どれだけ姿や性格が変わろうとも、倉津君の本質だけを見てくれる奈緒さん。
だが、そんな彼女でも、今までの様に付き合って行くとしても条件があるのは当然。
その条件とは。
①『恋人の解消』
②『今後は同性としてしか扱わない』
③『倉津の性を捨てて、戸籍上、自身の妹に成る事』
そして最後の条件は……
「眞子……今日、仲居間さんに『抱かれて』。それが、私の出す最後の条件」
「えっ?あの、それって、どういう事ですか?それに、私なんかとやるなんて、崇秀が可哀想ですよ」
「そんなの知らない。これは、そう言うの問題じゃないから」
「どうしてですか?どう言う事ですか?」
「今の君はね。まだ『中途半端な女』でしかないの。だから、本当に女として生きたいなら、男の気持ちは全部捨てなきゃダメ。その為にも、自分の好きな男に抱かれて、まずは一度女の幸せを噛み締めなさい。それで初めて、心身共に『女に成った』と認めてあげる。……嫌なら、君とは関係は、此処でお仕舞い。自分の覚悟を、私に見せてみ」
えぇっと……確かに、驚く様な条件だけど。
これ自体は……そんなに厳しくはないんだけどなぁ。
あぁいや、なんて言うか。
別にねぇ、元々奈緒ネェとは一杯Hしてたから、今更SEXする事を、どうこう考える訳じゃないんだよねぇ。
それにさぁ、実際の所、何回も崇秀に抱かれ様としてる訳だから、これも今更ねぇ。
「あの、奈緒ネェ。私、別に、崇秀とHするの、なんて事は無いですよ。……って言うか。出来れば『早くやって欲しいなぁ』とか思っちゃってるんですけど」
「へっ?あれ?……そうなの?」
「あぁ、はい。もぉ、今だから言いますけど。奈緒さんのアリーナの後、崇秀の家で泊まった時『何度、自分からやっちゃおうかなぁ』って思った事か。数知れ無いですよ」
だってさぁ……寝息を立てて寝てる崇秀、可愛いんだもん。
まぁあの時は、まだそう言う自覚が薄かったから、完全に気負いしちゃってビビッちゃいましたけどね。
それに、なんて言いますか。
ちゃんとアソコに入るのか、どうか不安だったし。
「でもさぁ、眞子。結局、その時は、最後までは至らなかったんでしょ?」
「あぁ、はい。勿論そうなんですけど。なんて言いますかね。崇秀って、実はですね。相手に興味が無いと、全く『勃起』しない様な人間なんですよね」
「あれ?ちょっと待って。なんで、君が、そんな事を知ってるの?」
「あぁ、はい。実は、そこに関してはですね。昨晩、とあるお寿司屋さんでですね。崇秀と『私で勃つ』『勃たない』って話で、少し口論になりまして。崇秀が『絶対勃たない』って言うもんですから。私、ムキになって、崇秀のアソコを手でしごいてみたんですね。……けど、なにしても本当に立たないんですよ。……まぁ、これにはビックリしましたし、かなり自信を失くしましたね」
「あら、この子は、またそんな大胆な真似を。……って事はなに?また仲居間さんインポ説浮上?」
「あぁいえ。そう言う訳じゃないんですよ。崇秀、どうやってるのかは知らないんですけど。基本的には、自分の意思でアソコを自在に伸縮出来るらしいんですよね。……っで、始める前に、一応、確認の為『勃起』させて貰ったら、ちゃんと勃ったんで、インポではないですね」
「ふ~~ん。また、変な所まで器用な人だねぇ」
「ですね」
あの音狂音獄魔王はですね。
なに事に対しても、自分のやりたい様にやるみたいなんで、一筋縄ではいかないし、そんな簡単にはいきませんよ。
あの人、基本的におかしいですから。
「じゃあなに?今の仲居間さんって『例のMITの子』じゃないと勃たないって事?」
「あぁ、いえ、そんな事は無いんですよ。なんて言ったって、奈緒ネェでも、俄然、勃つって言ってましたから」
「えっ?私?私なの?」
「ですです」
「……あらら、偉く評価して貰ったもんだね」
「あぁ、はい、そうですね。いつでも崇秀の奈緒ネェに対する評価は高いですよ。……って言うか、奈緒ネェ。崇秀が、奈緒ネェの評価が高いのは、今に始まった事じゃないんですよ」
「そう……なんだ」
「あっ、はい。って言いますか。奈緒ネェ綺麗だし、性格も良いし、いつも身嗜みをキッチリしてるし、向上心も高いから、崇秀が評価するのも当たり前だと思います」
「ふ~~~ん」
「あぁ、じゃあ、この際ですから。崇秀と、奈緒ネェで付き合ったらどうですか?きっと、真琴ちゃんとなんかより、絶対的なベストカップルになりますよ。ってか、ってか、そうなったら、私、凄く嬉しいかも」
うんうん♪
それは、絶対的に良いアイデイアだと思うんですけど。
真琴ちゃんとは比べ物にならないぐらい、崇秀なら、奈緒ネェを預けても100%安心だし、人間的にも『安定感抜群』!!
