●前回のおさらい●
倉津君が、朝早くにバスに乗せられた理由は……
『女性陣のプレッシャーを取り除く為の玩具にする為』っと言う驚愕の事実を崇秀の口から知らされた倉津君(笑)
それに腹を立てながらも、またしても崇秀の『奈緒さんを思い通りに動かせる』っと言う口車に乗せられてそうに成っていた。
「オイオイ崇秀。そりゃあ、幾らなんでも、流石にマズイだろ。しかも、それを俺にやれって言うのかよ?」
「いんにゃ、強制はしねぇよ」
ほんとロクでもない事なんだが……
「……なぁ。因みにだが、ホントにそうなるのか?」
「あぁ、十中八九、向井さんなら、そう言う反応になるだろうな」
「だとしても、奈緒さん怒らねぇかな?」
「怒らねぇよ。……まっ、試しにやってみって。ヤバくなったら、辞めりゃあ良いだけの話なんだからよ」
「なぁ。ホント、大丈夫なんだろうな?」
「あぁ、大丈夫だ。そんな無用な心配をする必要すらない」
そう言って崇秀は、俺に大量の飲み物が入った糞重たいクーラーバックを渡してくる。
まぁ面白そうだしよ。
崇秀のアホンダラァが此処まで言い切るなら、騙されたと思って試しにやってみっか。
(↑基本懲りない俺)
そんな風に俺は、テントで物販をしている奈緒さんの元に向って行く。
まぁ……大変な事にならなきゃ良いがな。
***
「奈緒さん」
「あっ、クラ、お疲れ」
「奈緒さんこそ、お疲れッス。物販、大変だったんじゃないですか?」
そうやって、物販を手伝ってる奈緒さんに飲み物を手渡しながら、労いの言葉を掛ける……だったよな。
これでえぇんかな?
「ありがと」
「ウッス。……それで、売り上げの方は、どうなんッスか?」
「まぁまぁかな。結構、人が集まってるイベントみたいだから、売れ行きは上々だと思うよ」
「そッスか。……ところで奈緒さんは、此処でなに売ってるんッスか?」
「うん?一応、今売ってるのは、今日のライブチケットなんだけどね。此処で買うとオマケ特典が付いてくるサービス付きなんだよね」
「なんッスか、そりゃあ?」
「あぁっと、このバスタオルなんだけどね」
「はぁ?」
今度は奈緒さんから、俺にバスタオルが手渡される。
そのバスタオルを広げてみると。
中央に『GUILD』と言う文字が入っている、赤と黒のツートンカラーのバスタオル。
俺の主観だが、中々格好良い。
ところで『ギルド』って、なんだ?
このイベントの名前かなんかか?
「どぉクラ?それって、結構、良くない?」
「まぁそうッスね。格好は良いッスね。……けど、なんでこんなもん配ってるんッスか?」
「さぁ。……私もね。よくは聞かされてないんだけど。なんか、仲居間さんがバックアップしてるバンドの名前なんだって。その宣伝なんじゃない」
「へぇ~~~っ、そうなんッスか」
ふむ、どうやら、あの馬鹿。
俺達以外にも、なにやら良からぬ事を考えてるみたいだな。
とは言え、世話になってるんだから、これぐらい協力をしても罰は当たらねぇか。
「……っで、奈緒さん。結局、どれぐらい売れてるんッスか?」
「うん?そうだね……大凡だけど1000枚強ぐらいは売れてるんじゃないかな」
「へっ?1000枚?そっ、そんなに売れてるんッスか?」
「うん、売れてるよ。……だって、考えてもみなよクラ。普通のチケットの代金で、バスタオルが付いて来るんだよ。他のブースで買うより、此処で買う方が断然お得じゃん♪」
あぁ、なるほどなぁ。
確かに、特典が無いより、特典が付いてる方がお得だよな。
それに、普通に買ってもバスタオルって結構な値段がするから、お得感がより増す感じか。
しかも此処だと、浜辺だから、バスタオルって使用頻度の高いものだけに需要も有る。
考え方に寄っちゃあ『バスタオルのオマケで、ライブが見れる』って考えるのも有りだしな。
んで、そうやって上手く集客出来れば、バンドの知名度も上がる。
中々、崇秀らしい狡猾な考え方だ。
それにしても……このバスタオルの生地って、そこら辺で売ってる様な安物のペラペラの奴とは大違いなんだが……大丈夫なのか、アイツの懐?
「なるほどねぇ。……けど、此処で売れてるのって、多分、それだけじゃないと思いますよ」
「うん?なにか、他に売りになる物って有ったっけ?」
興味本位から、話が逸れちまったから修正しないとな。
俺の使命は、奈緒さん達の機嫌を、今よりも良くする事だからな。
確か此処は、奈緒さんを褒めちぎる……だったな。
(↑崇秀のマリオネットな俺)
「勿論ッスよ。……この売り上げは、此処で奈緒さんが売ってるからこそ、人が集まって来るんッスよ。他の女の子じゃ、こうは上手くいかないッスよ」
「なになに?それって褒めてくれてるの?」
「そうッスよ」
確かに、アイツの言う通り、奈緒さんの反応は至って良好だな。
他の女の子と比べる事によって、機嫌を良くしているのは眼に見えて解る。
人間、誰しもそうなのだが、特に女の子って言う生き物は、他の女の子と比べられて褒められるのが好きだからな。
なので、奈緒さんの機嫌が良く成るのも頷ける。
だが……この辺りまでは、誰でも解る様な展開だよな。
この程度の効果じゃあ、崇秀を、まだ完全に信用しちゃいけない。
下手をすると、大失敗の恐れもあるからな。
「そっかな?……けど、なんか、ちょっと照れちゃうね」
「なんでッスか?」
「だってクラ。他の子も、みんな綺麗じゃない。此処に居るのが私じゃなくても、人は集まると思うよ」
「まぁ、確かに、みんな綺麗ッスね。けど、奈緒さんの比じゃないのも事実ッスよ。あの中で一番綺麗なのは、間違いなく奈緒さんッスから」
「もぉ、なになに?どうしちゃたのよ、クラ?さっきから、そんな事バッカリ言ってさぁ」
「いや、実は、さっき、少しの間、奈緒さんと離れてたから……なんつぅか、奈緒さんの可愛さを再確認したって感じなんッスよ。なんか、奈緒さんが横に居るだけで、俺、超幸せなんッスよ」
「もぉ、またそんな事バッカリ言って……直ぐに、私をからかうでしょ」
あっ……あれ?
ホントだ。
奈緒さんが言うセリフ・反応、全てがアイツの言ってた事と同じになってる。
なら、これって……彼氏の俺より、アイツの方が、奈緒さんを理解してるって事か?
だとしたら、なんか、ちょっと嫌だな。
んな事、言いながら継続……
って言いたいんだが……あの馬鹿。
この後、奈緒さんに軽くボディタッチしろとか無謀な事を言ってたよな。
こんな所で、そんな事して、奈緒さん怒んねぇか?
不安だ。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>
倉津君、大丈夫ですかね?
崇秀の口車に乗せられて、奈緒さんになにやらしている様ですが……
最後まで、それがバレなきゃ良いですね(笑)
奈緒さん、怒ると怖いですしね。
さて、そんな中。
倉津君は馬鹿なので、そのまま崇秀の言う事に従って行動していくのですが……どう成る事やら?
なので、その辺が気に成って下さった方は、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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