最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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477 なに1つ変わらぬ信念

公開日時: 2022年5月29日(日) 00:21
更新日時: 2023年1月5日(木) 14:15
文字数:2,624

●前回のおさらい●


 倉津君の精神的にも苛烈な報復に、精神が持たなくなって、おしっこまで漏らしてしまう青山さん一行。


『これ以上は不味い』っと感じた倉津君が、報復の中止を考えた瞬間。

何故か、重体で病室で眠っていた筈の真上さんが、この場に現れて……(笑)

「真上さん?……ちょ!!なにしてるんッスか!!病室で、ちゃんと寝てなきゃダメじゃないですか!!」

「あっ、あの、私ならヘッチャラですよ。ほっ、ほら、こんなにピンピンしてますから。そんな事よりですね。青山さんを許してあげて下さい。私からも、お願いしますから」

「はうへ……」

「けど、真上さん。アナタを、あんな酷い目に遭わせた連中なんですよ。アナタが許しても、俺が許せる訳ないじゃないですか」

「違いますよ。……私、最初に言った筈です。あれは靴の汚れが……」


喋ってる途中で、意識を失いそうになる。


俺は慌てて立ち上がり、倒れそうな真上さんの体を支える。


しかし、無茶するなぁ。

足元が、完全にフラフラじゃないですか。



「真上さん!!」

「靴がですね。……汚れたんで、洗ってただけなんですよ。本当ですよ。だから、青山さん達は関係ないんですよ」


意識を失いかけて尚、うわ言みたいになっても、まだ言ってるよ。


この人、本当に、どうなってるんだ?

なんで、そこまでして、虐めた相手を庇う必要があるんだろうな?


人を庇う時の執念は、恐ろしく一貫した人だな。



「あぁもぉ、わかりましたよ。そこまで言うんなら、真上さんに免じて辞めますよ。……って事で玄さん、此処はもぉ俺に任せて組に戻って良いッスよ」

「へい、坊ちゃん。では、そうさせて頂きヤスね」

「ありがとうございます、倉津さん、玄さん。……あの、序と言ってはなんですが、倉津さん、少し手を離して頂いて、宜しいでしょうか?」

「あぁウッス……良いッスけど、大丈夫なんッスか?まだ足元がフラフラしてますよ」

「はい、ヘッチャラですよ」


俺が手を離すや否や、真上さんは、青山さんのションベンに塗れた床に膝を着いて座る。


寝巻きが濡れても、全く、その辺を気にする様子は無い。


まるで、なにも無い様に、青山さん達の猿轡を解き始める。



「大丈夫でしたか?怖い思いをさせましたね」

「真上……なんで?なんでなの?なんで、いつも、そんな風に優しく出来るの?私達、あんな酷い事したのに、なんで優しく出来るの?……なんでなの?……なんで?」

「最初から……なにもなかったんですよ。だから、青山さんが怖い目に遭う必要なんてなかったんです。それに青山さんは、私の大切なお友達。そんなお友達が、私の事で嫌な気持ちになってるのに気付いてあげられなくて、ごめんなさい」

