●前回のおさらい●
崇秀の計算能力の話から、彼に強い興味を持ったヒナちゃん。
そこで崇秀と言う人物の詳細を話す事に成ったのだが……
まぁ、そんな訳でだ。
ヒナに、さっき、向こうに帰ってた時の話と、崇秀本人の話をやや詳細に話す事に成ったんだがな。
その話を聞く毎に、何故かヒナはドンドンと訝しげな表情をとり始めていた。
なんだ?
なにをそんなしかめっ面をしとんじゃ、オマエさんは?
「……ってのが、大体の概要だな。アイツは、そう言う奴だと思うぞ」
「・・・・・・」
そして最後には黙っちゃったよ。
(´Д`)ハァ…
だから、こう言う時にアイツの話をするのは嫌なんだよなぁ。
普段なら、説明するのに途轍もなく便利な奴なんだが。
こう言う手合いに話す場合になると、アイツの話って少々問題が生じちまうんだよな。
だってよぉ。
こう言う手合いって言うのは、ある程度の知識を要してるから理解をするのは早いんだが。
その分、自分の知識以上の事を話されたら、脳の許容量が越えちまうのかして呆然としちまうんだよな。
現にヒナの奴でも、完全に呆気にとられるからなぁ。
化物め。
「オッ、オイ、ヒナ?どっ、どうしたんだよ?」
「・・・・・・」
「オ~~~イ、オ~~~イ、ヒナ~~~~帰って来~~~~い」
ただ声を掛けただけだとダメみたいなんで、軽く頬をペチペチ。
あっ、頬っぺた、メッチャ柔らかい。
モチモチしてますな。
「えっ?……あぁ、あぁっと、ごめん。ちょっと考え事しちゃってた」
「いや、別に、考えるのは一向に構わねぇんだけどよぉ。俺、なんかショッキングな事でも言っちまったか?」
「うん。言ったねぇ。……それに、凄い怖い事も言ってる」
怖い事とな?
それって、やっぱり計算の話なのか?
アイツの尋常じゃない計算スピードが、矢張り気に成って呆けてたのか?
「それってよぉ。ひょっとして……」
「うん。その人ね。多分、もぅ既に人間じゃないよ。この話って、計算とか、そう言う軽く済ませられる話しじゃないもん」
へっ?
計算の話じゃないんだな。
けど、その『人間じゃない』って言うのは、どういう意味なんだ?
いやまぁ確かに、傍から見たらアイツは人間じゃない魔王なのかもしれんがな。
それは何処まで行っても、冗談の域で言ってるだけの話しであって。
今のヒナの奴みたいに、真剣な目で、そんな事を言って来る様な話じゃないんだよな。
どういうつもりなんだろうな?
「いやいやいやいや、ちょっと待てよ。アイツは、確かに、人外の様な生き物だが、人間じゃないとか言ってやらないでくれよ。アイツ、あぁ見えて、スゲェ良い奴なんだぜ」
「あぁ、そうじゃなくてね。良い人だとか、良い人じゃないとかの問題じゃなくてね。既に、人としての域を超え過ぎてるって話」
「いやいや、そんな事ねぇって。アイツ、普通に生活してるって。なんで、そんな事を言うんだよ」
「だって……その人……多分……今、聞いた話だと、完璧に時空計算を把握してるから。好き勝手に、空間軸の違う世界の自分を、自らで喰い荒らしてるよ」
なんのこっちゃ?
真剣な顔して、なに言っとんだコイツは?