それになにより、お互いが気遣いの出来る性格だから、なにがあっても、早々に悪い方向には行かない。
それにそれに、2人共が向上心の塊みたいな人間だから、お互いが変な干渉をしあう事もないでしょうしね。
まさに『世紀のベストカップル』誕生だと思うんですけど?
ダメですかね?
まぁその分、2人して、なにを仕出かすか解らないけど……
「そっ、そぉ?私は、仲居間さんより、クラの方が良いんだけどなぁ」
「なんでですか?真琴ちゃんなんて、話にならないぐらいダメダメですよ。それに比べて、崇秀とならベストカップルだと思いますよ」
「あぁ……でも、ちょっと待って眞子。それってさぁ、眞子自身は、そんなに『簡単に割り切れる』もんなの?」
「あぁ、はい。割り切れますよ」
「えぇ……あぁ、でもさぁ……君、仲居間さんの事が好きなんじゃなかったっけ?」
「そりゃあ、見ず知らずの他の女なら嫌ですけど。……奈緒ネェなら、話は別ですよ。それに私、崇秀程、信用の出来る男は居ませんからね。奈緒ネェが幸せになるなら、寧ろ、ありですよあり」
奈緒ネェなら有りです。
少しは嫉妬しますけど、奈緒ネェなら100%我慢出来ます。
「じゃあ、眞子はどうするの?その為に、女のままで居たいんじゃないの?」
「まぁ、そうなんですけど。此処まで、奈緒ネェに我儘を聞いて貰ってるんだから、奈緒ネェにも、ちゃんと幸せになって欲しいんですよ。それに奈緒ネェの場合、それを叶えられる男性は、崇秀しか居ませんからね」
「ちょっと待って……私の『幸せに成れる確率』って、そんなに限定されてるの?クラじゃダメなの?私は幸せに成れないの?」
「はい、限定されてますよ。って言いますか。まずにして真琴ちゃんじゃ話になりません。……それ以前に奈緒ネェ、普通の男の人で満足出来ます?」
「まぁ、そうだけど……ってか、話がズレてない」
「あっ……すみません。ごめんなさい」
馬鹿だね。
此処で熱く語って、どうするんだろうね。
「まぁまぁ、良いや。……って言うか、眞子さぁ。本気で、仲居間さんに『抱かれよう』って思った訳だよね」
「あっ、はい。恥ずかしながら、そうですね。さっきのお寿司屋さんの話の続きなんですけど。なんの違和感も無く、崇秀に『フェラ』までしようとした自分が居ましたからね。……まぁ、頭を叩かれて終わりましたけど」
「そこまで……。そっか。じゃあ、もぉ良いよ。眞子を認めてあげるよ」
「えっ?良いん……ですか?」
「良いよ。その様子じゃあ、どうやら今の眞子には、男の気持ちなんて残ってないみたいだからね。それならOK。……但し、今日1日、仲居間さんに抱かれる様に努力してみなさい。此処は、もぉダメでも良いから」
「あぁ、はい。頑張ってみます」
うぅ~~~、本当に奈緒さんは、どこまで理解してくれるんだろう?
なにも蟠りの1つも残さず、全部飲み込んじゃったよ。
それに、私なんかを『妹』にしてくれた。
なんで、こんな心の広い人を、一瞬でも『煩わしくなる』なんて思ってたんだろ?
そんな自分が情け無い。
私の事を第一に考え続けてくれたる奈緒さんが、煩わしく成る訳なんてないのにね。
私って、馬鹿だねホント。
「じゃあ、これで話は終わり。眞子、仲居間さん呼んで来て」
「あっ、はい」
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
結局、奈緒さんは、自身が倉津君の彼女と言う立場でありながらも。
自分の事よりも、倉津君の幸せを第一に考えてくれ、全ての事柄を飲み込んでしまいました。
ぶっちゃけ、ちょっとドン引くレベルのメンタルオバケですね。
でも、この行為は、それ程までに人を愛せると言う裏返しでもあると思うので、私は、こう言う子が好きです(笑)
さてさて、そんな中。
一応の話し合いにケリがつき、崇秀を部屋に呼びにいく所で終わったのですが。
この後、何事もなければよかったのですが。
眞子の不用意な言葉で、大きめのハプニングが起こってしまいます。
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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