●前回のおさらい●
校門で待ち構えていたナンチャッテな不良を撃退。
その後、ボスの居る場所へ移動を開始する倉津君と、アホのゼンちゃん。
移動先は、俺のよく見知った場所だった。
繁華街から裏路地に入って、更に裏路地を行った『喫茶ミノルちゃん』の近くの空き地。
此処は警官共ですら、あまり近寄りたがらない、不良共が、よく喧嘩する場所で有名な名物スポットだ。
んで、その空き地を、少し離れた所から見てみるとだな。
やけに偉そうにしている、図体のデカイのが一匹、土管の上に腰掛けてる。
コイツはジャイアンかよ……
まぁ見るからに、十中八九コイツが瀬野って奴だろうな。
んで、その他の雑魚の取り巻きが5人程居やがるな+αで女が4人。
まぁ、この程度の人数なら、大した問題じゃ無いな。
けどなぁ、バンドの事を考えたら、此処で下手に、手を怪我をする訳にもイカネェんだよな。
流石に、この人数相手に無傷って訳にもイカネェだろうしな。
そこで俺は一計を案じた。
「オイ、オマエ、ちょっと『ミノルママ』んとこ行って、塩借りて来い」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
『ガンッ!!』
「テメェに言ってんだよ。このクソカス」
「へっ?あっ、はっ、はい」
殴られて、やっと自覚しやがった。
オマエなぁ、どう考えても、この場でのパシリの立場はテメェだろうが……
……ったく、どこまでも気の利かねぇ野郎ばっかだな。
***
……数分後。
その馬鹿は、大量の塩を持って帰って来た。
しかも、業務用サイズの無駄にデカイ袋を抱えて……マジでアホなのか、コイツ?
ひょっとして、国見のオッサンとこの甥っ子よりレベルの高い馬鹿なんじゃねぇの?
大体にして、そんな大量の塩を、一体、何に使うつもりなんだよ?
少しは頭を使えよな。
「あぁもぉ……チッ、ありがとよ。ソレを置いたら、オマエは、もぅ帰って良いぞ」
「マッ、マジッスか?」
「あぁ、塩を取って来てくれたから、オマエだけは勘弁してやるよ。……俺の気が変わらねぇ内に、さっさと行け。但し、ウチの学校の前で死んでる奴等は、オマエが上手く処理しとけよ」
「あっ、はい、ありがとうございます」
「あぁ、それと後、オマエの生徒手帳よこせ。約束をキッチリ守ったら、ちゃんと後で返してやっからよ」
「そっ、それは、ちょっと……」
「あぁそうかよ。じゃあ、直ぐに手渡したくなる良い情報を教えてやるよ。俺はな……」
俺が、その一言を付け加えると。
雑魚Dは顔を蒼褪めさせながら、生徒手帳を、直ぐ様、俺に手渡し、速攻逃げ出した。
本来なら、逃げ様とする所を背後から襲うんだが、恐らくコイツは本気の逃亡。
放って置いても問題はないだろう。
なんせ俺は『自分が倉津組の組長の息子』だって言う事を、親切に奴に教えてやったんだからな。
まずにして、反抗し様とも思わないだろう。
さてさて……こんなアホな事に、いつもでも手を焼いてず、さっさと喧嘩を済ませて、愛しの奈緒さんの家に行くとするか。
っと、その前に……
「おい、ゼン」
「おぉ、なんだよ、マコッちゃん?」
「オマエ、俺が瀬野って奴をブッ殺してる間、せめて雑魚ぐらいは、なんとかしとけよ」
「あぁ良いぜ、良いぜ。あんな雑魚ぐらいなら任せとけ」
ゼンは、こう見えてもソコソコ喧嘩が強い。
どこにでも居る様な一般的な『なんちゃって不良』ぐらいの3・4人程度なら、余裕で相手が出来る程の実力を持っている。
要するにゼンは、不良に於ける『中堅クラス』な訳だ。
まぁ流石に『名前の売れてる不良』が相手とかになると、実力的にも少し物足りない感は有るが、この程度の雑魚なら、ゼンでも十分に対応出来る筈だ。
「んじゃま、早速行ってみっか」
「おぅ!!ま○こ♪ま○こ♪」
コイツだけは……雑魚にやられて、死んじまえ!!
