●前回のおさらい●
物凄く怒られる事を前提にして、奈緒さんに謝罪し始めた眞子だったが。
奈緒さんは、そんなに怒った様子もなく、冷静に昨晩の眞子の行動を判断してくれた。
その上……
「あっ……あの、あの、奈緒さん」
「いやね。ちょっと聞いてよ眞子。あの馬鹿クラ、どこをホッツキ歩いてるのかは知らないんだけどさぁ。クリスマス以降、私を放ったらかしにするのよ。この私をよ。信じられないでしょ。だからね。そんな酷い事をする男とは、此処に帰って来るまでは、一旦はお別れ。……私、フリーになったから、眞子と付き合おうと思うんだけど。ダメ?それとも、女同士じゃ気持ち悪い?」
あっ……
「ぐすっ!!奈緒……さん。ぐすっ!!ズルイよ!!ズルイズルイ!!」
「……っで、どうするの?」
「ぐすっ!!OK……ぐすっ!!OKに決まってる……ぐすっ!!じゃないですか……NOなんて答え……どこにも……ぐすっ!!無いですよ……私……私……」
「コラコラ、ブッサイクな顔で泣かないの」
「ぐすっ!!ブッサイクじゃないですよ……ぐすっ!!眞子は可愛いですよ……」
「そぉ?でも、今の泣き顔のままじゃあ、凄いブサイクだよ。自分で可愛いって言い張るなら、今すぐにでも、可愛く見える様に泣き止みなさい。眞子は『正式に私のモノに成った』んだから、ブスなのは、絶対に許さないよ」
そうですね、そうですね。
此処まで言って貰えた事に、嬉しさのあまり泣いてる場合じゃないですよね。
だから、もぉ眞子は泣きませんよ。
「あっ、はい、わかりました。……もぉ泣きませんよ。全然、もぉ泣いてませんよ……ぐすっ!!ぐすっ!!……ほらね。もぉ泣いてないでしょ」
「泣いてんじゃん」
「もぉ、必至に我慢してるんだから、崇秀と同じ事を言わないで下さいよぉ。……意地悪」
「ふふっ。仲居間さんも同じ事を言ったんだぁ~。そっかそっか。ふふっ」
もぉ……この意地悪姉弟。
ちょっと隙を見せたら、直ぐに意地の悪い事ばっかり言うんだから。
……でも、なんで奈緒さん、急に、こんな事を思ったんだろ?
まるで、昨日のライブの後に話した崇秀との会話を、丸々再現してる様な錯覚にさえ陥る……
・・・・・・
あぁ!!まさかこの2人!!
「あっ、あの、奈緒さん」
「うん?なんだい?」
「なんで、急に、眞子の存在を認めようと思ったんですか?」
「そりゃあねぇ。……天下の仲居間崇秀に土下座までされたら、断れる訳ないじゃない」
「えっ?えっ?えっ?……崇秀が土下座……」
「そぉ。……仲居間さんはね。昨日のライブ終了後。汗ダクダクのボロボロの疲れきった体を引き摺って、私の楽屋まで来て。この事で頭を下げたまま『眞子を救えるのは向井さんだけなんだ。……だから頼む。この通りだ』って言いながら、今までの話を全部話してくれたの。……そんな仲居間さんの姿を見せられて、断れる?」
「ちょ、ちょっと待って下さい。……崇秀……ボロボロ……だったんですか?」
そんなぁ……
昨日の深夜、そんな素振りさえ見せなかったのに……
「本当にボロボロだったよ。足元も覚束ないぐらいにね」
「そんなぁ……」
「そりゃあ、そうでしょう。約2週間、殆ど寝ずに『研究』『自分の勉強』『カットやギターの練習』それに『責任の有る仕事』。それらを全て卒なくこなしてたら、全うな体力なんて残ってる訳ないじゃない。その上、昨日のライブでの人知を超えたパフォーマンス。……普通なら死んでてもおかしくないと思うよ」
なんで……なんで私は、そんな事にすら気付いてあげられなかったんだろう。
崇秀は、なんで、あんなに普通にしてられるのよ……
それに、なんで私なんかの為に、奈緒さんに頭を下げるのよ……
なんで……
なんで……
「ぐすっ……ぐすっ……ぐすっ!!ぐすっ!!」
「眞子。泣いちゃダメだよ」
「ぐすっ!!どうして……ぐすっ!!ですか?涙が……ぐすっ!!もぉ止まらないんです……ぐすっ!!うわ~~ん、うわ~~~ん!!」
「うぅん。でも、泣いちゃダメなの。あの人はね、きっと生まれた時から、そう言う人なのよ。なにがあっても、自分の信念を曲げない。それに……友達の為なら、平気で頭を下げられる。そんな仲居間さんの事を思って泣くぐらいなら。自分をもっと磨いて、自分も、他の人に、何か、そうやってあげれる様な人間にならなきゃいけないと思うの。……じゃなきゃ、仲居間さんの行為が報われないと思うよ」
でも……
「奈緒さん……ぐすっ、ぐすっ、私、崇秀みたいには出来無いよ。ぐすっ、無理ですよ」
「急がなくても、ゆっくりで良いんじゃない。人の成長速度は、人それぞれ。……けど、先人が、あれだけの加速で走ってるんだから。少しだけでも自分の速度を上げて、早足で成長する様に努力をしてみたら。……頑張れる?」
「ぐすっ、ぐすっ、あぁ……はい、頑張れます」
奈緒さんも、崇秀も凄いですね……
でも、一個だけ疑問が……
「あの~~~、奈緒さん」
「うん?」
「あのですね。……奈緒さんは、崇秀に土下座されたから、この件を引き受けたんですか?」
「あのねぇ。そんな訳ないでしょ」
「じゃあ、どうして?」
「うん?だって私、元々眞子の事も、本当に大好きだもん。だから、最初から断る理由なんて、なにもなかっただけ」
「えっ?えっ?でも、そんな簡単に受け入れられるもんなんですか?」
「うぅん。私の場合は、仲居間さんとは違って、最初は全然割り切れてなかったよ。……けど、この問題については、初めて眞子がウチに来た時からズッと考えてた事なのよ。要はね。仲居間さんの話が、丁度良いタイミングだったって話」
「……そうだったんですか。あの……奈緒さん……ありがとう」
なんかもぉ、幸せすぎだよね。
『恋人』が奈緒さんで『親友』が崇秀。
それでいて2人は、本当は存在しない筈の私の事を、こんなに受け入れてくれてる。
なに?この贅沢な環境?
