●前回のおさらい●
風呂場で釜茹での刑に遭い、意識を失った倉津君。
そんな悪さをしてしまった奈緒さんからのお詫びとして、一緒に海に行く事に成った。
そして一旦別れた後、待ち合わせ場所の横浜へ車(黒のベンツ)で向かう倉津君でした。
思ったより道が混んでいたので、横浜駅の相鉄口に到着したのは11時を少し廻っていた。
しかも到着後、車内から、直ぐに奈緒さんを探すが、何故か中々見つからない。
あの人、凄い目立つから、直ぐに、見つかると思ったんだけどなぁ。
なんで、こんなに見つからねぇんだろ?
そんな風に、疑問には思ってはいるんだが、実は早々に車外に出て、奈緒さんを探しに行く訳にも行かないんだよな。
なんせ俺は『国が許してない偽造免許書』しか持って無い訳だから、此処で下手に警官とかと鉢合わせして、職質とかされると非常に面倒なんだよな。
まぁ一応、保険として『青山ノ学院大学の偽造生徒手帳』なんてものもあるが、出来れば、コチラも、あんまり使いたくねぇんだよな。
だってよぉ、下手に使って、その警官が、そこの卒業生だったら最悪だろ。
色々聞かれて、これまた面倒な事に成りかねないからな。
まぁ、そんな訳があって……俺は車内からキョロキョロっと、奈緒さんを探すしか出来無い。
***
……っでだな。
数分後、漸く、奈緒さんを発見したのは良いんだが、案の定ナンパされてんだよな……あの人は。
まぁ取り敢えず、このままじゃ埒が明かねぇから、その場に行くつもりなんだけど……此処の道路って車線が少ないから、どっかから一周廻って来なきゃ行けねぇな。
俺は、相鉄から、ソフマップ経由で道路を一周して、再び、相鉄口に戻って来る。
んで、奈緒さんをナンパしている愚か者の近くに車を止めて、左の窓から顔を出す。
「お待たせッス!!……うん?なんッスかコイツ?」
「げっ!!」
今の反応、早速、俺をヤクザと勘違いしやがったな。
まぁそうは言っても『ベンツ』に『俺』が乗ってりゃあ、普通は、誰だってそう思うわな。
ってかな、未来的には、そうなってる可能性も無きにしも非ずだけどな。
「あぁクラ。君が遅いから、ナンパされてたのよ」
「あぁすんません。ちょっと渋滞に巻き込まれちまって……っで、そっちのオマエさぁ、誰の女に手を出してるか、わかってて声掛てんだろうな?」
睨んだれ。
「あっ、あの、俺」
「んだ?言いてぇ事が有るなら、ハッキリ言ってみろや。一応だが命乞い位なら聞いてやるぞ」
「いや、あっ、あの、凄い綺麗な人達だったもんで……つい」
「あぁそうかよ。オマエ、女を見る目だけは有るな。まぁ取り敢えず、悪い気はしねぇから、今日の所は勘弁してやるよ。但し、次、この人をナンパしたら、どうなるかは保障しねぇぞ」
「はっ、はい」
「わかったんなら良いや。さっさと行け」
「ハッ、ハイ、すみませんでした」
あれあれ、こんな程度の脅しで良いんですかいのぉ?
もう少しナンパ野郎共も根性出して、喰い付いて来ると期待してたんだが……まぁ良いか。
けど、ナンパ野郎が去ったのは、大いに結構なんだが、此処に、新たなる重要な問題が残されてるんだよな。
なにかって言うとだな。
何故、一緒に居るのかは知らないが『素直』と『ステラ』が、奈緒さんの横に居るんだよな。
多分、買い物途中で逢ったとか、そんなんだろうけどよぉ。
この場合、ステラは、十中八九、大丈夫なんだが、意外に融通の利かない優等生の素直は、かなり問題なんだよな。
いや、先に言って置くが、別に素直と一緒に海水浴に行くのが嫌な訳じゃないんだぞ。
人数が多い方が楽しいだろうし、素直も、ステラも、奈緒さんの友達だから、彼女との、別れまでの時間を堪能したい気持ちはわかる。
だから、俺も、そこに関しては、なにも言わないつもりだ。
ただなぁ、今、俺、車で来てるだろ……ステラだけならまだしも、素直の奴が、車の免許の件を、どうにも納得すると思えないんだよな。
素直って優等生で真面目人間だから、そう言う所は融通が利かないからな。
悪い事を許せないタイプなんだよな。
多分、真実がバレたら100%怒る。
かと言ってだな、幾ら納得しないからって、この場に放って置く訳にも行かないだろ。
素直も可愛いから、また、おかしなナンパに絡まれないとも限らない。
それは、あまりにも残酷で無慈悲だ。
どうしたもんかなコリャ。
「あっ、あの、真琴君」
あぁ来た。
「なんだよ?」
「どっ、どうして、車を運転してるんですか?」
だよな。
ヤッパ、素直なら、ストレートに、そう聞いて来るよな。
なら、なんて言えば上手く誤魔化せるかなぁ……
・・・・・・
うん、ヤッパ、なんも出てこねぇから、適当に、それらしい事を言って誤魔化してみるか。
「あぁこれか?これは、親父に借りて来たんだよ」
「そう……なんですか?でも、車の運転って18歳からしか出来無かったんじゃないですか?」
「あぁそれな。それなら心配はイラネェよ。俺、特殊免許持ってるから」
コラ!!奈緒さん!!