***
そんな風に、何故か仲間に、非常に不愉快な思いをさせられながらも、その場にベースを置き。
瀬野とか言う奴の前まで、ゆっくり歩いて行く。
すると、俺達を発見した下っ端が、当然の様に因縁をふっ掛けて来る。
「おうコラ?テメェ等、何者だぁ?何所のもんだよ。あぁ?オマエ等、此処におわす方が、誰だかわかってんだろうな?瀬野さんだぞ、瀬野さん!!死にたくなかったら、さっさとどっかに失せろや!!あぁ?」
メンチを切る為に、思いっきり顔を寄せてくる。
顔が近いつぅの。
口が煙草臭ぇつぅの。
気持ちの悪い奴だな。
取り敢えず、薄気味悪いし、目障りだから、一発殴っとくか。
いや、この場合、頭突きだな頭突き。
俺はポケットに手を入れたまま、頭を少し反らせて、出鼻に思いきり頭突きをかます。
『ゴンッ』
「ブヒィ~~~」
これがまた、何故か顔面にクリーンヒットするから面白い。
見事なまでに、狙い通り鼻に当たってやんの。
鼻血ブーだ、鼻血ブー。
しかしまぁ、あれだな。
このクリーンヒットの要因って、以前からよく言ってる『危機感の喪失』が原因なんだろうけどよぉ。
他校の人間が、わざわざ俺の学校に喧嘩売りに来て置いて『危機感』がねぇなんざ、一体、どう言う神経なんだろうな、コイツ等って?
そんなこっちゃ、精神科の人間も匙投げんぞ。
ものの序だ。
ゼンの為にも、雑魚一匹を減らしておいてやるか。
折角、鼻血ブーを止める為に顔面を押さえて、自ら視界を遮ってる事だしな。
もぅ一発サービスで、頭突きをくれてやるよ。
『ゴンッ』
「ガヒィ~」
相変わらず、ポケットに手を入れたまま、頭を少し反らせて、思いきり二発目の頭突きをかます。
当然、自らの手で視界が開けてない奴を相手にしている訳だから、クリーンヒットは必至。
相手は、勢い良くブッこけた上に、土管で激しく頭を強打。
白目まで剥いて失神しやがった。
アホだコイツ。
たった、二発の頭突きで沈んでやんの。
最近の学生ってのは、そんなに虚弱なのか?
これを見た、残りの雑魚共は、当然の如く、臨戦態勢に入り。
今にも一斉に俺に掛かって来そうな雰囲気を醸し出している。
だが、此処で、また面白い事が起こる。
「テメェ等、辞めねぇか。リンチなんてミットモナイ真似してんじゃねぇぞ」
瀬野とか言う、うすらデカイ馬鹿が、腕を組んで土管に座ったままの状態で、その場に居た全員を制止する。
勿論、雑魚共は、リーダー……いや、もとい『番長』である瀬野の命令を聞いて、その場でピタッと静止する。
統率だけは、中々取れてる様だな。
にしても……コイツ、なに格好付けてんだ?
喧嘩の最中、仲間を倒した奴を庇って、どうすんだよ?
まさかこの世知辛いご時世に『此処からタイマンだ』とか時代錯誤な事を言うんじゃねぇだろうな?
