●前回のおさらい●
一旦は、細川君との交渉は決裂したものの。
その直後、彼の放った言葉に焦りだす倉津君。
その理由とは……
「なっ!!ちょ!!」
「特に、今の状況じゃ。旦那からの情報漏洩する可能性すら考慮しなきゃいけないからな。どんな手段も厭わずに一気に潰させて貰うぜ」
いやいやいやいや、それはイカンぞ!!
流石に、それはイカンだろ!!
幾らんでも、そう言うのは良くないぞ!!
コイツの事だから、手段を選ばないって言った以上、相当エグイ事を考えてる筈だろうしな。
「ちょ!!ちょっと待てよ!!なにをする気なんだよアンタわ?」
「それは教えられないさな。……ただな、人間の心は移ろい易く、脆いものだ。それだけは言って置くよ」
……最悪だ。
絶対に最悪のパターンだ。
俺の予想に反する事なく、モジャは一番卑怯な手を使ってGUILDの信用を失墜させる気だ。
特に、このモジャの様な情報戦に特化した人間は、そう言う情報操作が上手いから一番性質が悪い。
こう言う類の人間は、なにを仕出かすか解ったもんじゃないからな。
これはもぉ、早急にナントカしなきゃイケネェ案件だ!!
「ちょ!!ちょっと待ってくれ!!」
「なんだい?」
「いやな。例えばなんだがな。俺が、アンタに手を貸したとしたら、その卑怯な手とやらは使わずに、正々堂々と、正面切って、アイツ等と戦えるのか?」
「そうさなぁ。まぁ、多少の卑怯な手口は必要悪としては使うつもりはあるが。出来る限り無傷でGUILDを手に入れたいってのも本心だからなぁ。そこは最小限に留めるつもりさな」
「そっ、そうか」
「……ただな旦那。旦那は、1度、俺の誘いを断った。今更、参入意思を見せた所で、仲間に加える気は無いぜ」
矢張り、そう言った所はシビアなんだな。
即断即決が出来なきゃ、仲間としては認めて貰えなくなってしまった様だ。
間抜けだな俺。
「・・・・・・」
「……っと言いたい所なんだが。旦那は、組織の要に成り得る人間。条件次第じゃ、話に乗っても良いさな」
「条件だと?条件ってなんだよ?」
「なぁ~にな。俺の話に乗ってくれるなら、これから俺と旦那は運命共同体になる訳だろ。……だったら、旦那の口から、仲居間と、なにがあったか教えて貰おうか。それが加入条件さな」
幾らなんでも、それは言えるかつぅの!!
この現状をナントカしようとは思うが、あんな無様な話を易々と人に話せるかよ!!
どんな厚顔無恥な野郎だよ!!
「ソイツは、流石に無理だな。それだけは、俺の口から言う訳にはイカネェ」
「そうかい。じゃあ、一段階下げて、その話に絡んでる人間は誰だ?それを教えてくれ」
これも微妙な条件ではあるんだよなぁ。
少しでもあの件の触れてしまえば、モジャの事だから全てを看破しそうだしなぁ。
……って言うか。
この場合、矢張り、知ってて、確認してるだけかも知れないかもしれないけどな。
なら、これ位なら妥協しても良いかのかも知れねぇ。
「……崇秀、奈緒さん、眞子だ」
「矢張り、そうだったのかい。なら、旦那に対して、一番負い目を感じてるのは誰だい?これ以上は絶対に聞かないから、そこだけは答えてくれ」
負い目なぁ。
あんな事をすりゃあ、誰だって後ろめたい気分になる筈だからなぁ。
それなら多分……
「均等なんじゃねぇか。まぁけど、眞子が『私のせい』だって散々喚いてたから、一番負い目を感じてるのは、眞子かも知れないな」
此処は想定でしかないんだけどな。
俺の去り際に言ったアイツの言葉が、やけに引っ掛ってる部分ではあるんだよな。
あの状況で『何故アイツのせいに成るのか?』が、未だに見えてないからな。
けど、あの場で、そう言った限りは、それなりの理由もある筈。
だから、眞子が一番負い目を感じてる可能性は高いと踏んで、こう答えた訳だ。
「オーライだ。じゃあ、これ以上は約束通り、なにも聞かない。……けど、旦那」
「うっ、うん?」
「その話を少しでもしたって事は、コチラの話にも、少しはやる気になってくれたと解釈しても良いのかい?」
