最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1491 本当のお宝

公開日時: 2025年3月5日(水) 00:21
文字数:2,085

●前回のおさらい●


 長らくお待たせしましたぁ。

漸く、屋根裏で見付けたハードケースのご開帳の時間で~~~~す♪

「ほらね、ほらね。ヤッパリそうだ。……ほらほら。64年製の『AMPEG JAZZ SPIRIT SOUND EG1S』だよ」


そう言って、引っ張り出して来たギターのピックガードには『AMPEG』の文字。


……嘘だろ。



「嘘でしょ。型番までキッチリ言い当てるなんて」

「そんな事、事実上、有り得へんやろ」

「がぁ……」

「どうしたの?」


……なんて事だ。

言い当てた本人は、さも当たり前のように、驚く俺達をキョトンとした顔で見てるんだが。

絶対に思い込みだと思ってた筈なのに、沙那ちゃんが言ってた通りの商品がハードケースから出て来ちまったよ。


そんな馬鹿な……


しかも、64年製のビンテージ・ギターなんて、予想に反してマジの『宝物』じゃねぇかよ。



「あぁ……でも、保存状態が悪いね。1弦のPEGが曲がってるし。カバーも無くなってる。アームもないし。それにスィッチの関連が、全部付け変えられてるね」


PEGや、カバーや、アームに関しては、まぁ一目見りゃ解らなくもないが。

スィッチが付け替えられてる事まで見抜くって事は、この子は、完全にそのギターの原型すら憶えてるって言うのか?


……なんて子だ。

どこまで楽器に対する知識を持ってるって言うんだよ。



「あぁでも、木は良い感じに乾いてるね。マイク(ピックアップ)が生きてたら、きっと太い良い音が出るだろうね。GS(グループサウンズ)系の良い音が」

「弾いてもせぇへんのに、そこまで解るんか?」

「うん。解るよ。……ってか、普通は解るよね」

「いや、解らんし」

「そうなんだ。あぁでも、奈緒お姉ちゃんには解るよね。ベース弾くし」

「ごめん。ちょっと解んないかな」


いや、あのな……沙那ちゃん。

そんな眼をキラキラさせて、俺に期待の眼を向けてもダメだぞ。


俺の師匠である奈緒さんにも解らないものを、弟子の俺なんかに解る筈がない。


……って言うか。

此処最近は形を潜めてるが、奈緒さんって実はかなりの蘊蓄好きだから、そういった知識もバッチリ持ってる筈。

そんな彼女ですら解らないんだから、俺に求められても困るんだよな。


寧ろ、それが解るのは、それこそ変態ギタリストである崇秀や、本格的なギタリストである嶋田さんぐらいのもんじゃないか?


後、ステラとか。



「あぁっと、先に言って置くが、俺も解らんぞ」

「あれ?」


いやほんと『あれ?』じゃないつぅのな。


まぁでも、あれだな。

沙那ちゃんは、どこからどう見ても可愛いから、その『あれ?』って言う表現の仕方は有りだな。


首を傾げた姿が、スゲェ可愛いしな。


あぁでも、俺の好みとしては『あれ?』って言うより、此処は『あり?』って言って欲しい所ではあるがな。


眞子みたいによ。


***


 ……っとまぁ、そんな感じでだ。

沙那ちゃんのビルダーとしての知識の深さに驚かされながらも、此処で休憩時間も終了。

なので俺と、山中は、リフォーム業務である壁塗りを再開する事になった。


それで奈緒さんと沙那ちゃんはと言うと、またまたウチの家で待機して貰う事には成ったんだが。

当然の様に沙那ちゃんは、このオンボロギターを『リペア』すると言い出す。


まぁ、別に止める理由も無いので、そのまま沙那ちゃんにはギターを預けたんだが……そこで彼女が一言。

『家のリペア(リフォーム)と、ギターのリペア。どっちが早いか、おにぃちゃん勝負だよ』なんて事も言い出した。


そんで更に、もし俺が勝負に負けたら『ディズニーランドに連れて行って欲しい』との条件付きで。


意外と、そう言う所には関心が有るらしい。


勿論、その条件に対する回答はOK。

寧ろ、これだけの知識や技術を持った沙那ちゃんが、ギターをリペアをしてくれるんなら、勝負がドチラに転んでもお得な話だからな。


まぁ……そんな事情を除いてもだな。

沙那ちゃんを、色んな楽しい場所へ沢山連れて行ってあげたいから、こんなものは勝敗に関わらず無条件で連れて行ってあげたいと思う。


しかしまぁ、そんな事柄もあったので、ホント、今後も忙しくなりそうだな。

(↑既に沙那ちゃんの才能を見せ付けられて、負ける事を前提にしてる俺)


・・・・・・


それにしても、アレですな。

俺が『そこまでとは思ってなかった』って侮っていた部分はあるんだが。

沙那ちゃんの才能は、この家の屋根裏で見付かったビンテージギターなんかより『本物の宝物』だと認識せざるを得ないよな。


それを、この場で見せ付けられたんだから、発見現場は、この家屋って事に成るな。


まさに、これこそが、真のお宝発見ですな(笑)

(↑またしても、こじ付け的なサブタイトル回収)


***


次回予告。


さてさて、屋根裏にあった謎のハードケースの中身も解り。

沙那ちゃんの才能の恐ろしさも明確になり。

全部が全部スッキリした所で、俺達も本格的にリフォームを再開しますかね!!


此処からは、俺が昨晩電話した人間もゾクゾクとこの家に訪れて来てくれる筈だからな。


そんな訳で次回。


『Busy day②reform plan』

「忙しい日②リフォーム計画」


まぁ実際は、宝探しして盛り上がってる場合じゃねぇもんな。


親父さんが来るまでのタイムリミットも、そこまでないんだから……次回も真面目にやらんとな。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>

これにて第一章・第九十話【Busy day①Treasure in old house(忙しい日①ボロ家の宝物)】はお終いになるのですが、宝物の内容には、ご納得いただけたでしょうか?(笑)


お宝の正体は、沙那ちゃんでしたぁ(笑)


いやはや、このオチを書きたいが為に、長々と話を引っ張ってしまったのですが。

倉津君の言う通り、本当にお宝クラスの凄い才能、もしくは知識量だと思いますです。


あぁ、ですがね。

ハードケースの知識や、本体に対する知識に関しては、そうやって凄いものがあるのですが。

本編でも触れていた【ギターの音】に関して、倉津君も、奈緒さんも、山中君も『解らない』っと言って驚いていましたが。

これ……意外と、ギタリストの人なら知ってる人は知っている話なので、そんなに貴重な才能と言うほどの話ではなかったりします。


自身のパートの楽器なら、楽器屋さんなんかで色々な楽器の試し弾きなんかをしますので。

その試し弾きの量が多い人なら、恐らくは、誰でも知ってる様な知識でしかありませんからね(笑)

(因みに奈緒さんは、本当は解っている筈なのですが、沙那ちゃんが型番を言い当てた事に動揺して、つい『解らない』と言ってしまっただけです(笑))


さてさて、そんな中。

次回から始まる第一章・第九十一話『Busy day②reform plan(忙しい日②リフォーム計画)』では、補強となる壁塗りだけではなく。

色んな部分もリフォームしていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾



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