最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1568 えっ?オマエ、それ矛盾してないか?

公開日時: 2025年5月21日(水) 00:21
文字数:3,160

●前回のおさらい●


 崇秀の本質を詳しく話す事によって、やや納得し始めたヒナちゃん。

それでも矢張り、まだ現実を受け入れきれてないのか……


「でも、本当の本当に、そんな人が、この世の中に存在するの……信じられない」

「アホヒナ。『存在するの?』じゃなくてだな。アイツは、そう言う奴が世間に居なかったからこそ、そこに自ら選んで突き進んでるんだよ。だからアイツは、誰からも必要とされる人間だし、誰にとっても得難い人間に成る。……『存在するの?』なんて間抜けな事を言ってる間は、アイツの域には達せられないぞ」


説教垂れてますな俺。

一体、何様のつもりなんだろうな?


本人は思いっ切り雑魚のクセにな。


ショボボボボ……



「うぅ……」

「オイオイオイオイ、そんなに凹むなよ。言ってるコッチが気づつないわ」

「だって。もし、今、真琴が話した話が全部本当なら、その人、あまりにも凄すぎるんだもん。おかしいよ」

「まぁな。アイツは、確かに規格外の化物だ。コレを聞かされちゃあ、誰だって落ち込むだろうよ。……でもな。だからこそ、オマエの元に、俺を遣わせたんじゃねぇのか?オマエの遅れを、早急に取り戻させる為にな」

「それって……」


此処からは、カンニングですな。

崇秀や、眞子の集めた、向こうの世界でのGUILDメンバーのリストを極秘公開してやる。


そうすれば、後はヒナが、自分でナントカする筈だからな。

技術面の向上も期待できそうだし。



「なぁ~~~にな。ちょっとインチキになるんだけどな。オマエには、向こうのGUILDの主要メンバーのリストを作ってやるよ。後は、ヒナ次第。オマエが、これをどう扱うかは、オマエの好きにしろ」

「あぁ、そう言う方法かぁ。……でも、それって」

「言いたい事は解るぞ。卑怯な手だって言いたいんだろ?」

「うん」

「でもなヒナ、崇秀なら、きっと、こう言うだろうな。『利用出来るモノは、なんで利用しろ』ってな」

「あぁ……」

「まぁまぁ、ちょっとインチキ臭い手法ではあるが、それをどう捉えるかもヒナ次第だ。そこまでは、俺の役目じゃねぇからな」


結局は、こうやって投げっぱなしに成っちゃうんだけどな。


流石に、多次元の自分の体とは言え。

帰れる方法があるのに、このまま勝手に使わせて貰い続けるのもなんだしな。


この場合は、投げっ放しにせざるを得ないんだよな。



「だったらゴメン。気持ちは嬉しいけど、私には、それを有効活用する事は出来無いよ。……お母さんに心配を掛ける事に成っちゃうからね」


あぁ……しまったなぁ。

リストを渡せば、ある程度、ヒナの力だけで、なんとかなると高を括ってたが、そこのリスクをスッカリ忘れてたな。


……っと、成ると動かしようが難しいなぁ。


どうしたもんだ?



「そっか。確かに、それじゃあ無駄になっちまうだけだな」

「……うん」

「なんか良い案はないか?」

「あぁっと、一応、無くは無いけど……」

「おっ?なんだよ、それ?どんな案だよ?」

「眞子に任せるって案なんだけど……どうかな?」


眞子なぁ。


確かに向こうの眞子なら、全部任せても100%OKなのかも知れないがなぁ。


コッチの眞子じゃなぁ。

まだまだ学生気分が抜けてない様な雰囲気だったし、それ故に甘さも感じる。

下手すれば、崇秀って存在が居ない分、現状に十分満足してる可能性すら有り得るしな。


……っとなると。

矢張り、これを突き通せるのは、仲居間の血族しかない。



「それはダメだな。世界の中心に立つ人物は、常に『オマエ』じゃなきゃダメなんだ。眞子じゃ、気持ちにブレが生じかねない」

「私じゃないとダメなんだ」

「あぁ、世界を牽引出来る能力が有るのは仲居間一門だけだ。他じゃあ、途中で欲が出て、悪い方向に転びかねないからな」

「そんなの買い被りだよ」

「だとしてもだ。最終的に無欲に成れるのはオマエだけの筈だ。なにより、それだけのスペックが含まれてるのも、オマエしか居ないんだからよ」

「私……そんなに強くない」


弱気だなぁ。


まぁ、女であるが故に、静流さんが大切に育て過ぎてる部分もあるんだろうな。

それに、見果てぬ世界の話をされたって、誰だってシックリとは来ないもんだわなぁ。


なら、どうする?


