最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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220 不良さん、そうは上手く行かない

公開日時: 2021年9月14日(火) 00:21
更新日時: 2022年12月7日(水) 13:12
文字数:3,680

●前回のおさらい●


 風呂場で釜茹での刑に遭い、意識を失った倉津君。

そんな悪さをしてしまった奈緒さんからのお詫びとして、一緒に海に行く事に成った。


そして一旦別れた後、待ち合わせ場所の横浜へ車(黒のベンツ)で向かう倉津君でした。

 思ったより道が混んでいたので、横浜駅の相鉄口に到着したのは11時を少し廻っていた。

しかも到着後、車内から、直ぐに奈緒さんを探すが、何故か中々見つからない。


あの人、凄い目立つから、直ぐに、見つかると思ったんだけどなぁ。

なんで、こんなに見つからねぇんだろ?


そんな風に、疑問には思ってはいるんだが、実は早々に車外に出て、奈緒さんを探しに行く訳にも行かないんだよな。

なんせ俺は『国が許してない偽造免許書』しか持って無い訳だから、此処で下手に警官とかと鉢合わせして、職質とかされると非常に面倒なんだよな。


まぁ一応、保険として『青山ノ学院大学の偽造生徒手帳』なんてものもあるが、出来れば、コチラも、あんまり使いたくねぇんだよな。


だってよぉ、下手に使って、その警官が、そこの卒業生だったら最悪だろ。

色々聞かれて、これまた面倒な事に成りかねないからな。


まぁ、そんな訳があって……俺は車内からキョロキョロっと、奈緒さんを探すしか出来無い。


***


 ……っでだな。

数分後、漸く、奈緒さんを発見したのは良いんだが、案の定ナンパされてんだよな……あの人は。


まぁ取り敢えず、このままじゃ埒が明かねぇから、その場に行くつもりなんだけど……此処の道路って車線が少ないから、どっかから一周廻って来なきゃ行けねぇな。


俺は、相鉄から、ソフマップ経由で道路を一周して、再び、相鉄口に戻って来る。

んで、奈緒さんをナンパしている愚か者の近くに車を止めて、左の窓から顔を出す。



「お待たせッス!!……うん?なんッスかコイツ?」

「げっ!!」


今の反応、早速、俺をヤクザと勘違いしやがったな。

まぁそうは言っても『ベンツ』に『俺』が乗ってりゃあ、普通は、誰だってそう思うわな。


ってかな、未来的には、そうなってる可能性も無きにしも非ずだけどな。



「あぁクラ。君が遅いから、ナンパされてたのよ」

「あぁすんません。ちょっと渋滞に巻き込まれちまって……っで、そっちのオマエさぁ、誰の女に手を出してるか、わかってて声掛てんだろうな?」


睨んだれ。



「あっ、あの、俺」

「んだ?言いてぇ事が有るなら、ハッキリ言ってみろや。一応だが命乞い位なら聞いてやるぞ」

「いや、あっ、あの、凄い綺麗な人達だったもんで……つい」

「あぁそうかよ。オマエ、女を見る目だけは有るな。まぁ取り敢えず、悪い気はしねぇから、今日の所は勘弁してやるよ。但し、次、この人をナンパしたら、どうなるかは保障しねぇぞ」

「はっ、はい」

「わかったんなら良いや。さっさと行け」

「ハッ、ハイ、すみませんでした」


あれあれ、こんな程度の脅しで良いんですかいのぉ?

もう少しナンパ野郎共も根性出して、喰い付いて来ると期待してたんだが……まぁ良いか。


けど、ナンパ野郎が去ったのは、大いに結構なんだが、此処に、新たなる重要な問題が残されてるんだよな。


なにかって言うとだな。

何故、一緒に居るのかは知らないが『素直』と『ステラ』が、奈緒さんの横に居るんだよな。


多分、買い物途中で逢ったとか、そんなんだろうけどよぉ。

この場合、ステラは、十中八九、大丈夫なんだが、意外に融通の利かない優等生の素直は、かなり問題なんだよな。


いや、先に言って置くが、別に素直と一緒に海水浴に行くのが嫌な訳じゃないんだぞ。

人数が多い方が楽しいだろうし、素直も、ステラも、奈緒さんの友達だから、彼女との、別れまでの時間を堪能したい気持ちはわかる。


だから、俺も、そこに関しては、なにも言わないつもりだ。


ただなぁ、今、俺、車で来てるだろ……ステラだけならまだしも、素直の奴が、車の免許の件を、どうにも納得すると思えないんだよな。

素直って優等生で真面目人間だから、そう言う所は融通が利かないからな。


悪い事を許せないタイプなんだよな。


多分、真実がバレたら100%怒る。


かと言ってだな、幾ら納得しないからって、この場に放って置く訳にも行かないだろ。

素直も可愛いから、また、おかしなナンパに絡まれないとも限らない。


それは、あまりにも残酷で無慈悲だ。


どうしたもんかなコリャ。



「あっ、あの、真琴君」


あぁ来た。



「なんだよ?」

「どっ、どうして、車を運転してるんですか?」


だよな。

ヤッパ、素直なら、ストレートに、そう聞いて来るよな。


なら、なんて言えば上手く誤魔化せるかなぁ……


・・・・・・


うん、ヤッパ、なんも出てこねぇから、適当に、それらしい事を言って誤魔化してみるか。



「あぁこれか?これは、親父に借りて来たんだよ」

「そう……なんですか?でも、車の運転って18歳からしか出来無かったんじゃないですか?」

「あぁそれな。それなら心配はイラネェよ。俺、特殊免許持ってるから」


コラ!!奈緒さん!!


