●前回のおさらい●

　素直ちゃんの仲介により。

今、倉津君に対する、ケンさんの公開謝罪が始める!!

(↑倉津君本人は、そんな物、微塵も望んでいませんけどね(笑))

　俺は、何故、こんな事になったのかも、よく解らないままステージインした。

「あの～～～、なんッスかね？」

「あぁっと、君が噂の倉津君かい？」

「あぁ、一応そうッスね。噂か、どうかは知んねぇッスけど」

「そっ、そうかい。さっきは、こんな公共の場で、非常に不用意な言葉を使ってしまって申し訳なかったね。本当に、すまなかったよ」

ステージの中央で、俺に向って深々と頭を下げるケン山本。

いやいや、そんなにキッチリと謝罪して貰っても困るんだよな。

第一この人、そんな深々と謝罪する様な程、失礼、若しくは大層な事なんか言ったか？

俺としては、ただ単に『半分ぐらいは事実を言われただけ』だとしか認識してねぇんだけどな。

「はぁ……別に、最初っから、なんも気にしてねぇッスけど」

「許してくれるのかい？」

「はぁ……許すもなにも、気にしてねぇッスからね」

「うおぉおぉぉおぉおぉ～～～!!なんて慈悲深い心!!その寛大さ、ヤッパ憧れるぅ!!」

「ヤベェ!!ヤベェよ!!相変わらずの激渋ッ!!ケンの非道を許したぜ!!兄貴痺れるぜ!!」

はい？

なに訳の解らん事を言っとんじゃ、このアホコンビは？

こんなもんに、寛大な心なんてもんも無きゃ、人が憧れる要素なんか微塵も感じられねぇつぅのな。

大体にして、謝る様な事ですらないぞ……これ。

うん、まぁ、この事から１００％解る事が有るとするとだな。

コイツ等モヒ＆ロンは、相変わらず、救い様の無いアホのままって事だけだな。

マジでアホだな、オマエ等。

「つぅかさぁ、山本さん。そろそろ、俺等も演奏して良い？」

「あぁ、もぉ、幾らでも、好きなだけ演奏しちゃって下さいな」

「いやいや、コンテストだから、弾くの一曲だけだし。それに、この後のスケジュールも詰まってるんじゃね？」

「あぁ、じゃあ、その一曲を、思いっ切り演奏しちゃって下さいな」

「はっ、はぁ。そっ……そうっすね」

「「「「「わあぁぁぁ～～～～!!良いぞ!!最高だアンタ!!」」」」」

この光景を目の当たりにした観客達が、何故か異様に盛り上がって行く。

勿論、なんで盛り上がってるのかさえ意味不だ。

しかしまぁ、この状況、なんとも困った状況になったのだけは、嫌な現実として残ってるな。

それが何か？つったらだな。

今から俺等の弾く曲って、全体的に静かなバラードなんだよなぁ。

だから無駄に、こんなに盛り上がっちまったらだな。

静かな曲だけに、逆に弾き難いわ!!

