●前回のおさらい●

　ライブ終了後。

勝手にライブに乱入したのにも関わらず、自分をバンドに入れろと言って来た俺ちゃんマンさん。

当然、そんな素行の悪い人間が嫌いなホランドさんは拒否するが。

その姿を見たエディさんが「じゃあ僕と個人的に一緒にやってみないか」っと言い出した!!

あぁ……波乱の予感が……

「良いねぇ。アンタの提案は、俺ちゃんのジュニアがそそり立つ程、超最高の提案だ。……だがな、アンタだけじゃお断りだ。俺は、このメンバーでやりたいんだよ」

「ほぉ、僕の誘いを、此処までハッキリ断る奴なんて生まれて初めてみたよ。……気分悪いね、君」

「まぁ、俺ちゃんにとって、アンタの存在はそこまで重要じゃない。俺が本当にやりたいのは、そこに居る姫ちゃんだけだ。だから、幾ら腕が立とうと、アンタの存在は、その程度でしかない訳だ。わかりるか？」

「言ってくれるねぇ。こんな屈辱を受けたのも生まれて初めてだよ。……君、絶対に、このバンドに入った方が良いよ。僕は、君に実力を見せ切っていないからね」

「そうかい、そうかい。そりゃあ、いいや。あの程度の実力で、全てを出し切ったって言われても困るだけだからな。そりゃあ楽しみだ」

ヤバイ……なんかジワジワと、此処のライブハウス自体の雰囲気が険悪になってきたよ。

けど、だからと言って、どうしようかなぁ？

まぁでも、この人を此処に引き止めたのって元々私だから、これって私の責任だよね。

じゃあ、なんとかするか。

「あの～～～、ちょっと良いですか？」

「おっ？なんだよ、姫ちゃん？」

「あのですね。なんで俺ちゃんさんは、さっきから、そんなに偉そうな態度になってるですか？崇秀と演奏したぐらいなら、誰だって有りますよ。……それが実力に繋がるとは思えないですし、バンドに一緒に居たからって、崇秀と同等って訳じゃないですよね。……違いますか？」

「あぁ……だな。……確かに、そりゃあそうだな。こりゃあ俺ちゃん、ちょっと勘違いしてたな」

「でしょ。だから、本当に一緒にやりたいなら、ちゃんと頼まないとダメですよ。私も、俺ちゃんさんと一緒にやりたいのに、みんなに反対されたら、私も、なにも言えなくなっちゃいますよ」

「……そりゃあ、困ったな。折角の巡り会った最高のバンドなのに、そのチャンスをミスミス見逃すのは良くないなぁ。間抜け過ぎるな俺ちゃんってばよ」

「そうです、そうです。だから、私も一緒にお願いしてあげますから。皆さんに、ちゃんと頼んでみましょうよ」

「だよな」

あらら、アッサリと、上手く行っちゃったよ。

「んじゃまぁ。皆ちゃん。俺ちゃんを宜しく頼むわ」

「だ・か・ら、それがダメだって言ってんですよ!!……ほら、もぉ」

「わわわ……」

私は、俺ちゃんさんの頭を押さえて、無理矢理お辞儀させた。

半強制的にじゃなくて……強制的にね。

「あの、皆さん。この人、素行は最低ランクの悪さですけど。本当に音楽が好きなのだけは間違いないと思うんですよ。だから、お願いします。１０日間だけ私の我儘に付き合って下さい。……どうか、宜しくお願いします」

こう言い切ってから、頭を膝に付く位、頭を下げた。

私は、体が柔らかいからね♪

まぁ現実の話で言えばね。

崇秀を『ギャフン』って言わせるには、この人の力が、絶対的に必要だと踏んだんだよね。

だから、入れたげて。

１度で良いから、崇秀の『ギャフン!!』みたいです。

「姫ちゃん……」

「はぁ～～～、どうせ君は、言い出したら、私の言う事なんて聞かないんだろ」

「あぁ、ちゃんと聞きますよ。……でも、入れてあげて下さい」

「うぐっ!!私が拒絶したら、どうするんだ？」

「えぇっと、きっと仲良く出来ますよ。同じ音楽好きですし」

「はぁ～～～、君は、本当に強情な子だな。……はぁ、まぁ良い。１０日間程度の付き合いならば、私も我慢出来なくもない。眞子が、そこまで言うなら、今回は私が折れよう。……但し、言って置くがな、俺ちゃん君。私は、君が大嫌いだ。そこだけは履き違えない様にしてくれ」

「意見が合うなぁ。俺ちゃんも、アンタが嫌いだ」

「もぉ余計な事を言わないで!!」

「あぁ悪ぃ」

もぉ馬鹿だなぁ、この人。

「あっ、あの、ミナさん、エディさん。１０日だけ、お願いしちゃって良いですか？」

「いや、あたしは、一回も反対した憶えは無いけど」

「流石、綺麗なおネェさんは違うねぇ。見た目が綺麗だから、心も綺麗なんだな」

「その割りにアンタさぁ、さっきから鞍馬にピッタリくっ付いて離れないみたいだけど？」

「そりゃあ、幾ら綺麗でも、他人の物に成っちまった既婚者に興味はねぇもんよ。行くなら、独身の可愛い子ちゃんしょ」

「あぁそう……じゃあ、あたし反対」

「……嘘。人妻万歳!!ムンムンに出てる色気が違う。エロエロですぜアネゴ」

「あの……それって、人妻じゃないと、色気が無いって事ですか？」

「うわっ!!そう言うドッチ付かずか!!」

こんなに味方してあげてるのに、誰が色気無しやねん!!