もしそうなら、相当な馬鹿だぞ。
けどまぁ、このまま放って置いたら、なにか面白そうなイベントが起こりそうだし、少しだけなら付き合ってやるか。
「オイ、オマエ、良い度胸だな。名前はなんて言うんだ?オマエの墓標には、俺自らが名を刻んでやるよ」
「ぷっ!!俺か……俺はなぁ……」
長くなりそうな感じだし、ヤッパ面倒クセェ。
口上を聞くのは辞ぁ~~~めた。
それに、このまま話を聞いてたんじゃ『笑いで悶絶死』しちまう。
真顔で『墓標に刻んでやるよ』とか言ってんじゃねぇよ……マジで笑い死ぬから。
完全に白けた俺は、不意を付いて、ポケットに隠し持っていた『塩』を瀬野の顔面に目掛けてぶっ掛けた。
「なっ、なんだこりゃあ!!キッ、キタネェ真似してんじゃねぇぞ」
「アホか?喧嘩に綺麗も汚いもあるかよ。勝ったもんが正義なんだよ。……墓が必要だったのはテメェの方だったな、この糞豚が!!」
眼が見えない瀬野は、左手で顔を擦りながら、右手をブンブン拳を振り回して、俺を近づけさせない様に必死になる。
だが、こうなっちまったら、もう御仕舞いだ。
既に相手は、喧嘩の出来る状態じゃない。
盲目状態は、いとも容易く冷静さを失わさせるから。
今の瀬野は、自分自身が何をしているのかさえ解っていない。
後は、俺が仕上げさえすれば、この喧嘩の幕は閉じる。
ブンブン振り回す右手を、余裕で両手で掴み。
そのまま自身の体を反転させ、瀬野を後ろ手にする。
そこからは、瀬野の肩口に向って、俺の全体重を預け倒れ込むだけ。
それだけで……
『ゴキッ!!』
と言う、肩が外れる音と。
「ぎゃああぁぁぁぁあぁあぁ~~~~」
と言う瀬野の叫び声が、周囲に木霊するだけだ。
その後は、うつ伏せに倒れてる奴の右手を左足で踏みつけ。
肩口に、思い切り蹴りを入れれば……右腕は、完全に明後日の方向を向き、あまりの痛さに意識は絶たれる。
この行為を実践したら、案の定、瀬野は口から泡を吹き気絶した。
ハイ、終わり。
あぁ、もしだな。
それでも相手が気に入らない場合は、数回、顔面等を蹴るのが有効だな。
脳さえ揺すっときゃ、意識が戻っても、頭がフラフラで、とても喧嘩が出来る状態じゃないからな。
恐らく、そこからは一方的な喧嘩になる筈だ。
「さてさて、テメェ等はどうすんだ?まだ俺と遊んでくれるのか?言って置くが俺は、滅茶苦茶卑怯だぞ」
「「「「せっ、瀬野さんがやられた……ひっひぃぃぃぃいいぃぃいいぃ~~~」」」」
卑怯な手とは言え。
自分達のボスが、一瞬にして葬られたのを目の当たりすれば、雑魚は簡単に戦慄する。
此処に残っている全員が雑魚なので、これは有効な手段と言えよう。
蜘蛛の子を散らす様に逃亡を図ろうとする。
まぁ女子は可哀想に腰を抜かして、その場でワタワタしてるだけだがな。
ただな、此処で、誰も逃がしちゃいけないんだよな。
これも重要なポイントだ。
逃がしたら、後腐れが有るからな。
「オイ、コラ……誰が、勝手に帰って良いつったよ。逃げたら、この瀬野とか言う奴に、テメェ等全員の住所を聞いて、1人1人的にすんぞ」
「「「「ひぃ」」」」
「オラ……解ったんなら、さっさと、そこに全員正座しろ」
「「「「ひっ、ひぃ」」」」
「ちゃっちゃとしろ。早くしねぇと、全員捻り殺すぞ」
「「「「はっ、はい」」」」
てな感じで、女の子を含めた全員が、俯いて正座してる訳だ。
さてと……まぁ、本来なら此処からは、男を1人1人反抗する心が無くなるまでシバクところなんだが……今回に限っては、何故こんな喧嘩が起こったのか自体、俺が良く解っていない。
因果関係を把握出来ていない以上、どうこうするのも面倒だな。
だから……
「オイ」
「あっ、はっ、はい。なっ、なんでしょうか?」
