●前回のおさらい●
人の道を外してでも、眞子を真琴に戻してやると言う崇秀。
その言葉を聞いた眞子は、そんな事はさせられないと思い『研究の中止』を願い出たら……
崇秀は『辞めても良いが、その分の俺の賠償をしろ』と言い。
更に、そんな大金がない眞子に対して『金がないなら体を売ってでも稼げ』っと言い出す始末。
何故崇秀は、此処まで怒っているのか?
絶対ヤダ!!
奈緒さんや、崇秀の為なら、幾らでも、この体を差し出しても良いけど。
お金の為なんかに、体を差し出すのなんて嫌だよ……
「そんなの……ヤダ」
「じゃあ、早々に諦めろ。それが、人にモノを頼んだ者の責任ってもんだからな。『泣き言』や『出来無い』だけじゃあ、世の中、罷り通らねぇんだよ。オマエが賠償しない限り、俺の研究は引き続き継続させるからな」
だから、それはダメだって……
なんとしても止めなきゃ!!
「わかったよ。……じゃあ、崇秀が、私を買ってよ。私の価値は、崇秀が全部決めて良いから……お願いだから、研究は、もぉヤメてよ」
「イラネェな。それに関しては興味0だ。100%お断りだ。話にもならねぇ」
「なんで?どうして?ちゃんと自分で責任取るって言ってるんじゃない」
「だが断る。良いか?オマエは、俺にとっては『掛け替えの無い親友』だ。そのオマエを、俺が買っちまったら、今までの関係が全部壊れる。……けどだ。オマエが、俺の知らない奴に身売りをしても、俺は、オマエを軽蔑したりはしない。それが、オマエの選んだ生き方なんだから、俺が口出しする話じゃない。……ただ、それだけだ」
「そんなの……呈の良い詭弁だよ」
ヤダ……
「詭弁なぁ。……じゃあ聞くがな。さっきから、オマエが、俺に言い放ってる言葉は、なんなんだ?イキナリ約束の反古をするわ。賠償責任を取れないからって言って、俺に『自分を買え』と言うわ。……オマエ、自分がなにを言ってるのか、わかってるのか?」
「わかってるよ。……でも、奈緒さんや、崇秀の為じゃないのに、体を売るなんてヤダよ」
「そんな事を聞いてるんじゃねぇんだよ。……オマエの、その甘えきった生き様は、なんなんだって聞いてんの?」
「そりゃあさぁ、甘えてるのかも知れないけど。……なんで、そこまで言うの?」
酷い……とは思わないけど。
此処まで、崇秀が怒る理由がわからないよ。
「簡単な事じゃねぇかよ。……オマエは、俺の生き方を否定した。そこだけは、どうしても勘弁ならねぇんだよ」
「否定なんかしてないよ。……ただ、崇秀には、人の道を外して欲しくないんだもん」
「ざけんなよ。さっきから聞いてりゃあ、ズラズラと綺麗事バッカリ並べやがってよぉ。大体なぁ。人の道を外さなきゃ、不可能なんてものは、可能にならねぇんだよ。……オマエ、今まで、俺のなにを見て来た?今までに俺が、人の道を外さずに行動してたとでも思ってるのか?おかしな勘違いしてんじゃねぇよ」
そんな……
崇秀に限っては、そんな訳無いよ。
今まで一回たりとも、そんな非道な真似した事ないじゃない。
「違う!!それだけは絶対に違うよ!!崇秀は、1度たりとも人の道なんて外してない!!清廉潔白な人間だよ!!」
「ボケ。……なに夢見てんだオマエは?それになぁ、この年で、これだけの地位を確立してる事自体が、その、なによりの証拠じゃねぇか。俺は、何人もの人生を狂わして来た。……これだけは、変わり様のない事実だ」
「そんな事ない!!崇秀は、いつも人の為だけに、自分の才能をフルに使って一生懸命やって来てたじゃない!!誰の人生も狂ってないよ!!そんな人、一人も見た事ないもん!!」
「オマエ……また、勘違いしてるな」
「なっ、なにが?」
私、なにか勘違いしてる?
おかしな事を言ってる?
「オマエねぇ。転落した人間だけが、人生を狂わされた人間って訳じゃねぇぞ」
「どっ……どういう事?」
「成功した人間でも、人生は、確実に狂ってるって事だよ」
えっ?
成功してるのに……人生が狂ってる?
あれ?
なに?