しばいたろか？

「まぁまぁ、どちらにせよ。どうせやるなら、美人に囲まれて演奏したいって話だぁな。うんうん。そうだ、そうだ」

「アンタ、ひょっとして、今ので上手く纏めた気になってない？」

「まぁ……なってるな」

「あの、全然上手く行ってないですよ。寧ろ、逆効果です」

「じゃあ、そろそろ、俺ちゃん限界だから、勘弁しちゃってくれよ」

「ミナさん、どうします？」

「ふぅ～～～、馬鹿だから、しょうがないって事にしとけば」

「ですね。……そう言うオチですね」

良いですか？

女の子は、絶対に怒らせたらダメなんですよ。

基本的に、本当にしつこいですから。

蛇ぐらい……そして猫ぐらい……

「あの、それでエディさんは……」

「あぁ、もぉ、全然賛成だよ。彼には、目に物見せてやらないと、気が済まないからね」

そこ？

まぁ良いか。

どうせ、このバンドは、残り１０日程で解散する超即席バンドなんだから、演奏だけでも上手く行けば良いや。

＊＊＊

　……ってな訳で。

なぁ～～んか、とんでもなく凄い人が集まったんだけど。

このメンバーって、協調性は皆無な上に、個性の塊ばっかり。

誰が纏めるんだろ？

ハァ～～～……先行きの不安から、溜息が１つ出た。

あぁそうだ、そうだ。

言い忘れてたけど。

因みにね、このドラムの俺ちゃんマンさんの名前は『ディック＝カーティス』さん。

年齢は２０歳。

ドラムの腕は確かだけど、人間性に問題のある正真正銘の『お馬鹿ちゃん』

なんか……神奈川に居る、同じ様にドラムを叩く『誰かさん』に似てる気がするんだけど、そこは敢えて気にしないで置こう。

あぁそれとね。

この後、此処ワシントンＤＣから、最後のニューヨークまでを担当してくれてる、ボビー＝マクラーレンさん。

通称『ボブ』さんって人が、此処のライブハウスに訪れて来たんだけどね。

このバンド結成の話を聞いて、早速、このメンバーと契約をしようとしたのよ。

それが、こんな感じ(↓)

「いやあぁ～～～、それにしても凄いメンバーだねぇ。『ＧＵＩＬＤ不動のNo2ギタリスト、ホランドさん』」

「その称号は、実に不本意な称号だがね」

「えっ？えぇ～～っと『ミネアポリスの堕天使ミナさん』」

「誰が『堕天使』だって？」

「えっ？いや、あの『ワイルド・エディ君』」

「そう言う認識なんですね。……そうですか。ハハッ……」

「へっ？そっ、それに!!『謎の天才ドラマー・ディックさん』」

「『天才』じゃねぇし『努力』だし」

「えっ？えっ？まぁまぁ……それに、俺の知り合いの真琴の親戚『鞍馬姫』」

「あの～～～、倉津眞子なんですけど」

『ボブさん、掴みで大失敗の巻』

「ははっ……まぁ、それはそれとして、折角、こうやって知り合えた訳だし。良かったら、ウチの新会社と契約してみない？」

……って、掴みを失敗したのに強引な事を言ったの。

そしたら……

「なんの為に契約をする？眞子が居ないバンドには一切興味は無い」

「嫌ですね。それにお断りです。お宅の会社とは、絶対に無い方向ですね」

「悪いけど、１人の方が気楽だから嫌。それに鞍馬が帰るなら、尚更お断り」

「はぁ？ライブが終わったら姫ちゃん、日本に帰るんだろ？嫌に決まってんだろ」

「あの……ごめんなさい」

「……なんなんだ、コイツ等？」

(↑)これがオチ。

終わり。

バイバイ♪

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>

これにて第一章・第三十五話　Members gatheredはお仕舞に成るのですが、如何でしたでしょうか？

最後の最後でホランドさんが折れ、俺ちゃんマンさんのバンドの参入を認めたみたいなのですが。

この件に関しましては、眞子は言い出したら聞かないのを実体験済みなので『これはダメだ』と諦めたんでしょうね(笑)

……っとは言え。

俺ちゃんマンさん事ディックさんのドラムの腕は確か!!

10日間限定とは言え、彼の参入が、バンドにどの様な影響を及ぼすのか!!

次回から始まる第一章・第三十六話【Devil`s way】の冒頭で、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ～～～(੭ु´･ω･`)੭ु⁾⁾