自分の使う時間と、儲けの比率が取れてないと意味が無いからね」
「そっかよ。因みにだが、オマエは、期間はどれぐらいだと踏んでるんだ?」
「2ヶ月だね。それ以降はバンドの売れ方次第」
「守銭奴め」
金にうるさい奴だな。
まぁ確かにな。
オマエの『幸せプラン』には必要な事なんだろうが、少しぐらい回り道しろ。
じゃねぇと、崇秀みたいな最悪な人間になるぞ。
人として更生するなら、今のうちだぞ。
「っで、どうする?」
「オマエの条件で良いから、好きにしてくれ」
「んじゃま、期間は明日から2ヶ月って事で交渉成立。一応、文面が無いけど口頭約束で良いよね?」
言葉を吐くと同時に、俺の回答を待たずになにやらメモを書く。
それをシンセサイザーのハードケースに入れ込むと、此処の伝票を持って立ち去っていく。
まぁ順当な線で、自分の連絡先でも入れたんだろう。
……にしても、普通、年下が伝票を持って行くか?
ホント最後まで、可愛げのねぇ野郎だ。
この日は、この後、いつものスタジオで練習をしてから帰宅したんだが……翌日、ガキは、素直にシンセを教える為に、わざわざ学校に来やがった。
なんとも律儀なこった。
最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>
これで、第二十二話は終了なのですが……
なんか最後のこの回、切れの良い所がなくて、めっちゃ長くなってしまいましたね。
ホント、長くてすみません( ;∀;)
さてさて、そうやって、素直ちゃんの買い物や、素直ちゃんのシンセの先生が決まった訳なのですが。
これが、良い方向に転がるのか?それともまた何か厄介事に成るのか?
それは次回から始まる第二十三話『除外』で明らかに成りますです。
なので、興味がございましたら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
読み終わったら、ポイントを付けましょう!