最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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137 不良さん、椿さんとお喋りする

公開日時: 2021年6月23日(水) 00:21
更新日時: 2022年11月24日(木) 16:46
文字数:2,843

●前回までのあらすじ●


 借金取りの問題を、見事に全て解決した倉津君。


そして、借金取りに怯えていた椿さんの元へ

『ガラッ』


そんな風に扉を賭けてみたらだな。

予想に反する事無く彼女は、耳を押さえたまま、小さくなっている。


しかも、座布団を頭に被った状態で……


そんな彼女の肩を、俺はポンポンっと叩いた。



「うん?……後輩さん?」


小動物が縋る様な目をしながら、俺を見つめてくる。



「そうッスよ」

「あれ?さっきの怖い人は?」

「あぁ話し合い(拳)で、気持ち良く帰ってくれましたよ。多分、二度と此処には来ないッスけどね」

「ほんと?」

「ほんとッス。もぉ、なにも心配ないッスよ」

「うわ~~~♪ありがとぉ後輩さん」

「ッス」


いやいや、良い事をした後は清々しいな。

なんとも言えない充実感が有る。


まぁただ、今、こんな事を聞くのもなんなんだが。

嶋田さんが『なんであんなヤバイ会社に金を借りたのかの経緯』については、椿さんからシッカリ聞いて置かないとな。


じゃないと、次に、こんな事が起こっても対処しようが無い。



「所で椿さん」

「なぁ~にぃ?」

「なんで、あんな胸糞の悪い連中に、金を借りたんッスか?」

「・・・・・・うぅ」


黙っちゃったな。


まぁこの椿さんの態度で大凡の予想は付くんだが、違う場合も有る。

だから本来は、キッチリと、此処で彼女から確認を取って置きたい所なんだが……


まぁ本人が言いたくないんなら、それはそれで良いか。


追求するのも可哀想だしな。



「あぁ、言いたくないんなら、別に良いッスよ」

「あのね。……ホントの事を言うとね。こうなったのはね。椿が全部悪いの。椿のせいなの」

「へっ?なんでまた?」

「うんとね。少し説明するとね。椿ね。馬鹿だから、誰かに優しくして貰ったら、なんでも直ぐにホイホイ物を買っちゃったりするの。それでね、いつの間にか、一杯一杯借金を作っちゃってね。どうにも出来なくなっちゃったの。それで……最後には、いつもいつも浩ちゃんが肩代わりしてくれて……だから……」


あぁ~やっぱり思った通りだ。

この人は、善悪の判断を余りせず。

直ぐに人を信用してしまう傾向がある、典型的な騙され易いタイプの人間だ。


知り合いの彼女を、こう言っちゃあなんだが


『椿さんは、少し賢くない様だ』


だからと言ってだな。

狙って、こう言う純粋な人を騙す奴の気が知れない。

商売とは言え、人として最低ランクの奴等だ。

自分の無能さ加減を、弱者で補おうとするなんざ人間のやるこったねぇ。

その上、裏で闇金と通じてるなんぞ、もっての他だ。


マジ胸糞悪ぃな。


まぁ、それよりも問題なのは、そう言った悪徳業者を、のさばらせてる警察のクソ共だ。

俺なんぞに何回も職務質問する暇が有ったら。

その国民の血税を使った無駄な就労時間を、こう言う人間を救うか、悪徳業者を潰すかに使えつぅのな。


それともなにか?

なんもしねぇ無能な警察の替わりに、ウチの組で悪徳業者の一斉摘発でもして欲しいのか?


ほんと、ドイツもコイツも胸糞悪ぃ。



「なるほどね。そう言う事だったんッスか。だったら椿さんも、もう簡単に騙されちゃダメっすよ」

「うん。これでも椿もね。一杯反省したの。椿のせいで、浩ちゃんの大事なギターが一杯無くなっちゃったし……だからね、そんな悪い子の椿にはね。天罰が当たったの。だからもぉ絶対しない」

「そうッスね。……うん?ちょっと待って下さい。椿さん、奴等になんかされたんッスか?」

「……うん」

「なっ、なにされたんッスか?」

「さっきの人と、その人の友達がね。浩ちゃんの居ない時に来て、椿にHな格好させるの。それでね。その人達ね。自分でおチ〇チンを必死に弄くって、白い液体をね。椿に向かって一杯掛けるの」

「そっ、それから?」


先に言って置くがな。

何も興味本位で、この話を聞いてるんじゃねぇんだぞ。

俺だって年がら年中『エロイ』事バッカリ考えてる訳じゃないんだからな。


たまには、真面目に対処法を考えたりもするんだ。


良いか?

