●前回のおさらい●
プレイヤー達にとっては地獄の様な技をかまし。
完全に他の三人をグロッキーに成ってしまうまで、彼等の能力を最大限に発揮させ、会場を沸かせた崇秀。
そんな彼に対しての恐怖が身に染みてしまった山中君は、崇秀との勝負を破棄しようとしたが。
それに対して眞子は……
「私はやるよ。……崇秀が、此処まで協力してくれたのに、自分だけ助けて貰うなんて、私は、絶対に気に喰わない!!だから、今日の遊びは、最後まで続行だよ!!」
「ククッ、だよな。……普通は、そうこなくっちゃ。面白くもねぇよな」
「ちょ!!ちょっと眞子!!正気なの?その人、もぉまともじゃないわよ!!狂ってるよ!!」
「あっ、はい。勿論、正気のつもりです。それに私、最初に言った筈ですよ。奈緒さんが喜ぶ為なら、なんでもするって。だからもぉ、覚悟は決めてます」
「眞子……」
ははっ……でも、格好良い事言った割りに、かなりの確率で病院送りになるかも……
……けどね。
奈緒さんの件を含めても、崇秀との思い出が楽しい事ばっかりじゃ、なにも面白くないし。
借りばっかり作る真琴ちゃんと違って、眞子としての人格では、今度こそ崇秀とは出来る限り対等な立場で有りたい。
だから私は、もぉ逃げない。
それに『ちゃんと約束を守る』事も大事だと思う。
今までは、そう言うのに全く感心がなかったんだけど。
女の身に成って、生活態度も毎日キチンと改善してからは……それが『気持ち良い事』だと、やっと感じれる様になった。
だから、この気持ちを失っちゃいけないと思う。
まぁ、言ってしまえば。
……今の段階でも、崇秀には、一杯お世話になってるんだろうけど。
これ以上の借りは作りたくないし。
今後は、出来る限り、利子を付けて借りを返して行きたいしね。
ははっ……なんて格好の良い事を言ってるけど、ヤッパ、まだ早急過ぎるかな?
「すまん、秀。……ヤッパリ、俺にもやらしてくれ。……女の眞子ちゃんが、それだけの啖呵を切ったって言うのに、女を守らなアカン立場の男の俺が、尻尾巻いとる場合やないわ。……やから、殺す気で掛かってこんかい!!」
「ほぉ、面白ぇ。実にオモシレェ、洒落にならない位おもしれぇな、心底面白ぇ!!オマエ等、揃いも揃って良い度胸だよ。なら、遠慮無く、脳天が真っ白になる位、綺麗に殺してやる。……だから、俺に尻尾を巻かなかった事を後悔して死ね」
「ほざいとけ。討ち死にでもなぁ。ただでは死なへんで。目にもの見せたらぁ!!」
「おぉ、怖い怖い。……さてさて、他の2人は話が着いたが、向井さん、どうするよ?」
崇秀の標的は、最後になった奈緒さんに向けられた。
でも、奈緒さんが此処で崇秀の提案を断れば、話は全部終了になる。
崇秀がなにを言っても、これは『奈緒さんのライブ』なんだから、それは仕方が無いよね。
「私……浪花節って、ホント、大嫌いなんだけどね。でも……勝負もせずに負け犬になるのは、もっと嫌。だから私自らが、仲居間さんに引導を渡してあげる」
「はっははっはっは……俺に『引導』ねぇ。なんだよ、それ?本当に面白いな。心の底から笑えるよ。……なら俺は、福音教の信者だから、アンタ等の為に、心から健闘を祈ってやるよ。……地獄の底で、安らかに眠れ。『AMAN』ってな」
それにしても崇秀。
ライブ続行が決まったのに……なんで、まだ、そんな事ばっかり言うんだろ?
この『挑発紛い』の事をするのは、いつもの事だし『自分を悪人に仕立てる』のも、なにも変わらず、いつもの事。
それに『実力の違い』は、今の段階で、私達3人には十分な程身に沁みている筈。
ならなに?
此処まで崇秀が、私達を挑発をする意味は、なんなんだろうか?