「真上……本気なの?……本気で、そんな事を言ってるの?」

「はい、これは私の落ち度です。今後は気をつけますね」

「ごめん……真上ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」


じわ~~っと涙が零れ落ちてきて。

青山さん一行はボロボロと泣きながら、真上さんに縋って行く。


今の現状は、本当に奇妙な光景で、3人で虐めてた相手に抱きついて泣き崩れてる。


それにしても、本当に、この人は恐ろしい人だな。

全てを、なにも無かった様に飲み込んだよ。


どう見ても、普通の精神じゃ出来ないよな。



「泣かないで……もぉ、全部終わった事だから」

「真上、ごめんね。ごめんね。今まで嫌な事一杯して、本当にごめんね。もぅ絶対、2度としないからね。今回だけは許してね……ごめんね……」

「なにも、なかったんですよ。なにも……」

「「「うっ……うっ……うわ~~~~~ん」」」


……本当に許す気なんだ。


なら、俺も、もぅなにも言う事はねぇ。


ただなぁ、真上さんがこの調子だから、虐め再発防止の為にも要点だけは注意しとかなきゃな。



「オイ、青山さん」

「ヒッ!!ごっ、ごめんなさい、ごめんなさい!!もぉ許して下さい……もぉ二度としませんから……」

「あっ、あの、倉津さん、本当になにも無かったんですよ。だから、もぉやめてあげて下さい」


ビビる3人を抱いて、懇願する様な目を向けられる。


うわっ!!こりゃあキツイな。



「いやいやいやいや、そうじゃなくてッスね。一応、忠告ッス」

「なんの忠告ですか?青山さん、なにも悪く無いんですよ」

「まぁまぁ、そう言わずに聞くだけ聞いて下さい。最初から危害を加えるつもりなんて微塵もないんッスから」

「あぁ、じゃあ……」


このシュチュエーション……なんか俺って、悲しくなるほど悪役がピッタリだな。


この調子だと、その内『悪役商会からスカウト』とか来るんじゃねぇかな?


イカネェけど……



「なぁ、青山さん」

「・・・・・・」

「返事無しかよ。……まぁ良いや。取り敢えず、今回の件で、これだけは言って置くぞ。今日、真上さんが示してくれた、この気持ちだけは絶対に忘れんなよ。この人はな。こう言う人だから、自分が死んだとしても、決してオマエ等の事を責めたりする人じゃないんだ。だから、そこに胡坐掻いて座る様な真似だけは2度とすんな。今度、もしやりやがったら、マジで、ただじゃ済まないからな。……良いな?わかったな」

「・・・・・・」

「ハァ……解ったんなら、返事ぐらいしろよな」

「ごっ、ご迷惑……お掛けしました。にっ、2度と、こんな事が無い様に心掛けます」


はぁ~~~、漸く、この気分の悪い虐めの話も、これにて一件落着か。


まぁ青山さん達も、これだけ怖い目に遭って深く反省したんだから、これで全て良しとするべきだな。


この調子で、早く、本来の青山さん達に戻って欲しいもんだ。

(↑この期に及んで、まだ理想を追う俺)



「そっか。じゃあ、この話はお仕舞いだ。……あぁ因みになぁ。さっきの注射器の中身。あれ、ただの『ビタミン注射』だから、それと拳銃もモデルガンだからな」

「えっ?じゃあ……あれって、全部嘘?」

「まぁ、そう言うこった。最初から、あんな真似をする気は更々なかったんだけどな。真上さんの気持ちだけは、アンタ等にも絶対に知って置いて欲しかったからな」

「酷い……人前で、おしっこまで漏らしちゃったのに……」

「そりゃあ、全員自業自得だろ。これに懲りたら、2度と虐めなんてツマンネェ事しねぇこったな」

「酷いよ……」


うん、確かに酷いな。

些かやり過ぎた面が有るから、此処で反省するべき点は有るかも知れないな。


あぁ因みにだが、俺はスカトロの気はないから、青山さん達の小便には興奮はしてないぞ。


『まだ』そこまでレベルの高い変態じゃないからな。


此処だけは誤解するなよ。



……なんて思っていたら、真上さんが。



「……あっ、あの、倉津さん」

「あぁっと、なんッスかね?」

「あのですね。急な話で、なんなんですが。今度、宜しかったら、このメンバーで1度どこかに遊びに行きませんか?」

「へっ?」


なっ、なに言ってんだ、この人?


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


真上さん……あんな酷い目に遭わされたのにも拘らず、青山さん達を庇い。

悪役が死ぬほど似合う倉津君の魔の手(?)から、完全に救い出してしまいましたね(笑)


っとは言え。

此処まで慈愛に満ちた聖人君主っぷりを見せ付けられると……ちょっと怖い感じですけどね。


でも、この子は、何処まで行っても、こう言う子なんですよ(笑)


さてさて、そんな中。

そんな聖人君主な真上さんから、意外な提案が齎されたみたいですが。

これを提案された倉津君や、青山さん一行は、一体、どんな反応を見せるのでしょうね?


それは次回の講釈。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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