コイツは下手したら、裁判所に訴えられる様な案件なんだよ。


例えばだな、この事例の場合。

嶋田さんが椿さんの借金を肩代わりしていたとしても、椿さんが借金の保証人になっていない限り、例え、本人が作った借金であっても、彼女には支払い義務はない。


何故なら、2人が彼氏彼女の関係であったとしても、所詮『嶋田さんと椿さんは、赤の他人』だからだ。


それなのに、それを脅しに使い性行為を求めた場合。

これは強姦、若しくは、強制猥褻罪、脅迫罪に値する。


そうなれば、賠償責任が生じて、それに対する請求も相手に出来るだろうし。

こうなってしまえば、無能な警察共も悪徳業者に強制介入が出来る。


法をすり抜ける術を親父に叩き込まれたのが、役に立つかも知れないって話だ。



「それだけ……」

「へっ?」

「あのね。でもね、でもね、後輩さん。それね、すっごく臭いんだよ。匂いが部屋に充満して、窓を開けなきゃ、簡単には臭いが取れないぐらいクッサイの。それにね、それにね、それが眼に入っちゃったら、もぅ大変なんだよ。凄く痛いし。眼がね、真っ赤かになるんだよ」


なんだ、その奇妙なマニアック・プレイは?


まぁSEXを強要されてないだけでも、マッシと言うべきなんだろうが、これはチョット無いな。

まずにして、そんな高等なプレイは、ガキの俺には意味すら解らない。


……でも、確かに、あぁ言う連中は、相手が弱い立場と見たら、直ぐに無茶苦茶する。


まぁ此処までは良く解るんだが……

女の人にHな衣装着せてオナニーって……アイツ、どんな性癖してやがるんだ?


なにを考えてやがるのか、サッパリわかんねぇ。


斬新過ぎんだろ!!


まぁそうは言ってもだ。

結局、椿さんには何も無かったんだから、コチラの方が数百倍良かったと解釈すべきなんだろうな。


序に言えば、この時点で、俺のさっき必死に考えた思考は無駄だったって訳だな。



「よく解ったッス。椿さんが嫌な思いをしたのも、よく伝わったッス。けど、だったら尚更、嶋田さんの話をよく聞いて、それを守らなきゃダメっすよ。俺の時みたいに、簡単に部屋に人を入れちゃいけないんッスよ」

「うん……そうだね。椿が、いつまでも馬鹿のままじゃ、浩ちゃんが苦労のしっぱなしになっちゃうもんね。……うんうん、そうだそうだ。椿、頑張るよ!!」

「ッスね」


椿さんは大きくガッツポーズを取りながら、笑顔で俺に宣言する。


……まぁ、そう簡単には、その性格は治らないだろうけどな。

でも、こうやって、努力しようとしてる人間を、貶める必要はない。


それよりもだ。

この話ってよぉ。

よくよく考えると、俺達のバンドが、崇秀の馬鹿に頼ってるのと同じ様な話しなんじゃねぇのか?


椿さんが、嶋田さんに頼ってるのと同様に、俺達は崇秀に頼りっきりだ。

偉そうな事を言った割には、自分の方も何も出来ていない現状。


こりゃあ、人の事を言えた義理じゃねぇな。


それに……その報告をしに、ワザワザ嶋田さん家に来てる、俺ってなんだろうな?


なにが『今の現状を話す』だ。

一体、何を話すつもりで、此処に来たんだろうか?


……俺は、結局なにもしてねぇ。


椿さんが元気を取り戻したのを裏目に、俺の心はドンドン深い闇に沈んでいく。


最後までお付き合い下さり、ありがとうございますです<(_ _)>


無邪気な椿さんに対して『警戒心を持たなきゃいけないですよ』っと窘めた倉津君でしたが。

自分も椿さんと似た立場だと気付き、凹みましたね(笑)


そんな状態の2人ですが。

この後、一体、どうなって行くのでしょうか?


気に成りましたら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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