●前回のおさらい●
ヒナちゃんの世界に舞い戻ってきた倉津君。
されど、向こうの世界との時間の経過が気になって、その辺をヒナちゃんが尋ねてきたら。
崇秀は『真理の探究者ではないか?』っと言う疑問が沸いて来た上に、それを肯定的な意見を吐くので……
「オイ、ヒナ。まさかとは思うが、オマエも、その真理の探究者とか言う類の人間なのか?」
「まさかね。私は否定もするし、肯定もする。だから、そこには固執はしてない。要は、なにが、それに一番近いのかは模索はするけど、最終段階までは突き詰めない。そこまでする必要性を感じないからね」
「……って事はなにか?一番効率的に動くものに、重点を置いてるって事か?」
「そう言う事」
あぁ……ヤッパリ、崇秀と、ヒナじゃ、思考に開きが見受けられるんだな。
その辺についての拘りは、崇秀のアホンダラァは徹底してやがるからな。
しかもアイツの場合は、突き詰めた上で簡略化までしてきやがる。
まさに思考の芸術と言っても過言じゃないからな。
「ふ~~~ん。じゃあよぉ、そこまで突き詰めないヒナにとっては『究極的な真理』って、なんだと思ってるんだ?」
「『無』だね」
「無だと?」
「そぉそぉ。少々安易な答えなんだけど。万物が、全て無から生まれてるとしたら、この世の全てが、偶然に偶然が重なって発生した事に成る。だから、全ての本質的な根源は『無』なんじゃないかなって」
まぁ、そう言う捉え方もあるわな。
大体にして、そんな太古の昔の事まで、俺等、現代人には解る筈ねぇもんな。
……ってか、そんなもん知ってても、なんの役にも立たねぇしな。
「なるほどなぁ。……じゃあ、なんで崇秀を『真理の探究者』だって言ったんだ?」
「うんっとねぇ。それを知るには、ちょっと立て込んだ話に成って来るんだけど……聞く気ある?」
「まぁ、解る範囲なら」
「あぁっそ。じゃあ、解る範囲で話すけど。……今さっき、真琴が目覚めた時に『向こうに戻ったけど、直ぐにコッチに戻って来た』って言ったでしょ」
うん?
なんの話をする気なのかは知らないが、確かに、そう言ったな。
つぅか、事実そうなんだから、そうとしか言い様がねぇじゃんかよ。
「あぁ、言ったな」
「じゃあ、どうして、向こうの世界で時間が経過してる筈なのに、ジャストこの時間に戻って来れたと思う?」
「へっ?」
「解り難いか。……えぇっとねぇ。じゃあ、まず、こう言う系統の話で、2つの世界を行き来する場合。来る前の世界と、来た後の世界の時間が同じ時間帯だと言うのが、常識だと思って」
そうなんか?
けどなんか、それ言ってる時点で、非常識な気がするんだが……それがオマエ等の常識なんだな。
「おぅ。けどなんで、それが常識なんだ?」
「要するに、並行世界って言う概念で行くなら、Y軸を合わせるだけで、此処の行き来は可能だからよ」
過去A→→→→B―――――未来(別世界)
↑ ↓
↑ ↓
過去A――――B―――――未来(自分の世界)
……って事だな。
(【注意】A=初期・B=新しい記憶を持った状態)
「ふんふん」
「……でも、彼のやった事は、Y軸を合わせながら、X軸を同時にずらせてきた。コレは、数学上じゃ、非常に単純な計算なんだけど。こう言う時間と空間の関係に成ると、膨大な計算が必要に成ってくるのよ」
まぁ、単純に言うと。
過去A→→→→B――――未来(別世界)
↑ ↓
↑ ↓
↑ ↓
↑↓
過去A(B)―――――――未来(自分の世界)
コレを実現したって事か。
「ほぉほぉ」
「それを簡単にやってのけるって事は、私なんかより知識量も比べ物に成らないぐらい膨大だし。馬鹿げた計算能力を持ってる事にも成るのよ。……こんなの普通の人間には出来ない所業。真理を究極的に追ってるとしか考えられないのよね」
いや……さっきから、意気揚々と喋ってるのは、別に良いんだけどな。
ちょっと勘違いしてないか?
確かに、崇秀は変人だがな。
オマエのやってる事も、大概、変人の域だって事を忘れるなよ。
それ……一般的には、なにも変わらない事だからな。
「あぁ、だからオマエは、崇秀の事を真理の探求者だと思う訳な」
「そぉそぉ。……あぁ、因みに聞きたいんだけど。それって、どれ位時間が経過してたの?」
「経過時間だと?……あぁっと、そうだなぁ。向こうでは、軽く7時間以上経ってはいるな」
「えっ?なに?7時間?今7時間って言った?」
「あぁ、言ったけど。なんだよ?」
「……嘘でしょ。そんなの有り得ない」
なにがだ?
時間の経過が7時間以上有ると、なんか問題でもあるんか?
「なんだよ?なんも嘘なんか言ってないぞ」
「えっ?えっ?じゃあ、Y軸込みのX軸の計算を、そんな短時間でやってのけたって言うの?」
そこ?
問題に成ってるのは計算の話なんだな。
「いや、多分、それ以前の問題としてだな。7時間も、アイツに時間の余裕はなかったと思うぞ」
「えっ?それ、どういう事?」
「いやな。アイツ、俺が、アイツん家に行くまで仕事してたからよぉ。その計算を7時間、ズッとしてた訳じゃないと思うぞ。寧ろ、その考える時間が有ったとすれば、多分、30分にも満たない時間だった筈だからな」
「嘘でしょ。……そんなの信じられない」
うん?
「いや、信じられないって言われてもよぉ。事実、それぐらいしか、アイツには時間がなかったんだから、しょうがねぇじゃん」
「本当に?……ねっ、ねぇ、真琴」
「はい?」
「お願いだからさぁ。そこの話を詳しく聞かせてくれない」
なにが、どうなのかは良く解らんが。
なんも、そんなに真剣な顔をしながら、顔をドアップに成る位まで接近させて聞かんでも良いんじゃねぇのか?
顔が近いって!!
「いっ、いや、構わねぇけどよぉ」
「じゃ、じゃあ、直ぐにでも、お願い。あぁそれと出来れば、その人の、人と也を、もっと詳しく教えて欲しい」
「あっ、あぁ」
早くも不穏な空気が満ち溢れ、なんか、ややこしい事に成ってきたな。
……つぅか。
マジでなんの話だよコレ?
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
矢張り、ヒナちゃんより、遥かに崇秀の方が頭が良いみたいですね(笑)
まぁ、勿論、これにも理由がありましてね。
ヒナちゃんの勉強に対する優先順位がどれだけ高くても。
現環境下(静流さん問題)では、多くの人と接する機会がないので、所詮は、どこまで行っても独学。
それ故に、限界があるんですね。
それに対して崇秀は、自頭の良さがある上に、世界に広がるGUILDを所持しており。
その知名度の高さから、各学問の著名人と多く接する機会がありますので、もうそれだけで知識量が全然違うんですね。
そこで差が出てる感じなのです。
さてさて、そんな中。
そんな崇秀に多くの興味を持ち始めたヒナちゃんなのですが。
この後、どういう反応を示してくるんでしょうね?
次回は、その辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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