●前回のおさらい●
奈緒さんとの待ち合わせ場所である横浜に向かったら、何故か奈緒さんと一緒に、素直ちゃんとステラさんが居た。
そして3人で海に向かう事に成ったのだが……大丈夫かい、倉津君?
湘南までの道筋は、全般的に高速道路を使って移動する事にした。
勿論、無駄なお金を使ってまで、高速道路を使うのには訳は有る。
『下道を使うより、こちらの方が、まだ警察に遭遇する確率が比較的低いからだ』
因みにだがな、高速道路を使った場合、それ以外にも利点が幾つかある。
まず、最も効果的な話を言えばだ。
なんと言っても高速道路は、速度違反をしない限り、警察に追い駆けられる事は『殆どない』と言って良い程、無い事だ。
それは例え、覆面パトカーが隠れていても、勿論、問題はない。
彼等が一番標的にするのは、なんと言っても『スピード違反』がメインだからだ。
故にだな、制限速度をある程度守って居たら、警察の厄介になる事は、ほぼ無いと踏んで問題無い。
これだけでも、十分、高速道路を使う価値はある。
序と言ってはなんだが、第二の利点は、俺が、高速道路の事情に詳しい事だ。
俺が、神奈川全域の高速道路を知り尽くしている事がメリットなんだよな。
なんせ、小学生6年の頃から、親父の仕事を手伝っていたもんだから、早、2年間も車の運転をしている。
だから、神奈川県内の高速道路については、オービス場所を完全に把握している。
まぁ1人で運転している場合、この辺を効率良く最大活用して走るんだが、今回に限っては、完全無欠の安全運転をするつもりだ。
大切なお姫様を3人も乗せてる事だしな。
殆どの区間で制限速度を守っている。
まぁ、これじゃあ、第二の利点は関係なくなるが、その分、警察も捕まえ様が無い。
まぁそんな理由で、高速道路を使ってる訳だ。
それにな、高速道路だと信号も面倒な標識も無いから、結構、運転に余裕が有るんだよ。
現に今も、車がオートマティックな事もあって、窓に左手を置きながら悠々と運転しているからな。
それに制限速度を守って運行している訳だから、左側の走行車線を呑気に走っている訳だ。
さてと……そろそろ湘南までの道筋も、中盤に差し掛かった事だし、彼女達の機嫌でも窺う為に、少し、バックミラーでも覗いてみるか。
まずは、当然、俺の横に居る奈緒さんだな。
チラッと、少しだけ横を見てみると……奈緒さんは、可愛い寝顔をして『スースー』寝息を立てて寝てる。
あぁ……朝からバタバタしてたから疲れてんだろうな。
寝かしとこ。
んじゃまぁ、次は、後ろに座っている2人を確認っと……
おっ、素直も寝てるぞ。
コチラも可愛い寝顔をして、爆睡のご様子。
突発で、みんなで海に行く事になったから、慌てて用意して疲れたんだろう。
まっ、奈緒さん同様、寝かしとこ。
さて、最後にステラを確認したら、運転に集中しよ。
多分、コイツも寝てるだろうし……っと思って、再度バックミラーを見たら、思いっ切り、奴と眼が合った。
あぁ……起きてやがる。
「真琴。アナタ、中学生の癖に運転が上手いんですね」
「まっ、まぁな。親父の仕事の手伝いとかで、車は、無駄によく運転してるからな」
「そうなんですか。意外に親想いなんですね」
あぁ……両親が居ないステラには、ちょっとマズイ話だったかな。
「いやいや、違う違う。ウチのオッサンは、俺の事を小間使い程度にしか認識してねぇから、自分勝手にテメェの面倒な仕事を、全部、俺に押し付けやがるんだよ」
「そうなんですか。まぁ、どういう事情であれ。父親の手伝いをするのは、とても良い事ですよ。真琴、少し見直しました。私は、アナタの事を、単なる放蕩息子だと思っていましたからね」
「そっか。まぁそうだよな。そう思われても、特別おかしかねぇな」
実際は、ステラが見直す程の事じゃねぇんだけどな。
どっちかと言えば、これも、俺にとっちゃあ重要な小遣い稼ぎだし、寧ろ、車の運転も好きな部類に入る。
夜明け前とかの高速を、ぶっちぎって走るのは、滅茶苦茶楽しいしな。
だからこれは、俺と親父の『利害の一致してる』って言うのが正しいんじゃねぇか。
「ところで真琴。今日は、奈緒と2人で海に行くつもりじゃなかったんですか?」
「まぁ、当初は、一応そのつもりだったんだけどな」
「では、私と、素直は邪魔ではないのですか?」
「あぁ、それはねぇな。100%ねぇ。全く、そんな事は思ってねぇよ」
「どうしてですか?」
「うん?まぁそうだな。俺は、結構、みんなで遊ぶのが好きだし。奈緒さんも、昔の話からして、大人数で遊ぶのが好きみたいだからな。俺は、その方が良いと思ったんだが……なんか、おかしいか?」
「まぁ、少し変ですね」
「なんでだよ?」
恐らくステラは、奈緒さんとの時間が、あまり無い事を指摘してくるだろう。
普通に考えれば、多分、そう言う疑問が湧いても、おかしくはないからな。
