最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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856 執念

公開日時: 2023年6月11日(日) 00:21
更新日時: 2023年9月14日(木) 20:20
文字数:2,138

●前回のおさらい●


 崇秀が病院の前で倒れたと言う情報が齎され。

奈緒さんは、速攻で崇秀の元に訪れるが、今さっきまで昏睡していた眞子は体が動かず、身動きが取れない。


しかも、病室に来た医師に鎮静剤迄打たれてしまい……

 ……目が覚めたのは5時間後。

それ故に、さっきの事態が、あの後どうなったのかは全く解らない。

私は、鎮静剤のせいでなにも考えられず、ただ天井を眺めているだけしか出来無かったのだから。


ただ、その間も、私は、うわ言の様に崇秀の名前を呼び続け。


ただただ、涙だけがベットに零れ落ち続けた。


その間中も、昏睡状態から意識を取り戻した私に余計な事をしてくれた医者達が、なにやら検査らしきものをされてはいたけど……そんな事は、もぉどうでも良かった。


私の中では『一秒でも早く崇秀の元に行きたい』と言う意識だけが残留している。



「崇秀……ごめんなさい……崇秀……ごめんなさい……死なないで……もぉ1度逢いたいよぉ……死なないで……」


『バタン!!』


私がそう呟いた瞬間、、突然、荒々しく扉が開き。

誰かが、私の病室に入ろうとしている。


それに対応して、慌てて看護師が、そちらに向かって行くだけど……一体、なにがあったんだろう?


虚ろな意識の中、私は首だけを必死に曲げて、そちらを見てみる。



「ちょっとアナタ!!此処は、女性の患者さんの病室ですよ!!許可も無しに、勝手に中に入られては困ります」


なに?


……誰?


……誰が入って来ようとしてるの?



「うるせぇぞ。ゴチャゴチャ言わずに、そこどけ」

「ちょっと!!アナタは!!」

「うるせぇよ。どけつってんだろ。俺には、もぉ時間がねぇんだよ」

「アナタ!!意識が戻った所で、そんな無茶をしたら命の保証は出来ませんよ」

「そんなもんは元より承知の上だ。それにアンタ等に、延命措置なんてもんは、最初から望んじゃいねぇんだよ。眞子が、眞子が俺を呼んでるんだよ。……だから、そこをどけ」


この声は、崇秀の声……



まっ、まさか……



「あっ!!こんな所に!!……仲居間さん!!病室に戻って下さい!!無茶をするにも程が有りますよ!!」


それと同時に、奈緒ネェの声も聞こえて来た。


この様子から言って。

突然、昏睡状態だった崇秀が、病室から居なくなったから、慌てて、崇秀の居る可能性を考えて、私の所に奈緒ネェは来たのかもしれない。



「へっ!!なに言ってんだかね。こんなもんぐらい日常茶飯事だつぅの。だから、そんなに気にすんなよ」

「なっ、なに言ってるんですか!!そんな無茶な事を続けたら、今度こそ本当に死んじゃいますよ!!」

「るせぇなぁ。テメェの命の捨て場所ぐらい、テメェに決めさせろ。俺には、もぉ時間がねぇんだよ」

「仲居間さん……」


えっ?死ぬ?

崇秀が死んじゃう?


いや……死んじゃイヤだ……そんなの嫌だぁ。


そんな悲しい事を言わないで、もっと一緒に生きていようよ……

もっと、もっと楽しい事をいっぱいしようよ……


だから、死ぬなんて言わないで……



「オイ、オマエ等。俺は仲居間崇秀だ。俺の名前を知ってるなら、なにも言わず、即刻、全員、この病室から出て行け。じゃねぇと、此処の病院の援助を、今日限りで全て打ち切るからな」

「なっ!!」

「……路頭に迷いたくなきゃ、さっさと失せろ。これ以上、俺の手を煩わせるな」

「なっ、仲居間崇秀さん……あぁ、ですが仲居間さん……」

「黙れ。もぉそれ以上は口を開くな……俺は、失せろつってんだよ。これ以上反抗しやがったら、この病院が無くなって、マジで職を失う事に成るぞ。そこまでしてオマエ等は、俺を敵に回したいのか?」

「うっ、くっ。……あぁ君達、此処は仲居間さんの指示に従って、一旦、この病室からは引き上げるぞ」

「「「「あっ、はっ、はい」」」


みんな、崇秀の言葉に脅されて出て行ってくれた……


これで話し易くなったね。


それにしても、さっき意識を失った後なのに……無茶し過ぎだよ。

そんな事バッカリしたら……本当に死んじゃうって。



「ケッ!!最初から、そうしてれば良いモノを……それはそうと、なぁ、向井さん。悪いが、ちょっと肩を貸してくれ。今、無駄な力を使っちまってよぉ。疲れちまった」

「あの、それは良いんですけど……でも、仲居間さん……」

「まぁ良いからさ。此処は1つ、俺の我儘を聞いてくれよ。俺、もう直ぐ死ぬし」

「あぁ……」


崇秀は、奈緒ネェの肩を借りて病室に入って来て、そのままベットの脇にある椅子に座らされる。


けど……その顔色は、既に土気色になっており、生気なんて物は全くと言って良いほどない。

生きてるのかさえ、疑う様な酷い顔色だ。



「よぉ、眞子。なんか酷い有様の様だが、元気してるか?」


なのに崇秀は、そんな素振りさえ見せずに、いつもの調子で話し掛けてくる。



「崇秀……」

「オイオイ、なんだよ?なんだよ、その時化た面はよぉ?俺が死人にでも見えてるとでも言いたいのか?だったら、心配しなくても『まだ』死んでねぇわ。生きてるつぅの」

「あっ、あの……さっきは、ごめんね。私……」

「あぁ、なにかと思えば、その話な。それは、もぉ終わった話だから、もぉ気にすんな。……ぐはぁあぁ!!ぶへっ!!ぶへっ!!」

「仲居間さん!!」

「崇秀!!」


血……


思いっ切り咳込んだと思ったら、次の瞬間には床一面が真っ赤になるぐらいの大量の吐血。


平静を装っていても、全然、体がもってない……


崇秀……もぉヤメテ……


治療に戻って……先に、体を、ちゃんと治そ……

治ったら、話を幾らでも聞くから……説教でも、文句でも、なんでも聞くから……


だから、お願い……


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


さてさて……これは、なんて書いた物でしょうね?

内臓がイカレテて、体がボロボロで、その上、癌にまで侵されてる状態なので、普通ならもぉ動ける状態じゃない筈なのですが。

そんな中にあってでも崇秀は、精神力だけで眞子の為に病室を訪れ、眞子を見舞ってくれてる訳なのですが……此処では、今の崇秀にしか出来ない『とある事』があるので、こんな無理をしてまで、ズッと眞子の病室を訪れていたんですよ。


さてさて、果たして、その「今の崇秀にしか出来ない、とある事」っとは一体何なのか?


次回は、結構衝撃の展開が待っていますので。

良かったら、是非、遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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