●前回のおさらい●

　突然の由佳ちゃんからの告白。

されど倉津君は、ちゃんと考えた上で、その告白を断る事にした。

其の理由とは、一体、なんなのか？

「『どうして？』って、そりゃあオマエ。今の自分の彼女が大事なのが一番の理由になってるんだけどよぉ。下手な事をして、由佳が傷付くのを見るのも嫌だしな」

「えっ？でも、これだったら、誰も傷付かない……」

「そうでもねぇぞ」

「どうして？」

「だって、考えてもみろよ。仮に俺がよぉ、オマエが思ってる以上に良い奴だったらどうすんだよ？それでもオマエは、そんな状態を我慢し続けられるか？それによ、折角、俺なんかを友達だって言ってくれてる由佳に、そんな嫌な想いはさせたくねぇじゃんかよ。……これが俺の本心だ」

まぁ、正直な話だな。

喧嘩する事は有っても、ヤッパ奈緒さんとの関係は、なにが有っても終わらせたくは無いし、余計な厄介事になりそうな事も増やしたくない。

俺にとっちゃあ、どこまで行っても奈緒さんが一番だからな。

……っと、なるとだ。

この由佳の提案自体が、彼女の人生に於けるロスタイムになる事は間違いない。

俺を友達だと言ってくれた以上、由佳には、そう言う無駄な人生のロスタイムは出来れば有って欲しくもない。

だから、此処は迷わずに、この美味しい話をハッキリと断るべきだ。

俺は、そう判断した。

「格好良過ぎるよ」

「あぁ違う、違う。基本的に優柔不断なだけだ。……今だって、オマエの申し出を断るのも、断腸の思いなんだぞ」

「そうなの？だったら我慢せずに、騙しちゃえば良いじゃない」

「ヤダね。俺は、意味は違うかも知れないが、由佳の事を大事だと思ってる。だから、騙すなんて卑怯な真似はしたくねぇの」

「ちぇ。この手でもダメか。他の男だったらホイホイ乗ってきそうな話なのにね」

「まぁまぁ、あれだ。実際の話で言えば、一瞬『アリかな』って思ったのも現実だ。それ程、由佳の話は魅力的だったからな」

「なにそれ？今更フォローのつもり？」

「マジ話。つぅかな、俺の彼女って忙しい人でな。中々逢う時間がねぇんだよ」

っと、イカンな。

また調子に乗って口を滑らしちまった。

きっとこの後、ダッツの時と同じ展開が来るぞ……

「ふ～～ん。だったら、その時間に、友達として遊びに行くのは有り？」

あれ？違った。

「あぁ、それは、全然ＯＫだ。由佳の誘いを断れる奴なんて、早々居ねぇって」

「褒めてる？」

「あぁ、日に日に良い女になってきてると思うぞ」

「それでフラれてりゃ、世話ないわよね」

「惚れた男が悪かったってな」

「うわっ……キモッ!!うんうん、マジでキモイ」

出たよ。

いつも通りの期待を外さない、最悪なオチが出たよ。

どうせ、オチは、最初っから、こんなこったろうと思ったよ。

さっき『キモイ』と言われたセリフも、自分で言った瞬間『しくじった』っと思ったからな。

ダメージは少ない。

別に気にしねぇし(泣)。

「キモくて悪かったな。……ってか、そんな事よりよぉ。オマエ、荷物の件は、どこに行っちまったんだよ？話が吹っ飛び過ぎてんぞ」

「あぁっと、そうだった、そうだった。ごめん、話に熱中しすぎて完全に忘れてた。ははっ……」

「『ははっ……』じゃねぇよ。シッカリしろつぅのな。……っで、結局、どこに、何を取りに行くんだよ？」

「えぇっとね。横浜に在るおねぇちゃんのバイト先の店に、道具を一式を借りに行く予定なんだけど。荷物が多いから、男手がいるのよ」

「あぁ、確かにオマエ、そんな事を言ってたな。……けどよぉ、２人ってのは、人数が少な過ぎねぇか？２人でエッチラホッチラ手作業で、横浜から運んでたらよぉ。夜が明けちまうぞ」

「そうなんだけどね。おねぇちゃんのバイト先に、これ以上は頼めないし……」

まぁ、そらそうだわな。

借りるだけでも厚かましい話なのに。

更に、向こうサイドに持って来て貰う訳にもいかんわな。

かと言ってだ。

学校に横付けしなきゃいけないから、家から車を出すのも、また問題だしなぁ。

しかも、その車が、ヤクザ専用丸出しの『黒のベンツ』じゃ話にもなんねぇ。

マジ、どうすっかなぁ？

「まいったなぁ。話を聞いたまでは良いが、結構、八方塞な状況だな」

「ごめんね。急に、厄介な事を頼んじゃって……」

「あぁっと、余計な心配すんなって。取り敢えず、なんとかすっからよ」

っと言ってもなぁ……

『ヴォ～～～ヴォ～～～ヴォ～～～……』

俺が、困った時に限って、何故かこの携帯電話は良く鳴る。

されど、このタイミングで携帯電話が鳴って、今まで、一度として、その内容に良かった試しなし。

要するにだ、この音って、またなんかの問題発生の警告に聞こえるんだよな。

もしそうなら、考えただけでも、やだなぁ～～～、オイ。

「おっと、悪ぃな由佳。話の途中だが、電話が掛かってるみたいだ。悪ぃが出ても良いか？」

「あっ、うん。どうぞ、どうぞ」

由佳に電話を取る了承を得たのは良いが、矢張り、この電話からも問題が起きた。

液晶のナンバーディスプレイに映し出された名前は『王家真上』

今の時点では、あまり良くない展開だ。

いや、実はな、あの例の『真上さん丸まり事件』が切欠で、少し気まずくなったので、あれから３日ほど、彼女の店には行ってないんだよな。

(↑根本的にヘタレな俺)

それにも関わらず、このタイミングで電話だろ。

ひょっとして、なんか有ったのかなぁ？

取り敢えず、真上さんからワザワザ電話して来てくれてるんだから、電話に出るしか選択肢は無いよなぁ。

……なんかヤな予感が(;´д｀)トホホ

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>

倉津君、本当にちゃんとした理由で断りましたね。

まぁ今まで、散々、奈緒さんにはその系列で迷惑を掛けて来たので、此処は順当なラインだと言えますが。

実際、どれだけ好きな相手がいたとしても、異性からの告白っと言う物には、ときめきを感じてしまう物。

今回に限っては、よく頑張ったと思います♪

さてさて、そんな中。

前話で、少々真上さんに逢い辛い状態に成っていた所に、彼女からの電話。

一体なにがあったのか!!……次回の講釈。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ～～～(੭ु´･ω･`)੭ु⁾⁾