●前回のおさらい●
崇秀の本質を詳しく話す事によって、やや納得し始めたヒナちゃん。
それでも矢張り、まだ現実を受け入れきれてないのか……
「でも、本当の本当に、そんな人が、この世の中に存在するの……信じられない」
「アホヒナ。『存在するの?』じゃなくてだな。アイツは、そう言う奴が世間に居なかったからこそ、そこに自ら選んで突き進んでるんだよ。だからアイツは、誰からも必要とされる人間だし、誰にとっても得難い人間に成る。……『存在するの?』なんて間抜けな事を言ってる間は、アイツの域には達せられないぞ」
説教垂れてますな俺。
一体、何様のつもりなんだろうな?
本人は思いっ切り雑魚のクセにな。
ショボボボボ……
「うぅ……」
「オイオイオイオイ、そんなに凹むなよ。言ってるコッチが気づつないわ」
「だって。もし、今、真琴が話した話が全部本当なら、その人、あまりにも凄すぎるんだもん。おかしいよ」
「まぁな。アイツは、確かに規格外の化物だ。コレを聞かされちゃあ、誰だって落ち込むだろうよ。……でもな。だからこそ、オマエの元に、俺を遣わせたんじゃねぇのか?オマエの遅れを、早急に取り戻させる為にな」
「それって……」
此処からは、カンニングですな。
崇秀や、眞子の集めた、向こうの世界でのGUILDメンバーのリストを極秘公開してやる。
そうすれば、後はヒナが、自分でナントカする筈だからな。
技術面の向上も期待できそうだし。
「なぁ~~~にな。ちょっとインチキになるんだけどな。オマエには、向こうのGUILDの主要メンバーのリストを作ってやるよ。後は、ヒナ次第。オマエが、これをどう扱うかは、オマエの好きにしろ」
「あぁ、そう言う方法かぁ。……でも、それって」
「言いたい事は解るぞ。卑怯な手だって言いたいんだろ?」
「うん」
「でもなヒナ、崇秀なら、きっと、こう言うだろうな。『利用出来るモノは、なんで利用しろ』ってな」
「あぁ……」
「まぁまぁ、ちょっとインチキ臭い手法ではあるが、それをどう捉えるかもヒナ次第だ。そこまでは、俺の役目じゃねぇからな」
結局は、こうやって投げっぱなしに成っちゃうんだけどな。
流石に、多次元の自分の体とは言え。
帰れる方法があるのに、このまま勝手に使わせて貰い続けるのもなんだしな。
この場合は、投げっ放しにせざるを得ないんだよな。
「だったらゴメン。気持ちは嬉しいけど、私には、それを有効活用する事は出来無いよ。……お母さんに心配を掛ける事に成っちゃうからね」
あぁ……しまったなぁ。
リストを渡せば、ある程度、ヒナの力だけで、なんとかなると高を括ってたが、そこのリスクをスッカリ忘れてたな。
……っと、成ると動かしようが難しいなぁ。
どうしたもんだ?
「そっか。確かに、それじゃあ無駄になっちまうだけだな」
「……うん」
「なんか良い案はないか?」
「あぁっと、一応、無くは無いけど……」
「おっ?なんだよ、それ?どんな案だよ?」
「眞子に任せるって案なんだけど……どうかな?」
眞子なぁ。
確かに向こうの眞子なら、全部任せても100%OKなのかも知れないがなぁ。
コッチの眞子じゃなぁ。
まだまだ学生気分が抜けてない様な雰囲気だったし、それ故に甘さも感じる。
下手すれば、崇秀って存在が居ない分、現状に十分満足してる可能性すら有り得るしな。
……っとなると。
矢張り、これを突き通せるのは、仲居間の血族しかない。
「それはダメだな。世界の中心に立つ人物は、常に『オマエ』じゃなきゃダメなんだ。眞子じゃ、気持ちにブレが生じかねない」
「私じゃないとダメなんだ」
「あぁ、世界を牽引出来る能力が有るのは仲居間一門だけだ。他じゃあ、途中で欲が出て、悪い方向に転びかねないからな」
「そんなの買い被りだよ」
「だとしてもだ。最終的に無欲に成れるのはオマエだけの筈だ。なにより、それだけのスペックが含まれてるのも、オマエしか居ないんだからよ」
「私……そんなに強くない」
弱気だなぁ。
まぁ、女であるが故に、静流さんが大切に育て過ぎてる部分もあるんだろうな。
それに、見果てぬ世界の話をされたって、誰だってシックリとは来ないもんだわなぁ。
なら、どうする?
