●前回のおさらい●
崇秀の仮説を聞き。
そして更に、自身が加害者の可能性が出た崇秀に、多額の賠償金まで提示され。
困惑しつつも、今の現状に向き合う気持ちに成った倉津君。
だが、第一の難関が目の前に……
2人の大きな安心感に包まれながら。
一息付こうと思い、ポケットに直して置いた『セッタ』を取ろうとする。
だがポケットは、そこにはなく。
そこを目で確認すると、自分の生足だけが視界に飛び込んできて、ズボンを履き忘れている事を思い出す。
・・・・・・
オイオイ俺、あんな長時間、男モノのパンツ丸出しで必至に喋ってたんだな。
なんだこの無様さは……恥ずかし過ぎんぞ!!
それにしても、なんだな。
俺って隙だらけの女だな。
その内、こんな馬鹿バッカしてたら野郎に犯されちまうよな。
それに、この状態の時に、急に誰か尋ねて来たら、どうするつもりだったんだろうな?
こんな無様な姿じゃ、なんの言い訳も出来ねぇよな。
そんな自分の間抜けさに、ガックリと肩を落すと同時に、頭も垂れる。
すると『ある物』が視界に入った。
・・・・・・
うわ~~~、そうだった。
この『女物を着る』って、今現在一番ハードルの高い問題が、まだ残ってたんだぁ。
しかしまぁ、なんかこれ。
なんの躊躇もなく、簡単に着替えちまえる様な良い方法ねぇもんかなぁ?
……ねぇな、うん、ねぇよな。
そんなご都合主義的なものは、何処にも存在しねぇ。
いや、つぅか、もぉ、そう言うレベルの話をしてる場合じゃねぇよな。
今更ジタバタしたって、今現在じゃ、どうにもなんねぇんだし。
その為にも、さっき崇秀と話して、今の自分自身が『女でしかない』って、自分でもある程度は踏ん切り付けたんじゃねぇかよ。
それにだ。
幾ら、崇秀が頑張ってくれたとしても、元に戻してくれるまでには、どうやっても『女である期間』が存在する。
その間、ビビッて、風呂にも入らず、ションベンもしない訳にもいかない。
だったら四の五の言わず、この状況に、いち早く慣れなきゃな。
第一よぉ、俺、自分で言うのもなんだけど、結構『可愛い部類』だしよ。
美少女の代表格とも言える奈緒さんや、真上さんみたいに、意外と何を着ても似合いそうじゃんか。
あぁ、だったら、もぉやったらぁ!!
なんじゃい!!
女物の服を、今、女の俺が着ても、問題なんかなんもないわい!!
……あぁけどぉ。
奈緒さんに借りた服が汗臭くなったらイカンから、せめて先に風呂には入ろ。
そんで、その際に、今着てる服を浴槽に放り込んで、着れない位ビチャビチャに濡らしてしちまえば、もう後には戻れない。
決意を固める為にも、その捨て身の作戦を実行しよう。
そんな訳で俺は、まずそれらを有言実行をする為に、宣言通り、勢い良く、そして荒々しく今着てる上着を脱ぎ捨てた。
「はぅ……」
・・・・・・
えっ?えっ?なになに?
今、何処からともなく、女の子の妙にエロイ声が聞こえたんだけど?
それに、なんか今、胸の辺りがビビッて来る感じで、スゲェ気持ち良かったんッスけど?
なにこれ、なにこれ?
あっ、あれ?でも、ちょっと待てよ。
冷静に考えたら、今、奈緒さんの家には俺しか居ない、って事は……ひょ、ひょ、ひょ、ひょっとして、今のって俺の声?
上着に、乳首が擦れた程度で感じて、あんな妙にエロイ声を出しちまったって言うのか?
いっ!!いっ!!いっ!!嫌過ぎる!!
もしそれが事実なら、冗談じゃねぇぞ!!
なんなんだよ、この無駄なまでに敏感な肌は!!
