最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1488 休憩中に起こったサプライズ

公開日時: 2025年3月2日(日) 00:21
文字数:2,643

●前回のおさらい●


 壁を塗りながらの山中君とのお喋りも一段落。

なので此処からは、一心不乱にリフォームに従事する予定なのだが……(笑)

 ……そんな事を話しながら、昼過ぎまで壁を塗った。


勿論、最初は淡々と塗るつもりだったんだが。

気が付けば、無駄に余計な事バッカリ喋りながら塗ってたんだけどな。

それでも山中の左官業務は、素人の俺なんかとは比べ物にならない位速いし。

的確な指示も与えてくれていたので、居住空間に成り得る3つの部屋の下塗りだけは、なんとか終わらせる事が出来た。


一応は、これで壁塗りも一段落だな。

だから今は、少々塗りたてのコンクリの臭いがするブルーシートの上でタバコを噴かしながら、リアルゴールドを飲んで、休憩中な訳だ。


……なんて、少しの間寛いでいると。



「クラ?クラ、居るぅ?」

「おにぃちゃ~~~ん」


奈緒さんと沙那ちゃんが、玄関口から、ほぼ同時に声を掛けて来た。


あぁ……これはやっちまったなぁ。

そう言えば、壁を塗るのに夢中になり過ぎて、2人に連絡するの忘れてたもんな。



「あぁっと、一番奥の部屋に居るッスよ。あぁでも、まだ部屋が汚いッスから、靴のまま上がって下さい」

「うん、解った。……沙那ちゃん、奥に居るみたいだね」

「うん。じゃあ、早く行こ。奈緒お姉ちゃん」

「そうだね。沙那ちゃん、頑張ったもんね」

「うん!!」


頑張った?

沙那ちゃんは、なにを頑張ってたんだ?

つぅか、頑張ってたと言う事は、2人で何かしてたって事なんだろうけど。

それならそれで、今まで2人して、なにをしてたんだろうな?


そう思ってる間に2人の足音がドンドン近付いて来て、俺等が休憩中の一番奥の部屋に入って来た。


……そんで。



「おにぃちゃ~~~ん」


……っと、部屋に入って来るなり沙那ちゃんが、俺に抱き付いてこようとする。


アカンアカンアカン!!

今は流石に抱き着いてきたらアカン!!



「あぁ、コラコラ。俺の服は、今はドロドロに汚れてるから、くっ付いちゃダメだ」

「えぇ~~~、ぶぅ」


なんて、頬を膨らましながら文句を垂れてるんだが。

そんな風に汚れると解って居ても、沙那ちゃんはチョコンっと俺の横には座ってくれる。


そして、それと同時に、俺の疲れは一瞬にして吹き飛んでいった。


俺は果てしなく安い男だ。



「懐かれてるねぇ、クラ。なんだか、本当の親子みたいだよ」

「ちょ、奈緒さん!!からかわないで下さいよ」

「ゴメン、ゴメン。でも、本当だよ。本当に親子みたいだよ」

「そうッスかね?」

「違うよ。沙那は、おにぃちゃんの恋人だよ。親子じゃないよ」

「へっ?」

「沙那ね。おにぃちゃん大好きだから、おにぃちゃんの、お嫁さんに成るんだぁ」

「あっ、あぁ、そっ、そう……なんだ」


あっ、あの、奈緒さん。

そう言いながらも、俺の横にピッタリ座って、子供相手に妙な対抗意識を燃やさなくても良いんじゃないッスかね?


滅茶苦茶嬉しくはあるんですけど。

沙那ちゃんの言葉は、小さい子がよく言う、子供の戯言みたいなもんなんッスから。



「なんやこれ?なんでオドレだけ、2人も侍らしとんねん」

「『侍らす(はべらす)』って、なに?」

「あぁっとなぁ。1人で、何人も女の子を連れとる言うこっちゃ。俺の周りだけ、誰も居れへんやろ。そんなん、寂しいやんけな」


いや、こうやって見ると、ホント、寂しそうな雰囲気が満載だな。


誰にも相手にされなかった、昔の俺の姿を見てるみたいに……実に哀れだな。



「そうなんだ。だったら沙那は、山中のお兄ちゃんも好きだよ」

「ホンマか?」

「うん。でも、倉津おにぃちゃんの方が好き♪」

「グッ!!結局かい!!」


いや、なんか、すまんな。

沙那ちゃんの為に頑張ってくれてるって言うのに、ウチの娘(?)が、なんかスマンな。


でも、子供は正直な生き物だから寛大な心で許してやってくれ。


それと後、奈緒さんは、俺の彼女だしな。

コチラも羨ましいだろうが、キッチリと諦めてくれ。


あぁ、そう言えば、アレだな。

今のソッチ関連の話で、フッと思い出したんだが。

素直と山中の関係って、今は、どうなってんだろうな?


