最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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625 心の上書き

公開日時: 2022年10月24日(月) 00:21
更新日時: 2023年1月16日(月) 16:07
文字数:3,224

●前回のおさらい●


 崇秀と目一杯遊ぶ中。

気付けば、極自然なまま眞子として、崇秀と接していた。


そこでフッと我に返り。

『なんで崇秀は、ボロボロの状態の筈なのに、此処まで自分に付き合ってくれてるのだろう?』っと言う疑問が湧き、質問する事に……

「『倉津眞子』が俺と遊んだ記憶を、より鮮明にする為だ」

「へっ?……えっ?ちょ、ちょっとぉ!!たった……たった、それだけの為に?こんな無茶な事をしたって言うの?」

「あぁ、そうだ。だってよぉ。男の時に遊んだイメージってのは、どうしても記憶が乱暴なものになるだろ。だが、女のイメージで遊んだ後に残ってる物は、比較的、楽しいイメージの方が残り易い。そう言うのを、頭の中で書き換えて置かなきゃ、今後、オマエが生きて行き難いだろ。……だからだよ」

「嘘……そんな理由だけの為に……もぉ……また……」


『男女の記憶の上書き』

そんな些細な事の為だけに、私に付き合ってくれてたって言うの……


私が、今後、少しでも悩まずに生きていく為だけに。

自分がボロボロな状態であっても、それが大事な事だと認識してくれて、一緒に遊んでくれてたって言うの……


もぉヤダ……コイツ嫌いだ!!


コイツは、いつもこうだ。

昨日も……その前も……その前も……なんで、そんなボロボロに成ってでも、私の為なんかに出来るのよ!!


馬鹿じゃないの?


もぉ、崇秀は馬鹿だよ……



「ぐすっ……ズルイ……ずるいずるい……そんな理由なんてズルイよ……また、そうやって、簡単に私を泣かすんだから……ぐすっ……ホント崇秀はズルイよ」

「あぁ~あぁっ、また、こんな程度の事で泣き出しやがったよ。オマエねぇ、そんな毎度毎度、些細な事でメソメソ泣くんじゃねぇの。……つぅか、オマエ、さっきからスカートがズリ上がって、パンツ丸見えになってんぞ」

「ぐすっ……パンツぐらいなら、もぉ幾らでも見たいだけ、見たら良いよ。好きなだけ見てくれて良いよ。私……私、こんなに思ってくれてる崇秀に対して、ぐすっ、みっともないかもしれないけど、それぐらいしか、お礼が出来無いんだもん。だから、もぉ、どれだけでも見てくれていいよ……見てくれて」

「あっそ。じゃあ、良い物見せて貰ったから、これで今回の事は全部チャラな」

「ぐすっ……全然嬉しくないクセに」

「いやいや、そんな事ねぇぞ。倉津眞子のパンツにゃあ、それぐらいの価値はあんじゃねぇの。……だから、これからは、もっともっと自分を磨いて、今よりも、もっと可愛くなって、もっと自分の価値を上げろな。俺にとっちゃあ、それが一番のお礼だ」

「うん。わかったよ。だからもぉ、崇秀の前では『倉津真琴』は出さない。金輪際『倉津眞子』でしか逢わないよ。……それでも良い?それでも良いよね?崇秀、私が、眞子のままでもあって、変わらず私と付き合ってくれるよね」

「つぅか、そんな当たり前の事を、わざわざ口に出して聞くなよな。大体にして、倉津眞子は自由に生きるべき為の存在なんだからな。オマエは、俺に遠慮なんかせず、自分が思うがままに好きに生きれば良いんだよ。そこだけは履き違えてくれるなよ」

