最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
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第十三話 お節介な関西人

067 不良さん バンドのメンバーで悩む

公開日時: 2021年4月13日(火) 22:33
更新日時: 2022年11月12日(土) 17:38
文字数:2,004

第十三話始まるですよぉ(*'ω'*)ノ

 013【お節介な関西人】



 奈緒さんが、山中を呼びに言ってる間、1人スタジオに残された俺はある事を考えていた。


これから彼女とバンドを始める事についてだ。


別に彼女との間に、なにか大きな問題がある訳ではない。

……が、彼女にあれほどの覚悟を見せつけられた以上、もぉ今までみたいに中途半端にバンドをする事も出来無くなった。


これだけは変わる事のない事実だ。


これを果たす為には、彼女が納得する様な人材が不可欠。

キッチリとした、レベルの高いメンバーを集める必要性がある。


俺にとっては、此処が一番の障害な訳だ。


何故なら、元より俺には友人と言う物が少ない上に、今現在、バンドに知り合いと言う程の人材は殆どもたない。

敢えて居ると言えば、馬鹿2人組のアホ中と、馬鹿秀ぐらいのもんだ。


だが、そのうちの1人である崇秀は最初の時点からしてダメだ。

どうあっても、奴をうちのバンドに誘う事は論外。


勿論理由は、倒すべき相手を仲間に引き入れたのでは『打倒崇秀』を掲げた意味が無いからだ。


この時点で、必然的に崇秀と言う案は却下される。


では、山中はどうだろうか?

奴は、崇秀程の腕はないにしても、中二であれだけのドラムテクを持っている。

それ故に、気軽に誘うには最適の男なのだが、矢張り、此処にも重大な問題が2つ有る。


①ドラマー。


ドラマーと言うポジションが、奈緒さんと完全に被る。

俺はバンドの事を良く知らないが、ツィンドラムなんて殆ど聴いた事が無い。


②奴が、俺のバンドに興味を持つか。


実際、俺が奴に誘いを掛けたとしても、初心者である俺と一緒に組んでくれるかどうかも、かなり微妙ライン。

それに今の俺には、アイツとやる程の技量など、どこにもない。


以上の理由を持って、俺の音楽関係の知り合いは早くも全滅せざるを得なかった。

このままでは、初める前からバンドとしてすら成立しない状況だ。


困ったな。



「おぅ、お疲れさ~ん」


そんな時、思案を続けていた俺の前に山中が現れた。


疲れた様子は見受けられないが。

無意識に手首をプラプラ振っている所を見ると、かなりドラムを叩き込んで来たんだろう。



「うっす、おつかれぇ~……うん?奈緒さんは、どうしたんだ?」

「おいおいマコ。朝の挨拶済んだ思たら、イキナリそれかい。お前は、あの子がおらな、なんも出来へん赤子か」

「うるせぇわ。んな事より、本当に奈緒さんは、どうしたんだよ?」

「そんな心配せんでも、向こうの部屋で今仮眠しとるわ」


あぁそう言う事な。

昨日、寝ずにベースの弾き方を教えていたもんだから疲れたんだな。


んで、飯も喰わず寝たと……申し訳無い。



「あぁそうか。なら良い」

「おぉマコ。そんな事より飯喰おうぜ。俺、昨日から何も喰わんとドラム叩いとったから、腹ペコやねん。お腹と背中がくっ付く寸前やちゅ~ねん」

「悪いな。変な事に巻き込んじまってよぉ」

「構へん、構へん。俺も、久しぶりにオールでドラム叩けて面白かったわ」


オールでドラムを叩いてた……だと?


まさかコイツ、一晩中、1人でズッとドラムを叩いてたのか?

オマエ、ドラム・シンドローム患者なのか?



「オマエさぁ……そんなにドラム好きなのか?」

「変な事を聞くねんな。嫌いなもんを、誰が必死こいて徹夜で叩くねんな」

「まぁ……そうだよな」


山中は、そう言いながら、奈緒さんの買って来てくれた差し入れ弁当を漁り始める。


奴は、俺の狙っていた『焼肉弁当』をセレクトし、乱雑にビニールをはがし、即座に喰い始める。


俺もそれに倣い、弁当を食い始めた。


本来は、山中の喰ってる『焼肉弁当』を喰いたかったんだが。

このボケに先に喰われたので、しょうがなく『鶏肉弁当』を喰う事にした。



「ほんでマコ。ベースの方はどないやねん?ちょっとぐらいやったら弾ける様になったんか?」

「まぁな。大したもんじゃねぇけど。一応程度ならな」

「ほぉ~~~っ、言うやないか。ほな俺が、ちょっと聞いたるさかい。弾いてみいや」


この馬鹿だけは……


なんでやっと飯にあり付けた所なのに。

それを中断してまで、ベースを弾かにゃあならんのだ?


ホント馬鹿なんだなオマエは。



「あんなぁ。飯の最中に、ベース弾く馬鹿が何所に居んだよ」

「まぁ……そやな。ほんだら、なんか録音した音源とかは残ってへんのか?」

「あぁそれなら、さっき弾いた奴が残ってるぞ」

「ん……」


飯を目一杯口に詰め込んだ後、俺の前に手を出す。

そんな山中の目の前に、俺は自分のMDを差し出し、山中に手渡す。


そうやってMDを受け取ると。

奴は口の中で飯をモッチャモッチャと租借を繰り返しながらも、イヤホンを耳に付け。

足でリズムを取りながら、俺の録音された演奏を聞き始める。


しかしまぁ、こう言うのを見ると、山中もミュージシャンぽく感じるもんだな。


ってか、そんなコイツから俺は、一体、どんな評価をされるんだろうな?


-♪--♪-♪-♪-------♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-♪--♪-♪-♪--♪-……


最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>


奈緒さんの申し出を受けたまでは良かったが。

冷静に考えれば、友達の少ない倉津君に、奈緒さん以外のバンドのメンバーを探すのは難しく。

非常に悩んでいましたね(笑)


そんな中、山中君にバンドに興味を持たせるチャンスが舞い降りたのですが……倉津君は、どういう裁定を下されるのでしょうね?


それはまた、次回の講釈と言う事で(笑)


また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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