最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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822 人に認めて欲しいのならば

公開日時: 2023年5月8日(月) 00:21
文字数:3,483

●前回のおさらい●


 10日間限定ライブの初日『奈緒グリ』との共演。

なので当然、此処で奈緒さんとの再会を果たす眞子だったのだが。

奈緒さんの何気なく言った『眞子はもぉ、立派な女の子だね』って言葉が気に成って……

「あぁごめん、ごめん。今更『立派な女の子』って言うのは無かったよね。気に触ったらゴメンね」

「あぁ、違うんですよ。恐らく私は、また奈緒ネェに甘えてるだけなんですよ。なんて言うか。世間が私の事を、どう見ようと勝手なんですけど。奈緒ネェに、そう言う風に見られてるのは……ちょっと。あの、奈緒ネェ。ヤッパリ私を、最初から存在した『女』っとして見るのは厳しいもんなんですか?」

「う~~~ん。あぁ、まぁ、正確に言えば、そんなに厳しくは無いよ。……ただ私は、クラが、完全に居なくなっちゃうって言うのが、どうしても我慢出来ないから。こうして眞子に、それを求めちゃうのよね。なんか、必至に頑張ってるのに、未練タラタラで、ゴメンね」


……そっか。

そりゃあそうだよね。

奈緒ネェにしたら、そこが最後の拠り所だもんね。


でも……



「あの……でもですね。今の私は、真琴ちゃんよりもズッと奈緒ネェの事が大好きなんですよ。確かに女だから、奈緒ネェを愛する事は、もぉ出来ませんけど。本当に、本当に大好きなんですよ。だから奈緒ネェには、私に、真琴ちゃんの影を見るんじゃなくて、今ある私だけを、ちゃんと見て欲しいんです。……あぁっと、また、自然と、我儘言ってますね。ごめんなさい」

「ふむ。そっかそっか。まぁ言いたい事は解るけどね。ヤッパリ、まだ、ちょっと正直言えば厳しいかなぁ」

「ヤッパリ、全面的には無理なんですかね?」

「あぁ、決して無理な訳じゃないんだよ。ただね。眞子の中に、クラが生き続けている以上、難しくはあるね。眞子の気持ちは、勿論、良くわかるんだけど。一度接した……あぁ、いや、1度愛した人間を、そう簡単には忘れられる訳がないのよ。……特に、嫌いで別れた訳じゃないから。そこだけは、どうやっても気持ちが揺れちゃうのよ」

「あぁ、あの……無理にとは言いませんが。奈緒ネェは、どうしたら、少しづつでも忘れて行けますか?私に出来る事なら、なんでも一生懸命努力しますんで。良かったら、何かヒントになる様な事が有れば教えて戴けませんか?」


勿論ね、無理は承知でこんな事を言ってるんだけど。

でも、長期に渡ってアイツを忘れないのは、精神衛生上良くないと思うんですよ。


それに世間の事なんかもあるし。

奈緒ネェに、黒い噂でも流れたら大変だからね。


まぁ、そうは言ってるけど……所詮こんなのは、ただの私の我儘なんだけどね。



「あぁ、難しい事を聞くねぇ。それこそ、それを解決するには『眞子が死ななきゃ』忘れられないんじゃないかな?これは多分、私云々の問題より、眞子自身が『背負った業』だと考える方が正しいのかも知れないよ」


……そうかぁ。

結局、この意見って、自分の都合に合わせて、奈緒ネェに無理を強要してたに過ぎないんだね。


なら、奈緒ネェの言った『背負った業』って言うのは的確な言葉だと思う。


それに私は、真琴ちゃんの残した交友関係を、全て自分で回収した上で。

必至に、それを『上書き』しようとしてる訳だから、正に『業』と言う言葉が相応しい。


まぁそれ以前に、親戚だって関係がある以上。

これからも誰も彼もが真琴ちゃんの影を、私に聞いてくるだろうし、今現在の段階で話題にならない方が、おかしいもんね。


あぁ……これはまた、酷い勘違いをしてたみたいだ。



「『業』かぁ……結局は、人に頼む事じゃなく。私が、それに慣れるしかないって事ですよね」

「まぁ、大雑把に言えば、そうなんじゃないかなぁ。クラを含めて、今の眞子が成立してる以上、それは、どう足掻いても逃げられない話だろうからね。深く付き合いが有った人から『クラの存在を消す』って言うのは難しいと思うよ」

「……ですね」

「でもね、眞子。君の存在意義を、もっと強烈に世間にアピールすれば、眞子の言う『クラの影』は少しづつ形を潜めて、眞子って言う個人だけを見て貰える様になると思うよ。だから重要なのは、君が、それを真正面から向って行って、自然に消していけるか、どうかなんかじゃないのかな」


奈緒ネェは、こうやって、いつも的確なアドバイスを出してくれる。


本当に有り難い事です。


でも、奈緒ネェの言った通り、現実問題としては、そうなんだよね。

無理に消そうと思っても、他人の意識を操れる訳じゃないんだから、そう簡単に、どうにか出来る問題じゃない。


自分が頑張ってこそ、初めて成果が出るってもんですよね。


自分だけを見て欲しいなら……『誰にも強制しちゃいけなかったんだ』

その上で、私自身が、真琴ちゃんを取り込むぐらいの気概が無きゃいけなかった。


所詮は、奈緒ネェや、みんなに甘え様としてただけか。


奈緒ネェと話をして、そこはキッチリ理解は出来たよ。



「……ですね。……あの、奈緒ネェ。急に『真琴ちゃんを忘れて』なんて無理な事を言って、ごめんなさい。本当に無神経でした」

「良いんだよ。眞子は、いつまで経っても『甘えたのお馬鹿ちゃん』なんだから。どうせ、他人の意見を聞かなきゃ納得出来無かったんでしょ?だったら良いよ、私には、幾らでも、正直に聞いてくれれば良いからさ。……ドンと来い、ドンと来い」

