最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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1427 倉津君は、何処まで行っても倉津君だった(笑)

公開日時: 2024年12月31日(火) 00:21
文字数:2,480

●前回のおさらい●


 一旦は、細川君との交渉は決裂したものの。

その直後、彼の放った言葉に焦りだす倉津君。


その理由とは……

「なっ!!ちょ!!」

「特に、今の状況じゃ。旦那からの情報漏洩する可能性すら考慮しなきゃいけないからな。どんな手段も厭わずに一気に潰させて貰うぜ」


いやいやいやいや、それはイカンぞ!!


流石に、それはイカンだろ!!

幾らんでも、そう言うのは良くないぞ!!


コイツの事だから、手段を選ばないって言った以上、相当エグイ事を考えてる筈だろうしな。



「ちょ!!ちょっと待てよ!!なにをする気なんだよアンタわ?」

「それは教えられないさな。……ただな、人間の心は移ろい易く、脆いものだ。それだけは言って置くよ」


……最悪だ。

絶対に最悪のパターンだ。

俺の予想に反する事なく、モジャは一番卑怯な手を使ってGUILDの信用を失墜させる気だ。


特に、このモジャの様な情報戦に特化した人間は、そう言う情報操作が上手いから一番性質が悪い。

こう言う類の人間は、なにを仕出かすか解ったもんじゃないからな。


これはもぉ、早急にナントカしなきゃイケネェ案件だ!!



「ちょ!!ちょっと待ってくれ!!」

「なんだい?」

「いやな。例えばなんだがな。俺が、アンタに手を貸したとしたら、その卑怯な手とやらは使わずに、正々堂々と、正面切って、アイツ等と戦えるのか?」

「そうさなぁ。まぁ、多少の卑怯な手口は必要悪としては使うつもりはあるが。出来る限り無傷でGUILDを手に入れたいってのも本心だからなぁ。そこは最小限に留めるつもりさな」

「そっ、そうか」

「……ただな旦那。旦那は、1度、俺の誘いを断った。今更、参入意思を見せた所で、仲間に加える気は無いぜ」


矢張り、そう言った所はシビアなんだな。

即断即決が出来なきゃ、仲間としては認めて貰えなくなってしまった様だ。


間抜けだな俺。



「・・・・・・」

「……っと言いたい所なんだが。旦那は、組織の要に成り得る人間。条件次第じゃ、話に乗っても良いさな」

「条件だと?条件ってなんだよ?」

「なぁ~にな。俺の話に乗ってくれるなら、これから俺と旦那は運命共同体になる訳だろ。……だったら、旦那の口から、仲居間と、なにがあったか教えて貰おうか。それが加入条件さな」


幾らなんでも、それは言えるかつぅの!!

この現状をナントカしようとは思うが、あんな無様な話を易々と人に話せるかよ!!


どんな厚顔無恥な野郎だよ!!



