最後まで奏でられなかった音楽

どこかお間抜けDQNな不良さんのゆったり更生日誌(笑)
殴り書き書店
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294 不良さん、綺麗に成って行く女性陣を見ながら、そのステージ配置について考える

公開日時: 2021年11月27日(土) 00:21
更新日時: 2022年12月18日(日) 15:05
文字数:3,641

●前回のおさらい●


 千尋ちゃんを、あっという間に、見違える程、綺麗にしてしまった武藤君。

だが、そんな腕前に反して、彼は最高に口が悪い。


そんな彼が次に指名したのは……奈緒さんだった(笑)

「私……だよね?」

「あぁ、オマエだ。この中じゃ、オマエが、一番意地の悪そうな面構えじゃねぇか」

「かもね」


俺の怒りに反して、奈緒さんは冷静な態度を取りながらも、それ以上の文句も言わず、素直に武藤の元に行った。


その動きが早かった為か、武藤の機嫌は良い様だ。


直ぐ様、ケープを優しく奈緒さんの首に付けた。



「さてと、始めるぞ」

「よろしく」

「あぁ……って、オイ、オマエ、肌が荒れ過ぎてるぞ。どうやったら、こんな事になるんだ?」

「ごめん、ごめん……多分、ここ数日、ちょっと悩んでた事があったから、それが肌に顕著に出たんじゃないかな」


悩みか……そりゃあ、あれだけの大きな悩みを抱えてりゃ、普通、色々悩むはな。


けど……さっきの経緯から見て、武藤は、理由がそれでも怒るんだろうな。



「ハァ……なるほどなぁ。じゃあ、しょうがねぇな。人間の悩みは、肌を簡単に荒しちまう。これだけは事実だから、どうしょうもねぇ」

「そこは良いんだ?」

「悩みを、悩むなってのは無理だろ。それは人間である以上は仕方ねぇ。……但し、問題なのは、そこじゃねぇ。オマエが、日頃から、肌の手入れをキッチリしてるかどうかの方が問題だ?」

「勿論、肌の手入れは入念にしてるよ。朝・昼・晩の洗顔は欠かさないし、蓮華を肌に滑らせて、顔の血行は、常に良くしてるつもりだけど」

「ほぉ、ソイツは凄いな。ド素人が、良くそんな方法を知ってたもんだ」

「なになに、女の嗜みだよ」


蓮華なんかで、血行が良くなるものなのか?


なんだそりゃ?


気になるから、帰ったらネットで調べよ。

(↑気になる方は『100円で出来る血行法』『蓮華血行法』で検索。答えはWEBで)



「なるほど、そいつは良い。ブス共が全員、オマエみたいに、毎日キッチリ肌の手入れをしてくれりゃあ、こちとら大助かりだ。オマエ、中々わかってんじゃねぇか」

「そう……なんだ?けど、私、安上がりだから、それをやってるだけだよ」

「それで上等なんだよ。安い高いに関わらず、美人になりたいと言う意思が有るからこその行動だ。悪くねぇ……オイ、意地悪。オマエは気に入ったから、念入りに肌の手入れをした上で綺麗にしてやるよ。俺は、そう言う『美意識の高い女』は嫌いじゃない」

「ホント、ありがと、要♪」


此処で出た!!

奈緒さんの必殺技『笑顔で名前呼び』!!


これに掛かれば、武藤と言えど……



「おぉ、じゃあ、そのまま動くな。後は、俺に身を任せれば完璧だ」


そう言って武藤は、奈緒さんの顔に、少し熱めのオシボリを置いて、他の女性陣を見る。


あっ、あれ?

武藤の奴には、奈緒さんの技が決まらねぇのか?


なんでだ?これに掛からねぇって事は、やっぱ、コイツ、女なんじゃねぇか?



「オイ、意地悪は少し時間が掛かるから、誰でも良い。次にやって欲しい奴、サッサとコッチに来い」


その声を皮切りに、武藤は、残った女の子のメイクを手早く済ませていく。


但し……『手早く』とは言ったが『手抜き』をしている様子は一切ない。

奴は素早い動きで、女の子達にメイクをするんだが……中々、それは凄まじいものだった。


瞬時に、女の子に合った配色を個人個人に判断し、これと決めたら、迷い無くドンドンとメイクを進めていくからだ。


兎に角、無駄が無く、ムラも無い完璧な仕上がりを短時間で実現していく。


まさに『感性』の塊みたいな奴だ。


現に、奴がメイクした女の子全員を見回してみると……全員が、一段階上の可愛さになった様な気がする。


***


「良し……コイツで全部終わったぞ。仲居間、後、なんかする事は有るか?」

「ねぇよ。第一おせぇんだよ、要。オマエの仕上がり待ってたら、日が暮れちまったぞ」

「ほざいてろ。俺じゃなきゃ、此処まで手際良く出来ねぇよ」

「まぁそりゃあそうだな……まぁ良い。取り敢えず、メイクの終わった女子は、ステージ袖で待機。サクか、ミザさんの合図で、再度ステージに上がってくれ。それ以降は、そこで自分の思いをステージにぶつけて来れば良い。……以上」

