●前回のおさらい●
崇秀と目一杯遊ぶ中。
気付けば、極自然なまま眞子として、崇秀と接していた。
そこでフッと我に返り。
『なんで崇秀は、ボロボロの状態の筈なのに、此処まで自分に付き合ってくれてるのだろう?』っと言う疑問が湧き、質問する事に……
「『倉津眞子』が俺と遊んだ記憶を、より鮮明にする為だ」
「へっ?……えっ?ちょ、ちょっとぉ!!たった……たった、それだけの為に?こんな無茶な事をしたって言うの?」
「あぁ、そうだ。だってよぉ。男の時に遊んだイメージってのは、どうしても記憶が乱暴なものになるだろ。だが、女のイメージで遊んだ後に残ってる物は、比較的、楽しいイメージの方が残り易い。そう言うのを、頭の中で書き換えて置かなきゃ、今後、オマエが生きて行き難いだろ。……だからだよ」
「嘘……そんな理由だけの為に……もぉ……また……」
『男女の記憶の上書き』
そんな些細な事の為だけに、私に付き合ってくれてたって言うの……
私が、今後、少しでも悩まずに生きていく為だけに。
自分がボロボロな状態であっても、それが大事な事だと認識してくれて、一緒に遊んでくれてたって言うの……
もぉヤダ……コイツ嫌いだ!!
コイツは、いつもこうだ。
昨日も……その前も……その前も……なんで、そんなボロボロに成ってでも、私の為なんかに出来るのよ!!
馬鹿じゃないの?
もぉ、崇秀は馬鹿だよ……
「ぐすっ……ズルイ……ずるいずるい……そんな理由なんてズルイよ……また、そうやって、簡単に私を泣かすんだから……ぐすっ……ホント崇秀はズルイよ」
「あぁ~あぁっ、また、こんな程度の事で泣き出しやがったよ。オマエねぇ、そんな毎度毎度、些細な事でメソメソ泣くんじゃねぇの。……つぅか、オマエ、さっきからスカートがズリ上がって、パンツ丸見えになってんぞ」
「ぐすっ……パンツぐらいなら、もぉ幾らでも見たいだけ、見たら良いよ。好きなだけ見てくれて良いよ。私……私、こんなに思ってくれてる崇秀に対して、ぐすっ、みっともないかもしれないけど、それぐらいしか、お礼が出来無いんだもん。だから、もぉ、どれだけでも見てくれていいよ……見てくれて」
「あっそ。じゃあ、良い物見せて貰ったから、これで今回の事は全部チャラな」
「ぐすっ……全然嬉しくないクセに」
「いやいや、そんな事ねぇぞ。倉津眞子のパンツにゃあ、それぐらいの価値はあんじゃねぇの。……だから、これからは、もっともっと自分を磨いて、今よりも、もっと可愛くなって、もっと自分の価値を上げろな。俺にとっちゃあ、それが一番のお礼だ」
「うん。わかったよ。だからもぉ、崇秀の前では『倉津真琴』は出さない。金輪際『倉津眞子』でしか逢わないよ。……それでも良い?それでも良いよね?崇秀、私が、眞子のままでもあって、変わらず私と付き合ってくれるよね」
「つぅか、そんな当たり前の事を、わざわざ口に出して聞くなよな。大体にして、倉津眞子は自由に生きるべき為の存在なんだからな。オマエは、俺に遠慮なんかせず、自分が思うがままに好きに生きれば良いんだよ。そこだけは履き違えてくれるなよ」
「うん♪……うんうん、わかった♪ありがとう。崇秀、本当にありがとう」
そうだよね……
崇秀の言う通り、最初から、奈緒さん以外の人の前で『男』なんて出す必要なんてなかったんだよね。
自分の中に『男女』を共存させる事は必要だとしても、表面上で現すのは、それはリスクでしかない。
きっと崇秀は、最初から、それが解ってて、それだけを言いたくて、この行動に移してくれたんだ。
だから今となって思えば『女性の言動をする事が恥ずかしい』と思っていた自分が恥ずくすら感じる。
今の私が『倉津眞子』の姿である以上、心も、自分が理想とする『倉津眞子』であるべきだったんだ。
それも含めて、女として、全てを徹底するべき事だったんだ。
また、崇秀に教えられる結果になっちゃったけどね。
ははっ……
『ピュルルルルルル……ピュルルルルルル……ピュルルルルルル……』
解りきった事を、やっと私が理解した頃、受付からコールが掛かった。
それに対して崇秀は、徐に立りあがり、鳴り止まないコールをする受話器をとる。
……あら。
「あいよ」
『ラスト10分になります。お時間の延長はされますか?』
「あぁ、延長は要らない。終了で」
『はい、ありがとうございました。では、お帰りの際は、リモコンを受付まで、お持ち下さい』
「あいよ」
カラオケ……終わっちゃったね。
ははっ……ごめんね。
今度は私が色々と奢るから、今回の事は許してね。
「ってか。オマエが無駄に長話をするから、半分ぐらいしかカラオケ出来なかったじゃねぇかよ。このバカタレが」
「ごめんって、ごめんって……でもさ、でもさ、崇秀、私のパンツ見れたんだから、当然、それでチャラだよね。チャラで良いよね」
嘘嘘。
こんなの全然本心じゃないんだよ。
大体にして、私のパンツを見た程度の事じゃお詫びにも成らないから、今度いっぱい奢ってあげるね。
崇秀が、今まで私にしてくれた事を考えたら、そんな程度ではお礼にも成らないかもしれないけどね。
真琴ちゃんの貯金がなくなる位までなら、なんでも奢っちゃうよ。
崇秀は、私にとっての大事な大事な親友なんだから。
「まぁなぁ……じゃあまっ、そんで良いか。モロパンだったしな」
「ははっ……そんな所まで克明に報告しなくても良ろしい」
いやまぁ、私が冗談で言い始めた話題だから、別に良いんだけど。
折角、いっぱい奢ってあげるオーラを出してるって言うのに、そこであえて、また私のパンツの話題を引っ張りますか。
まぁでも、崇秀だったら、幾ら見られても良いかなぁ。
私が秋田に居る頃からの長い長い付き合いな訳なんだし、パンツを見られるぐらい今更♪今更♪だよね。
いや寧ろ、崇秀にだけなら、見せても良いに決まってる!!