そして私は……エロイだけのモブッ娘。
……幸せな分、悲し過ぎるよぉ。
……本気で泣けてきた。
……そんな折『ヴォ~~~ヴォ~~~ヴォ~~~……』っと、私の携帯電話が鳴り始めた。
あぁ、ヤバイ。
幸せに浸り過ぎて、またスッカリ忘れてた。
「わっ!!わっ!!わっ!!」
「なになに?どうしての?なに、電話ぐらいで焦ってんのよ?」
「あっ、あの、あのですね。たっ、たっ、多分、崇秀からの電話なんですよ」
「仲居間さん?……なに?この後、なにか約束でもしてるの?」
「いや……あの……実は……今、柳田さんの店に居たりします」
「えっ?」
「あぁ、いや、あの……あのですね。私を心配して一緒に付いて来てくれたんですよ。だから、此処に、崇秀を呼んでも良いですか?」
「うん。ダメ。100%ダメに決まってるじゃない」
あり?
「なっ、なっ、なっ、なんでですか?なんで崇秀を呼んじゃダメなんですか?」
「このお馬鹿ッ……こんなミットモナイ顔を、仲居間さんに見せられる訳ないでしょ!!」
「えっ?えっ?そんな事ないですよ。奈緒さんは可愛いですよ。いつも通り可愛いです」
「泣かすわよアンタ。あのねぇ眞子」
「あっ、はい。なんでしょうか?」
「良い?異性を眼の前にする時は、なにがあっても『完全に身嗜みを整えてから』ってのが私の中の信条なの。だから眞子は、今から直ぐにヤッキの店に行って、私が風呂に入る間の時間を稼いできなさい。……良いね。やらないと『1日中、下半身捏ね繰り回す』からね。時間稼ぎに失敗しても『同罪』だからね」
嫌過ぎますよ……
「あぁ、はい、隊長!!不詳、倉津眞子、喜んで、直ぐに行ってまいります!!」
「良いから、はよ行け!!」
「あぁ、はい!!行って来ます」
私は慌てて立ち上がり。
ヤッキの店に向かう為に、一旦『奈緒さん家の専用扉』に走って向かう。
だってだって!!このミッションを、なんとしもこなさないと、奈緒さんに『1日中、下半身捏ね繰り回される』んだよ。
流石に、これ、嫌……だから?
・・・・・・
あれ?
でも、それってさぁ。
本当に、そんなに嫌な事なのかな?
・・・・・・
あぁ。
うぅん、嘘嘘。
ヤダよ、ヤダよ!!
ちゃんと、ヤダよ!!
「にゃあぁぁ~~~!!」
あぁ~~~ん。
余計な事を考えてたら……ま~~た~~コ~~ケ~~た!!
……痛い。
「うわ~~~っ、また廊下でコケてるし。あんなオッチョコチョイな萌キャラに頼んで大丈夫なのかなぁ?……うわうわ、なんだろう?一辺に不安になってきた。頭痛ッ」
私も……デコが痛いです。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
突然ですが、皆さんは『友達って、どんなもの?』だと思われてますか?
勿論、一言に友達と言っても、様々なパターンがあり。
遊ぶだけの友達も居れば、一緒に居て楽しいだけの友達、惰性で付き合ってる友達、上辺だけで付き合ってる友達。
……なんてまぁ、言い出したらキリが無い位、沢山の友達のパターンがあるとは思うのですが。
そんな中で、貴方が『この人の為なら、出来る限り必死に成れる友達』っと言うのは、どれぐらい居られますかね?
まぁ、こう言う友達が多い人ほど、苦労は絶えないとは思うのですが。
自分から、本気で相手に接して行かないと、お互い尊重し合える『本当の友達』なんて物は得る事が出来ないと思いますので。
皆さんも、上辺だけを取り繕う様な友達ばかり作らずに、他人とシッカリ付き合って、良い交友関係を作っていって下さいね♪
さてさて、そんな中。
眞子は、奈緒さんの身嗜みを整える時間を稼ぐ為に『崇秀引き留め作戦』を決行しなきゃいけなくなった訳ですが。
上手く行くのか?(笑)
そこは、次回の講釈と成りますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾
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