意味が解らないよぉ。
「なんで?なんでそうなるの?成功してるんなら、人生狂ってないじゃない」
「違うね。俺の知り合いは、成功する事によって、確実に俺に人生を狂わされている。……アイツ等は下手に成功なんかしちまったから、もぉ俺に出会う前の様な世間で言う『普通の生活』が出来なくなってるからな。まさに『頭のイカレタ集団』に成り下がっちまってる訳だ」
「でも、失敗してないんでしょ。……だったら……」
「それも違うね。アイツ等は『努力を怠らない』からこそ、未だに成功し続けてるだけに相違ない。それこそ、奴等にとっちゃあ『毎日が崖の上で綱渡り』だ。……だからな。そこに、俺が助けの手を差し伸べてやれば、また新たな成功を手にする。そうやって俺に依存させて、ドンドンと頭を狂わせて行く。この『悪魔のやり方』が、俺のやり方だ。……それをオマエは、さっき否定した。それが気に喰わないって言ってんだよ。……解るか?」
「ごめん……話の繋がりの意味がわかんないよ」
キーワ-ドは、ちょっとだけ解ってるんだよ。
でもね。
全体的な話の意味が解らないよぉ。
「……ったくもぉ。あのなぁ眞子。俺の言った『責任』『道を外す』この2点だけで。普通は、意味が解るぞ」
「うん。……それがね、キーワードだって事は解ってたんだけどね。話全体が、どうしても繋がらないんだよね」
「そぉかぁ?まぁ良い。兎に角、解らないでも、一旦オマエは元に戻す。それが筋だからな」
「『一旦』?」
「あぁ、一旦だ。俺がオマエを元に戻した後は、オマエが、どうしようと、それはオマエの勝手だ。女に成りたきゃ女に成りゃ良いし。男で居たきゃ男で居れば良い。ただ、それだけの事だ」
「えぇっと……」
「まだ、わかんねぇか。……あのなぁ眞子。此処が一番重要な話なんだがな。オマエさぁ、俺が『オマエの為だけに、この研究を続けてる』とでも思ってるのか?」
まただ……また、スッカリ忘れてた。
この崇秀の研究自体、元々私の為だけにやってる事じゃないんだった。
『性同一性障害』を持ってる人を『救いたい』って気持ちが有るからこそ続けてたんだった。
……私、なに厚かましい事を考えてたんだろ。
「あっ……そうか、そう言う事か。……でもさぁ、人の道を外すのは良く無いよ」
「ボケ……さっきも言ったがな。リスク無しに不可能を可能に変えるなんてウルトラCは出来無いの。それによぉ、人の道を外すって言っても。それが、その人の求める物で『合意』で有れば、人の道は外れない。……まぁ、要するにだ。人の進化には『飽くなき探究心』がなきゃ成立しないって話だ」
「でもさぁ。敢えて、崇秀が、それをしなくても良いんじゃないの?」
「アホ……俺は、正式な依頼を受けたの。だから研究を続けてる。当たり前の事だろ」
「えぇ……じゃあ……」
「そっ。俺は『オマエ』と『向井さん』に正式な依頼を受けちまったからな。多少、道を外す事ぐらい、なんて事はねぇんだよ」
もぉ……なんで、そこまで出来るの?
折角、此処まで色々頑張ってきてるのに、非難受けちゃうよ。
「でも……」
「ボケ。……向井さんは、オマエに元に戻って欲しいんだろ。だからオマエは、必ず男に戻らなきゃいけない。それで一旦戻ってから、向井さんとキッチリ話し合って『眞子が良いなら眞子に戻れ』……その後は、俺の知ったこっちゃねぇよ」
「崇秀……奈緒さんの事も……ちゃんと……」
「あぁ、当然だ。俺は、どこぞの単細胞生物じゃないんでな。自分の事バッカリ考えてる訳じゃねぇ。人一倍、周りが良く見えてんだよ。……それになにより、この間『向井さんには大きな借り』を作っちまったからな。シッカリ返して置かねぇとな。……あの子はオッカネェんだよ」
……またギャフンだよ。
全員の為なら……
世界の為なら……
人って……此処まで『自分を犠牲に出来る』もんなんだね?
冷めた時代なんて言われてるけど、そんな事ないよね。
崇秀を見てたら……そう思えるよ。
私も、口先ばかりじゃなくて、もっと頑張らなきゃね。
全然、努力が足りてないや……
カッコ悪……
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
崇秀が怒ってた理由は。
①自身の生き様を否定された事。
②綺麗事や自分勝手な事ばかり言う、甘え切った眞子の根性が気に入らなかった。
③この研究自体が、眞子の為だけにやってるものではない事を眞子が忘れていた事。
この3点となります。
そらまぁ、幾ら崇秀でも、これは怒るわな(笑)
実際、この研究自体に多額の出費もしてますしね。
さてさて、そんな感じで、また怒られた眞子なのですが。
例え怒られたからと言って、いつまでも凹んでてて仕方がありません。
此処から、眞子にも挽回のチャンスはあるのか?
次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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