「うぅ……他人ですか……」

「えぇ……そこで凹むの?」

「えぇ、だってですね。他人って言葉は、あまりにも寂しいです。他の人の前では、絶対に、こんな真似しませんけど。奈緒ネェにだけは甘えたいです。……それに身内だって、ちゃんと思って欲しいです。眞子は、ちゃんとした奈緒ネェの妹に成りたいです」


うぅ……実に情けない話なんだけど。

奈緒ネェの前じゃ、自然と自分から全てを脱ぎ捨てて、心が丸裸になっちゃうんだよね。


素のままの私なんか……所詮こんなもんですよ。



「えっ?私だけ?……嘘だぁ。眞子、仲居間さんにも甘えてるじゃん」


確かに……そうですね。

崇秀にも甘えてるのは、誰が見ても、確実にそう思いますよね。


間違ってないですね。



でも、良いじゃないですか……



「……だって、それは……」

「ぷっ!!なに?なに顔を赤くしてるのよ?……それに『だって』なに?言ってみ」


からかわれてるますね。


解ってるなら、からかわないで下さい。


結構、口に出して言うのは恥ずかしいんですよ。



「だって……あぁ、もぉ、崇秀は良いんです!!崇秀は甘えて良い対称って決まってるんです。そんな事を言っても、奈緒ネェだって、崇秀に甘えるじゃないですか!!」


プンスカプンですよ!!



「じゃあ、甘えてる姉妹同士で、仲居間さんを取り合ってみる?但し、今度はガチバトルだよ」

「良いですよ。私も、もぉ前みたいには行きませんよ。奈緒ネェだって、ギャフンですよ、ギャフン」

「ふ~~~ん。本当に良いんだね?私は容赦しないよ」


あぁダメだ、ダメだ。

今、奈緒ネェの変な所に、おかしな火を入れたら、またややこしい事態になりかねないから、此処は絶対に辞めて置こう。


……って言うかですね。

大見得切りましたけど、実際の所は、奈緒ネェに勝てる自信がないです。


無理です。


故に、やりません。


早々にGIVE・UPです。



「……あぁ、嘘です。ヤッパリ100%無理ですね。それになにより、奈緒ネェと、そう言う関係は二度と御免です」

「ヘタレ」

「もぉ、ヘタレでも良いですよ。大体にして、どうせ初めからヘタレだし。……あぁ、でもですね。こう言うゲーム感覚じゃなくて。奈緒ネェが、本気で崇秀の事を好きになった時は、ちゃんと言って下さいね。奈緒ネェが、誰を好きになっても、私には文句は言えませんから」

「あらら、そこは解ってるんだ」

「そりゃあ、解ってますよ。奈緒ネェの事が幾ら好きでも、まずにして『この体』じゃ、どうにもならないですから。それにですね。こんなに目一杯の愛情を注いで貰ってるのに、奈緒ネェだけが苦労するのなんて、おかしいですからね」


変な意味に取らないで下さいね。


『忘れろ』なんて、もぉ2度と、口が裂けても言いませんから。



「ハァ~~。上手い事言うねぇ。じゃあ、しょうがない。もぉちょっとだけの間は、眞子のお世話に掛かりっきりになるよ。まだ私自身、完全に心の整理がついてる訳でもないしね」

「あぁ、なんと言いますか。……お世話になります」

「良いよ。……あぁそうだ、そうだ。ねぇねぇ眞子。変な事を聞くけど、まだ私にキスって出来るもんなの?」


えっ?


あぁ……そこはどうなんだろうね?


私自身、そこが、どう言う認識に成ってるかは謎ですが。

奈緒ネェの事がズッと好きなのは、何も変わらない事実なんで、キスする事自体は大丈夫だとは思うんですよ。


でも、女性としての生活が完全に馴染んじゃってるので。

そこで、奈緒ネェ相手に、どういう心境に成るのかは、やっぱり謎ですね。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


誰かに認めて欲しい時、人間はまず、自分をアピールしたり、相手に自身の要求を突き付けてしまいがちなんですが。

本来は、これを口にする事自体がナンセンス。


誰かに認められると言う行為は「必ずしも自然に発生」でなくてはいけないんですね。


なので、今回の眞子の様に、相手に交換条件を出してでも認めて貰おうとする行為も、矢張りナンセンスでしなかったりします(笑)


まぁまぁ、そうは言っても、眞子の気持ちも解らなくもないんですけどね。

眞子にとって奈緒さんは、自身の存在を一番認めて欲しい人物でもありますし、ついつい本音をぶつけてしまう相手でもありますしね。


だから、こう成っても仕方がないのかもしれません。


さてさて、そんな中。

そんな眞子を見て奈緒さんが、何かを感じたのか?

『今の私にもキスが出来る物なのか?』っと言う奇妙な質問を投げかけて来たみたいなのですが。

果たして、それを問われた眞子の心境は如何なるものなのか?


次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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