最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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117 不良さん 素直(アリス)の頼み事を聞いてみる

公開日時: 2021年6月3日(木) 00:21
更新日時: 2022年11月21日(月) 12:56
文字数:2,270

●前回のおさらい●


 ここ数カ月の動向を思い出しつつも。

ボケ~~~っと、教室で空を眺めている倉津君。


そこに……

「おはよう、真琴君」


そんな俺に声を掛けてきたのは素直。


しかもだな。

此処最近は、ちゃんとした女バージョンの素直が、毎朝こうやって挨拶してくる。


以前聞いた家庭環境を考慮したら『何故、そうなってるのか?』と不思議に思うかもしれないだろうが。


しかし、そんなものは既に過去の話だ。

どうしても素直は、女に戻らなければならない理由が出来てしまっていた。


原因は、あの『大きな胸』だ。


今までは、中学二年生女子の標準バストのちょい大き目のサイズだったから、なんとか隠し隠しやって来られたみたいなんだが、素直の胸のサイズが此処に来て急成長。

最近では、バストのサイズが『E』を越えてしまったらしく。

さらしを巻こうが、胸潰しを使おうが、どうやっても素直のバストは隠れない。


もぅ誤魔化しようが無い状態まで来ちまったんだよ。


それでも、もし、その行為を続けたとすれば、不恰好な『はと胸』男になってしまう。

これには流石の素直の馬鹿親も、素直を素直の兄貴の代わりをさせる事を諦めざるを得なかったんだろう。



「うっす。早いな」

「そっ、そうですか?あぁでも、早いと言うよりは、時間的には普通だと思いますよ?」

「あぁまぁ……そうだな、普通だな」


こんな風に、取り留めの無い朝の挨拶をする。


最近では、これが極当たり前の光景だ。



「あの……ところで真琴君」

「んだ?」

「今日の放課後って……お暇ですか?」

「あぁ?放課後だと?確か、今日って、バンドの練習日じゃなかったか?」

「あっ、あの、そうなんですけど。それまでの時間は空いてるかなっと思いまして……忙しいですか?」


あぁそう言う事な。

練習までの時間が空いてるか、どうかって話な。


まぁ別に、練習に行く事以外、特に忙しくは無いが……なんか急用でもあんのか?



「ん?なんか用事か?」

「あの……バンドの事で、少し個人的に相談したい事が有るんですけど」

「なんだよ、それ?個人的な相談って事は、みんなの前じゃ言えねぇ様な事が、なんか有ったのか?」

「いや……あの、そんな大した話じゃないんですけど……」

「そうなんか?じゃあ、今、言っちまえよ」

「あっ、はい。……実はですね。少し前から気になってたんですが……なんか僕だけ、バンドの中で楽器が弾けないなって思って……その……」


はぁ?なにを言うかと思えば……


ってか、オマエはボーカルなんだから、別に楽器なんて弾く必要なんてないんじゃないのか?

なんか妙な話だな。



「なんだオマエ、変な事を言うんだな。オマエ、ボーカルだろ。歌が上手く唄えりゃ、それで良いんじゃねぇの?そんなもん、なんも気にする必要無いと思うんだが?」

「そうなんですけど……向井さんが……」

「奈緒さん?」

「あっ、はい……向井さんって、歌も唄えるし、ベースも、ドラムも出来るじゃないですか。それなのに、なんか僕だけ、なにも楽器が出来無いなって思って……なんか、取り残されてる様な気がして」

「アホか?んな事、気にしなくて良いんじゃねぇの。大体、奈緒さんは、元々器用過ぎる人だからよ。あの人は、ちょっと特殊なんだよ」

「あぁ、まぁそう言ってしまえば、そうなんですけど……」


変な奴だな。

そんな事、気にする必要すらないだろうに。


大体にしてオマエは、滅茶苦茶歌が上手いんだから、自信を持って、それをバンバンやれば良いじゃねぇのか。

別にそんな風に、変な事を考えなくてもOKじゃね?


まぁそうは言っても、同じボーカルの立場なら、そう考えるのもおかしくはないか。



「なんだよ?その調子じゃあ、誰かに、なんか言われたのか?」

「いえ……誰も、そんな事は言ってませんけど……なんて言うか、皆さんを見ていたら、僕も何か楽器をしてみたいなって思って」

「ふ~ん。じゃあ、あれか?なんか具体的にやりたい物でも有るって事か?」

「あの……シンセサイザーをやってみたいなって」

「シンセか……まぁウチのバンドには居ないから、盲点っちゃ盲点だよな。けど、オマエ……」


シンセサイザーの基本なんか、俺には、からっきしってわかんねえぇけど。

鍵盤楽器って奴は、なんか、基本的に操作が難しそうなイメージとかあるんだがな。


だから素直が言う様に『やってみたい』ってだけで、そんな安易に始めても良いものなのか?



「あの……なにか問題でも?」

「いやな。……シンセ弾けるのか?って思ってよ」

「どうでしょうね?でも、まぁ多分、何とかなるとは思うんですけど」

「なんでまた、そんな確信めいたものが有るんだよ?」

「昔ですね。両親に薦められて、少しピアノを習っていた時期がありますので。多分、大まかな部分は大丈夫じゃないかと……」


あぁなるほどな。

そう言えば、コイツの家って資産家で金持ちだったな。


しかしまぁ、子供にピアノを習わすなんざ、なんとも解り易い金持ちの習い事だな。

俺んちなんて、借金の取り立てのやり方ぐらいしか教えてくれなかったって言うのによ。



「なら、四の五の言わずにやってみりゃ良いんじゃねぇか。ダメ元で、試しに弾いてみるのも悪かないだろ」

「あの……じゃあ放課後。少し、シンセサイザーの下見に行きたいんで、お時間を貰っても良いですか?」

「おぅ。俺は、別に構わないぞ」

「じゃあ、真琴君、約束……ですよ」

「あぁ」

「絶対……守って下さいね」

「あぁ」


なんだろうな。

そんなに確認しなくても、買い物に付き合うだけだろうに……何を、そんなに念を押してんだよ?


まぁ良いか。


この後、朝の挨拶と、買い物に付き合う約束をした俺は、いつもの様に睡眠に入る。


相変わらず、俺の授業ストライキは継続中。


ねみぃ~~~。

そんな思いと共に、既に眠りに入っていた。


最後までお付き合いありがとうございました<(_ _)>


どうやら素直ちゃんの意見を尊重して、シンセサイザーの下見に行くみたいですね。


何事も無きゃいいんですが……(ФωФ)フフフ・・・


ってな感じで、此処からは次回の講釈。


また良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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