●前回のおさらい●
余りにも性格の違う真上さんと由佳ちゃんの遭遇だったが。
意外にも、真上さんの態度に好感触をだった由佳ちゃん。
そんな訳で、2人の遭遇は何事もなく解決。
そして、倉津君と共に教室へ……
さて、あれから30分。
教室に入ってからは、直ぐに真上さんプレゼンツ、新作メイド服を発表会が行なわれた。
すると発表直後、女子達は、誰が着るのかと囁き始め。
男子達も勝手な妄想を膨らまして、自然と色んな所もすらも盛り上がる(笑)
んでだ。
真上さんは、他の奴等が盛り上がってる時間を利用して、持参した紅茶を入れる道具で教室に居る全員に紅茶を振舞い始めた。
俺がそれを気付いた時には、全員が機嫌良く紅茶を飲んでいた。
……まぁ此処までは、何事もなく良かったんだがな。
矢張り、俺と言う存在がいる以上、何事があっても、ただで終わる事など有り得ない。
此処に来て、小さな綻びが生じ始める。
それは……クラスの男子や、職人のオッサンが、真上さんを囲んで盛り上がり、伊藤が俺の隣で紅茶を飲んでいる時に起こった。
まず、その異変に気付いたのは伊藤。
「倉津君。倉津君」
「ん?なんだよ?」
「これ、ちょっとマズイよ」
「はぁ?嘘だろ?これのどこがマズイんだよ?」
「違うって。気付かないかなぁ?私と、由佳以外の女子の眼。……あれ。完全に、あの子を敵視してる眼だよ」
俺は伊藤の指示に従って、周りの女子を見回した。
すると、露骨とまではいかないが、チラチラと真上さんを見て、ホント小さく舌打ちをしていた。
なんだ?
「うん?ちょ、ちょっと待て、なんで紅茶を振舞ってるだけの真上さんに、アイツ等、あんな眼を向けてんだ?」
「わかんないの?」
「うん?ひょっとして、あれか……女子特有のあれか?」
「そぅ、それ。彼女、自分自身では気付いてないかも知れないけど、かなりマズイ状態だね」
「あぁ……だな。まいったなぁ、オイ」
伊藤が言う『マズイ』ってのは、決して、真上さんの淹れた紅茶の話では無い。
真上さんの淹れた紅茶の味は、いつも通り、絶品の味を誇っている。
そんな紅茶を、俺の横で飲んでる伊藤が言いたいのは、そんな事じゃない。
『真上さんの、この場での立ち位置の話だ』
なにかって言うとだな。
今の今まで、自分達の行なう気遣いが全ての男共に伝わって、職人や、男子にチヤホヤされて居た女子。
それが真上さんが登場した事により世界が一変した。
まるで今までの事が無かった様に、一気に彼女が全て男を虜にしてしまい。
男共は、真上さん以外の女子に全く興味を示さなくなってしまったんだよな。
これが、大問題な部分なんだ。
勿論、真上さん自身には、悪気や、悪意を持ってしている事では無いのは、事実。
これは、いつも通りの、自然な『善意』に過ぎない。
だが、彼女の魅力は、自分自身では制御出来ず、放って置いても、男と言うだけで、簡単に魅了してしまう。
これに過剰に反応し、大きな勘違いをして、野郎共は自然と彼女をチヤホヤし始める。
なら当然、それを見た女子が面白い筈が無い。
『女子力の格が違う』とは言え、まさに、彼女達の面目は丸潰れだからだ。
しかもだ、更に、今よりも事態の悪化を加速させる事が起こる。
悪い事に、真上さんの噂を聞きつけた他所のクラスの馬鹿男子共が、真上さん見たさに、更にクラス周辺に集まって来ている。
今現在でも、既に、廊下側の窓から顔を出してる男だけでも17人程居る。
でだ、そんな馬鹿共にさえ、お人好しの真上さんは紅茶を振舞ってしまう。
そうなってしまっているから、事態は最悪だ。
まずにしてだな。
彼女のこの行為を見たクラスの女子は、真上さんが『男受け』を狙ってやってるものだと、更に嫌悪感が増し、彼女に対する負の感情を大きく持ち始める。
この誤解を解けば良いんだが、恐らく、誰一人として、こんな話を聞かないだろう。
何故なら真上さんは、そう言う風に見られても仕方が無いからだ。
非常に解り易くに『美人』だし。
男の抱く理想的な『性格の良さ』
誰にでも分け隔てなく『優しいし』『気遣いすら自然と出来てしまう』
トドメめに『スタイルも抜群』
要するに真上さんは、他の女子から見た時『女性として、非の打ち所が無いんだよな』
まぁその中で、なにか1つでも欠落していれば、ある意味、少しは救いも有ったのかも知れないんだが……彼女は、良くも悪くも、なに1つ抜けていない。
そんな全てに置いて完璧で、何拍子も揃った『男子に愛される為だけに生まれて来た存在』を、至って普通より可愛い程度の女子が、早々に受け入れられる筈が無い。
これは非常に可哀想な話なんだが、彼女の『善意』は、他の女子から見れば『男子に媚びてる』と受け取られてしまう。
実に理不尽な話なんだが、これが現実だ。
現に、あからさまなまでに表情に出してはいないが。
時間が経つ毎に、クラスの女子の大半が、真上さんを見る目をドンドン冷たくなっている。
こりゃあ、本格的に困ったもんだ。
「ねぇ、倉津君。あの子どうするの?私、個人としては、あぁ言うタイプの子は嫌いじゃないけど。他の子は、きっとスッゴク嫌いなタイプだよ」
「ハァ~~~、そうだなぁ。誤解され易い人だからな、真上さんわ。ホント、良い人なんだけどなぁ」
「うん。それは、なんとなくだけどわかるよ。由佳が、あそこまで女子に肩入れするのは珍しいし、彼女のやってる好意も、私達が、今まで男子にやっていたものと、なんら変らない。だから、それを自然に振舞えるあの子は、決して悪い子じゃないとは思うよ。けど、あぁ言うタイプのモテる子は、ヤッパリ、この場には居ちゃマズイかな」
うんうん、伊藤は、真上さんを、よく理解してる。
「だったら、俺が連れ出しゃ問題ねぇんじゃねぇか?」
「あぁっと、それも違った意味でマズイかも」
「なんでだよ?女子の『あの話』に続いて、今度は男共のテンションの話か?」
「うん、そぅ」
だよなぁ。
そりゃあ、そんな最上級のモテキャラ女子を、イキナリなんの理由もなしに連れ出したら、男共からは大顰蹙を買うよな。
けど、此処でそのまま放って置いたら、これまた自然と真上さんに、女子の非難が集中する。
どっちにしても、これじゃあデメリットばっかりだ。
けどまぁ、敢えて、このダメ過ぎる状態を打破する為に『どっちが選ぶ?』って尋ねられればだな。
俺が、アホ男子共に大顰蹙を買うのが一番最良だと言って良いんではないだろうか。
こんな危険な状態の中に、真上さんの身を晒し続ける訳にもいかねぇからな( ー`дー´)キリッ
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
真上さん……彼女には善意しかないのですが、いつも誤解されてしまいますね。
まぁ実際は、誤解と言うよりも。
『自分達には、真上さんの様に自然に振舞えないからこそ嫉妬心からこうなってしまっている』って言うのが正確なのかも知れませんね。
そんな可哀想な真上さんを救出すべく、今、男・倉津真琴が立ち上がる!!
……ってか、大丈夫かな?(笑)
まぁそれは次回の講釈、っと言う事で。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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