まぁ流石に、それを今聞くのは、あまりにも野暮ってもんだろうから聞きゃしねぇけどな。



「ふふっ、カズ。お互い、子供には敵わないね」

「……ホンマやわ。子供は素直なだけに残酷やわ」

「だね」


なんか2人で納得しましたな。


なら、これにて、一件落着と言う事で。



「……あぁそうだ、そうだ。忘れる所だったけど。2人共、お昼まだでしょ?お昼ご飯を作ってきたよ」

「マジでか?そりゃあ有り難いこっちゃのぉ。久しぶりに奈緒飯が喰えるやんけな」

「まぁまぁ、山中君。今日は頑張ってくれたから、ご褒美にウチの嫁の飯を喰ってくれ給えよ」

「オマエ、ほんまムカツクな」

「ぶぅ!!奈緒お姉ちゃん飯じゃないもん。沙那も手伝ったもん」


あぁ、そうなんか?


じゃあ、あれだな『ウチの家族の者が作った、料理を食べてくれ給えよ』っが、正確な表現だな。



「そうなんか?偉いな、沙那ちゃん」

「偉い。……えへへ、あの、あのね。でも、おかずは、奈緒お姉ちゃんが担当で。沙那は、ご飯担当だったんだよ」


奈緒さんのオカズ担当って言うのは解るが……沙那ちゃんの言う、ご飯担当って、なんだ?


察するに、ご飯担当って言うぐらいだから。

炊き込みご飯とか作るのに手伝った、って認識で良いのかのぉ?



「そっか、それは偉いな。でも沙那ちゃん」

「うん?」

「ご飯担当ってなんだ?」

「ふふっ、クラ。そこは論より証拠だよ。沙那ちゃんから弁当をを受け取ってみなよ。それだけで、どう言う意味か直ぐに解るから」


あの、奈緒さん……

その言いよう、またなんかロクデモナイ事を企んでないッスか?


いやまぁ、この状況で『なにを企むんだ?』って話ではあるんだけどな。

なんか、奈緒さんの態度が胡散臭いな。



「はぁ、そうなんッスか?」

「はい、おにぃちゃん。どうぞ」

「おっ、おぉ、サンキュウな」

「カズも、沙那ちゃんから受け取りなよ」

「おぉ、ほな頂くわ」

「はい、どうぞ。……後、これが奈緒お姉ちゃんの分で、これが沙那のね」


そう言って沙那ちゃんは、全員分の弁当箱らしきものを渡して満足気にしている。


なんだ?

これで沙那ちゃんが満足行くって事は、奈緒さんの公言通り、この弁当に全ての秘密が隠されてるって事だよな。


だとしたら、この中には、一体なにが入ってるって言うんだ?


そう思ってる内に、奈緒さんは全員分のお茶を淹れてくれ、謎の昼ご飯の準備が整った。



「「それじゃあ、2人共召し上がれ」」

「「ウッ、ウッス」」


『パカッ』

……ってな感じで。

奈緒さんや沙那ちゃんの言葉に従って、俺と山中は弁当箱を開けるんだがな。


……へっ?


はっ、はい?


なっ、なにこれ???


なんじゃこりゃあ~~~!!


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


沙那ちゃんは、本当に倉津君の事が好きですよね♪

何時如何なる場合であっても、直ぐに、倉津君にくっつきに行きたがりますもんね(笑)


……っで、そんな純粋無垢な沙那ちゃんの行動を見た奈緒さんが、即座に倉津君の横に座りに行ったのですが。

これにも、ちゃんとした理由がありましてね。

実は、このシーンで奈緒さんは『沙那ちゃんの事が、ちょっと羨ましいなぁ』って感じてた部分がありましてね。

それで、ついつい対抗意識が芽生えて、即座に倉津君の横に座りに行った感じなんですよ。


では『その、奈緒さんが羨ましいと思った部分とは、如何なるものか?』と言いますと。

『私も年下なら、こうやって無邪気に倉津君に甘える事が出来るのかなぁ?』って言う、かなり解り難い部分だったりします。


……って言いますのもね。

奈緒さんは、いつも『自分が倉津君より年上だから、倉津君に甘えるよりも、導いてあげなきゃいけない』って意志を強く持っている子なので、そんな強い女性を演じる為にも、素直に甘える事が出来なかったりするんですよ。

早い話、奈緒さんは、そうやって年齢を気にしてるから、倉津君に甘える事が出来ず。

精一杯の抵抗として、即座に倉津君の横に座った、っと言う行動に出てしまった訳ですね。


まぁ作中では、倉津君視点なので、こう言った部分は非常に見え難い部分ではあるのですが。

本来、奈緒さんは、毒親に育てられたっと言う複雑な家庭環境で育った子なので、実は、人一倍甘えたい子だったりするんですよね。


でも、素直にそれを表現できない。

それが今の奈緒さんの心境だったりします。


冷静に見えて、奈緒さんも色々悩んでたりする訳でもありますね。


……っとまぁ、この場面での奈緒さんの心境についての説明は、これ位にしまして。

次回は、沙那ちゃんから手渡された謎の弁当の正体が明らかになっていきますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


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