「ソイツは、流石に無理だな。それだけは、俺の口から言う訳にはイカネェ」

「そうかい。じゃあ、一段階下げて、その話に絡んでる人間は誰だ?それを教えてくれ」


これも微妙な条件ではあるんだよなぁ。

少しでもあの件の触れてしまえば、モジャの事だから全てを看破しそうだしなぁ。


……って言うか。

この場合、矢張り、知ってて、確認してるだけかも知れないかもしれないけどな。


なら、これ位なら妥協しても良いかのかも知れねぇ。



「……崇秀、奈緒さん、眞子だ」

「矢張り、そうだったのかい。なら、旦那に対して、一番負い目を感じてるのは誰だい?これ以上は絶対に聞かないから、そこだけは答えてくれ」


負い目なぁ。


あんな事をすりゃあ、誰だって後ろめたい気分になる筈だからなぁ。


それなら多分……



「均等なんじゃねぇか。まぁけど、眞子が『私のせい』だって散々喚いてたから、一番負い目を感じてるのは、眞子かも知れないな」


此処は想定でしかないんだけどな。

俺の去り際に言ったアイツの言葉が、やけに引っ掛ってる部分ではあるんだよな。


あの状況で『何故アイツのせいに成るのか?』が、未だに見えてないからな。


けど、あの場で、そう言った限りは、それなりの理由もある筈。

だから、眞子が一番負い目を感じてる可能性は高いと踏んで、こう答えた訳だ。



「オーライだ。じゃあ、これ以上は約束通り、なにも聞かない。……けど、旦那」

「うっ、うん?」

「その話を少しでもしたって事は、コチラの話にも、少しはやる気になってくれたと解釈しても良いのかい?」

「まぁなぁ。放って置いたら、アンタは無茶苦茶しそうだからなぁ。幾らなんでも、喧嘩したぐらいで、そこまでやったんじゃ可哀想だからな」

「ほぉ。喧嘩してるのに、お優しいこったな」


自分でもそう思うわ。

自分でも飽きれ返ってる位だからな。


本物の馬鹿なんだろうな……俺って。


けどな。

そんな崇秀や奈緒さんや眞子の件を抜いたとしてもだな。

今、GUILDを利用して生活が安定した人間もいれば、それに伴って幸せに成ってる人間って言うのも沢山居る訳だろ。


俺等の喧嘩の為に、それらを人間を巻き込む訳にもいかないだろうに。



「るせぇよ。そうやってアンタが俺を脅すから、こうなったんだろうがよ」

「まぁまぁ、そう怒りなさんなって……けど、これで晴れて、旦那と俺は運命共同体に成った訳なんだからよ。宜しく頼むぜ旦那」

「あっ……あぁ」


なんか、済し崩し的にトンデモナイ奴と契約した気分だな。


魔王との契約を終えた途端、これだよ。


けど、本当に、これで良かったんだろうか?


***


 ……っとまぁ。

思いも掛けない様なトンデモナイ話が成立してしまい、密かに動揺を隠せない俺な訳なんだが。

モジャは、この後、そんな俺を見ながら『明日には再度詳細な打ち合わせをする事』を明言した後、足早にこの場を立ち去っていった。


恐らく、この様子からして、この交渉が上手く纏まったから。

今からでも、なにかしろの動きを始め様としている、っと言った所だろうか。


ホント、動きの速い奴だよ。


そんな奴を見ながら、今度は俺が、今後の動きをどうするべきか模索し始めていた。



理由は簡単。


俺は、アイツ等を守りながら、敵対する事を選択してしまったのだから……


結局、俺は、どこかで、まだアイツ等を信用してるのかも知れない。


でも、これが、俺の選んだ道なんだから……



始まっちまった以上、もぉ『後退』の二文字は存在しない。


***


次回予告。


なんでだ?

なんで、まだ考えが纏まってない時点で、顔を出すかなぁ?


あのッスなぁ。

反省してるのは良く解るんッスけど、もぉちょっと空気を読んでくれても良いんじゃないッスか?


そんな訳で次回。


『No secret』

「隠し事なし」


……ったくもぉ。

こんな状況じゃあ、どうやっても上手く対応出来無いじゃないッスか。


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>

これにて第一章・第八十六話【Route select(己が行く道)】はお終いに成るのですが、如何でしたでしょうか?


サブタイトル通り、倉津君らしい決断をしたとは言え。

根本的な部分では、これで、あの3人とは本格的に対立する羽目になった訳ですから、中々の茨の道を選んだみたいですね。


今後も大変そうです(笑)


まぁまぁ、そうは言いましてもね。

この対抗組織を作るにあたって、モジャさんが、何も考えずにGUILDを潰しに掛かっている訳ではないでしょうし。

まだまだ彼にも、隠された思惑と言うものがある筈なので、なんとかその辺も上手くやってくれると思いますです。


どっかの単純馬鹿な倉津君と違って、モジャさんはアホじゃないですしね(笑)


さてさて、そんな中。

次回から始まるシーズン18・第一章・第八十七話【No secret(隠し事なし)】でも、早速、何か問題が起こりそうな雰囲気。


果たして倉津君には、どの様な試練が待ち受けているのか?


お楽しみにぃ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


【今年最後に】

今年も皆さん、お世話に成りましたぁ<(_ _)>

まだまだ来年も、このロクデモナイ物語は続いて行きますが、今後も末永くお付き合い下されば嬉しく思います。


本当に、今年も一年、ありがとうございましたぁ♪

(((o(*゚▽゚*)o)))


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