ただ、例え、そうであってもだな、俺が、そんなに奈緒さんを独占して、どうすんだよって話なんだよな。
こんな事しても、なんの意味がないだろ。
それならいっそ、みんなで過ごした時間の方が、奈緒さんにとっても良い思い出になる。
これは、奈緒さんとの思い出作りする上で、結構、重要な事だ。
それにな、幾ら、昼間みんなで遊んだにしても、夜になれば2人きりになる訳だ。
なら、俺のツマラナイ独占欲なんかより、そちらを優先させるのが『彼氏の勤め』ってもんだと、俺は理解している。
だから、この件に関しては、なんの問題はない。
「あぁ、こう言ってはなんですが、罷り也にも、素直も、私も、アナタを欲している訳ではないですか。なのにアナタは平然と、こんな事をやってのける……何故ですか?」
あぁそっちか。
「そりゃあオメェ。良い女を連れてる方が、浜辺でカッコ良いからだよ。前にも言ったがな。オマエは、顔だけ見れば、かなり出来の良い顔をしてる。素直に関しても、当然、可愛い顔をしてる訳だ。だったら、そんな美人を3人も連れて浜辺で遊んでてみろよ。俺、注目の的じゃねぇか。……まぁ要するにあれだな。俺は、優越感に浸りたいだけだよ」
「上手く誤魔化しましたね」
ダメっすか。
「ハァ~……やっぱオマエには、そう簡単には通じねぇか」
「低脳の考える事なんて、全てお見通しですよ。それで真実の程は、どうなんです?」
だよな。
やっぱコイツには、生半可な言葉じゃ通じないよな。
ホント、鋭い感性だよ。
「まぁブッちゃけ言っちまえば。俺は『奈緒さんLOVE』な訳だから、オマエ等の事は友達としか見てない。だから平気なんだよ」
「言ってくれますね」
「悪いな」
「いえ、アナタの言葉なんて、特には気にもしてません」
「そうか」
「ですね」
コイツは、ホントに可愛げが無い女だな。
まぁそれがステラたる所以か。
けどな……
「にしても、オマエって、結構、良い奴なんだな」
「えっ?何故、そう思うんですか?」
「そりゃあオマエ。ナンダカンダ言いながらでも、奈緒さんの、急な我儘にも付き合ってくれてるじゃねぇか」
「ハァ……低脳なアナタでも、流石に、そこには気付いてらしたんですね」
「そりゃあ、幾らなんでも気付くだろ。大体にして、あんなタイミング良く、3人が同じ所に買い物になんか来る訳ないだろうしな。……どうせ、急に奈緒さんから電話が掛かって来たにも拘らず、わざわざ来てくれたんだろ。ありがとな、ステラ」
「くすっ……アナタって、本当に、おかしな所だけ鋭いんですね。探偵志望なんですか?」
「まぁな」
いやいや……ステラって、意外とお人好しなんだな。
普段の言動を見てたら、スゲェ冷たい奴に見えるんだけど、実際は、全然違う。
ホント、こうやってまた、こいつの良い所が発見出来たから、今日、ステラを誘ってくれた奈緒さんには感謝だな。
「おっ!!もう直ぐ湘南に着くから、そろそろ2人を起してくれ。……それとよ、折角なんだから、余計な事は考えずに、目一杯楽しもうぜ、ステラ」
「くすっ……そうですね」
う~~~ん。
……にしてもステラの奴、あんま、そういう可愛い顔で笑うなよ。
ドキドキするじゃねぇか。
あぁ言っとくが、あれだぞ。
友達として見ても『ドキドキ』する程、可愛いって事だぞ。
……勘違いすんなよ!!
まっ、まぁそんな感じで、湘南の海に到着する訳だ。
そんで俺は、3人を海の家まで見送った後(折角、連れて来たのにナンパされちゃ適わないからな)
車に戻って、まずは1人虚しく海パンに着替える。
その後は、ビーチパラソルや、浮き輪。
更には日焼け止め(女性陣の為)と言った、海水浴には欠かせないアイテムを大量に持って、それらを海岸にエッチラホッチラと運ぶ。
更に、彼女達が居るだけで存在感をアピール出来そうな場所に、ワザとそれらを設置。
(↑結局、優越感に浸りたい俺)
後は、そわそわしながら、彼女達の到着を待った。
ヤベェ……あの3人の水着姿を想像しただけで、まじドキドキしてきた。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
これにて第三十八話『奈緒と真琴の一週間』はお仕舞なのですが。
今の所、特に問題も怒らず、意外と順調に行ってるみたいですね。
自分で書いててなんなんですが……なんか変な感じです(笑)
さてさて、そんな感じで次回からは。
第三十九話『海に行きました……災難です』が始まる訳なのですが。
あぁやっぱり、予想に反する事無く、こう言うタイトルが来ましたね(笑)
そんな倉津君の活躍に期待を寄せながら。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
オメエいい加減にしろよ!!( ゚Д゚)=○))з`)だが断る!!
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