「「「「「「「「はい♪」」」」」」」」


返事をして、女子達は、崇秀の指示に従って準備を始めた。


みんな、気合十分な感じだな。


女子ってのは『綺麗に成った自分』を誰かに見せるのが、楽しくて仕方が無いんだろうな。

そんな心理から貸して、女子達は、今日一番の気合が乗ってる様にも見える。


『ガチャ』


その時、突然扉が開いた。



「仲居間。時間だぞ」

「んあ?あっそ。じゃあ、そいつ等、オマエが連れてけ」

「了解。そんじゃあ、予定通りに」

「『予定通り?』俺、そんな予定を立てた憶えないぞ。……あぁ広田君、因みだが、カメラマンとしてのオマエなら、どういう配置にする?やっぱ、アリスがセンターか?」

「バッカッ、俺の感覚で良いんだな?」

「あぁ良いぞ。オマエの感性に任せる。勿論、エコ贔屓もOKだ……但し、しくじりは許さない。賠償はマキさんに廻すからな。覚悟して選べよ」


楽屋に入ってきたのは広田。

コイツは俺と同じ中学で、一応プロのカメラマンをしてる奴なんだが。

崇秀は、そんな広田が入ってきた瞬間に、そんな話を始めた。


そこから察するに、この広田と、崇秀の話って……

明らかに、女子がステージに上がった時のステージ配置の話だよな。


もしそうなら、この重要な局面を、プロのカメラマンとは言え学生である広田になんか任せて大丈夫なものなのか?

しかも賠償問題まで前提条件に成っているなら、俺には無謀としか思えんが……


不安になった俺は、広田のフォローする事にした。



「オイ、崇秀。あんま無茶を言うなよ。広田は、まだ中学生だぞ」

「はぁ?んなの関係ねぇし」

「いやいや、事の重大さを、もうちょっと認識した方が良いぞ」

「やだね。俺は、広田に責任を持てるか、どうか聞いてんだ。持てないなら辞めれば良いだけの話じゃねぇか。……俺は、コイツが、どういう感覚で、仕事に向き合ってるかが知りてぇから、この質問をしてんだ。口を挟むな」


ダメだった。


はい、俺の抵抗は終了。



「心得た。なら、期待以上のものを仕上げてやるよ」

「はぁ、ダメだな。オマエは大きな勘違いしている。出来る、出来無い以前に、マキさんに賠償が行く件は、どうなってんだ?それじゃあ、しくじった場合、マキさんに負担がいくだけで、オマエは何も背負っちゃいない。そんな奴が良いステージを作るなんて、チャンチャラおかしいぞ。……こう言う場合は、まずは自分じゃなく。相手の言葉を良く聞き、誰がどう言う関係に置かれているのかを見るべきなんじゃないのか?」


気持ち良く了承した広田に対して、またコイツは無茶苦茶な事を……



「オイ、崇秀、言ってる事が無茶苦茶だぞ」

「なにがだよ?」

「俺達みたいな普通の中学生が、そんな大それた責任なんて負える訳ないだろ。……んなもん背負えるのは、オマエぐらいのもんだ」

「関係ないな。……言葉の責任って奴は、そう言うもんだ。それに責任無しに物事をするのは卑怯者のする事だ。大人だろうと、子供だろうと、やっちゃイケナイ事位わかんだろが……違うか?」


いや、そりゃあな、間違ってはいないが。

それを俺達みたいなガキに押し付けても、なにも出来ないのが普通……それ自体が不可能じゃねぇか?


もしオマエもそう思ってるなら、最初から、こんな事を言わなきゃ良いのにな。



「だったら、何故、広田に聞いたんだよ?」

「聞くに値する人間だからだ。……けど、広田が、もし、出来無いと判断したら、この場面は助言で済ますべきなんじゃないか?『心得た。なら、期待以上のものを仕上げてやるよ』なんて大袈裟な言葉を吐く自体、筋違いってもんじゃねぇのか?」

「そうじゃねぇだろ。広田は、オマエが聞いてる事に応えようとしたんじゃねぇか?それの何が悪いんだよ?」

「ガキか……アホクセェ。じゃあ、損失が出た場合、誰が保証してくれんだ?オマエか?」

「あぁ、なら、その保証とやらは、俺がしてやるよ。広田と一緒に考えた配置で、オマエをギャフンと言わしてやる。広田の感覚に、俺のバンド経験値があれば『鬼に金棒』だ」

「ほぉ~~~、ソイツは面白れぇ」


あかん、またやっちまった。

また懲りずに俺はやっちまったよ。


アホンダラァの挑発に乗って、またロクデモナイ賭けをしてしまったよ。


なんで俺は、こんな単純に出来てるんだ?


まさに、救いようのないアホの極みだな。


けどな、今回に至っては、全く勝算がない訳でもないんだぞ。

俺は『和製クルーグマン(自称)』と言われた知将。

元々からして、簡単に負け戦をする様な男じゃない。

必ず、自分の力を発揮して、この無謀な勝負に勝利の架け橋を必ず掛けてやる。


だが、まずその為にも、この広田って奴の力が必要だ。

コイツは小さい頃から、プロのカメラマンと一緒に色んな撮影方法学んで来たから、写真のセンスはピカイチ。


だから、コイツがキッチリとやる事をやれば、必ず成功の兆しは見えて来る……筈だ。


唯一問題が有るとすれば、広田の奴が緊張に飲まれないかが、最大の問題だろうな。



所で崇秀よぉ……賠償金って、一体幾らだ?


最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


また懲りずにやらかしてしまいましたね。


しかも今度のは、多額の賠償を掛けた、とんでもない賭け……倉津君は、どうするつもりなんでしょうね?

(恐らく、この場合の賠償だと数千万円ぐらいが妥当かと……(笑))


まぁまぁ、そうは言っても、やってしまった事は仕方がありません。

どうにかして、この最悪な状況を脱するしかありませんね(笑)


果たして倉津君は、この状況を打破できるのか!!


それは次回の講釈。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ

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