最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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597 倉津君の選択

公開日時: 2022年9月26日(月) 00:21
更新日時: 2023年1月14日(土) 16:26
文字数:2,157

●前回のおさらい●


 片倉さんの所持品である、ちょいビンテージなSting -rayを5万で手に入れるチャンスが訪れた!!

だが、それには『コスプレしてステージ上で演奏する』っと言う条件が!!


さてさて女性に成ったばかりの倉津君が、この過酷条件を飲む事が出来るのか?(笑)

「あの……演奏するのも、教えさせて頂くのも、全然、構わないんですが。……コスプレだけは……その……なんて言いますか。ちょっと許して貰えませんか……正直言って、恥ずかしいんで無理です、はい」

「あぁ、そっかぁ。けど、その気持ちも解らなくもないんだけどね。それじゃあ会の意味がないんだよな。どうしても倉津さんにはコスプレして貰って、さっきみたいな格好良い演奏をして欲しいんだよ。……どうしてもダメか?」

「あの、意地の悪い事は言わないって、さっき言ったじゃないですか。……虐めですよ、これ」

「まぁ、そうは言ってもねぇ。それ自体が、会の趣旨だから。そこは、倉津さんには悪いんだけど、どうしても外せないね」

「ううぅぅぅ~~」


そりゃあ、コチラに言い分がある様に、相手方にも言い分もあるわな。

それに、そこを外してバンドのメンバーが演奏してたら、主催者としても示しが付かないもんな。


解る!!解るんだが……でも、どうしてもコスプレだけはヤダなぁ~~~~。


いやまぁな。

眞子の容姿については、これでも俺も、結構理解してるつもりだから『コスプレしても、恐らくは変な違和感はない』とは思うんだけどな。

それでも、ステージ上で、その姿を晒しながら演奏するって言うのは、今の俺のとっちゃあ中々ハードルが高いもんなんだよ。


うわぁ……どうしたもんだこりゃ?



「ごめんな、倉津さん。俺もさぁ、意地悪で、こんな事を言ってる訳じゃないから。そこだけは解ってな」

「あぁ、はい。……じゃあ、此処は一旦『その件については保留』って事にして置いてですね。先に、皆さんの練習をしましょう」

「えっ?良いの?」

「あの、一応、此処は、お手伝いって事で良いですから」

「ホントにぃ。ありがとうね。……って事で、全員、倉津真子さんに敬礼!!」

「「「ありがとうございます!!」」」

「ヒィ!!」


オタクが集まって作ったバンドなのね……



「なんか、自分で、自分を追い込んだ様な気がしますね。……ははっ」


***


 ……っで、この後、練習を開始するんだが。

流石にフルタイムでの演奏は、コイツ等のレベルだと到底無理だと踏んだので、まずは前回のダンパで使ったDJモドキを保険の為に即座に召喚。

そんで、コイツ等の演奏する曲を一気に削って、3曲だけに選択してしまう。

その後は、時間一杯まで、丁寧な言葉に、それでいて強烈にキツイ嫌味をスパイスして練習をした。


その出来はと言うと……まぁ良い所、中学生のやや下手糞レベルまで、なんとか引き上げる事には成功した。


そんで、アッサリ決断に時間がやって来た。



はぁ~~~~……


***


「申し訳ない!!本当に申し訳ない!!……他にも何か衣装があると思ったんだけど、それしか、倉津さんの体型に合う衣装が無かったんだよ」

「あぁ、はぁ……そうですか。じゃあ、もぉ良いですよ」


俺は、完全に我欲に敗北を喫した……

だって、こんな良い音のするベース、デジマートでも滅多に見掛けないんだもんよ。


それを5万って……


そんな貴重な物に、寄りにも拠って、こんな所で出逢うとは……


もぉえぇわい!!

Sting -rayの為に、コスプレでも何でもして憤死したるわい!!



「あぁ、あのでも、1つだけお願いが……」

「良いよ、良いよ。此処までやってくれたんだから、もぉなんでも倉津さんの言う事なら聞いてあげるよ」

「本当ですか?約束ですよ。絶対ですよ」

「うん。勿論、絶対に約束は守るから、安心して……っで、その約束って、なに?」

「あのですね。ここでの映像とか、写真とかを、絶対に残さないで欲しいんですよ。それと今回の件は、ネットに流すのも、売るのも無しにしてください」

「へっ?えっ、えぇっと……」


今しがた約束を守るって言った所なのに、何故に悩む?


折角、妥協したのに、そっちがそんな態度を取るなら。

このまま演奏を放棄して、Sting -rayだけ持って帰っちゃうぞ!!


それでもえぇんか?



「酷い。……約束守るって言ったじゃないですか」

「あぁ、じゃあさぁ。他の奴には、絶対に撮らせないから……せめて、俺にだけは、何枚か写真を撮らせてよ。お願い」

「あの、絶対、ネットに流さないですか?絶対、変な事に使いませんか?」

「うっ、うん。やっ、約束する」


うわ~~~~ん!!

この言い方、絶対、コイツ、俺をオカズにして家でオナニーする気だぁ~~~~!!


男の時の俺がそうだったから、その口調に成る時の理由が、こちとらよく解ってんだよ!!


もぉマジで最悪だよぉ~~~~!!


……でもなぁ。

もう既に、この時点で何枚か写真を撮られてるかも知れないしなぁ……此処は1つ、片倉を信じるしかないよね。


……ははっ。

(↑壊れてる俺)



「私、絶対的に伸宏さんの事を信じてますよ。……絶対、そんな事をする人じゃないって信じてますからね。信じて良いですよね?」


懇願EYE。


必死に懇願する様なウルウルした目を向けたる。



「ごめん。……解った。神に誓ってやらない」

「伸宏さん……信じて良かったです。そう言ってくれると思ってました」

「ははっ……もぉ、まいったなぁ」


ヤリィ!!


こんな時にこそ最大の効果を発揮する、野郎の、な・ま・え・呼び♪

これでこの技を、最後の最後まで取って置いた甲斐があったってもんだよ。



「でも、その代わり、全開でやってね。決め台詞も頼むよぉ」

「はい、頑張ります♪」


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


片倉さんの出す条件を飲んじゃいましたね(笑)

まぁ確かに、現状の倉津君にとっては厳しい条件ではあったかもしれませんが。

所詮、ミュージシャンなんて目立ってなんぼだし、そう言う承認欲求が無ければ、恐らくミュージシャンなんてしないでしょうから、これはこれで良い経験になるかもしれませんね(笑)


さてさて、そんな中。

なにやら合う衣装が少なかった中での、衣装を宛がわれた様なのですが。

一体、倉津君は、どの様な衣装を宛がわれたのでしょうか?


その辺が、少しでも気になりましたら、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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