「オマエ等よぉ、全員勘弁してやるよ。その代わりと言っちゃなんだが、2度とウチの学校には逆らうなよ。街でウチの生徒を見掛けたら、必ず全員に挨拶しろよ」
「そっ、それだけで、マッ、マジで勘弁してくれるんッスか?」
「あぁ、かまわねぇよ。あぁ、それと、もう1つ忠告しとくぞ」
「はっ、はい」
「あの学校にはよぉ。俺なんかよりおっかなくて、容赦のねぇ連中が居るからよ。もし喧嘩になりそうになったら、相手だけは最低限度選べよ」
「あっ、あの……そんなに、おっかない人なんですか?」
「あぁ、一人は、この年で年少帰りだし。一人は、自分は掃除屋だとか言い張って、直ぐに暴力を振るう男だ。そんでもぅ一人は、なにがあっても絶対に容赦しない人間だ。多分、相手が塵になっても殴り付ける様な非道な奴だ。正直アイツ等には、俺も関わりたくねぇ」
一応、確認の為に言っとくが。
うっかりハチベエ(山中)と、レオン(広田)と、魔王(崇秀)の事な。
「そッ、そんな奴等が、まだ3人も、あの学校には……」
「まっ、そう言うこったからよ。基本的に、俺等2年が卒業するまでは、あの学校には一切手を出さない方がお利口さんだな。これは俺のお薦めだ」
「わっ、わかりました。下の者にも、よく伝えておきます」
「そうだな。その方が身の為だろうな。……まっ、そう言うこったから、オマエ等全員、もぉ帰って良いぞ」
「あっ、ありがとうございます。そっ、それと、約束通り、その女共は好きにしちゃって下さい。……じゃ、じゃあ」
「へっ?オッ、オイ……」
あぁ……音速を超えるブロンズセイント位の物凄いスピードで、我先に行っちまったよ。
しかしまぁ、コリャどうしたもんだ?
女の子を戦利品として、マジで置いていくかねぇ?
けど、まいったなぁ。
このまま放って置いたら、ゼンの馬鹿が、女の子を全員喰っちまうだろうしな。
そりゃあまぁ、俺には関係ないと言えば関係ないんだが。
そのまま馬鹿に食わしちまうってのも、あまりにも無慈悲ってもんだし、第一可哀想だよな。
どうしたもんかなぁ?
女の子も全員俯いたまま、顔を上げ様ともしないしなぁ……
けど、ヤッパ、無理強いは良くねぇよな。
「YOマコッちゃん、どの女いく?どいつとやりたい?」
んで、この馬鹿は、この調子でご機嫌だし。
女の子達、今のゼンのセリフで一瞬『ビクッ』ってなったぞ。
改めて、こうやって女の子達を見てたら、マジで可哀想になってきたな。
だったら、いっその事、ゼンを殴って記憶消すか……
……まぁ、そうもいかねぇよな。
取り敢えず、無駄だとは思うが、ゼンの馬鹿を説得してみるか。
ってか、なんで喧嘩のHELPをしに来ただけの俺が、こんな事をせにゃならんのだ?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
はい、卑怯ですね(笑)
倉津君の喧嘩の仕方は、実力があるにも拘らず、非常に汚い手口を使います。
ですが、これが喧嘩です。
綺麗事を言って『タイマン』だのなんだの言う奴は、正直、漫画の読み過ぎか、夢見がちなアホです。
喧嘩なんて勝ってなんぼ。
どんなに卑怯な手を使ってでも勝たないと、後で『大怪我をさせられる』羽目になるのですから。
早期にカタを付ける事が一番大事なのです(*'ω'*)
さてさて、そんな中。
女の子4人を生贄として残し、逃亡して行った雑魚達。
倉津君は、アホのゼンちゃんを含め、この状況を、一体、どう言う判断をするのでしょうね?
それはまた次回の講釈。
また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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