「へっ?」
「だって考えてもみなよ。その人、時間と空間の概念を理解してる訳だから、何所の世界にでも、簡単に行き来出来る訳でしょ。だったら、こう言う方程式が成り立たない」
そう言ってヒナは、メモとボールペンを手に取り、簡単な図式で説明を始める。
こんな感じだ。
(図1)
過去A→→→→B―――――未来(別世界)
↑ ↓
↑ ↓
過去A――――B―――――未来(自分の世界)
まずこれが、さっきも言ってた、ヒナが可能な空間の移動なんだが。
崇秀の場合は。
(図2)
過去A→→→→B――――未来(別世界)
↑ ↓
↑ ↓
↑ ↓
↑↓
過去A(B)―――――――未来(自分の世界)
が可能に成っている。
……っで。
この後、ヒナが言って来た問題点って言うのは。
(図3)
過去A→→→→→→→→→B未来(別世界)
↓
↓
↓
↓
↓
過去A→→→→→→→→→B未来(別世界)
↓
↓
↓
↓
↓
過去B――――――――――未来(自分の世界)
この(図3)の様に、多次元の体で繰り返せば。
多種多様な知識を得た上に、永遠に行き続けられる化け物だと言って来た訳だ。
最早、その言葉には『人間性の欠片も無い、知識だけを追いかける精神体の化物』だと言いたいみたいなんだが……
オイ……いくらなんでも、それは言い過ぎだろ。
あんまふざけた事を言ってんじゃねぇぞ。
「……なんだよ、その言い草?オマエに、崇秀のなにが解るって言うんだよ?おかしな想像だけで、勝手な事バッカリ言うなよな」
「そうじゃないのよ。そんな一個人の感傷の問題じゃないの。これは……」
「じゃあ、そこまで言うオマエは化物じゃねぇんだな?さっきから聞いてりゃよぉ。崇秀は化物だが、オマエは化物じゃないみたいな言い方してやがるが。オマエだって、一般人から見りゃあ、十分に化物なんじゃねぇのか?なに自分だけ正当化しようとしてやがるんだよ」
これは言わずにいようと思っていたんだがな。
此処まで、ダチを貶されたんじゃ堪ったもんじゃない。
人の事を否定する前に、もぉちょっと自分の事を見直してから発言しろつぅのな。
「それは……」
「それによぉ。自分の出した研究の成果を、自分で使って、なにが悪いんだ?オマエの行き着かなかった部分に、アイツが踏み込んでるからって、それを否定するのは、明らかに、おかしいだろ」
「でも……」
「……それにだ。仮にオマエが、その研究成果を自分で得てたとしたら、危険だから絶対に使わないって保証は出来るのか?それが断言出来無いんなら、上辺だけを知って、アイツを否定する様な真似はすんなよな」
まぁな。
確かに、あのアホなら。
そう言う事を平然とやりかねないから、此処はヒナの意見を全否定は出来る訳じゃねぇんだがな。
多分、それを使うにしたって。
ある程度の制限を自分に課した上で、一部だけを有用に使ってるだけに過ぎないと思うんだよな。
そういった常識的なモラルの面を、アイツは、ちゃんと弁えてるからな。
ただな。
その常識の話を抜いたとしてもだな。
自分が必至に苦労して出した研究の成果なら、それを使っちゃイケネェなんて、誰が言い切れるんだよ?
それにだな。
パラレルワールドの自分に体を乗っとられる様な間抜けな真似をしてる奴にも、問題がなくもねぇんじゃねぇのか?
だってよぉ。
崇秀と言うカテゴリーの中で、全員が、同じスペックを持ってるって言う概念があるなら。
別の世界の崇秀だって同じ事が出来ても、コレは、なにもおかしい事じゃないの筈だからな。
それが出来てないって事は、何処かに怠慢が潜んでるだけ。
アイツが、崇秀って言う生命体の中で一番だからこそ、それが出来る権利を得てるだけに過ぎなんじゃねぇのか?
サボってる奴が、アイツを非難する事なんて出来ねぇと思うがな。
まぁ、それ以前の問題として、ヒナは、崇秀の事を全く理解してないけどな。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
ヒナちゃんに崇秀を化け物呼ばわりされて、倉津君がムッっとしましたね。
まぁ勿論、普段から倉津君も言ってる言葉なので、彼女の事を言えた義理ではないのですが。
それは本編でも書かせていただきました様に、どこまで行っても冗談の域であり。
また誉め言葉として言ってることが多いので、ヒナちゃんが言った様な悪い意味での真剣な言葉としては言ってないんですよね。
それ故に、ムッとしちゃったんでしょうね。
……っとは言え。
このまま怒っていても、ヒナちゃんにはその意志は伝わらないでしょうから。
此処からは、どうやって、それを上手く説明するかが勝負ポイントに成ってくると思います。
果たして倉津君に、それが出来るのか?
次回は、その辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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