取り敢えず、此処は強引に押してみるか。
「当たり前じゃんかよ。今のヒナが強かったら、逆に吃驚するわ。それにアイツだって、最初から強かった訳じゃないからな。自分を徹底的に追い込んで来たからこそ、あれだけ強くなれた。最初から強い人間なんて居ねぇよ」
「そうだけど。……あぁ!!だったらさぁ。一段落付くまで、真琴が傍に居てよ。今のアンタなら、凄く助かりそうだし」
なんですと!!
そう言う提案が来るか!!
いやまぁ、そりゃあな。
そうすれば、ある程度の義理を果たせるから、俺もそんなには悪くないとは思うんだがな。
それじゃあ、さっきも言った通り。
コッチの世界の俺の意思を無視する事に成るし。
なにより……
「いやいやいやいや、おかしいだろ、それ」
「なんでよ?なにがおかしいのよ?」
「だってオマエ。さっき自分で『他人の体を無断で使っちゃイカン』って言ってたじゃんかよ。完全に話が矛盾してないか?」
そぉ。
『別世界の人間に時間を奪われるのが怖い』ってヒナ自身が言ってたのに。
それを推奨してどうするんだよ?
ダメじゃね?
「そっ、そうだけど……1人じゃ、心細いじゃない」
うぅ……ダメだ、駄目だと解ってても。
そんな顔して頼まれると、心がグラグラ揺れ動き始めてるんッスけど。
このままじゃ俺の方が、済し崩しにOKしちゃいそうな勢いなんですけど。
これは流石に不味いぞ展開だぞ、オイ。
「いや、だからって言ってもよぉ」
「それに真琴も、さっき1度帰る前に『手伝ってやる』ってハッキリそう言ったじゃない。あれって、嘘なの?」
「いやいやいやいや、あれは戻れなかった時の話な。戻れるのに、勝手な真似しちゃマズイだろ」
「そんなのズルイ。私のお陰で戻れたんだから、私の手伝いをするのが筋ってもんじゃないの。……すっ、少しは感謝して欲しいんだけど」
それを言われると……辛いなぁ。
なにも反論出来ねぇし。
「いや……あの……」
「そうだよ。絶対に手伝うべきだよ。手伝わないって方が、どうかしてるよ。それじゃあ義理も、人情も有ったもんじゃないよ」
あぁ……もぉ……俺に、そこを言うか……
「はいはい。もぉ解ったよぁ~~。一応、手伝う方向では考えるけどよぉ。一旦、崇秀の所に帰らせろ。アイツに、この体が受ける影響を聞かなきゃ、明確な答えは出せないからよぉ」
「嘘だ。……そう言って、コレだけ渡して逃げる気でしょ」
「逃げねぇわ!!オマエだって、気持ちの上では俺の幼馴染なんだからよぉ。それに恩人でも有るんだから、そんな卑怯な真似するか!!」
「本当かなぁ?なんか、この真琴って、妙に頭が良いから、信用出来無いのよね」
うん?
今、オィちゃんの事を『頭が良い』と言わなかったかい?
言ったよな?言ったよなぁ?
・・・・・・
あぁ、大丈夫だ。
崇秀と綿密な相談は必要だが、良い方向には模索してみようじゃないか。
(↑単純馬鹿な俺)
「信用しろっての!!オマエが、俺なんかを頼ってくれるなら、出来る限り助けれる様にすっからよ。此処は1つ信用してくれよ」
「本当に?嘘言ってない?」
「本当だつぅの。なんで、そんなに疑うんだよ?疑う理由が解んねぇわ」
「普段が普段だからね」
「それはコッチの俺だろ。俺じゃねぇつぅの」
「まぁ……そうだけど。今の私には、アンタが必要だから、慎重にも成るってもんでしょ」
「だったら、尚更信用しろよな。自分のパートナーを信じなくて、どうすんだよ?」
「解ってるけど……」
「だったら……」
「でもさぁ……」
「ならよぉ……」
「……」
「……」
……っとまぁ、こんな風に、水掛け論を繰り返していたら、気付いた時には、コチラの時間で21時を廻っていた。
頑固なやっちゃな。
しかしまぁ、男と女で、こんなにまで、大きな差が出るもんなんだな。
崇秀なら、絶対に人を頼らないのにな。
驚きの違いだわ。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
ヒナちゃん可愛いですね♪
今まで一人で頑張ってきただけに。
こうやって「初めて」頼れる人間が身近に出来て、絶対に逃がしたくないから、此処まで必死になってるんでしょうね(笑)
そして、簡単に情に絆されてしまう倉津君。
チョロイ……
さてさて、そんな中。
一旦、元の世界への帰還を申請する倉津君なのですが。
その願いは聞き届けられるのか?
次回は、その辺を書いていこうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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