最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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261 不良さん、一体、誰が操り人形なのか?

公開日時: 2021年10月25日(月) 00:21
更新日時: 2022年12月14日(水) 13:29
文字数:2,465

●前回のおさらい●


 倉津君が、朝早くにバスに乗せられた理由は……

『女性陣のプレッシャーを取り除く為の玩具にする為』っと言う驚愕の事実を崇秀の口から知らされた倉津君(笑)


それに腹を立てながらも、またしても崇秀の『奈緒さんを思い通りに動かせる』っと言う口車に乗せられてそうに成っていた。

「オイオイ崇秀。そりゃあ、幾らなんでも、流石にマズイだろ。しかも、それを俺にやれって言うのかよ?」

「いんにゃ、強制はしねぇよ」


ほんとロクでもない事なんだが……



「……なぁ。因みにだが、ホントにそうなるのか?」

「あぁ、十中八九、向井さんなら、そう言う反応になるだろうな」

「だとしても、奈緒さん怒らねぇかな?」

「怒らねぇよ。……まっ、試しにやってみって。ヤバくなったら、辞めりゃあ良いだけの話なんだからよ」

「なぁ。ホント、大丈夫なんだろうな?」

「あぁ、大丈夫だ。そんな無用な心配をする必要すらない」


そう言って崇秀は、俺に大量の飲み物が入った糞重たいクーラーバックを渡してくる。


まぁ面白そうだしよ。

崇秀のアホンダラァが此処まで言い切るなら、騙されたと思って試しにやってみっか。

(↑基本懲りない俺)


そんな風に俺は、テントで物販をしている奈緒さんの元に向って行く。


まぁ……大変な事にならなきゃ良いがな。


***


「奈緒さん」

「あっ、クラ、お疲れ」

「奈緒さんこそ、お疲れッス。物販、大変だったんじゃないですか?」


そうやって、物販を手伝ってる奈緒さんに飲み物を手渡しながら、労いの言葉を掛ける……だったよな。


これでえぇんかな?



「ありがと」

「ウッス。……それで、売り上げの方は、どうなんッスか?」

「まぁまぁかな。結構、人が集まってるイベントみたいだから、売れ行きは上々だと思うよ」

「そッスか。……ところで奈緒さんは、此処でなに売ってるんッスか?」

「うん?一応、今売ってるのは、今日のライブチケットなんだけどね。此処で買うとオマケ特典が付いてくるサービス付きなんだよね」

「なんッスか、そりゃあ?」

「あぁっと、このバスタオルなんだけどね」

「はぁ?」


今度は奈緒さんから、俺にバスタオルが手渡される。


そのバスタオルを広げてみると。

中央に『GUILD』と言う文字が入っている、赤と黒のツートンカラーのバスタオル。


俺の主観だが、中々格好良い。


ところで『ギルド』って、なんだ?


このイベントの名前かなんかか?



「どぉクラ?それって、結構、良くない?」

「まぁそうッスね。格好は良いッスね。……けど、なんでこんなもん配ってるんッスか?」

「さぁ。……私もね。よくは聞かされてないんだけど。なんか、仲居間さんがバックアップしてるバンドの名前なんだって。その宣伝なんじゃない」

「へぇ~~~っ、そうなんッスか」


ふむ、どうやら、あの馬鹿。

俺達以外にも、なにやら良からぬ事を考えてるみたいだな。


とは言え、世話になってるんだから、これぐらい協力をしても罰は当たらねぇか。



「……っで、奈緒さん。結局、どれぐらい売れてるんッスか?」

「うん?そうだね……大凡だけど1000枚強ぐらいは売れてるんじゃないかな」

「へっ?1000枚?そっ、そんなに売れてるんッスか?」

「うん、売れてるよ。……だって、考えてもみなよクラ。普通のチケットの代金で、バスタオルが付いて来るんだよ。他のブースで買うより、此処で買う方が断然お得じゃん♪」


あぁ、なるほどなぁ。

確かに、特典が無いより、特典が付いてる方がお得だよな。


それに、普通に買ってもバスタオルって結構な値段がするから、お得感がより増す感じか。

しかも此処だと、浜辺だから、バスタオルって使用頻度の高いものだけに需要も有る。


考え方に寄っちゃあ『バスタオルのオマケで、ライブが見れる』って考えるのも有りだしな。


んで、そうやって上手く集客出来れば、バンドの知名度も上がる。


中々、崇秀らしい狡猾な考え方だ。


それにしても……このバスタオルの生地って、そこら辺で売ってる様な安物のペラペラの奴とは大違いなんだが……大丈夫なのか、アイツの懐?



「なるほどねぇ。……けど、此処で売れてるのって、多分、それだけじゃないと思いますよ」

「うん?なにか、他に売りになる物って有ったっけ?」


興味本位から、話が逸れちまったから修正しないとな。

俺の使命は、奈緒さん達の機嫌を、今よりも良くする事だからな。


確か此処は、奈緒さんを褒めちぎる……だったな。

(↑崇秀のマリオネットな俺)



「勿論ッスよ。……この売り上げは、此処で奈緒さんが売ってるからこそ、人が集まって来るんッスよ。他の女の子じゃ、こうは上手くいかないッスよ」

「なになに?それって褒めてくれてるの?」

「そうッスよ」


確かに、アイツの言う通り、奈緒さんの反応は至って良好だな。

他の女の子と比べる事によって、機嫌を良くしているのは眼に見えて解る。


人間、誰しもそうなのだが、特に女の子って言う生き物は、他の女の子と比べられて褒められるのが好きだからな。


なので、奈緒さんの機嫌が良く成るのも頷ける。


だが……この辺りまでは、誰でも解る様な展開だよな。

この程度の効果じゃあ、崇秀を、まだ完全に信用しちゃいけない。


下手をすると、大失敗の恐れもあるからな。



「そっかな?……けど、なんか、ちょっと照れちゃうね」

「なんでッスか?」

「だってクラ。他の子も、みんな綺麗じゃない。此処に居るのが私じゃなくても、人は集まると思うよ」

「まぁ、確かに、みんな綺麗ッスね。けど、奈緒さんの比じゃないのも事実ッスよ。あの中で一番綺麗なのは、間違いなく奈緒さんッスから」

「もぉ、なになに?どうしちゃたのよ、クラ?さっきから、そんな事バッカリ言ってさぁ」

「いや、実は、さっき、少しの間、奈緒さんと離れてたから……なんつぅか、奈緒さんの可愛さを再確認したって感じなんッスよ。なんか、奈緒さんが横に居るだけで、俺、超幸せなんッスよ」

「もぉ、またそんな事バッカリ言って……直ぐに、私をからかうでしょ」


あっ……あれ?


ホントだ。

奈緒さんが言うセリフ・反応、全てがアイツの言ってた事と同じになってる。


なら、これって……彼氏の俺より、アイツの方が、奈緒さんを理解してるって事か?


だとしたら、なんか、ちょっと嫌だな。


んな事、言いながら継続……


って言いたいんだが……あの馬鹿。

この後、奈緒さんに軽くボディタッチしろとか無謀な事を言ってたよな。


こんな所で、そんな事して、奈緒さん怒んねぇか?


不安だ。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


倉津君、大丈夫ですかね?

崇秀の口車に乗せられて、奈緒さんになにやらしている様ですが……


最後まで、それがバレなきゃ良いですね(笑)


奈緒さん、怒ると怖いですしね。


さて、そんな中。

倉津君は馬鹿なので、そのまま崇秀の言う事に従って行動していくのですが……どう成る事やら?


なので、その辺が気に成って下さった方は、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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