女の子の肌って、みんな、こんな敏感なものなのか?
こんなもんでイチイチ感じてる様じゃあ、普段の生活にも支障が出るレベルだぞ!!
こんなんじゃ俺、生きていけないぞ!!
やべぇ~~~~!!
つぅか!!それよりも、さっきの勢い良く脱いだ上着で、乳首モゲたりしてねぇよな?
あれだけ感じるって事は、相当、ヤベェ脱ぎ方したんじゃねぇの?
不安になった俺は、なにも考えずに、鏡で乳首を確認しようとした。
するとな。
そんな風にオッパイ弄ってたら、鏡の中の俺と視線が合っちまったんだよ。
それを見て思ったんだけどな。
『ハッキリ言って、俺、スゲェ美少女だわ』って自分で確認出来るぐらい可愛い顔が鏡に映ってる訳だぁな。
ホンで、それを見た俺は、無意識の内に、鏡に顔を寄せて、自分の髪を弄ってみたり、オッパイをポヨポヨ持ち上げてみたりして、女の子の真似事をしてる訳だ。
・・・・・・
アカンって!!
……俺、こんな事を続けてたら、強烈なナルシストになりそうだ。
それに一瞬だけど『こんだけ可愛いんだったら、いっそ、このままでも良いかなぁ』とか思っちまったよ。
序に言えば、女の子が『自分が一番可愛い』と思って生きてる意味が、なぁ~~んと無くだが解った様な気がする。
ってか今の俺って、奈緒さんに匹敵する可愛さだもんな。
「ハクショ~~~ィン!!」
アカン!!アカン!!
ホンマに、アカンって!!
幾ら美少女が鏡に映ってるからと言って、このままそんな自分の姿を鏡でウットリしながら眺めてたら、風邪引く!!風邪引く!!
鏡で自分の姿に見蕩れて、風邪引くなんざ間抜けにも程が有るよな。
馬鹿じゃねぇの俺!!
……にしても、あれだな。
さっきのクシャミの仕方は無いよな。
美少女は『くしゅん』って可愛らしいクシャミで、上手く自分を演出するもんだからなぁ。
あんなオッサンみたいなクシャミを人前でしたら、男共の幻想を打ち砕いちまいそうだし、此処は1つ、1人の女性として、ちょっとクシャミをする時の仕草も練習しとくべきかな……
・・・・・・
……って、危ねぇ、危ねぇ。
今、俺、なに考えてたんだよ?
大体にして、俺が男に幻想抱かして、どうするつもりなんだよ?
こんな事バッカリ考えてたら、仕舞いには俺に魅了された男共に襲われちまうぞ。
女に成って、以前より非力になっちまってるんだから、此処等辺はホント少しは自重しないとな。
本気で犯されちゃう。
それにしても、俺って、ホントにアカンね……
なんでか知んねぇんだけど、自分が今は女だって意識し始めたら、一気に女性化が進んでる。
違う意味で、女性初体験中の俺が、これ以上、余計な事を考えたら、本当に危険そうなので、サッサと風呂にでも入って頭の中をスッキリさせよ。
こう言う場面での、頭のリセット大事。
にしても、ホントなんなんだよ、この女の魔性を詰め込んだような体は?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
ある程度の覚悟を決めた倉津君ですが。
矢張り、まだ女性の衣類を身に纏うのには抵抗があるのか、必死に成ってましたね。
まぁでも、これは仕方がないですね。
今までの倉津君の人生を振り返ってみても『まさか自分が女性物の衣類を身に纏う日が来る』なんて、想像もしなかった筈ですからね。
……っと言う訳で。
今着ている自分の服を、お湯の張った浴槽に突っ込み。
後戻り出来ない状況を作った上で、一旦、風呂でリラックスしてから、このチャレンジに挑むようです。
さてさて、心が折れずに、そのチャレンジを敢行する事が出来るのか?
それは次回の講釈。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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