●前回のおさらい●
珍しく愚痴を口にした奈緒さん。
そんな彼女に対して倉津君は……
「これ……なんだけどな。良かったら、奈緒が持っててくれよ。馬鹿な俺が、頭を使って、精一杯考えたものなんだよ」
「えっ?クラ……これって」
「あぁ。奈緒の契約期間中には、全く使えない物だが。それが終わって自由の身になったら、いつでも好きに様に使ってくれ。奈緒に全権を任せて、それを渡しておく。俺も、奈緒が、それを、どう使ってくれるのかを期待して、バンド活動に精を出すつもりだからさ」
「クラ……クラ、大好きだよ。私……私、これでもぉ1人でも頑張れるよ。離れてても、君が一緒に居てくれる……ありがとう、本当にありがとう、クラ」
俺が、奈緒さんに渡したもの。
それは……『結婚証明書』
俗に言う『婚姻届け』と言うものだ。
勿論、こんなものを奈緒さんに渡した所で、今は、なんの効力もないタダの紙切れに過ぎないんぼだが。
奈緒さんが納得して、それを役所に提出してくれたら、俺にとっても、奈緒さんにとってもハッピーな筈だ。
勿論、女性の名前の所は無記名だから、奈緒さんが名前を入れて持っていてくれても良いし、俺の事が嫌になったら破り捨てても構わない。
俺は、彼女を大切にすると誓った以上、奈緒さんと運命共同体となるのは当たり前の事だからな。
それに少しぐらいなら、これで元気になってくれるだろう。
「奈緒……泣くなよ」
「ごっ、ごめん、ごめん。あまりにも嬉しくて、つい、涙が出ちゃったよ。君は、本当に、私なんかの事を、本気で大切に想っていてくれたんだね。……これ……絶対、肌身離さず持ってるよ。君と一緒になれる日までね」
「そうッスか。じゃあ俺も、そんな奈緒さんの活躍を楽しみにしてるッスよ。……アナタは、もっと輝ける人なんだから」
「ありがと……私ね。世界で一番、君の事を信用してるよ」
奈緒さんは、此処が浜辺だと言う事もあって、暫くの間、俯いて声を殺して泣いている。
俺は、そんな彼女の頭を、そっと撫で続けた。
***
「うん、うん。これでリアルに充電完了!!仲居間さんが、なにをするつもりか知らないけど。海外に行く前に、私が、全部持って行ってあげる」
「ウッス。それでこそ奈緒さんッス」
これで、彼女には全部伝わっただろうか?
今までに、色々余所見したりして、彼女には沢山の迷惑を掛けて来たけど、最終的に、ヤッパリ俺には奈緒さんしかいない。
彼女こそが、俺の生きがいだからな。
今回は、本当にそう確認させられた。
さて……色んな意味で、後片付けも終わった事だし。
……崇秀の所にでも行くか。
結構、ゆっくりな片付けになっちまったから、あの馬鹿は怒ってるかもしんねぇけどな。
・・・・・・
いや、まてよ。
アイツ、この時間を作る為だけに、奈緒さんと、俺を此処に残したんじゃないか?
ったく、お節介な野郎だきゃあぁ~~~!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
これにて第四十一話『魔王降臨と、もう1つの告白』は終了なのですが……如何でしたでしょうか?
倉津君の奈緒さんへの認識を崇秀に指摘されたりして、落ち込む場面もありましたが。
倉津君本人も、何も考えていない様で、ちゃんと自分の出来る範囲の事はしようとしていたのは良かったと思うんですが(笑)
さてさて、そんな中。
次回から始める第四十二話『下準備』が始まる訳なのですが。
いい加減に書くのは嫌なので、かなり細かく書いていきますが、お付き合い頂けるとありがたいです。
なので、また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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