●前回のおさらい●
沙那ちゃんに「気軽な演奏」っと言うのを教えたら。
他の人間も、沙那ちゃんとのセッションを申し出て来てくれたので、少しの時間、そんなみんなに任す事に。
そして、その間、今日あった出来事を振り返ろうとしてたら……ある人物が。
「よぉ、旦那。久しぶりだな」
そぉ……そんな俺の元にやって来たのはモジャだ。
ソフトドリンクの入ったグラスを片手にしながら、ダルそうにモジャがやって来やがったんだ。
うわぁ……
今現在の心境としては、一番関わりたくない奴が、自ら進んで、俺の目の前にやって来たがった。
「おぅ、誰かと思ったらアンタか。けどまぁ、久しぶりって程でもねぇだろ」
「そうさな。……あぁ、そう言えば旦那。なんか大変な事に成ってるみたいだな」
まぁ、こうやって来るだけなら、特に問題はないんだが。
そこでいきなりモジャの吐いた言葉が、あまりにも良くない。
奴の言う『大変な事』と言うのが、どれを差しての事だかが余り見えていないからだ。
特にコイツの場合、どうにも沙那ちゃんの件で、話を持ち掛けて来てるとは考え難いしなぁ。
だから恐らく『今朝の話が、早くも情報漏洩している』ものだと考える方が、正しい考えだと思える。
っとなると……この場所が場所なだけに少々厄介な話になりそうだな。
「なんだよ。早くも知ってるのかよ?あのお喋り共」
「いいや。旦那が、誰の話をしてるのかは知らないが、俺はなにも聞いちゃ居ないさな。ただ単に、さっきは楽しそうに演奏していた割に、急に暗い顔して一人で飲んでるから、何事かと思って、少々カマを掛けてみただけの話さな」
「そうかよ。じゃあ、そっとして置いてくれよ。人前だから強がっちゃいるが、実際は、誰かと話す気分じゃねぇんだよ」
まぁ、ワザワザ『強がってる』なんて言葉を吐く必要性もないんだが。
此処でモジャに、変に絡まれても面倒臭い。
だから、そこから話題を外す為にも、ちょっとだけ自分の今の心境を正直に言ってみた。
「そうかい。そんな風にセンチメンタルに浸ってるなら、深くは干渉しねぇさな」
「あぁ、なら、そうしてくれ」
「けど、なにか心に溜まってるもんが有るなら、吐き出しちまっても良いんだぜ。俺で良かったら相談に乗るぜ」
モジャは、そう言いながら。
俺がやったデュポンのライターで、自分のキャメルに火を着けた。
そんで、俺の方に火を向けて来るから、自然に俺もセッタを取り出して火を付けて貰う。
これにより周りが煙で霧掛かり『ブラインド効果』……には成らねぇな。
成る訳ねぇ。
「いや、悪いがいいわ。人様に話す様な、まともな話じゃねぇしな。それにオマエは、ガッツリと崇秀の関係者だろ。余計に言い難いわ」
「左様で。けど、それは1つだけ大きな誤解だ。旦那は大きな勘違いをしてるぜ」
「勘違いだと?俺が、何を勘違いしてるって言うんだ?」
「あぁっとなぁ。俺は、確かに仲居間の関係者ではあるが、それは協力関係であるに過ぎない。だから、それ以上でも以下でもない関係である事は勘違いしなさんなよ。俺は、アイツの手下に成り下がった憶えはないぜ」
なっ!!なんだと??
あれだけ、お互いに深い信用関係を築いてるって言うのに、コイツにとっては、その程度の認識でしかないのかよ。
これは中々の衝撃的は発言だ。
嘘だろ。
「付け加えて言うなら、仲居間が運営してるGUILDは、最近、なにもかもが順調過ぎて面白くもない。だから旦那が、なにか面白い企画を立ててるんなら、俺は、アンタ側に付いても一向に構わないんだぜ」
「ちょ、ちょっと待てよ。なんの話をしてるんだよ?」
「なぁ~にな。今の段階で、旦那と、仲居間の間に、なにかがあったのは明白だろ。だったらな。俺が旦那に味方して、アイツに一泡噴かすのも面白いかなって思っただけの話さな。……ピンチは、最大のチャンスに成り得るって話さな」
オイオイ、一体、なにを企んでやがるんだコイツは?
正確な情報さえ得てる訳でもないのに。
順風満帆なGUILDを裏切って、なんの確証もない俺側に付くだと?
しかも、まだ何にも話してない状態なのによぉ……どういう神経してやがんだよ?
「いや、待てよ。俺は、まだアイツ等と喧嘩したとは言ってないぞ」
「左様ですか。まぁ旦那が、そう言うなら、俺は引き下がるしかないさな。……ただな。此処で1つだけ聞いて置くが、旦那、本当に、今のままで良いのかい?」
この悪魔め……いや!!悪魔共の腹心め!!
まるで俺の心を見透かした様な、物の言い方をしてきやがる。
いやいや、この分じゃ、全部を知った上で、敢えて、囁き掛けて来てるのかも知れない。
けど……もしそうだとしても、一体、なにを企んでやがるんだ?
「いや。良いも、悪いも、別に、なんとも思ってねぇけど」
「そうかい。俺には、なにか許せ無い事でも有った様に見えるんだがな」
コイツ……絶対に全部知ってて話を持ち掛けてんだろ!!
性格が悪いにも程があるぞ!!
「オマエさぁ、なにからなにまで全部知ってて、そんな事を言ってんだろ」
「ふむ。……そうさなぁ。そりゃあまぁ、当たらずとも遠からずだな」
「ヤッパリか」
「けど、誤解しなさんなよ。当たらずとも遠からずとは言ったが、それは、ただ単に、心当たりがなくもないってだけの話さな。旦那の口から真実を聞いていない以上、それは、なにも知らないのと同じなんじゃないのかい?俺は、自分の立てた仮説だけで、話はしないさな」
じゃあ、本当に、真実は、なにも知らないって事か?
だったら、ワザワザ、あんな無様な話を教える必要性もないし、確証を持たす必要性もないな。
「そうかよ。なら尚更、話す事はねぇよ」
「左様ですか。んじゃあまぁ、この話は、お気に召さない様なんで、別の話に切り替えさせて貰うさな」
話が終結したのに、まだ、なにか話が有るって言うのか?
今度は、なんの話だ?
こんなロクデモナイ話をする暇が有るんだったらよぉ。
向こう行って、みんなと楽しんだ方が良いんじゃないのか?
コイツだけは、ホント訳が分からねぇ。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
倉津君の元にやって来た問題児は、細川君でしたぁ。
これは文字通り、今の倉津君にとっては、一番厄介な相手がやって来たのかもしれませんね(笑)
ですが、それに反して細川君は、なにやら倉津君に協力を申し出てる様子。
本当に何を企んでいるのやら……
次回は、その辺を詳細を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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