「まぁなぁ。放って置いたら、アンタは無茶苦茶しそうだからなぁ。幾らなんでも、喧嘩したぐらいで、そこまでやったんじゃ可哀想だからな」
「ほぉ。喧嘩してるのに、お優しいこったな」
自分でもそう思うわ。
自分でも飽きれ返ってる位だからな。
本物の馬鹿なんだろうな……俺って。
けどな。
そんな崇秀や奈緒さんや眞子の件を抜いたとしてもだな。
今、GUILDを利用して生活が安定した人間もいれば、それに伴って幸せに成ってる人間って言うのも沢山居る訳だろ。
俺等の喧嘩の為に、それらを人間を巻き込む訳にもいかないだろうに。
「るせぇよ。そうやってアンタが俺を脅すから、こうなったんだろうがよ」
「まぁまぁ、そう怒りなさんなって……けど、これで晴れて、旦那と俺は運命共同体に成った訳なんだからよ。宜しく頼むぜ旦那」
「あっ……あぁ」
なんか、済し崩し的にトンデモナイ奴と契約した気分だな。
魔王との契約を終えた途端、これだよ。
けど、本当に、これで良かったんだろうか?
***
……っとまぁ。
思いも掛けない様なトンデモナイ話が成立してしまい、密かに動揺を隠せない俺な訳なんだが。
モジャは、この後、そんな俺を見ながら『明日には再度詳細な打ち合わせをする事』を明言した後、足早にこの場を立ち去っていった。
恐らく、この様子からして、この交渉が上手く纏まったから。
今からでも、なにかしろの動きを始め様としている、っと言った所だろうか。
ホント、動きの速い奴だよ。
そんな奴を見ながら、今度は俺が、今後の動きをどうするべきか模索し始めていた。
理由は簡単。
俺は、アイツ等を守りながら、敵対する事を選択してしまったのだから……
結局、俺は、どこかで、まだアイツ等を信用してるのかも知れない。
でも、これが、俺の選んだ道なんだから……
始まっちまった以上、もぉ『後退』の二文字は存在しない。
***
次回予告。
なんでだ?
なんで、まだ考えが纏まってない時点で、顔を出すかなぁ?
あのッスなぁ。
反省してるのは良く解るんッスけど、もぉちょっと空気を読んでくれても良いんじゃないッスか?
そんな訳で次回。
『No secret』
「隠し事なし」
……ったくもぉ。
こんな状況じゃあ、どうやっても上手く対応出来無いじゃないッスか。
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
これにて第一章・第八十六話【Route select(己が行く道)】はお終いに成るのですが、如何でしたでしょうか?
サブタイトル通り、倉津君らしい決断をしたとは言え。
根本的な部分では、これで、あの3人とは本格的に対立する羽目になった訳ですから、中々の茨の道を選んだみたいですね。
今後も大変そうです(笑)
まぁまぁ、そうは言いましてもね。
この対抗組織を作るにあたって、モジャさんが、何も考えずにGUILDを潰しに掛かっている訳ではないでしょうし。
まだまだ彼にも、隠された思惑と言うものがある筈なので、なんとかその辺も上手くやってくれると思いますです。
どっかの単純馬鹿な倉津君と違って、モジャさんはアホじゃないですしね(笑)
さてさて、そんな中。
次回から始まるシーズン18・第一章・第八十七話【No secret(隠し事なし)】でも、早速、何か問題が起こりそうな雰囲気。
果たして倉津君には、どの様な試練が待ち受けているのか?
お楽しみにぃ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
【今年最後に】
今年も皆さん、お世話に成りましたぁ<(_ _)>
まだまだ来年も、このロクデモナイ物語は続いて行きますが、今後も末永くお付き合い下されば嬉しく思います。
本当に、今年も一年、ありがとうございましたぁ♪
(((o(*゚▽゚*)o)))
読み終わったら、ポイントを付けましょう!