この滑稽な光景を見て、コソッと笑うんじゃありません!!



「えぇっと、それって」

「あぁ、年齢が若くても取れる免許ってのが有るんだよ。例えばだな。親父の代わりに仕事に行くとかの名目がある時は、特別、国が許してくれる制度があるんだよな。ひょっとしてオマエ、そんな事も知らねぇのか?」


だ・か・ら奈緒さん&ステラ、笑うんじゃありません!!


此処でバレたら、元も子も無いんですよ!!



「あぁそうなんですか。ごめんなさい、僕、てっきり真琴君が、無免許で車を運転してるのかと思いました」

「んな訳ねぇだろ。そんな事したら、直ぐに警察に捕まっちまうつぅの」

「ですよね。ごめんなさい」


すまぬ素直。

実は、そんなものは存在しない。


けど、今は、大人しく騙されていてくれ。


そして、事情がわかってる奈緒さん&ステラ。

もし警官に職質されたら、必ず素直を黙らせてくれ……頼んだぞ。



「気にすんな。……ってか。時間が勿体ねぇから、取り敢えず乗れよ。オマエ等も海に一緒に行くんだろ」

「良いんですか?向井さんとの時間を邪魔しちゃ……」

「アホかオマエは?みんなで一緒に行った方が、奈緒さんも、俺も楽しいに決まってんだろ。グダグダ言ってねぇで、早く乗れ」

「あっ、はい。じゃあ」


素直は騙されたまま、慌てて、車のバックシートに乗り込んだ。


こうなりゃ、コッチのもんだ。



「おい、ステラ、オマエも行くんだろ。早く乗れよ」

「いえ、私は電車で行かせて貰います。アナタの運転なんて信用出来ませんからね」


この野郎……確実に、今の現状が解ってて言ってやがんな。


けど、余計な事を言ってねぇで、オマエも、素直ぐらいアッサリ騙されてろつぅの。



「もぉ良いからよ。早く乗れよ」

「それは命令ですか?」

「あぁいや、あの、ステラさんに乗って頂いた方が、より楽しいドライブを満喫出来ると思うんですが。……如何なもんですかね?(棒読み)」

「そこまで言われたんでは、仕方有りませんね……今回だけですよ」

「あぁ、そうッスね(棒読み)」


くそぉ~~!!なんか弱みを握られてる気分だ。

しかもステラの奴、1度、俺を見てコソッと笑った後、済ました顔で乗り込みやがって!!


……なんか腹立つ!!


まぁそうは言ってもだ。

コイツは、元からこう言う生き物だから、別に良いか。



「じゃあ、奈緒さん行きましょうか?」

「そうだね」


奈緒さんは、余計な事を一切不問にして、ナビシートに座ってくれる。


うわ~~ん、奈緒さん最高ッス!!

最初(家での会話)から、他の2人と違ってゴチャゴチャ言わないのは最高ッス。


でも、この人、この調子から言って、昔、かなり悪い事してたな。


これも絶対、間違いない事実だぞ。



「ところで行き先は、湘南で良いッスか?」

「そうだね。海の家とかの施設も充実してるから、湘南で良いんじゃない」


おぉ流石、奈緒さんだ。


即決!!



「あっ、あの、真琴君……湘南って、不良の人が一杯居る所じゃないんですか?」

「オイオイ、それ、いつの話だよ?」

「えっ?」

「あのなぁ素直。そんな奴等は、とっくの昔に死滅して居ねぇよ。寧ろ、ナンパ目的の奴の方が、今は多いんじゃねぇか」

「ナンパ……ですか」

「あぁ、けど、心配すんな。俺が一緒に居たら、ナンパする男なんぞイネェからよ」

「そうですか……あぁじゃあ、そこでお願いします」


昔の湘南の悪いイメージって、まだ残ってるんだな。


ソンナモン、今は、殆ど存在しないのにな。


まぁそりゃあな。

深夜になりゃ、暴走族の1つぐらいは出て来るかもしれないけどな。


……まぁその程度の話だ。


いざとなりゃ、湘南が地元の族の連れも居る事だし、まぁそこも大丈夫だろう。



「じゃあ、ステラも、そこで良いな?」

「えぇ、結構ですよ……ですが、もし、私がナンパされた場合、アナタは、私を守ってくれるのですか?」

「大丈夫だ。心配するな。オマエをナンパする様な度胸のある男は100%居ない」

「そうですか。でしたら、結構ですよ」


うわっ!!なんか含みのある言葉だな。


イヤな予感しかしねぇ。



まっ……まぁそんな気持ちはさて置き、俺は、慌てて相鉄口を後にする。


イヤな……実は俺、此処、横浜駅相鉄口を、一秒でも早く出たかったんだよな。


実は此処ってな、駅の直ぐ傍にポリボックスが有るんだよ。

だからな、話が決まるまで、いつ奴等が出て来るかわからねぇから、結構ドキドキ・ヒヤヒヤしてたんだよな。


んな訳で……さっさと逃げろい!!


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


なんだかハーレム状態ですな。


奈緒さん、小柄美人。

ステラさん、ダイナマイトな美人。

素直ちゃん、ロリ居乳(笑)

今回ばかりは、良い事ずくめじゃないですか……いやいや、羨ましい限りですな(完全に含みアリ)


ただ、そんな幸せな時間がいつまで続く事やら。


(ФωФ)フフフ・・・また良かったら遊びに来て下さいね~~~(*'ω'*)ノ

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