この滑稽な光景を見て、コソッと笑うんじゃありません!!
「えぇっと、それって」
「あぁ、年齢が若くても取れる免許ってのが有るんだよ。例えばだな。親父の代わりに仕事に行くとかの名目がある時は、特別、国が許してくれる制度があるんだよな。ひょっとしてオマエ、そんな事も知らねぇのか?」
だ・か・ら奈緒さん&ステラ、笑うんじゃありません!!
此処でバレたら、元も子も無いんですよ!!
「あぁそうなんですか。ごめんなさい、僕、てっきり真琴君が、無免許で車を運転してるのかと思いました」
「んな訳ねぇだろ。そんな事したら、直ぐに警察に捕まっちまうつぅの」
「ですよね。ごめんなさい」
すまぬ素直。
実は、そんなものは存在しない。
けど、今は、大人しく騙されていてくれ。
そして、事情がわかってる奈緒さん&ステラ。
もし警官に職質されたら、必ず素直を黙らせてくれ……頼んだぞ。
「気にすんな。……ってか。時間が勿体ねぇから、取り敢えず乗れよ。オマエ等も海に一緒に行くんだろ」
「良いんですか?向井さんとの時間を邪魔しちゃ……」
「アホかオマエは?みんなで一緒に行った方が、奈緒さんも、俺も楽しいに決まってんだろ。グダグダ言ってねぇで、早く乗れ」
「あっ、はい。じゃあ」
素直は騙されたまま、慌てて、車のバックシートに乗り込んだ。
こうなりゃ、コッチのもんだ。
「おい、ステラ、オマエも行くんだろ。早く乗れよ」
「いえ、私は電車で行かせて貰います。アナタの運転なんて信用出来ませんからね」
この野郎……確実に、今の現状が解ってて言ってやがんな。
けど、余計な事を言ってねぇで、オマエも、素直ぐらいアッサリ騙されてろつぅの。
「もぉ良いからよ。早く乗れよ」
「それは命令ですか?」
「あぁいや、あの、ステラさんに乗って頂いた方が、より楽しいドライブを満喫出来ると思うんですが。……如何なもんですかね?(棒読み)」
「そこまで言われたんでは、仕方有りませんね……今回だけですよ」
「あぁ、そうッスね(棒読み)」
くそぉ~~!!なんか弱みを握られてる気分だ。
しかもステラの奴、1度、俺を見てコソッと笑った後、済ました顔で乗り込みやがって!!
……なんか腹立つ!!
まぁそうは言ってもだ。
コイツは、元からこう言う生き物だから、別に良いか。
「じゃあ、奈緒さん行きましょうか?」
「そうだね」
奈緒さんは、余計な事を一切不問にして、ナビシートに座ってくれる。
うわ~~ん、奈緒さん最高ッス!!
最初(家での会話)から、他の2人と違ってゴチャゴチャ言わないのは最高ッス。
でも、この人、この調子から言って、昔、かなり悪い事してたな。
これも絶対、間違いない事実だぞ。
「ところで行き先は、湘南で良いッスか?」
「そうだね。海の家とかの施設も充実してるから、湘南で良いんじゃない」
おぉ流石、奈緒さんだ。
即決!!
「あっ、あの、真琴君……湘南って、不良の人が一杯居る所じゃないんですか?」
「オイオイ、それ、いつの話だよ?」
「えっ?」
「あのなぁ素直。そんな奴等は、とっくの昔に死滅して居ねぇよ。寧ろ、ナンパ目的の奴の方が、今は多いんじゃねぇか」
「ナンパ……ですか」
「あぁ、けど、心配すんな。俺が一緒に居たら、ナンパする男なんぞイネェからよ」
「そうですか……あぁじゃあ、そこでお願いします」
昔の湘南の悪いイメージって、まだ残ってるんだな。
ソンナモン、今は、殆ど存在しないのにな。
まぁそりゃあな。
深夜になりゃ、暴走族の1つぐらいは出て来るかもしれないけどな。
……まぁその程度の話だ。
いざとなりゃ、湘南が地元の族の連れも居る事だし、まぁそこも大丈夫だろう。
「じゃあ、ステラも、そこで良いな?」
「えぇ、結構ですよ……ですが、もし、私がナンパされた場合、アナタは、私を守ってくれるのですか?」
「大丈夫だ。心配するな。オマエをナンパする様な度胸のある男は100%居ない」
「そうですか。でしたら、結構ですよ」
うわっ!!なんか含みのある言葉だな。
イヤな予感しかしねぇ。
まっ……まぁそんな気持ちはさて置き、俺は、慌てて相鉄口を後にする。
イヤな……実は俺、此処、横浜駅相鉄口を、一秒でも早く出たかったんだよな。
実は此処ってな、駅の直ぐ傍にポリボックスが有るんだよ。
だからな、話が決まるまで、いつ奴等が出て来るかわからねぇから、結構ドキドキ・ヒヤヒヤしてたんだよな。
んな訳で……さっさと逃げろい!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
なんだかハーレム状態ですな。
奈緒さん、小柄美人。
ステラさん、ダイナマイトな美人。
素直ちゃん、ロリ居乳(笑)
今回ばかりは、良い事ずくめじゃないですか……いやいや、羨ましい限りですな(完全に含みアリ)
ただ、そんな幸せな時間がいつまで続く事やら。
(ФωФ)フフフ・・・また良かったら遊びに来て下さいね~~~(*'ω'*)ノ
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