あぁでも、そう考えたら、あれだよね。
こんな事になるなら、まったく知らない女医なんかに検査を頼まず、崇秀に検査して貰えば良かったなぁ。
なんか、女医に見せ損だ。
「つぅか。いつまでも笑ってないで行くぞ。カラオケをギリギリまで粘ってやるなんてナンセンスの極み。終了だ終了」
「あっ、うん。直ぐ行く、直ぐ行く!!待って、待って♪♪」
ヤッパね。
コイツと居るのは『男女』に関わらず……楽しいや♪
もぉ癖に成りそう。
こうして、崇秀と私は、カラオケのリモコンを持って受付まで行くんだけど……
受付で会計をする際に、崇秀の電話が鳴り始めた。
当然、崇秀は即座に反応して電話に出るんだけど。
それと同時に、私にギロームの財布を渡して、会計を済まして置くように指示を出される。
けどね、支払いをしてる最中に、崇秀の方を見ると……やけに表情が険しい。
電話の内容までは聞こえてないから、なにを話しているのかは解らないんだけど。
なにやらトラブルが有ったらしく、やけに神妙な面持ちで電話の相手と話をしている。
あぁ~~あぁっ、この様子だと仕事なのかなぁ。
ちぇ……もっと崇秀と遊びたかったなぁ。
つまんない。
***
……そうやって崇秀が電話で話す事5分。
何故か崇秀は、あんなに神妙な顔をしていたのにも拘らず、矢鱈と嬉しそうな顔をして戻ってくる。
「なぁ、眞子。ヤッパリ、オマエと居ると、自然と楽しいトラブルが降って湧いて来やがるな。……ホント、おもしれぇ」
「えっ?なになに?それって、どういう事?」
「良いからよ。これからスゲェ面白い事があるから、もぉちょっとだけ俺に付き合えよ」
「えっ?えっ?付き合えたって……こんなに時間から、どっ、どこに行くの?」
崇秀は、此処で妙な溜めを作ってから、ロクでもない事を言い出す。
「向井さん家に、オマエのベースを取りに行ってから……横浜アリーナに行くぞ」
「えっ?えっ?えっ?なになになに?」
「良いから、最後まで俺に付き合う気があるんなら、さっさと単車のケツに乗れ!!コイツが、今日の遊びの締めくくりだ。……くくくっ、マジで、おもしれぇ事になってきやがった」
私は訳も解らないままNSRの後ろに乗せられて、奈緒さんの家に連れて行かれた。
ってか、なにこれ?
単車の後ろに乗るのは良いんだけど。
崇秀の言ってた『横浜アリーナ』になんかに、なにしに行くの?
なにも解らないや……
ははっ……怖ッ!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
これにて第一章・第二十八話『心の上書き』はお仕舞に成ります。
私個人としては、こう言うお話が好きなので書かせて頂いているのですが。
読んで下さってる皆さんには、どう感じて頂けたでしょうか?
『暑苦しい』っと感じましたか?
『古臭い』っと感じましたか?
それとも『こんな崇秀みたいな友達が欲しいなぁ』って思って頂けたでしょうか?
まぁ勿論、矢張り個人的には『こんな友達欲しいなぁ』って思って頂ければ一番嬉しいのですが。
昨今、ネットやスマホ、それにSNS等の台頭により。
人付き合いと言うものが【広く浅く】が基本に成り過ぎてて、人間関係が希薄に成っている状態では、中々こう言う友人を得る事自体が難しくなっています。
別にネット等を批判したい訳ではないのですが。
効率ばかり考えて、人間関係が希薄になるぐらいだったら、もう少し『アナログでも良いんじゃないかなぁ』とは思っています。
まぁ、それ自体が『古臭い考え』だと言えば古臭い考えなのかもしれませんがね(笑)
さてさて、そんな中。
崇秀が、なにやらアクシデントに見舞われ。
眞子を連れて『アリーナ』に向かう様なのですが……一体、今度は何が起こったのか?
その辺を次回から始まる、第二十九話【ARENA-back stage】でお話していきたいと思いますので。
また良かったら、お気軽な感じで遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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