取り敢えず、此処は強引に押してみるか。



「当たり前じゃんかよ。今のヒナが強かったら、逆に吃驚するわ。それにアイツだって、最初から強かった訳じゃないからな。自分を徹底的に追い込んで来たからこそ、あれだけ強くなれた。最初から強い人間なんて居ねぇよ」

「そうだけど。……あぁ!!だったらさぁ。一段落付くまで、真琴が傍に居てよ。今のアンタなら、凄く助かりそうだし」


なんですと!!

そう言う提案が来るか!!


いやまぁ、そりゃあな。

そうすれば、ある程度の義理を果たせるから、俺もそんなには悪くないとは思うんだがな。


それじゃあ、さっきも言った通り。

コッチの世界の俺の意思を無視する事に成るし。


なにより……



「いやいやいやいや、おかしいだろ、それ」

「なんでよ?なにがおかしいのよ?」

「だってオマエ。さっき自分で『他人の体を無断で使っちゃイカン』って言ってたじゃんかよ。完全に話が矛盾してないか?」


そぉ。

『別世界の人間に時間を奪われるのが怖い』ってヒナ自身が言ってたのに。


それを推奨してどうするんだよ?


ダメじゃね?



「そっ、そうだけど……1人じゃ、心細いじゃない」


うぅ……ダメだ、駄目だと解ってても。

そんな顔して頼まれると、心がグラグラ揺れ動き始めてるんッスけど。


このままじゃ俺の方が、済し崩しにOKしちゃいそうな勢いなんですけど。


これは流石に不味いぞ展開だぞ、オイ。



「いや、だからって言ってもよぉ」

「それに真琴も、さっき1度帰る前に『手伝ってやる』ってハッキリそう言ったじゃない。あれって、嘘なの?」

「いやいやいやいや、あれは戻れなかった時の話な。戻れるのに、勝手な真似しちゃマズイだろ」

「そんなのズルイ。私のお陰で戻れたんだから、私の手伝いをするのが筋ってもんじゃないの。……すっ、少しは感謝して欲しいんだけど」


それを言われると……辛いなぁ。


なにも反論出来ねぇし。



「いや……あの……」

「そうだよ。絶対に手伝うべきだよ。手伝わないって方が、どうかしてるよ。それじゃあ義理も、人情も有ったもんじゃないよ」


あぁ……もぉ……俺に、そこを言うか……



「はいはい。もぉ解ったよぁ~~。一応、手伝う方向では考えるけどよぉ。一旦、崇秀の所に帰らせろ。アイツに、この体が受ける影響を聞かなきゃ、明確な答えは出せないからよぉ」

「嘘だ。……そう言って、コレだけ渡して逃げる気でしょ」

「逃げねぇわ!!オマエだって、気持ちの上では俺の幼馴染なんだからよぉ。それに恩人でも有るんだから、そんな卑怯な真似するか!!」

「本当かなぁ?なんか、この真琴って、妙に頭が良いから、信用出来無いのよね」


うん?

今、オィちゃんの事を『頭が良い』と言わなかったかい?


言ったよな?言ったよなぁ?


・・・・・・


あぁ、大丈夫だ。

崇秀と綿密な相談は必要だが、良い方向には模索してみようじゃないか。

(↑単純馬鹿な俺)



「信用しろっての!!オマエが、俺なんかを頼ってくれるなら、出来る限り助けれる様にすっからよ。此処は1つ信用してくれよ」

「本当に?嘘言ってない?」

「本当だつぅの。なんで、そんなに疑うんだよ?疑う理由が解んねぇわ」

「普段が普段だからね」

「それはコッチの俺だろ。俺じゃねぇつぅの」

「まぁ……そうだけど。今の私には、アンタが必要だから、慎重にも成るってもんでしょ」

「だったら、尚更信用しろよな。自分のパートナーを信じなくて、どうすんだよ?」

「解ってるけど……」

「だったら……」

「でもさぁ……」

「ならよぉ……」

「……」

「……」


……っとまぁ、こんな風に、水掛け論を繰り返していたら、気付いた時には、コチラの時間で21時を廻っていた。


頑固なやっちゃな。


しかしまぁ、男と女で、こんなにまで、大きな差が出るもんなんだな。


崇秀なら、絶対に人を頼らないのにな。


驚きの違いだわ。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


ヒナちゃん可愛いですね♪


今まで一人で頑張ってきただけに。

こうやって「初めて」頼れる人間が身近に出来て、絶対に逃がしたくないから、此処まで必死になってるんでしょうね(笑)


そして、簡単に情に絆されてしまう倉津君。


チョロイ……


さてさて、そんな中。

一旦、元の世界への帰還を申請する倉津君なのですが。


その願いは聞き届けられるのか?


次回は、その辺を書いていこうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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