なんて、俺が懸念してたら……

♪～～♪♪～～♪～～～～♪♪～～♪～～～～……

全ての観客をクールダウンさせる様な、綺麗で、静謐なギターの音色が会場に流れ始めた。

これは『Blinded by me』のソロギターパートのイントロ部分。

って言う事は、ステラか……

とうとう、この茶番劇に我慢の限界が来て、先もって、音を鳴らし始めた訳だな。

この辺は『流石ステラだな!!』と言う言葉に尽きるな。

なにも考えてない俺とは違って、曲を入れるタイミングを狙いすました様に、良い音を鳴らしてくれるんだもんな。

いやはや、いやはや。

♪～～♪♪～～♪～～～～♪♪～～♪～～～～……

♪～～♪♪～～♪～～～～♪♪～～♪～～～～……

そこに、ステラの静謐な音にあわせる様に、幽玄なシンセサイザーの音が加わって行く。

そしてシンセと、ギターが、上手くフュージョンされ、その音は会場全てを包み込んで行く。

それだけで、切ない気持ちだけが前面に押し出され、会場内は静まり返り、小さな音さえ無く静寂に包まれ、ギターとシンセの音だけが、この場を支配して行く。

そぅ……この幽玄なシンセサイザーの音を出す演者こそが、俺の最終秘密兵器。

『氷村龍斗』……俺が言う処の『クソガキ』だ。

いやな。

以前、楽器屋でコイツの演奏を聞いて、１度で良いからセッションしてみたいと思っていた処をだな。

物凄く気軽な気持ちで、文化祭の準備期間中に頼んでみたら『良いよ』って拍子抜けなぐらいアッサリ了承しやがったんだよ。

だからだな、セッションする日を、今日のこの日に設定したんだ。

んで、都合良く、親父と、一緒にウチの学校に来る日だったクソガキは、バンドのメンバーとして、コンテストに参加してくれる事になったって訳だ。

要するに『ラッキーが上手く重なった』ってこったな。

……にしても、コイツ等２人の演奏は、相変わらず激上手だな!!

俺なんかとは次元が既に違う。

マジッパネェな!!

そこに……我がバンドのエースであるカジが、ギターとシンセの音色に、自分の声を入れる。

(↑バンドのメンバーは、俺・カジ・グチの３人の事な)

『♪～～～～～～』

うん、これに関しても、文句無しな出来だ。

先に演奏してる２人とも息がピッタリ合ってる。

まぁ元々カジは、練習が必要ないぐらい歌唱力があった訳だから、最初から大して問題にしていなかったんだがな。

クソガキの出す独特の心を落ち着かせる音の良さとも、カジの声は相性が良いみたいだ。

それにステラの全ての音にブーストを掛けるって技能が、コチラも、カジの声を綺麗に嵌め込んでる。

今現在、崇秀とは、全く違った感じの『Blinded by me』になってはいるが……これは、これで凄い良い感じだ!!

まぁ、此処で特筆すべきは、やっぱステラだな。

このステージに上がってる段階でも、俺等と一度も音合わせをしていないと言うのに、この完成度なんだからな。

崇秀と、アメリカで一緒に演奏をしてるだけの事はあって、即興に矢鱈滅法強い。

それにだ、奈緒さんに借りた『Ｍ－８０』と、ステラの相性が、異常な程マッチしている。

まるで、ステラの為にあつらえた様な感覚にさえ陥る程、彼女の理想とする音を奏でくれている。

コイツは、脱帽の１言に尽きる。

しかしまぁ、あれだな。

ステラも、このギターと同じぐらいの相性を持って、人とも上手く接してくれれば良いんだがな……

まぁ、そこが不完全だからこそのステラであって、完璧なだけのステラなんて、別に見たくもないか。

此処は、求める処を間違ってるな……

……さてさて、基本的には、ギターのソロパートだった処に、強引にシンセを組み込んだ訳なんだが。

クソガキとステラのお陰で、これ自体は、事無きを得た様だし。

俺と、グチの音を入れるリズムパートも近付いて来たので、そろそろ、全開で俺の音も入れて行くか。

今回は、バラードだから、一気に意識が飛ぶ事は無いだろうが。

静かにだが、真っ白に燃え尽きてやる……

それでは皆様、俺は、いつも通り、そろそろ意識が飛びそうなので……

さようなら……(笑)

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>

ケンさんの公開謝罪もアッサリ終わり。

更に、茶番に付き合いうのが嫌になったステラさんが演奏を始める事により、会場の空気を一転させましたね。

そして曲自体も、上手く音が重なり合って、倉津君自身も満足の行く結果に(笑)

さてそうなると、後の問題は『観客からの評価』

その辺は次回の講釈となりますので。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ～～～(੭ु´･ω･`)੭ु⁾⁾