「うん♪……うんうん、わかった♪ありがとう。崇秀、本当にありがとう」


そうだよね……

崇秀の言う通り、最初から、奈緒さん以外の人の前で『男』なんて出す必要なんてなかったんだよね。


自分の中に『男女』を共存させる事は必要だとしても、表面上で現すのは、それはリスクでしかない。

きっと崇秀は、最初から、それが解ってて、それだけを言いたくて、この行動に移してくれたんだ。


だから今となって思えば『女性の言動をする事が恥ずかしい』と思っていた自分が恥ずくすら感じる。


今の私が『倉津眞子』の姿である以上、心も、自分が理想とする『倉津眞子』であるべきだったんだ。

それも含めて、女として、全てを徹底するべき事だったんだ。


また、崇秀に教えられる結果になっちゃったけどね。


ははっ……



『ピュルルルルルル……ピュルルルルルル……ピュルルルルルル……』


解りきった事を、やっと私が理解した頃、受付からコールが掛かった。


それに対して崇秀は、徐に立りあがり、鳴り止まないコールをする受話器をとる。


……あら。



「あいよ」

『ラスト10分になります。お時間の延長はされますか?』

「あぁ、延長は要らない。終了で」

『はい、ありがとうございました。では、お帰りの際は、リモコンを受付まで、お持ち下さい』

「あいよ」


カラオケ……終わっちゃったね。


ははっ……ごめんね。

今度は私が色々と奢るから、今回の事は許してね。



「ってか。オマエが無駄に長話をするから、半分ぐらいしかカラオケ出来なかったじゃねぇかよ。このバカタレが」

「ごめんって、ごめんって……でもさ、でもさ、崇秀、私のパンツ見れたんだから、当然、それでチャラだよね。チャラで良いよね」


嘘嘘。

こんなの全然本心じゃないんだよ。


大体にして、私のパンツを見た程度の事じゃお詫びにも成らないから、今度いっぱい奢ってあげるね。


崇秀が、今まで私にしてくれた事を考えたら、そんな程度ではお礼にも成らないかもしれないけどね。

真琴ちゃんの貯金がなくなる位までなら、なんでも奢っちゃうよ。


崇秀は、私にとっての大事な大事な親友なんだから。



「まぁなぁ……じゃあまっ、そんで良いか。モロパンだったしな」

「ははっ……そんな所まで克明に報告しなくても良ろしい」


いやまぁ、私が冗談で言い始めた話題だから、別に良いんだけど。

折角、いっぱい奢ってあげるオーラを出してるって言うのに、そこであえて、また私のパンツの話題を引っ張りますか。


まぁでも、崇秀だったら、幾ら見られても良いかなぁ。

私が秋田に居る頃からの長い長い付き合いな訳なんだし、パンツを見られるぐらい今更♪今更♪だよね。


いや寧ろ、崇秀にだけなら、見せても良いに決まってる!!


あぁでも、そう考えたら、あれだよね。

こんな事になるなら、まったく知らない女医なんかに検査を頼まず、崇秀に検査して貰えば良かったなぁ。


なんか、女医に見せ損だ。



「つぅか。いつまでも笑ってないで行くぞ。カラオケをギリギリまで粘ってやるなんてナンセンスの極み。終了だ終了」

「あっ、うん。直ぐ行く、直ぐ行く!!待って、待って♪♪」


ヤッパね。

コイツと居るのは『男女』に関わらず……楽しいや♪


もぉ癖に成りそう。



こうして、崇秀と私は、カラオケのリモコンを持って受付まで行くんだけど……


受付で会計をする際に、崇秀の電話が鳴り始めた。


当然、崇秀は即座に反応して電話に出るんだけど。

それと同時に、私にギロームの財布を渡して、会計を済まして置くように指示を出される。


けどね、支払いをしてる最中に、崇秀の方を見ると……やけに表情が険しい。


電話の内容までは聞こえてないから、なにを話しているのかは解らないんだけど。

なにやらトラブルが有ったらしく、やけに神妙な面持ちで電話の相手と話をしている。


あぁ~~あぁっ、この様子だと仕事なのかなぁ。


ちぇ……もっと崇秀と遊びたかったなぁ。


つまんない。


***


 ……そうやって崇秀が電話で話す事5分。

何故か崇秀は、あんなに神妙な顔をしていたのにも拘らず、矢鱈と嬉しそうな顔をして戻ってくる。



「なぁ、眞子。ヤッパリ、オマエと居ると、自然と楽しいトラブルが降って湧いて来やがるな。……ホント、おもしれぇ」

「えっ?なになに?それって、どういう事?」

「良いからよ。これからスゲェ面白い事があるから、もぉちょっとだけ俺に付き合えよ」

「えっ?えっ?付き合えたって……こんなに時間から、どっ、どこに行くの?」


崇秀は、此処で妙な溜めを作ってから、ロクでもない事を言い出す。



「向井さん家に、オマエのベースを取りに行ってから……横浜アリーナに行くぞ」

「えっ?えっ?えっ?なになになに?」

「良いから、最後まで俺に付き合う気があるんなら、さっさと単車のケツに乗れ!!コイツが、今日の遊びの締めくくりだ。……くくくっ、マジで、おもしれぇ事になってきやがった」


私は訳も解らないままNSRの後ろに乗せられて、奈緒さんの家に連れて行かれた。


ってか、なにこれ?


単車の後ろに乗るのは良いんだけど。

崇秀の言ってた『横浜アリーナ』になんかに、なにしに行くの?


なにも解らないや……



ははっ……怖ッ!!


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>

これにて第一章・第二十八話『心の上書き』はお仕舞に成ります。


私個人としては、こう言うお話が好きなので書かせて頂いているのですが。

読んで下さってる皆さんには、どう感じて頂けたでしょうか?


『暑苦しい』っと感じましたか?

『古臭い』っと感じましたか?

それとも『こんな崇秀みたいな友達が欲しいなぁ』って思って頂けたでしょうか?


まぁ勿論、矢張り個人的には『こんな友達欲しいなぁ』って思って頂ければ一番嬉しいのですが。

昨今、ネットやスマホ、それにSNS等の台頭により。

人付き合いと言うものが【広く浅く】が基本に成り過ぎてて、人間関係が希薄に成っている状態では、中々こう言う友人を得る事自体が難しくなっています。


別にネット等を批判したい訳ではないのですが。

効率ばかり考えて、人間関係が希薄になるぐらいだったら、もう少し『アナログでも良いんじゃないかなぁ』とは思っています。


まぁ、それ自体が『古臭い考え』だと言えば古臭い考えなのかもしれませんがね(笑)


さてさて、そんな中。

崇秀が、なにやらアクシデントに見舞われ。

眞子を連れて『アリーナ』に向かう様なのですが……一体、今度は何が起こったのか?


その辺を次回から始まる、第二十九話【ARENA-back stage】でお話していきたいと思いますので。

また良かったら、お気軽な感じで遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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