なにかまだ、見えていない何かが有る筈。
「まぁ、良い。向井新喜劇は、これぐらいにして置くとして。此処からは、オマエ等3人と、俺1人との勝負だ。アンコールじゃ、せめて、俺のイチモツが、そそり立つ様な演奏をしてくれよ。ははっはっははっはっははっは……頼んだぜ」
そう言って崇秀は、一旦、此処を後にする。
此処に来て、まだ、なにか考えがあるんだろう。
***
崇秀が出て行って、3人の時間が出来た。
勿論こんな状態だから、当然の様にアンコールの演奏についての話が出る。
みんな、ちょっとは体力が回復したのか、少しは普通に会話が出来そうな雰囲気だ。
「……そやけど、勝負するのはもぉえぇとして、どうしたもんや?アイツが、あないな化物にまで成長しとるとは、流石に思いも拠らんかったわ。このままやったら、今の所、対処のしようがないで」
「流石に、此処まで実力差が有ると、勝負としては、ちょっと厳しいね。……あぁ、でも、アンコールが終わり。最後までステージに立ってたら、負けって事にはならないんじゃない?」
そうか!!そう言う事か!!
此処に来て、崇秀の意図が少しだけ見えてきたぞ。
今の奈緒さんの意見を聞いて解った訳じゃないんだけど、恐らくは崇秀の真意が読めた!!
崇秀の思惑は、奈緒さんの言う様な『勝ち・負け』の事じゃなく、全然違う方向の事を考えてる。
崇秀は、さっきまでのライブでやってた事を繰り返す気だ。
だったら……私は、今までのライブ通りの事を『意識して』繰り返せば良いだけだ。
そっか、そっか。
でも、なんで……こんな簡単な事に気付かなかったんだろ。
崇秀の性格が解っていれば、直ぐに解りそうなものなのにね。
……馬鹿みたい。
あぁでも……今のこの状況で、この話を言って良いものなのかなぁ?
「そやな!!引き分けは、決して負けやないからな。それを狙うのも悪ぅないわ。……そやけど奈緒ちゃん。まだ、最後の新曲、アイツなんも見せてへんで。なんや、その辺が、豪い不気味やないか?」
「確かにね。……不確定要素ってのが、ライブじゃ一番怖いよね」
あぁ……多分、そこはそうじゃないんだけどなぁ。
それまでの経緯はどうあれ、崇秀、最後の最後は、全て綺麗に終わらせる気だよ。
最もインパクトが有って、奈緒さんのイメージが上がる様な事をする筈なんだよ。
ダメだ。
やっぱ……黙ってられない。
「あの、奈緒さん、山中君。崇秀、ラストの新曲では、なにも、おかしな事はして来ないと思いますよ」
「うん?……どうして?どうして、そんなに断言出来るの?」
「だって、お金を払って、観客の皆さんは、奈緒さんのライブを見に来てくれてるんですよ。崇秀が、そんな奈緒さんのイメージを下げる様な馬鹿な真似をするでしょうか?」
「あぁ、そうかぁ。仲居間さん、口では、いつも酷い事ばっかり言ってるけど。お客さんを一番大切に考えてるもんね。だったら、そこは『懸念材料』から消去しても大丈夫かな」
あぁ……そこじゃないんだけどなぁ。
けど、新曲3曲目を除いて他の2曲。
『Serious stress』(重いストレス)
『Please look at me』(私を見て下さい)
……に関しては、必ず勝負を掛けて来るのも見えている。
だったら奈緒さんの見解も、強ち間違いって訳でもないか……
う~~ん、微妙。
まぁ、実際の話で言うと、恐らく崇秀の本音は、そこじゃないんだけどね。
「あの、奈緒さん。今はもぉ余計な事を考えず、出来る限りの事を一生懸命やりましょうよ。どうせ考えた所で、あの男の対処法なんて、なにも出て来ませんし。もし仮に見付けたとしても、それを瞬時に実践するのは不可能に近いと思うんですよ。だから……ねっ。それで、どうですか?」
「ハァ~~~……だよねぇ。まぁ良いかぁ。日本人なら、最後には『特攻万歳』ってのも悪くないかもね」
「そやなぁ。……よっしゃあ!!ほんだら、アンコールの声もデカなってきた事やし。その特攻一番機として、俺がステージに乗り込んだろうやないか!!『敵艦・仲居間』を沈没させたらぁ」
「うん、今回は策無し『特攻』で行ってみよう」
うんうん、本当に、それも悪くない。
……そう思って居たら、ステージ上から、早くもアンコールの声が消え。
会場全体から『仲居間さんコール』が起こっていた!!
しまった!!
完全に不意を突かれた!!
これって、崇秀が、最も得意とする『奇襲攻撃』だ!!
私達が話してる隙に、完全に出し抜かれた!!
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
打開策を講じていたら、そこに崇秀の奇襲攻撃が始まった!!
当然、此処ではライブのイニシアチィブを取り戻さなきゃいけないのですが……3人は、それを取り戻す事が出来るのか?
それとも、為す術なく、魔王に屈してしまうのか?
その辺を、次回は書いていきたいと思いますので。
この展開が、どうなるか気になった方は、是非、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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