最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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458 鳴りやまぬアンコールの中、駆け上がる影

公開日時: 2022年5月10日(火) 00:21
更新日時: 2023年1月3日(火) 19:52
文字数:2,076

●前回のおさらい●


 ちょっとしたアクシデントがあった後。

倉津君達が演奏をし……そして、終わった。


さてさて、その評価のほどは?

『『『『『わぁぁあぁぁあぁ~~~、なんだよこれ!!まじで最高じゃん!!もぉ死んでも良いぐらい最高だわ!!』』』』』


校舎自体がビリビリと揺れ動く程の、地響きにも似た大きな歓声が会場内に巻き起こる。

それに伴って、波の様に押し寄せてくる拍手の渦が、意識の飛んでいた俺の正気をキッチリ取り戻させてくれた。


そんな風に俺が気が付いた時には、熱気と熱狂が会場に渦巻いていた。


……って事はだな。

意識を飛ばしてたから状況は良くは解らんが、取り敢えずは、上手く行ったのかのぉ?

(↑相変わらずの無責任な俺)



『『『『『アンコール!!アンコール!!アンコール!!アンコール!!アンコール!!……』』』』』


おっ!!この様子なら、なんとか大丈夫そうな雰囲気だな。

それに、声援以外にも、これだけのアンコールが掛かってるなら、無事に演奏を終えたと考えても過言は無いだろ。


あぁ、けど、そうやってアンコールをして貰うのは非常に有り難いんだが……アンコール自体は無理だな。


現状じゃ、どうやっても出来ねぇぞ。


いやまぁ、これは、先持って言って置くがな。

これはなにも『ケチ』で、こんな事を言ってる訳じゃねぇんだぞ。

こんだけ盛大にアンコールを貰ってるんだから、俺としては、その観客の気持ちに応えてやりたい気持ちは大にしてあるんだぞ。


これ、まごう事無き本心な。


けどよぉ。

カジとグチとの基本的な練習は、完全に、この一曲に絞ってやってたもんだから、幾らアンコールして貰っても、他の曲を奏で様にも奏でられないんだよな。

それ故に、幾ら気持ち的にはやりたいと思っても、これ以外の曲が演奏出来ねぇんじゃ、アンコールに応え様がねぇってもんだ。


まぁ、早い話だな、俺たちゃ、情けない話だが、これしか演奏出来ねぇの。


こんなに期待して貰ってるのに、一曲しか演奏出来ねぇ雑魚バンドで……すまんのぉ。



けど、それ以前に、コンテストでアンコールなんて聞いた事もねぇけどな(笑)



『『『『『アンコール!!アンコール!!アンコール!!アンコール!!アンコール!!……』』』』』

『『『『『アンコール!!アンコール!!アンコール!!アンコール!!アンコール!!……』』』』』

『『『『『アンコール!!アンコール!!アンコール!!アンコール!!アンコール!!……』』』』』

『『『『『アンコール!!アンコール!!アンコール!!アンコール!!アンコール!!……』』』』』


……って、オイオイ、オイオイ、マジで勘弁してくれよ。

アンコールなんぞ放っときゃいずれ終わると思ってたけど、なんか、このアンコール鳴り止まないぞ……


マジで、どうすんだよ、これ?


違う意味で収集がつかなくなってんじゃん。


まぁ、つってもだな。

俺達が、アンコールを、全く出来ない状態だとしてもだな。

これ自体は、俺等を褒め称えるコールだから、俺としては、遠慮なく、幾らでも続けてくれても構わねぇんだけどな。


それにだ、この事態を収拾をつけるのは、俺達、バンドマンの仕事じゃないしな。

それ自体が、金を貰って、此処の責任者として雇われてるMCの勤めだからな。


……つぅ事でだ。

頑張れケン山本!!負けるな伊藤!!

そして……さっきみたいに、なんとかしろ素直!!


……俺は、コンテストにエントリーして演奏しただけだから知らんぞ。

(↑THE無責任な俺)



……って、訳にもいかねぇか。

だってよぉ。

司会をしている由佳・伊藤・木根はおろか、素直や、ケン山本まで、どうして良いか解らなくなってオロオロしてる様じゃ、話になんねぇもんな。


はぁ……もぉ面倒臭ぇなぁ……



「お~~~い、皆さん方よぉ。申し訳ねぇんだが、そうやってアンコールして貰っても、アンコールは無理だからな」

「うぉ!!なんでだよ、魔虎兄貴!!そんなつれねぇ事を言わずにアンコール・プリーズだぜ!!なぁロン」

「あぁ!!モヒィの言う通りだぜ兄貴!!プリーズ・プリーズ!!せめて後一曲だけでも良いから演奏してくれよ!!」

「いや、根本的に無理だから。……ってか、正直言えば俺等はな。この一曲しか練習してねぇから、後は、なんにも弾けねぇのな。だから、待てど暮らせど弾いてやれねぇの」

「えぇえぇ~~~~」

「『えぇ~~』じゃねぇし」

「ぶぅ~~~~~」

「豚語わかんねぇし。……まぁ兎に角だ。後のライブ予定も詰まってんだからよぉ。そろそろ、もぉこの辺にしとけ」

「「ちぇ!!」」


おっ……漸く、聞き分けの無い馬鹿共が、俺の言う事を、ちょっとは聞く様になりやがったな。


これで、ちょっとは大人になれたなモヒ&ロンよ。

序にだ、この2人との会話を聞いていた聴衆も、アンコール自体が無駄だと知り、会場全体が段々と収まりが付いて行く。


よしよし、これでみんなも、晴れて大人の仲間入りだな。


つぅか、やるぅ俺!!



……な訳が無いよな。

この程度の揉め事を収拾した程度で済むなら、最初に『酷い飛び火が掛かって来た』なんて言葉は使わねぇよな。


当然の如く……此処から、予想外以上の悪い展開が起こる。



それは、1人のメイド服を着た女の子が、VIP席から、会場に飛び込んで来た事が始まりだった。


もぉ、この人だけは……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


演奏自体は好評を博した上で、観客の説得にも成功した倉津君なのですが……それで終わる筈がありません(笑)


さぁ、ステージに駆け上がってきた人物は、だ~~れだ?(笑)


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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